ぼっちと魔術師   作:SPZS

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これだけはやりたかった。
後悔なんぞない。


11話 ○ものフレンズ

ーーボッチとは何か

 

人にとっては永遠の課題となるかも知れぬこの質問。

ここに来てあの約束をしてからと言うもの、いつも俺はこの課題に挑み続けた。

 

ーーついに答えは出た。

あくまで俺の独断と偏見によって導き出された答えだが…………まぁないよりはマシだろう……

 

「サァテ、ゆんゆん。今から講義をハジメるヨォ」

 

「はい!」

 

現在俺は、広間を改造しホワイトボード的な物も持ってきて、擬似教室を作り授業を行おうとしてた。

…こういうのは雰囲気が大切なのだ。

 

「ウン!元気があってイイネェ」

 

一つしかない席に着き、目を輝かせながら今か今かと期待するゆんゆん。

…ゆんゆんにとっての一生の願いが今果たされるかも知れないのだ無理もない。

 

「ジャアまずハ、なぜボッチとはできるのか。ソコからはじめヨォ」

 

ホワイトボードに『ボッチの発生方法』と書き、説明する。

 

「ボクなりに考えたんだケド、ボッチは周りにハブられるのじゃなくテ自分から無意識に遠のけテルのだと思うンダ」

 

「ふむふむ」

 

自分に心当たりがあるのか探るように考えこむゆんゆん。

 

「ダカラ、克服するには自分が積極的になるコトがいちばんいいのダト思うンダ」

 

「うーん」

 

ホワイトボードに赤文字で『積極性』と書くと、難しい顔をし出すゆんゆん。

 

「あの……マホロア?「『先生』をつけてチョウダイ」…マホロア先生。そんな簡単に積極的になれたら苦労しないと思うんですが…」

 

諦めたようにそう質問するゆんゆん。

はっはっは、何を言うか。

 

「…キミ。数日前にボクのベッド潜り込んでキテ抱き枕にしたヨネ?」

 

「あっ…あれは気が動転してて!」

 

思い出したのかゆんゆんは真っ赤になった顔を押さえながら机にうつ伏せになってしまった。

 

「アー……ツマリ。ボクが言いたいノハ、ゆんゆんは妙なトコロで積極性があるというコトダヨォ。ホラ、めぐみん達を助けるタメに遠慮なく魔法も覚えたんじゃなイカ。フツウの人はソンナにそんな逆境で咄嗟の判断ナンテできないヨォ。…ホラもっと自分に自信をモッテ」

 

まぁあれは積極性なのかと言われるとなんか違うような気もするが……まぁいいか。

そう思いながら頭を撫でてみると

 

「本当に?」

 

と頭を上げるゆんゆん。

今度は違う意味で顔が赤くなっているが、まぁいいだろう。

 

「デモ!ソンナ逆境じゃなクテ、日常生活で発揮できなかったら意味がナイ!デモ、イキナリ積極的にナレと言われても難しい…そうダロォ?」

 

こくこくと頷くゆんゆん。

 

「ソコで!今日はこんなモノを持ってきたヨォ!」

 

そう言って俺はワープホールからドサドサとソレラを召喚する。

 

「……………マホロア?「『先生』」……マホロア先生……な、なにこれ?」

 

「カチューシャダヨォ!」

 

「うん……いや、でもこれどう見ても…」

 

「動物カチューシャダネェ」

 

そう…ただのカチューシャではない。動物の耳がついたカチューシャ………行ってしまえばけも耳である。

 

「……マホロア…こういう趣味があったの?」

 

なんだいその『マジかよお前』って顔は…

 

「違うヨォ。ボクはソーイウ趣味なんてないヨォ!……因みにソレマジックアイテムなンダ。意外と高いカラ壊さないでネェ」

 

「え!?」

 

疑いと驚きを兼ね備えたように返事をするゆんゆん。

 

…無理もないね。俺も最初そんな反応したもん。

 

 

*****************

 

 

