死んだ目つきの提督が着任しました。   作:バファリン

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どうも、お久しぶりです。
一日一回更新(大嘘)の私です。

いやいや、一応理由はあるんですよ? 
お休みしてた理由が、ありまぁす!(謎細胞並感)

冗談はこれまでにしておいて、それがですね。
先週まだ半年しかお世話になってない洗濯機が急に大破しまして。脱水押しても水が無くならないわだんだん焦げ臭い匂いしてくるわで本気で焦りましたねあれ……。

そのせいで数万は軽く吹っ飛ぶし洗濯機はいつまで立っても新しいのが来ないしで正直小説書くどころじゃなかったんです。モチベーションも死んでましたしね!
なので一切小説に触れないようにこの一週間生活してました。先程感想欄見てビビりましたね。これから返させていただきます。いつもありがとうございます!

というのが一週間もテメー何してたんだオルルァン!?に対する言い訳でした。お待ちして下さってた方々、誠に申し訳ありません。

今回はいつもと違った書き方のため、違和感があるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。どうぞ。



9話 調査

 ここ最近、鎮守府内が妙に騒がしい。

 もちろん原因も理由も分かっている。

 

『あの提督』のせいだ。

 あの提督が来て早一週間が経ち、恐ろしい速度で鎮守府は作り替えられている。最も顕著な変化としては、食料の配布だろうか。今朝の報告ではようやく食料の配送業者と話が付き明後日からでも食材の配送が始まるそうだ。

 それも、絶対一人分ではない程の量を。

 

 この時点で私達は不審がった。

 普通に考えたらなんかおかしくね? と。どう考えても自分だけが食べたいのであれば自分用の物を頼めばいいし、そもそも提督はいつでも外に出歩ける訳なんだからそれこそ前任のように遊び歩けばいい。

 しかし実態はどうだろう。

 提督が部屋から出てくる姿を目撃したのは、あまり無い。

 しかも殆ど部屋も出ずに業務に勤しんでるという。

 

 なんというか、言動と行動が噛み合ってない。

 悪い人、というよりは“悪ぶってる人”。そんなあり得ない妄想を抱かせるくらいには、提督の行動はおかしかった。

 この、漠然とした違和感が、確固たるものに変わったのにはある一つのきっかけがあった。それは、提督が食事を求めて食堂に来た際、本当であれば提督の為だけに用意されていた筈のそれを先に私達艦娘が食べていた現場を見られたことである。

 できるだけ提督にバレないように食事する、というルールが暗黙の上で決まっており、みんながそれを守って密かに食事をとっていたにも関わらず起きた悲劇。

 あの時は本当に終わったと思った。頭の中でデデデデーンと、あの交響曲第5番が流れ出す程には絶望を感じた。多分、それは食堂にいる皆も。

 その様子を提督は何を考えているのかよくわからない、感情の欠けるその死んだ瞳で私達が食事をしてるのを一瞥した後、欠伸を漏らしてから何事もなかったかの様にカウンターへと向かっていった。

 

 ―――普通ならここは怒る所では無いのだろうか?

 もちろん怒って欲しかったわけではないが、それにしても言動と行動が噛み合わない。俺のものに何勝手に手を付けてるんだ? とか。兵器の分際で人間の真似事を、とか。

 

 結局その後も難癖を付けられることなく、今度は此方を見もせずに食堂を立ち去っていった。

 それからと言うもの、皆が提督に違和感を抱くようになった。

 それは日を追うごとに膨らんでゆき、やがて違和感は疑念へと芽吹き、いつしか疑問という花を咲かせた。

 “ねぇ、調査してみない?”と。

 多分あの時言われなくても、そのうち誰かが提唱していただろう。それを分かっていたのか私達はその提案にすぐ乗り、今日この瞬間、つまり自由時間から行動を開始するのだ。

 

 そんな訳で。

 

「そ、それでは会議をはじめる!……なのです。というかなんでわざわざこんな暗い空き教室で始めるの? 普通にすればいいんじゃないのかなぁ……」

「駄目。こういうのは雰囲気からって決まってるでしょ。デン」

「うぅ。雷ちゃん。私その呼ばれ方嫌なんだけどなぁ……」

「雷じゃないわ。ライよ。決めたでしょう?」

「私賛成してないよぅ……」

 

