ご注文は“さそり”ですか?   作:鯛焼きマン

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 あくまで番外編なので本編には一切、反映しませんのであしからず。
 でも『初二段変身×2 5』までのネタバレ要素もあるので注意してください。
 え? エイプリルフールは午前まで? なんのことやら(目逸らし)。

 兎に角、チマメ隊がかわいいので投稿します(意味不)。



番外編
ハイパーエイプリルフール企画 ~変身! 今日から君も仮面ライダーサソード!?~ 


「ライダースラッシュ」

【Rider Slash】

 

 ゼクターからヤイバーに注入された猛毒が光子に変換されスパークを鳴らす。

 黒刃は必殺の毒刃へと変わる。

 

「スゥー・・・・・・」

 

 剣を上段に構え、息を深く吸う。

 

「ハッ!」

 

 最後の足掻きで我武者羅に爪を振るうワームの横を擦り抜け様に、胴への一閃。

 振り返り、切っ先を向け残心をとるサソードの前でその身は爆発四散。

 

 

 

 残るは一陣の風のみ――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、かっこいいなぁサソード! ねぇ、メグ? チノ?」

「うん、あんな怖いひと相手に堂々とできてすごいねマヤちゃん!」

「あのマヤさん。今は他にお客さんがいないからいいですけど。できれば店内で動画見るのはやめてください」

「あわわ~! ごめんねチノちゃん~!」

 

 慌てて謝るメグに対してマヤは意気揚々と手を天(天井)に掲げる。

 

「よし! 私もサソードに変身する!」

「ええ~!? マヤちゃんが!?」

「サソードって誰でも変身できるものなんですか?」

 

「そこはホラ、剣持ってサソリをガチャンと付ければいけるんじゃ痛っ!?」

 

 適当なことを言っているマヤにバチを与えるように何かが彼女の頭に勢いよく着地する。

 

『愚か者。貴様たちのようなヒヨッコ共ではサソードに変身することなど不可能だ』

 

「「「そ、その声は!?」」」

 

『そう、私の名はサソードゼクター。選ばれし者だけが手にすることを許された存在だ』

 

 それはCV:三木眞一郎さん的な今にも「降臨、満を持して・・・・・・!」とか言いそうな声でしゃべるサソードゼクターだった。

 

「ヒヨッコってどういう意味だよぉ、このケチぃ」

『ケチではない。むしろ私ほど大らかな心を持つゼクターもそうそういなかろう』

「そもそもゼクターって何匹? 何機? いるの?」

 

『匹とか機で数えるでない! せめて体で数えよ』

「ご、ごめんなさい~」

 

 大らかな心を持つゼクターとは何だったのか。

 

『まぁいい。本来ならジンの奴めの役目だが、奴は奴でアレだからしょうがあるまい。貴様達ヒヨッコに私自ら教鞭をとってやろう』

 

(ゼクターにすらアレ扱いされるジンさんって・・・・・・)

 

 チノがジンに同情のような感情を抱いている内にサソードゼクターは話し始める。

 

『まず、仮面ライダー・・・・・・マスクドライダー計画によって生み出されたゼクターは基本的に五体だ。例外も複数いるが今回は言及しないものとする』

 

「うんうん」

 

『そしてゼクター一体一体が独自に意思を持っており、それぞれのゼクターが各々でゼクターの資格者を選ぶのだ』

 

「そしてジンさんはサソードゼクターさんに選ばれた、ということですね」

 

『そういうことだ。そしてゼクターにはそれぞれ資格者に求めるものが違う。例えばカブトムシ型ゼクター・カブトゼクターなら《天の道を往く者》、クワガタムシ型ゼクター・ガタックゼクターなら戦いの神の異名通り《闘争心が強く、戦う覚悟ができている者》などだ。

 他にも《気ままな風のような自由人》を好むトンボ型ゼクター・ドレイクゼクター。逆に《集団・組織の統率者に相応しい者》を選ぶスズメバチ型ゼクター・ザビーゼクターなどがいる。まぁ、ザビーの奴は私と違って心が狭すぎた所為で資格者になってくれる者がいなくなったらしいがな、フハハハハハ!』

 

 大らかな心を持っているゼクター()の自慢をスルーしてメグが聞く。

 

