とある勘違いの次元移動   作:優柔不断

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今書いてる小説の息抜きに執筆。
という訳でこの小説は、片手まで書いたものです。過度な期待は禁物です。


一話

輪廻転生という物がある。仏教の教えで人は死んだ後再び生を得て生まれ変わると言うものだ。

 

俺は、その輪廻転生モドキにあった。

 

何故モドキかと言うと、俺は別に死んだとかそんな目に一切あってはいない。むしろ、元気ハツラツとした何処にでもいるようなサラリーマンだったのだ。

 

ある日、俺がいつものように外回りをしている最中、とあるチラシを見かけた。それは近頃流行りのVRと言うやつのβテスト募集用紙で、最近テレビでもよくCMで見る有名なゲームだった。

 

だが、当初それには際して興味は沸かず、ふ~ん、程度に思っていたものだ。かといって俺がゲームに興味が無いわけでは無い。オタクってほどでもないが、休日にゲームやアニメを見て過ごすぐらいには好きと言ってもいい。

それでも、VRというものに興味は無かった。正確には現状のVRには、興味が無かった。何というか、想像と違うと言うか、もっとこう……ソードでアートでオンラインな世界を想像していた俺としては、今のVRゲームをやってみたいとは、あまり思えなかったのだ。

だから何時も聞き流している程度でまともに聞いたことなど無かったが、それのチラシを読んで驚愕した。

 

なんと!あのデスゲームと同じフルダイブのVRゲームだという。

流石にあんなヘットギアのような小さな物ではなく人一人入れるくらい大きなカプセルのようなものだが、それでも俺の興味を引くには十分すぎる程に魅力的で仕事中だというのに、そのβテストに応募しに行ったほどだ。

 

そして俺は、運よくβテストに当選し、そのカプセル型VRゲーム機に乗り込んだ。

 

「それでは、これからテストして頂くゲームについて簡易的に説明しますね」

 

どんな風に始まるのだろうとワクワクしていると、スタッフの方からテストするゲームの説明が始まった。そういえばフルダイブ式のVRゲームというのにばかり目がいって何のゲームをするかまでは、知らなかったな………。

 

「今からやって頂くゲームは、アニメの世界にオリジナルの主人公としてストーリーに介入して頂くと言うものです」

「……何か、二次創作みたいなゲームですね」

「ええ、その通りです。このゲーム……名称はまだ決まっていませんが、このアニメ体験ゲームは、ネットなどで良くある二次創作をアイデアに開発した物なんです。

もともとVRという二次元の世界に入り込むことを台座にしたゲームなら、現存するアニメに入り込むことでその世界をよりリアルに体感することでより…………」

 

なんかスゲー長くなってきたな……。

と、とりあえず二次創作でよくあるオリジナル主人公に俺がなってそのアニメのストーリーに介入すると。

それっていろいろヤバくないかな。ファンとかが原作を汚すな!とかクレーム言ってきたりとか、著作権とか諸々。

 

でもそんな細かいこと抜きにして、テンプレみたいな内容だが、それ自分で体感できるってスゲくね!うわーメチャクチャテンション上がってきたー!

 

「あの!じゃあ今回体験するアニメは何なんですか?」

「つまり、……おっと話しすぎたかな。それで肝心のアニメの方だが、とある魔術の禁書目録という物なんだ。知ってるかい?」

「あんまり詳しくは知りません……」

 

『とある魔術の禁書目録』結構有名なアニメだけど残念ながら俺は、アニメの一話しか見てないし、小説の方も読んだことはない。

これって結構不味くないかな、このゲーム内容上、原作知識の有無はかなり重要だろう。

 

確か原作の始まりが上条当麻と言う何処にでもいる平凡な学生がインデックスという少女と出会うところから始まったはず…………。

駄目だ、これ以上は思い出せない。こんなことならもっとちゃんと見とけばよかったな。

 

「大丈夫、大丈夫!たとえ原作を知らなくても、AIがナビゲートしてくれるから!」

「あ、はい。わかりました」

かなり気さくに励ましてくれるこのスタッフの男性、優しいな~と思いつつ、AIがナビゲートしてくれるなら大丈夫かな、と安堵した。

 

「それじゃあ、そろそろ始めようか。準備はいいかい?」

「………はい!」

 