この世界で紅魔族と並び人間、魔物。どちらからも危険視されている教団。

 

アクシズ教徒

 

そんな彼らと、無から有を生み出す黒髪黒目の変態チート持ちが出会ってしまった。

 

彼は性癖全開な彼らに自分と同じ変態魂を感じ結託。その結果生まれたのが

 

カチューシャ型性格改変魔道具

 

≪まものフレンズ≫である。

 

その商品は当然の如くアクシズ教徒の総本山「アルカンレティア」に近い紅魔の里にも流れ込んできた。

 

雑貨屋の店主がどう処理したものかと困っているところで、マホロアが金に物を言わせて買い占めたのだった。

…衝動買いである。

 

 

*****************

 

 

「と、言うワケで積極的になるには実際になってみるのがイチバン!ダカラコレをつけてみなヨォ!」

 

俺が選んだのは「モチーフ:サーベルキャット」効果は超ポジティブ。タグの所に、「コレを付けて見たら、知らない間に友達が一桁増えました!」と言う体験談も書いてあった。まさにゆんゆんぴったりと言えるだろう。

 

「い、いや!付けたところを誰かに見られたらわ、わたし……もうお嫁にいけない!」

 

言葉選びがなんか間違ってる気がするが…このままではせっかく大金叩いて買ったのが全部無駄になる。

……せっかくそこの白板消しに超小型カメラも仕込んだというのに…

 

「ゆんゆん。ダイジョウブダヨォ。スコーシだけ積極的になるダケだし、家から出なければいいダケじゃなイカ!せっかくゆんゆんの為に買ってきたんダヨォ…付けてくれなきゃ悲しいナァ」

 

「うっ……そ、そうなの?なら……」

 

よぉーしうまいこと誘導したぞ〜。

 

「い、一瞬だけ!一瞬だけだからね!」

 

そう言って半ばヤケになりながらも装着するゆんゆん。

ッシャァ!お宝映像いただき!

 

カチッ

 

と子気味いい音が響き、装着したゆんゆん。

……ほぅ

 

「ウン!中々似合ってるヨォ、ゆんゆん!」

 

「……」

 

あれ?囃し立てて見たけど反応がない…おかしいな?

 

「ゆんゆん?オーイ?ゆんゆーん?」

 

そういいながら、ゆんゆんの前で手を振ってみるが反応がない…おかしいな?なんか副作用とかあったりしたのかなと説明書を読もうとすると…

 

「すっご〜い!」

 

「!?」

 

びっくりした…いきなり背後で大声を出さないで…………て、え?

 

恐る恐る振り向くと

 

「なにこれなにこれー!すっごく気分がいいよー!」

 

手を広げてクルクル回って広間を駆け回るゆんゆん。ワァオ、想像以上だ。想像以上過ぎて軽く引いた。

 

「…エットゆんゆん?だ、ダイジョウブ?」

 

「え?どうして?」

 

「い、イヤ……なんでもないヨォ。気に入ってもらえたナラ良かったヨォ…」

 

「ふーん」

 

なんだろう…これは超ポジティブっていうか…………これただ頭が空っぽになっただけじゃあ……あぁ…IQが溶けそう…

 

……とりあえず一旦外そう。流石にこれはやばい。広間を元気に駆け回りまくるゆんゆんはキャラ崩壊が甚だしい。もう俺も満足したし、カメラもいい感じに撮れてるだろう。

 

魔道具だし一応取り外し方を見ておくか……

えーと何々?

 

「サーベルはですね。基本的には山岳地帯の魔物の巣と呼ばれる地域に過ごしていまして……」ペラ

 

「本商品をご購入いただき有難うございます。本商品をご装着なさると3時間経過しないと外れません」

 

なにぃ!?なんだよこの糞設定!