「それとサソードゼクターくんを合わせて五体だけど、サソードゼクターくんが資格者に選ぶのはどういう人なの?」

「そうだよもったいぶらないで早く教えてよぉ!」

 

『えぇい、静かにするのだ小娘! おい! 尻尾の方を持って振り回すな! 目が回るではないか!』

 

 強硬手段に出たマヤをチノが止めてサソードゼクターはホッと息を吐く(ゼクターは呼吸しない)。

 

『なんと乱暴な娘だ・・・・・・えっと、そう、私がジンを資格者に選んだ理由だったな』

「はい、その理由とはなんですか?」

 

 意外とこの状況にノっているチノが質問する。

 サソードゼクターはその期待を受け、口を開く(ゼクターに口は無い)。

 

『なに、単純な理由よ。それは奴が《力を求める者》だったからだ』

 

「力を? ジンさんが?」

 

 サソードゼクターの言葉にチノが疑問を持つ。

 確かにジンは向上心の高い、総てにおいて頂点を目指す男だが、彼女には彼がそこまで貪欲に戦うための力を求めているようには見えなかったからだ。

 そんなものがなくても彼は素で成績優秀、スポーツ万能だとチノはココアから聞いていた。

 

『そうだ。奴はゼクターの力が無くともそこらの人間より強い。身体能力も精神力も、それらに裏付けされた戦闘力も・・・・・・だが、それでも奴は力を求めた。そこには執念や強迫観念とも言うべき使命感と責任感、そして復讐心があったからだ』

 

「復讐心・・・・・・?」

 

 少女らが生唾を飲む。

 

『ただの復讐心ではない。燃え盛る赤い炎よりも熱く、刃のように研ぎ澄まされた炎。静かに、されど激しく燃える青い火のような復讐心・・・・・・それが仮面を剥いだ先にある天々座刃の正体だ』

 

 サソードゼクターが語るはジンの抱える闇。

 ゼクターはこう言ったのだ。

 

 (ジン)は、仮面ライダー(サソード)は、正義の使者などではない。

 復讐に憑りつかれた復讐鬼にすぎぬ。

 闇から生まれた者は闇に還る運命(さだめ)だと。

 

 ・・・・・・されど少女達はそれを否定する。

 

「ジンさんの突飛な行動で困惑したことは一度や二度じゃありません。でも、それだけじゃなくてジンさんには包丁の正しい持ち方とか、キャベツを綺麗に微塵切りにする方法とかたくさんのことを教えてもらいました。そんな何考えてるかわからないけどたまに優しかったり助けてくれるジンさんが復讐心だけの人とは、私は思えません」

 

 ライダーとしてのジンを知らないチノは、ラビットハウスにいる時のジンを肯定する。

 

「私は、その、ジンって人のことはよく知らないけど、仮面ライダーに助けてもらったから・・・・・・あそこで来てくれなかったら、あの男の人と私は怪物に殺されちゃってた。マヤちゃんも助けてくれた。それは事実で、それには感謝してもしきれないよ」

 

 ラビットハウスのジンを知らないメグは、自分や親友を助けてくれた恩人として肯定する。

 

「なんか難しい話はよくわかんないけどさ。私はあの、私を守ってくれた背中に勇気を貰ったんだ。悪い奴から身を挺して弱い人々を守る・・・・・・それってさ、まるでゲームとかで出てくる勇者みたいでカッコよくない? って思ったんだよね」

 

 心の闇とかで深く考えないマヤは、感覚で彼の行いを肯定する。

 

『・・・・・・貴様達がそう思うならそう思っているがいい』

 

 それらの少女の想いを受け、サソードゼクターは静かに(ジョウント移動で)立ち去った。

 立ち去りながらサソードゼクターは物思いに(ふけ)

 

(ジンよ。お前が思っているほど人は愚かではない。この街の光はいつでも貴様を歓迎している。いつか貴様がそれに気付く日がくればいいのだがな・・・・・・)

 

 サソードゼクターはクールに去るぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あァあ・・・・・・やっぱこの街は、俺にとって眩しすぎるんだよなァ・・・・・・」

 

 そしてネガティブな謎の男は重苦しい溜息を吐きながら、ジメジメとした路地裏の闇に消えていった。




 こんなん書いてる暇あったら、はよ続き書けボケ(セルフツッコミ)。

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