 そんなこんなで始まったのがこの駆逐艦による、その名も提督調査会議。

 

 カーテンを締め切り、部屋の鍵をかけ、普段使われてない教室を(無断で)借り教壇に立つ私……デンと、ライが主導で会議を始めた。

 

 ……行動を開始する、と言いましたが私はせっかくのお休みを休もうとしてたのに無理矢理連れてこられただけなのです。

 

 しくしく、とデンが泣いてるのを気にせず話が進む。

 

「う、うーん。っていうかなんで私が呼ばれたのかなぁ?」

 

 あはは、と力無く笑いながら頬を掻くのは吹雪型一番艦の吹雪ちゃん。ごめんなさい。私も知らないのです。

 

「それはほら、なんか吹雪だったらなんかしてくれそうだなって」

「……あ、あはは」

 

 なんかって! なんかってなんなのですか雷ちゃん! あ、ライちゃん!

 あまりにふわっとした理由に吹雪さんは苦笑いなのですよ!

 

「まぁいいけど会議なら早くやりましょ早く! 何事も遅いより早いほうがいいわ! 何よりこの島風がこの会議をいっちばんに終わらせるんだから!」

 

 そしてもう一人、ここには珍しい艦娘がいます。

 島風型駆逐艦、島風。彼女についてはライちゃんが誘ったわけじゃなくていつの間にかこの会議に出席する事になっていたのですが……、理由は“面白そうな事に乗り遅れるわけにはいかない”という、如何にも島風ちゃんらしい言葉だったのです。

 

「ねぇ、やるなら早くやりなさいよね。レディーを待たせるなんてホントになってないんだから」

「うん。やるならさっさとやろう。というかいい加減飽きてきた……」

 

 そして他には私達暁型駆逐艦の暁ちゃんと響ちゃん。二人ともライちゃんの突拍子もない提案に慣れているからか溜息をつきながらも文句を言わずついてきてくれたのです。

 

 計六名。それがこの提督調査会議に参加したメンバーでした。

 

「それもそうねー。じゃあ始めるわ! えーと……まず、どうしよっか」

 

 皆ずっこけたのです。

 

「ちょッ、い、雷あんたねぇ! 主催するくらいならせめてなんか考えてからにしなさいよ!」

「えー、面倒くさいし嫌よ。みんなで考えるための会議なんだしそれで良くない?」

「うがぁー!」

「暁、それはレディーの上げる声じゃ無いよ」

 

 冷静な響ちゃんの言葉に暁ちゃんが窘められて、なんとか場の空気が落ち着く。本当にこの二人は私達の中でもいいコンビだと思うのです。

 

「そうだなぁ。調査って言ったらやっぱり聞き込みとか?」

 

 と、そんな提案をしたのは吹雪ちゃんでした。

 その言葉にいか……ライ……あぁもう面倒くさいのです! 雷ちゃんが首を傾げました。

 

「聞き込みねぇ。聞き込むって言っても誰に?」

「提督さんとか?」

「それじゃあ調査にならないでしょっ!」

「でも提督さんとまず話した人がいないんじゃ」

 

 早速話が暗礁に乗り上げました。そもそも調査するも何も提督さん自体の情報が少なすぎるのです……部屋からもほとんど出ないそうですし。

 

「あ」

 

 その中で、響ちゃんが何かを思いついた様な声を上げました。私達はその声につられてそちらに視線が向かいます。

 

 その視線の中心で、響ちゃんが顔を上げて言いました。

 

「いる。いるよ。1人。司令官と二人っきりで話してる人」

「だ、だれよ!」

「誰って、皆も知ってるよ。響だけじゃなくて皆見てたから」

 

 その言葉に、私の頭の中にも一人の姿が浮かんだ。

 それって、まさか……。

 

「間宮さん」

 

 

 ◆

 

 

 給糧艦、間宮。

この人は、今とてもこの鎮守府内において話題を呼ぶ人だった。その理由は簡単で、新しい提督に真っ向から意見を言い、そして私達が食事を取れるようにしてくれた人なのですから。

 そういえばあの時、間宮さんは倉庫まで提督と二人で行っていたことを思い出した私達は早速調査に乗り込んだのです。

 

