俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸

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※要注意

慌てて書いたので今まで以上にグダグダです。それでもいいよという方はこの話をお読みください。








遅くなりすいません! こころ誕生日回──なのですが、一つだけ問題があります。

この話は今現在書いている俺君から少し未来の話になります。
この際ぶっちゃけますと現在の17話は時間帯は7月らへんになります。特別編はちゃんと本編と時間を揃えて書いているのです。

大きな設定としては「奏は花音と付き合っている」という事です、そこには注意してください。


こころ特別編 幸せなひと時を

〜奏side〜

 

 

八月七日、その夜。花音から電話が掛かってきた。

 

「──デート?」

 

『うん、いいかな?』

 

内容は明日こころとデートをするとの事だった。理由を聞くとどうやら明日はこころの誕生日らしく花音が何かをしてあげたいと考えた結果、それに至ったという。

 

「でもいいのか?」

 

『私はいいよ。こころちゃんには色々と助けられてるし……こころちゃんのおかけで奏くんとも、こういう関係になれたんだから』

 

そう、俺と花音は晴れて付き合うことになった。俺らが付き合うと聞いたハロハピのメンバーや千聖達が祝ってくれた。……その時はこころには辛い思いをさせてしまったけど、笑顔で“おめでとう”と言ってくれたのは今でも思い出せる。

 

「そうか。俺はお前がいいのなら別にいいけどな……。こころに予定は伝えてあるのか?」

 

『まだだよ。奏くんが言ってあげて』

 

「了解。それじゃ、またな花音。おやすみ」

 

『うん、おやすみ。明日の奏くんはこころちゃんの“彼氏”だからね』

 

そう言われて通話を切られる。こころの彼氏か。ま、いつも通りにすればいいか。

 

思いながら次はこころに電話をする。この時間ならまだ起きてるはずだが……。

 

『もしもし? 奏?』

 

どうやら起きていたようだ。

 

「おう、ちょっと話したい事があるんだがいいか?」

 

『ええいいわよ! 奏との話しならいつまでも!』

 

いつまでもは勘弁だな。

 

苦笑いをして話の内容──先程の話をする。

 

「はは。まぁ話の内容は明日一緒にどこか行こうぜ、って話だ。俺とお前の二人でな」

 

『──っ。い、いいの?』

 

さっきと雰囲気が変わり声が弱くなった。

それもそうか。俺は花音と付き合ってる、そしてこころを振ったんだ戸惑うのも当然だろう。

 

「ああ、花音と話をして向こうが決めたんだ。俺は明日はお前の“彼氏”だ」

 

それは遠まわしに叶う事の出来なかったこころの未来を示している。

 

『〜〜〜〜っ!!』

 

「お、おい……どうした?」

 

『嬉しいわ! それじゃあ明日、あたしは奏の“彼女”になれるのね!?』

 

心配になって聞くと、とても元気にそう言った。

 

「そ、そうだな」

 

本当に嬉しそうに言うこころに電話越しなのにたじろいでしまう。

 

『ふふっ、今日は寝れないわ!』

 

「いやいや。ちゃんと寝てくれよ」

 

『冗談よ、それじゃあ明日を楽しみにして寝るわ! おやすみなさい奏!』

 

お前が言うと何でもかんでも冗談じゃなくて本当になる事が多いんだから困るんだよ。はぐみのドームの件とか分かりやすい例だ。

 

「おやすみこころ」

 

こころとおやすみの言葉を交わして通話を切る。

 

そして俺は明日の予定を組み立てる。こころが何を喜ぶか、プレゼントは何にしようかとか。

 

そう考えているうちに俺の意識は落ちていった。

 

 

 

 

~こころside〜

 

 

自分の心臓がドキドキと音を立ててるのが分かる。その原因はさっきの奏との会話……。

 

『明日はお前の“彼氏”だ』

 

奏が言った言葉を思い出して、ベッドの上で枕を抱き抱えてゴロゴロと転がる。

 

嬉しかった。例えそれが一日だけの幻想でも、二十四時間の夢でもあたしの想いが叶うのならば……。

 

「こんなにも嬉しい事はないわ! 明日は頑張るわよー!」

 

大きな声で叫ぶ。この気持ちの高ぶりをどうにか収めたかったから、そうでもしないと奏を考えて寝れないから。

 

「(ふふっ、楽しみね。こんなに楽しみなのは久々だわ!)」

 

 

 

 

~奏side〜

 

 

「(そろそろ待ち合わせの時間か)」

 

時間は昼を少し過ぎた頃。

待たせるわけにはいかないから用事を済ませて、先に待ち合わせ先のショッピングモール前に俺は居た。時間を見て周りを見渡すがこころの姿は見えなかった。

 

どうしてだろうか、自分の心が少し高ぶっているように思える、それと同時に不安も感じた。俺はこころを笑顔に出来るのだろうか? 退屈させたりしないだろうか?