深く深呼吸した後に元気良く返事をすると、カプセルの蓋がスライドして閉じていき、視界が真っ暗になる。

 

「まず最初は、キャラの作成からだ。結構細かく設定できるようにしてあるから、じっくり時間を掛けて作るといいよ」

 

なるほど、キャラ設定も予め用意された物じゃなくて自分で作ることが出来るのか。ますます高まる期待に、見えていないはずなのにカプセルの向こうのスタッフに向けて頷き返した。

 

「それでは、とある魔術の禁書目録の世界を存分に楽しんできたまえ」

 

その言葉を最後に俺の意識は眠りにつくように、静かに閉じた。

 

 

 

 

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[ヨウコソ、トアル魔術ノ禁書目録ノセカイヘ]

 

おぉ……!何か頭の中に直接声が聞こえる。

スゲェぞホントにゲームの世界にダイブしたのか!?

 

[コレカラ貴方ニハ、トアル魔術ノ禁書目録ノセカイヘ旅立ッテイタダキマス。

ソノ為二、トアル魔術ノ禁書目録ノ世界二オケル、貴方ノキャラクターヲ作成シテクダサイ]

 

機械らしい片言で多少聞き取りにくいが、早速今からキャラクリができるらしい。

 

[最初二名前ヲ入力シテクダサイ]

 

お、目の前にいきなりウィンドウが開いて入力するような物が出てきたぞ。それにしても名前か、これは結構大事だぞ。ゲームのアバター名だから適当に付けてもいいような気もするが、これはVRだ。画面から見てるんじゃなくて、直にその名前を呼ばれてるように感じる。

記号の羅列や下品な単語、あいうえお、とかそんな名前で呼ばれたくない。テンションが下がる……。

かといって変にアニメのような中二っぽい名前を付けるのも、どうなのだろうか?

 

キャラの名前は、そのアニメの個性が反映されるものも多い。例えば、最高のヒーロー目指す物語とか、アレなんかは名が体を表すようにそのキャラの能力と密接に関係している。その世界観に合致した名前を付けなければかなり違和感がでてくるだろう。それは、嫌だ。

 

で、問題のとあるのキャラ達の名前はというと。

 

よくわからん。

俺自身とあるの世界観にそこまで詳しくないってのも原因だろけど、特に拘る必要が無いのかも。

強いて言うなら、四文字であるとか、何処にでもありそうな名前でも漢字は違うとか、かな?

これも結構当てはまらないのが多いし、結局のところあまり気にしなくていいかもしれない。

 

[思イツカナイ場合ハ、此方デ用意シタ名前ヲランダムデ設定シマスガ宜シイデショウカ]

 

特に良いのも思いつかないしそれでいいかな。

 

[了解シマシタ。続イテ、生イ立チニツイテ設定シテクダサイ]

 

また新しいウィンドウが開いた。

ふむふむ……年代別にかなり詳しく設定できるようだな。これも特に拘る必要は、無いかな。何か深い過去を背負ったキャラを作りたい場合は細かく設定するんだろうけど、これはβテストだ。面倒なしがらみを無くすだけで良いだろう。

 

はい、決定っと。

 

[了解シマシタ。続イテ、キャラクターノ容姿ヲ設定シテクダサイ]

 

うおっ!ビックリした!

今度はいきなり目の前に等身大の人間が出てきたぞって、コレ俺か?

なるほど自分自身がデフォルトのキャラになるのか。にしても何の特徴も無いな。背も高くないし、顔もイケメンじゃなくてフツメンだし…………ブサイクでは、無いよな、うん、そうだ、きっと、たぶん…………。

俺こんな腹出てたかな。

 

ま、まぁそれは置いといて。

どうせならスッゲーイケメンにしようかな。でもただイケメンって言ったって色々あるしどうしようか……。

 

よし!俺の中でのイケメンの代名詞と言えば、某有名な聖杯戦争に出てくるディルムッドにしよう!これならイケメンに間違いないだろう。…………なんか嫌な予感がしたが気のせいだよな。

 

それから結構な時間を掛けて弄っていると漸く完成した。後は泣き黒子を付けて完成!

 

[了解シマシタ。続イテ性格ヲ設定シテクダサイ]

へぇ~性格まで設定出来るのか凝ってるな。

性格を設定すると、どうなるんだ?

 

[性格ヲ設定スルト、ソノ設定二則ッタ言動シカ話セナクナリマス]

 

つまり、言動を制限されるってことか?