「はぁ。提督について、ですか?」

「なのです。何かわかるようなことはないかと思って……」

 

 食堂。グツグツと、鍋の中で香ばしく香るスパイスの匂い。その音と匂いに私達は集中力を削がれながらもなんとか調査を続けていました。

 

 目の前の間宮さんはふんわりとした優しくて綺麗な笑顔を眉を顰めて困惑に染めながら、頬に手を当てて少し悩んだようにしてました。

 でも私にはどこか、とても怯えているような、本当に混乱しているようにも見えました。

 

 その間宮さんは、一度料理の手を止め、火を消してから答えました。

 

「私が知っているのは……あの人がとっても酷い人って事くらい、ですかね」

「ひ、酷い人なのです?」

 

 その言葉に、私達全員が息を呑みました。この間宮さんに酷い人と言われるなんてどんな悪鬼羅刹なのでしょう……。

 

「えぇ。とっても酷い人ですよ。……すごく不器用で、本当にズルくて、酷い人。最低です。本当に、最低です」

 

 その言葉の最後は、まるで自分に言い聞かせるような響きがありました。

 

「え、えと……その」

「あ、いえ! ご、ごめんなさいね? 急に。でも本当にあの人は最低で酷い人なんですから、下手なことしちゃダメですよ?」

 

 そう言う間宮さんの顔は、とてもじゃないが明るく楽しそうとは言えません。寧ろその言葉を言えば言うほど、顔に苦痛が浮かんでいるのです。

 

 一体何をこんなに苦しんでいるのでしょう……。

 私には、まだそれが理解できませんでした。

 

 これ以上は止めたほうがいい。私達は目配せで皆に合図し、間宮さんへの聞き込みを止め、せっかくなのでご飯を食べることにしました。

 

「駄目だったわねぇ。むぐむぐ」

「でもなんか、怪しかったねぇ間宮さん。あむっ」

「あ、怪しいって何が!? れ、レディーの私には、そ、そーゆーことは全くわからないですわよ!?」

「待って暁。なんのことかわからないけど口調が変わるレベルの自爆をしてる」

「はむはむはむはむはむはむご馳走様ぁ! よしいっちばん!!」

「わ、わぁ!? 島風ちゃんルゥが飛んできてるのです!?」

 

 みんなで仲良くカレーを食べながら現在の結果をダラダラと話します。うぅ、白地に茶色のマーブルが沢山出来てるのです……。

 

 こんなものでとりあえずは解散か、みんなの意見がそれでまとまりきった時、それは起こりました。

 

「あ、間宮さん。カレー大盛り2つ、お願いしてもいいですか?」

「あら、お疲れ様です榛名さん。カレー大盛り2つですね。少し待っててください」

「はい」

 

 そんなやり取りを、カウンターで始めたのは金剛型三番艦の榛名さんでした。とっても優しくて朗らかな榛名さんは駆逐艦の中でもとっても人気なのです!

 

 当然そんな榛名さんに視線は自然と言ってしまうわけでして……私はお二人のやり取りをスプーンを咥えながら見ていました。

 

「はい、どうぞ。今日は金剛さんとお食事ですか?」

「あ、いえ。今日はそうじゃないんです」

「あら、それでは比叡さんか霧島さんですか?」

 

珍しいな、と野次馬根性丸出しな私も聞いていて思いました。いつもの榛名さんなら―――というより金剛型の方々は何をするにも四人行動が当たり前で、その榛名さんが二人で誰かとご飯を取るという事に間宮さんも気になってしまったのでしょう。

世間話のように話を続ける間宮さんに榛名さんは頬を少し赤く染め、照れたようにはにかんで言いました。

 

「ふふっ、今日は提督と一緒なんです」

 

 そしてその言葉を発した瞬間、完全に食堂の空気が凍りついたのです。

 




そろそろ出したいと思ってた駆逐艦たちがようやく出せました。尚メンバーは勿論作者の独断です()
ホントは如月ちゃんとか色々出したいんですがキャパーオーバーになるのが見え透いているので断念しました。
それにしても電ちゃんってこんなんだったっけ……(うろ覚え
特徴つかむの難しすぎて本当に泣きそうです。

そんなわけで最新話でした。
ご感想や誤字脱字報告など頂ければ幸いでございます。

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