 

「故、ご装着なさる場合はくれぐれも自分の周りとの人間関係などが「マホロア!ちょっと外に行ってくるね!」

「アーハイハイ、イッテラッシャイ。…エットどこまで読んだッケ?そうだココここ」

人間関係などが変わる場合を念頭に入れてください。

尚、本商品で怪我、社会的な死、ボッチとなった場合はアクシズ教徒に限り手当を施します。

もしその時アクシズ教徒に入ってなくてもその場でアクシズ教徒にご入会いただければ大丈夫です。

では本商品をお楽しみください」

 

畜生!こうなったらカチューシャを破壊するしか…

 

「注意:装備中に本商品を破壊した場合主人の頭がクルクルパーになる可能性が高いのでお控えください」

 

なるほど抜かりがないなぁ!アクシズ教徒ォ!

まずい、この状態を里のみんなに見られてはゆんゆんがアクシズ教徒に入る事になってしまう。

あんなキチ○イ共の仲間入りとか流石の俺でも良心が痛む。むぅ…取り敢えず部屋に縛り付けておけば後は時間が解決してくれるだろう。

 

「オーイ!ゆん…ゆ……ん」

 

いねぇ!あいつ外に出やがった!

…そういやなんか言ってたな読むのに夢中で適当に返事したけど…

やっちまった…

しかもあの子ご丁寧に残りのカチューシャも持ってきやがった!

 

まずい…このままではゆんゆんが里全体がディストピアにしてしまう…。早く捕まえて被害の拡大を止めなければ…。

 

 

*****************

 

 

さて、勢いよく飛び出してきたはいいけどゆんゆんの行方がわからん。

漫画みたいに足跡を追ってとかできたらいいんだけどそんな都合よく足跡なんてつかないし見えない。取り敢えず里のはずれにある公園っぽいとこまで来たけど……困ったものだ…どうしよう。果てしなくめんどくさい。

 

とか思っていると……

 

「わーい!たーのしー!」

 

「……姉ちゃん…」

 

ワァオ……これは酷い。

今俺の目には、( `・ω・´)で滑り台を滑るという行為を永遠に繰り返すゆんゆんのライバル。めぐみんがいた。

 

「ヤ、ヤァめぐみん…こめっこ…」

 

「あ!マホロア!ヤッホー!どう?私と一緒に滑らない?」

 

「イ、イヤ…遠慮しておくヨォ…」

 

やばい…キャラ崩壊が酷すぎて吐き気を催してきた………あれは確か「モチーフ:オオヅメカワウソ」だっけな…確かあれも超ポジティブの効果だったはず…でもあれどう見てもアホの子…つーかデフォルトで顔が( `・ω・´)の奴初めて見た…

と考えていると、不意に服の裾が掴まれる。見るとそこにはなんか複雑な顔したこめっこがいた。

 

「あのね、なんか大きな耳を付けたゆんゆんみたいな人が急に来てね、姉ちゃんがそれを笑ったの。そしたらね、ゆんゆんみたいな人が姉ちゃんにあの耳を付けたんだ。そしたら姉ちゃんが……」

 

「ウン…もういいヨォ。大体わかッタ」

 

ここまでドン引きしているこめっこは初めて見たかもしれない。

取り敢えずフォローを入れよう。

 

「いいカイこめっこ。キミがあった人はゆんゆんじゃないンダ。あれは……ソウ、ゆんゆんの偽物ダヨォ。わかったカナァ?」

 

「う、うん。わかった」

 

「後偽ゆんゆんはどっちに行ったのカナァ?」

 

「あっち」

 

そう言って公園の奥の方を指差す。

まずいなぁ…あっちは確か喫茶店とか居酒屋とかが並んだところ…あぁ考えたくもない。

 

「アリガトウ。それとこめっこ。姉ちゃんが元に戻ったら、あのカチューシャをボクの家に届けて欲しいンダ。…………アー沢山のお菓子と交換するカラ…」

 

「しょうがねぇなぁ!」

 

良かった。いつものこめっこに戻ってきた。

 

「ジャアボクはゆんゆん……の偽物を追うヨォ!後キミの姉ちゃんの為にもあの姿は他の人に見せちゃダメダヨォ!」

 