 

「(そもそもこころって何が好きなんだ?)」

 

よくよく考えれば問題はそこだ。笑顔とかか? 楽しいものといっても、何が楽しいと感じるのかを詳しくは知らない。

 

と、考えているその時だった。

 

「かーなで!」

 

突然名前を呼ばれてそちらを見ると私服姿のこころが立っていた。

 

「おう、おはようこころ。今日も元気だな」

 

「ええ! あたしはいつでも元気よ!」

 

それじゃあ早速行きましょう! と言われて手を繋がれる。自然な行動に一瞬驚いたが俺は思い出す。今日一日は違うんだ、と。

 

それに応えなくてはな。こころの“彼氏”として──。

 

「行こうぜこころ。今日を楽しむためにな」

 

「そうね! 楽しみましょう!」

 

こころに手を引かれたまま俺らはショッピングモールに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに行こうかしら?」

 

「俺はお前が行きたい場所でいいぞ」

 

そもそも決めてないし。滅多にショッピングモールに来ない俺としてはどこに何があるのかを知らないから、それ以前の問題だろう。

 

「うーん……そうねぇ〜」

 

ぐるっと見渡してこころはどこに行くかを考える。うーんと唸っていると「あ!」と何かを見つけたような声を上げる。

 

「洋服屋さんに行きましょう!」

 

洋服屋? へぇ、服に興味あるのか。でも女の子だから普通なのか?

 

割と意外すぎる場所に驚きつつこころに付いて行った。

 

 

 

 

 

洋服屋に着いてすぐさまこころは服を何着か持って試着室に入っていった。どうやら俺に見てほしいものがあるらしいが……。何なのか検討もつかない。

 

「見て奏!」

 

そしてシャッ! とカーテンが開きこころが背中から声を掛ける。後ろを振り向くと、そこには──。

 

「……おぉ」

 

思わずそんな言葉しか出なかった。

 

今のこころの格好は水着だ。白がメインで所々に水色が入っている。とても綺麗な白い肌に美しく揺れる金色の髪、スタイルもよく水着とうまくマッチしていると思う。

 

「ど、どうかしら……?」

 

もじもじとしながら上目遣いで聞いてくる。何とも言えない感情に囚われながらも俺は思った事を素直に言った。

 

「可愛いよこころ、似合ってる」

 

「え、えへへ……そう?」

 

くるっ、とその場で回転して後ろ側も見せてくる。

 

……本人には言わないけど一健全な男子高校生としては、目がその……なんだろう。女の子の部分に行っちゃうわけで……意外とこころって“ある”から、回転すると動いちゃうわけで──。

 

「奏が気に入ってくれたらこれを買うわ! 次はね──」

 

純粋なこころはそんな俺のやましい感情には気付かない。

 

そうやって洋服屋での時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

俺が似合ってると言った服を全部買ってそれを店のロッカーに入れる。それが済むや否や、次に行く場所を提案してきた。

 

「奏はお昼ご飯は食べてきたかしら?」

 

「いや、まだだな」

 

昼からになった理由は俺の予定があったからだ。

 

それは部活中の未来に弁当を届ける事。急いで出たせいで家に忘れていったから学校に俺が持っていった訳だ。ついでに作り直して持っていたから自分の飯は食べていない事になる。

 

「私もまだなのよ。それなら次はあそこね!」

 

指を指した先はフードコートだった。すぐそこにあったので歩いていき適当に席に着く。

 

さて、何を食べようか。

 

俺はざっと注文一覧を見て決める。どうやらこころもすぐに決まったようだ。

 

「んー、ハンバーガーとフライドポテトかしら。飲み物は〜、んーカルピスかしらね」

 

「奇遇だな、俺も飲み物以外は同じだ。じゃ注文してくるからな」

 

席を立ちカウンターへ向かおうとするとこころに止められる。

 

「あ、待って! お金渡さないと……」

 

「いいって。俺はお前の彼氏なんだからそれくらい奢らせろ」

 

適当にカッコつけて言ったのはいいが想像以上に恥ずかしくなり、その場から離脱するようにカウンターへ逃げた。

 