 

[ソノ通リデス。コレハ過度ナ世界観ノ崩壊ヲ防グタメノ、セーフティー二ナッテオリマス。他二、原作ノナイヨウナドノ、俗二言ウメタ発言モ出来ナクナッテオリマス]

 

なるほどな、原作知識を生かしてキャラにお前は、未来でこうなって、こうなったから死ぬみたいな事を教えられなくなってるのか。

そんな事言ったって、俺には元々原作知識なんて殆ど無いんだけどな。

 

でだ、性格は無口なキャラにでもしとこうかな。

 

見た目と同じでディルムッドの性格にしても良いけど、コイツは、色々と面倒な性格だからそれに縛られるのは嫌だしな。

 

[了解シマシタ。最後二、原作二介入スル時期ヲ設定シテクダサイ]

 

原作に介入する時期、これはつまり原作が始まる時期と捉えて良いのだろうか?

 

[ソノ通リデス]

 

それなら、年齢が16歳になった時で。

 

[了解シマシタ。以上デキャラクタークリエイトノ設定ヲ終ワリマス。

注意トシテ、コレカラメニュー画面ヲ開キタイ場合ハ視界右下二アルメニューボタンを押スカ、脳内デメニュート言ッテ頂ケレバ表示出来マス。

デハ、コレカラ貴方ノ意識ガ目覚メル時、貴方ハ■■■■二ナッテイマス。準備ハ宜シイデショウカ?]

 

勿論!

 

[ソレデハ、開始シマス。3,2,1,………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥さん!生まれましたよ!]

「オギャー!オギャー!(ん?ここはどこだ?)」

 

物々しい喧騒の中、意識が目覚めると、俺は医者?のような人に抱き抱えられていた。

 

そして気づいた。俺は、赤ん坊になっていることに。

なんて、始まりかたなんだよぉぉぉぉ~!!!

 

 

 

 

 

と、言うような形で俺は、この世に新しく生を受けたわけだ。これだけなら、まぁ変わった始まりかただなって思うかもしれないが。そうじゃない、絶対に無い。

例えこの世界が精神と時の部屋のような感じだとしても、ゲームの世界で15年(・・・)も過ごせるわけねぇだろ!

 

なんなの!どう言うことだよ!二次創作みたいなゲームだと思ったら、ホントに二次創作みたいになるってある意味完成度高すぎだろ!

 

右下にメニューボタン何か無いし、脳内でメニューと言おうが実際にメニューと言おうがメニュー何て開かねぇし、異常を察知した向こうの人達が何とかしてくれると思って気長に待ってたら15年も過ぎてたよ、笑えねぇわ!

いくらVRとは言え変だと思ったんだよ、普通に腹減るし、トイレにだって行くし何より 痛みを感じる、血も出た。

これが分かったときは流石に愕然とした、痛みを感じて血も出るってことは、もしかしたら死ぬかもしれない。そんなのは絶対に嫌だ、たかがゲームで死ぬなんて馬鹿馬鹿し過ぎる。だから俺は、原作と関わらないように、学園都市に行かないように努力した。だってあそこでの人の命軽すぎだもん、怖くて行けねぇわ。

 

だがこの世界は、キャラクリした設定だけは妙に忠実に再現されていた。設定したとおり両親は、俺を生んだ後に直ぐに死んで、俺は孤児院に預けられた。

生い立ちとして設定したのは、コレだけだが、死んだ両親に対して微妙に罪悪感を当時は感じたものだ。

そして見た目、子供の頃は何となく面影があるなぁー程度だったが中学入ってから、急に俺の知ってる輝く貌に近づいてきて、やたらとモテるようになった。

そして、もし本当に設定通りだとしたら俺は、16で何らかの形で学園都市に行くことになる。

 

その設定を覆す為に俺は、出来るだけ努力してきたつもりだ。この体は、頭の出来が良く東大だろうがハーバード大学だろうが何処の問題でもいとも簡単には解いてしまう。本来の体なら三流大学をギリギリ合格した程度だったのに、これのおかげで勉強には苦労してはいない。

そう、勉強(・・)に、は!