「うん。わかった!」

 

「あ、マホロアもう行っちゃうの?バイバーイ!」

 

「バ、バイバーイ…」

 

そう言って俺は急いで後を追う。

 

まずい。非常にまずい。あのめぐみんですらあんな事になっているとは……ていうかあれ正気に戻って俺のせいとばれたら俺死ぬんじゃね…いやよそう。これ以上は考えるな。今はゆんゆんを捕まえることだけを考えていればいい…

 

 

*****************

 

 

ゆんゆんを追って早幾年ついに商業区に到着しました。

おおっと!早速喫茶店の前が騒がしいぞー!…こんな時間に喫茶店が混む筈がない。十中八九あれだろうなぁ…。

 

外でガヤガヤする外野をかき分け中に入ると。

 

「ふわああぁ! いらっしゃぁい! よぉこそぉ↑私のカフェへ~! どうぞどうぞ、ゆっぐりしてってぇ!」

 

「ヒェッ」

 

ウゲェァ…店主のおっさんがそんなセリフ言うなよ!

 

「いやま゙っ↓てたよぉ! やっとお客さんが来てくれたゆぉ! なんか外にいっぱいいるけど中に入ってこなくてにぇ!嬉しいなあ! ねえなんにぃ飲んむぅ? いろいろあるゆぉ!」

 

「エットォ…」

 

やばい吐き気を催してきた。

 

「アノォ…」

 

「ん?」

 

「ボク、ゆんゆん……の偽物を探してて…」

 

「…お客さんじゃないのか……ぺっ」

 

ビチャァ

 

うわきったねぇ!このオヤジ唾吐き棄てやがった!

……あのカチューシャは…「モチーフ:アルパカ・スル」だったな…確か効果は看板娘だったか?…まぁ少女ならまだしもお前はアウトだろう。控えめに言って死ねってレベルだぞ?

 

「エット、それでドッチに行ったかわかるカイ?」

 

「あぁ…それなら畑の方に行ったゆぉ」

 

「あ、アリガトウ!また今度来るヨォ!」

 

そう言って俺は店を出ると

 

「ま、マホロア…あれについて何か知らないか?」

 

野次馬の一人が聞いてくる。

 

「エ?あーー、ウン。ちょっと禁じられた召喚術を使ってネェ、ソノ結果ゆんゆんのコピーが生まれたんだ。そのコピーが悪さをしてるんダヨォ」

 

「そ、そうなのか!なら早く捕まえなきゃな!」

 

よし!何故か誤魔化せた。

こんな感じでみんなのヘイトをありもしない人物になすりつけよう…その方がみんな幸せだ。うん。

 

さて、畑に向かいますか。

 

 

*****************

 

 

「うみゃぁ!うみゃあ!うみゃみゃみゃみゃみゃーー!」

 

「ゆんゆんちゃんは元気だねぇ」

 

中央の畑群にいないと思ったら少し離れたところの小さな畑で元気よく野菜を捕まえるゆんゆんと、畑の持ち主らしきおばあちゃんがいた。

ある程度近づくとゆんゆんがこちらに気づき

 

「あ!マホロア!すっごいね!いっぱいフレンズが増えたよ!これをつけるだれけで……こんな風に!」

 

と言ったかと思うとどっからか取り出したカチューシャをおばあちゃんにつけやがった。

 

「チョ!おまっ!」

 

婆「たーのしー!」

 

「たのしーねー!」

 

やめろぉ!それ以上感染を拡大させるなぁ!

 

「わーい!この調子でみんなをフレンズにしよう!」

 

この子無邪気な笑顔でテロ予告をしやがった。

どう止めたものかと考えてると…

 

「うみゃあ!」 ブン!

 

「ウォイ!?」

 

ゆんゆんがいきなりカチューシャを被せに来た。

……早いッ!ゆんゆんとの距離は10mは離れていたはず……なのにあの一瞬で距離を詰めやがったッ!