やっぱ俺、こういうセリフ似合わねぇ。とつくづく思わされる。

 

「ハンバーガーとフライドポテトを二つづつ、それとジュースをカルピスとファンタで」

 

「店内でお召し上がりですか?」

 

「はい」

 

注文をしてカウンター近くで待つ。その間にこころをチラッと見ると両足をパタパタさせながら何かを考えていた。

 

「(楽しそうだな……)」

 

あんなふうに居られると一緒に居るこっちとしては嬉しい限りだ。

 

店員が持ってきたハンバーガーなどを席に持っていく。

 

「おまち、っと」

 

席につくや否や俺は飲み物を飲む。ここに入ってから何も飲んでいなかったから喉が潤されていく。

 

「奏は何を頼んだの?」

 

ストローに口をつけながらこころが聞いてくる。

 

「ファンタだな」

 

飲みながら答えていると、次のこころの言葉でむせてしまった。

 

「一口飲んでもいいかしら? あたしのもあげるわ!」

 

「ごほっ! ごほッ!!」

 

待て、というふうに片手を前に出す。それは自分に落ち着けと言ってるようにも思えた。

 

それは、あれだろ関節キスになるだろ、……でも一日彼氏だから別にいいのか?

 

そんなこんな考えてるうちにこころが俺の飲み物を飲んでしまう。「美味しいわね!」と言ってるこころを見ると余計な考えは吹き飛んでいく。

 

「(はぁ、成るように成れだな)」

 

乗っかるようにこころのカルピスを飲む。味はいつもよりも少し甘く感じた。

 

「ふふっ、不思議ね。夢みたいだわ……奏とこんな事を出来るなんて」

 

ふとそんな言葉を漏らした。

 

「──そうだな」

 

自分の好意を捨てた相手とこうして親しく、偽りのとはいえデートをしている。不思議以外に表現は出来ないだろう。

 

「こころは、幸せか? 俺とこうしていて」

 

「そんなの決まってるじゃない」

 

こころはとても笑顔で言った。

 

「あたしはとっても幸せよ! 奏のおかげでね!」

 

「そっか……」

 

目の前の幸せを受け入れる、それはこころの強さでもあり優しさでもあるのだろう。

 

そんな俺が何を考えてるの知らずにハンバーガーに美味しそうにかぶりつくこころ。心の器の大きさをつくづく感じさせられてしまう。

 

「俺も幸せ者だな」

 

「そりゃそうよ! あたしの彼氏なんだからね!」

 

大きな声で言うから周りから「このリア充め……」といった視線を浴びせられる。が、こころが幸せならそれくらいは目を瞑ろう。

 

これでこころが笑顔になるのなら安いものだ。

 

 

 

 

 

やる事をやり終えてショッピングモールから出る。そうして俺らはこころの家の車を待つ。話の流れからどうやら俺も乗せていってくれるみたいだ。

 

「今日はありがとうね奏! とっても楽しかったわ!」

 

笑顔で言うこころに俺はちょっと言い返す。

 

「何言ってんだ?」

 

「え?」

 

その反応が予想外だったのだろう、素っ頓狂な声をあげる。

 

「まだ──」

 

そう言いながらこころの手を握る。

 

今日(デート)は終わってないぜ」

 

「──ぁ」

 

家に帰るまでが遠足みたいなノリで言ってしまう。だが、事実そんな感じがする。

 

俺とこころのデートはまだ続いている。家に着くまでの時間はまだデートなんだ。

 

「もう少しの時間、話そうか」

 

顔を赤くしてるこころに語り続ける。……主にハロハピの事だが。

 

そう話しているとこころがちょいちょいと俺に耳を貸すような指示をしてきた。

 

「?」

 

ちょっとしゃがんで耳を近づけると、周りをきょろきょろと見てからこころは耳に顔を近づけた。

 

「奏……。やっぱりあたし──」

 

声が聞こえた後に、頬に不思議な感覚を覚える。

 

 

 

 

 

「あなたの事、好き。世界で一番好きよ」

 

 

 

 

 

その感触が何かと気付くのはこころが顔を話して笑顔で微笑んでる姿を見た後だった。

 

 

 

 

 

頬へのキスは確か──親愛だったな。

 

そう思いながらこころと今日(デート)の残り僅かな時間を楽しんだ。

 




本編の方も早く書き終えるのでどうか今回は目を瞑ってもらえると助かります。

もうすぐ今日は終わるけど、言わせてもらいます。

こころ、誕生日おめでとう! これからも皆を笑顔にしてね!!

読んでもらいありがとうございました!

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