【とある魔術の禁書目録】Uncharted_Bible 作:白滝
緊張のあまり手が震えて頭が痛いです。
右も左も分かりませんが、暇潰しにでも読んでもらえれば幸いです。
※タイトルの誤字、修正致しました。ご指摘ありがとうございます。
九月二五日。
照りつける太陽の日差しは、来るべき秋という季節を忘れさせる程に活発であった。最高気温が三五度近くにもなると、外に出るだけ汗が滲み出てくる。
公園を駆け回る小学生ですら根を上げて室内に閉じこもるほどだ。暑すぎて逆に気分が参ってしまう。
そんな例に漏れず、青年、
しかし、理由は少々異なる。
それは大学受験に失敗して浪人生活を送っているという自身の現状への不満からでもないし、憧れの一人暮らしにも関わらず大したイベントもなく半年を終えようとしていることからくるものでもない。
親に会わねばならない。
たったそれだけのことが槙斗にとってはとても憂鬱で、とてつもない試練に感じられるのだ。
受験に失敗し、しかし無理を言って一人暮らしをさせてもらいながら浪人生活を送っているのだ。当然、金の出所は両親の財布である。
成果をあげないと両親に申し訳ないのだが、先日受けた模試の結果は以前のD判定よりも悪いE判定。会わす顔がない。
『新幹線はもうすぐ着くんじゃない?電話してくれれば駅まで迎えに行くのに』
電話から聞こえてくるそんな母、
『
もちろん、こんな自分でもまだ応援してくれる両親には頭が上がらない。
だが、父と同じ道。
それだけは反抗したかった。
過保護ともいえる奈美の優しさも、それだけは受け取りたくはなかった。
「……それだけは嫌だ。俺は普通の人生を送りたいんだ。父さんと同じ道……魔術師なんかには絶対なんねえよ」
身長は一六五センチメートル程。体重は六〇キログラムを越えないぐらい。ボサボサで特にいじった様子もない髪は、染めてはいないもののやや茶色味がかっている。
父親が黒人であるという事情も相まって、親ほどではないが日本人にしては肌が焼けているのが唯一の特徴かもしれない。
学生時代にハーフとして持てはやされる事はなかったが、背伸びして色恋沙汰に尽力すれば一人は彼女できたかもしれない、そんな評価に迷いそうな顔立ち。
自己紹介の際は、そんな外見的特徴だけが目立って印象として残る……つまり、性格自体は何の変哲もない地味な人間である。
そんな没個性な槙斗だが、彼の一家にはちょっとした人には言えない裏事情があった。
魔術。
学園都市の超能力とは異なる異能の存在。
才能の無い人間がそれでも才能ある人間と対等になる為の神秘の力。
異世界の法則を無理矢理に現世界に適用し、様々な超常現象を引き起こす技術。
それが魔術。それを行使する者を魔術師と呼ぶ。
槙斗の両親はそういった摩訶不思議な力を操る人間である。
そんな世界の裏側を知ったのは槙斗が小学校四年生の頃だった。なかなか自身の仕事について教えてくれない父にしつこく迫った結果、母と相談してそろそろ教えてもいい年頃だと判断したらしい。
もちろん、最初は嬉しかった。
齢一桁の少年には、未知の世界は魅力的で極端な夢を与え過ぎたのだ。当時の槙斗には、父が不思議な力を操り世界を影から救うスーパーヒーローにさえ見えた。
中学校を卒業したら本格的に魔術を教えてくれるという父の申し出にも、喜んで頷いた。そして父の後ろ姿を追い、悪の秘密結社をやっつけて世界を守るヒーローになるんだ。
そんな輝かしい未来設計図まで描いていた。
しかし。
とある事件がきっかけとなり、槙斗の意見が一八〇度変わることとなる。
両親は決してヒーローなどではなかった。
むしろ、忌み嫌われるべき象徴ともいえた。
両親が持つ、黒魔術の結晶。
父の体内にある一物。
(魔術師なんてのは殺人集団だ。こんなイカれた世界なんて、誰が進むかよッ!)
第九章まで書き終えていますので、後は投稿するだけなんですが、慣れない作業でうまくいきません。
後日、削除もしくは修正を加えるかもしれません。