 

「うみゃあ!うみゃあ!うみゃみゃみゃみゃみゃーー!」

 

「ウ!ウワァァァァァ!!」

 

ゆんゆんが目にも留まらぬ速さで連続攻撃を繰り出してきた。

ワープで避けてるが…いかんせん速すぎる。すぐに距離を詰められる。

まずい!このままでは俺までフレンズ化してしまうッ!つーか速すぎるだろ!人間の限界を超えてやがる!…まさかあのカチューシャか?クソ!アレにそんな機能があったなんて!

 

「わーい」がしっ!

 

「!!??」

 

なんとさっきまで空気だったばあちゃんが俺をホールドしてきた。

 

「ウォォォォ!!ババァ!放せ!放しやがレェ!」

 

くそ!このばあちゃんも身体能力が強化されてるのか振り解けねぇ。

 

「うみゃあ!」ブン!

 

「しまっ!」

 

ヤバい!ばあちゃんに気を取られすぎた!

まずい!やられ……

 

「ッ!!」ブォン

 

「うみゃあ!?」

 

咄嗟にワープホールをゆんゆんの真下に展開。ゆんゆんはそのまま星型の穴に吸い込まれていった。

 

あーくそ……まさかここまで手こずるなんて…危なかった…

とりまゆんゆんは1時間たったら出してあげよう。

 

「サテ、この状況をどうしよウカ」

 

現在けも耳を付けたおばあちゃんに拘束されている俺。

せめてお姉さんだったらなぁ…

とか思いながら頑張って脱出してみようとする。が

 

「ふぬぬぬぬ!」

 

「ダメ!畑を手伝ってくれるまで逃がさないよ!」

 

畑を耕すまで逃してくれないらしい。

 

「ハァ……わかったヨォ。手伝うカラ…放してチョウダイ」

 

「うむ」

 

と言って放してくれた。

馬鹿め!

放した瞬間、俺はワープを使い空に逃げる。

 

「クックク!誰が手伝うかバーカ!アバヨォ!ババァ!」

 

と捨てゼリフを吐いて逃走する。

 

ーーしかし彼は忘れていた。ここは紅魔の里。老若男女問わず誰もがアークウィザードだという事に。中でも高齢の魔導士は洗練されているのだ。経験値が若者とは比べ物にならないゆえに。

 

瞬間!彼の側を黒い閃光がかすめた!

 

「………」ゾクッ

 

恐る恐る振り向くと

 

「次はあてるからね?」

 

おばあちゃんが笑顔で手をかざしていた。とてつもない魔力を纏いながら…

 

「わ、わかったヨォ…」

 

怖っ!なんだあの笑顔!軽くちびりかけたんだが!

まいったなぁ…彼女に逆らう事は死を意味すると言っていいだろうつまりはDead or working

働きたくねぇ!でも死にたくねぇ!

くそ!こうなったらばあちゃんを倒して帰るしかない!

行くぜおばあちゃん!俺をなめるなヨォ!

 

*マホロアは畑仕事を半日手伝わされました。

 

 

*****************

 

 

家にて

 

クソ!なんであのばあちゃんあんな強えんだよ…魔法は洗練されてるし弱点である物理攻撃もカチューシャで補われて理不尽の権化みたいな事になってたよ………なんという高性能ばあちゃん………もう最悪里がみんながアレつければ魔王倒せんじゃね?

 

と、思いながら部屋に戻り

 

「サテ、ゆんゆんを出してあげヨォ」

 

もう3時間以上たってるしもう外れてる頃合いだろう。

 

ブォン

 

ドサッとゆんゆんが落ちてきて…

 

「わぁい!たーのしー!」

 

「!?」

 

アレェ!?戻ってない!なんでだ?

あのおばあちゃんのカチューシャが外れるまで働いたからゆんゆんのは確実に取れるはず…………

 

 

まさか…

『ワープホールの中は時間が止まってる』?

と、ともかく今はゆんゆんをなんとかしなければ!