 

この体、正確にはこの顔に問題があった。

モテるのはいい、むしろ嬉しい。だが限度がある!毎日毎日ストーカーの対応に追われ、警察に連絡しても必ず婦警さんが出て、貴方もストーカーなんじゃねぇの、と思うような逆セクハラ紛いの質問をしてくる。そのせいで最近女性恐怖症になってきた。

だが問題なのは異性ではない。一番問題なのが同性、つまりモテない男どもの嫉妬である。

 

中学に入ってから本領を発揮しだしたこの顔のおかげで、幾多の女性を虜にしてきたがそれには、彼氏持ちや人妻も含まれていた。

となると、どうなるか。勿論絡まれる。

それからは、喧嘩、喧嘩、喧嘩の毎日。だが無駄にハイスペックなこの体は喧嘩においても無双であった。

と言うか攻撃があたらない。いや、避けるとかそんなんじゃなくて、文字通り体をすり抜けるのである。

 

 一番最初にヤンキーに絡まれた時怖くて動けないところを殴りかかれたとき、ヤンキーのパンチが俺の体をすり抜けたときは、頭が真っ白になったな。その後正気に戻った俺は、何となしに殴り返すとヤンキーは、五メートル近く吹っ飛んだ。また頭が真っ白になった。

 

 そういえば、とあるの世界は超能力が普通に存在する世界だったっけ?と今更ながらに思いだし、このすり抜けるのが俺の能力なのだと、場違いにもワクワクしたものだ。

 

 そんな感じで、俺の意思とは関係なく喧嘩ばかりをする毎日を送っていると………高校に受験できなくなった。

 

 いや、難しくて合格できないとかじゃなくてそもそも、試験すら受けさせて貰えない。どうやら喧嘩ばかりやっていたことで俺は、回りから不良のレッテルを貼られるようになっていたみたいなんだ。

 

 違うんだよ!俺は、喧嘩なんてしたくないの!アイツらが襲ってくるから仕方なく迎撃してるだけなんだって。弁明しようにも、ここでもキャラクリの時に設定した内容が俺を苦しめた。

 

 性格、無口。

 

 だからって、弁明しようとしたら「文句あるのか?」とかありえねぇだろ!教師に向かって何て口聞いてんだよ俺ェ!

 

 まぁ、という風に無口な設定が災いして俺は、誤解が解けないまま現状に至る。後数ヶ月もしたら高校受験なのに何処の高校も素行が悪くて受け入れてくれない。

 

 そんな感じで、中卒で雇ってくれる会社あるかな-と、途方に暮れていた俺に手紙が届いたのだ。

 それは、長点上機学園と言うところが俺を受け入れてくれると言う内容だった。しかも成績次第では授業料などのその他諸々全て免除という破格の待遇で!この頭を使えば問題なく行けると思い、心の中で勝利のファンファーレが鳴り響いた。

 

 最後に何処の学園なのか住所を見てみるとこう書かれていた。

 

『学園都市』

 

 俺の心でベートーベンの運命が流れた………。

 

 幸運Eは、伊達じゃねぇ!

 

 

 

 

 




『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』

能力者が個々に持つ感覚。能力発現の土台となる根本法則である。
量子力学の理論を基にしているとされ、作中ではシュレディンガーの猫を例に解説されている。物理現象は起こり得る複数の可能性の中から一つを選択することで確定し、通常の人間は常識的な可能性しか選べない。対して能力者は、「手から炎を出す可能性」「人の心を読む可能性」などのごく僅かな可能性を選び取り、本来あり得ない現象を確定し、ミクロの世界を自在に歪めることが出来る。この通常とは異なる可能性を観測する現実とズレた独自の認識や感覚を「自分だけの現実」と呼ぶ。能力開発では、科学的手法を使ってある種の人為的な脳障害を引き起こし、「自分だけの現実」を確立する事で能力を発現させている。
「自分だけの現実」とは平たく言えば妄想や思い込みに近く、非常識な現象を現実として理解・把握し、不可能を可能に出来ると信じ込む意志の力とも言われる。より強い個性を保ち、強靭な精神力や確固たる主義を持つことが「自分だけの現実」の強さに繋がるとされる。
ある研究によると「霊魂と呼ぶべき何かが宿った肉体そのものに宿る」らしく、身体が切り分けられて小さくなればなるほど能力も弱体化するという法則がある。

Wikipediaより抜粋


勘違いって、最強のパーソナルリアリティじゃね?と思ったのがこの小説の始まり


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