 

と思ってると

 

「マホロア」

 

「ッ!」

 

いつの間にか真横にいたゆんゆんに声を掛けられる。

まずい!この狭い部屋。というよりこの距離!確実にカチューシャを被せられる!そして多分同じ手は通じない!

 

とか思ってると

 

「あのね、そんなに急ぐ事はないと思うんだー」

 

「?………?」

 

( ゚д゚)あれ?

 

「えっとね、急いで性格を変えなくてもゆっくり変わってけばいいんじゃないかなー」

 

「…………エ(" ゚д゚)!?」

 

え?なにこのシリアス?ついていけないんだが…

 

個性(フレンズ)があるから、みんな違うから、それでいいんだよ。無理に変えて友達が増えても嬉しくない…」

 

「余計な御世話ってコトカイ?」

 

「言っちゃえばそうかなぁ…」

 

…….確かにそれはゆんゆん自身の力で得たものじゃない…ていうかなにこの状況。なにこのゆんゆん。

 

「だからね、これからは自分で頑張るから!こんな道具に頼るのは間違ってるよ!」

 

「ウン……」

 

これはなんだろう。ゆんゆんの意志なんだろうか。だとしたら俺はこの意志を尊重するべきなんだろうか?

 

「でもね、多分一人じゃできないと思うの!だから手伝ってくれる?」

 

といいながら手を差し伸べてくる。

俺はその手を取りながら

 

「………わかったヨォ」

 

と言うと。

 

カチッ!

 

と小気味のいい音がし、ゆんゆんの頭からカチューシャが落ちる。

 

あっ………やっべ!

 

「うーん………あれ?ここは?」

 

「アレ?」

 

お?これはもしかして…

 

「ゆんゆん?ダイジョウブ?」

 

「マホロア?私…確かカチューシャをつけてから……………?あれ???ていうかなんで私マホロアと手を繋いでるの?」

 

ははーん…記憶がないんだな…それは好都合…

恥ずかしさで暴走したゆんゆんに半殺しにされるかと思った…

 

「エットネェ。カチューシャをつけた後すごいポジティブになっテ、ボクの部屋をナゼか掃除し始めたんダヨォ。………エットォ…それでアリガトウって言って手を繋いで欲しいって言ってきたンダ」

 

我ながら苦しいウソだ。

 

「えぇ…そうなの?それにしてはあんまり綺麗になってないような…それにどうしてその流れで手を繋ぐことになるの?」

 

「そ、ソンナコトナイヨ。キニシチャダメダヨ。

ササ、カチューシャはなんかダメっぽかったシ、今日の授業は終わりダヨォ。さ、今日はもうナンカ疲れたし寝かせテ…ネ?」

 

と言ってゆんゆんを部屋から押し出す。

 

「えぇ!?ちょ!マホロア?なんか適当じゃない?あ、待ってまだ…」バタン

 

ふう、これにて一件落着かな?

……もう寝よう…なんか農作業、思いの外疲れた…もう寝よう…

 

あっそうだ

 

俺はワープホールを展開し、例のタマゴを取り出す。

 

環境がわからないからワープホールの中で育ててたけど、時が止まってるなら育たないよなぁ…これ

 

と考えながら、パンを入れるカゴを用意し、毛布を詰め込む。そしてその中にタマゴを入れようとタマゴをつかんだ時

 

どくん…どくん…

 

「なんかビクンビクンしてル…」




ゆんゆんはネェ、基本的には紅魔の里の、族長宅に過ごしててネェ、若干ゃライバルが、生えているトコロだから、ソウいったトコロで生きやすいようにゆんゆん、アノォ、グラマァーな個体デェ。
デ、あといつもオドオドしてるンダァ、周りの環境に慣れなくて
コミュ力ぅ…カナァ…
今までボッチ期間が長かったらしいからネェ…軽々と一週間や2週間は余裕でボッチしてくれると思うヨォ。

こうまのさと まほろあおにいさん?

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