うちの女子バスケ部がヤバイ   作:小野芋子

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月1話更新(1話で一月が経つと言う意)

ってか前回キセキ誰も出てなかったことに今更気づいたんですが。
やっちゃった☆Z☆E☆

それと主人公はキセキと呼ばれる女子がいるのは知っているが顔と名前は知りません。
全員美少女という噂も、ハハッワロスワロスくらいしか信じていません。

あと、名前は適当につけました。どうせ下の名前で呼ぶことなんてないし大丈夫ですよね。

Q:覚醒赤様は下の名前で呼んでたような……

A:あっ


みんな大好き宿泊学習!!

7月

梅雨を抜けジメジメとした暑さから蒸し蒸しとした暑さに変わった訳だが、正直暑いことには変わらないためどうでもいい。

強いて言えば、大量に蚊が繁殖してくる時期だから是非とも明日には終わって欲しい月だといえよう。まあ、最近の蚊はしぶといから10月超えても普通に生きてるけどね。

 

 

そんなことを考えていても当然月日が一瞬で過ぎる様なことも無く、少し効きの悪いクーラに小さく舌打ちをしながらもワーワーと煩いクラスメイトたちに視線を向ける。

現在我がクラスメイト達は夏の暑さにも負けず、来週に迫った宿泊学習の班決めを行なっている。

男子3人女子3人の計6人、と何ともまあありきたりな感じではあるが、男子3人女子2人オカマ1人などと言う訳のわからないことになるよりはマシなので文句は言わない。

 

因みに、俺は既に灰崎と黒子と組んでいるので今もこうしてのんびりとした時間が過ごせているのだ。

いや、マジで2人がいて助かった。いなかったら今頃そわそわして余計距離置かれていた自信があるな。別にコミュ障じゃ無いんだけどなぁ。

 

そんな俺を置いて会議は尚も進む。

既に全員が誰かしらと組んだのか、現在は男子グループと女子グループをどうやってペアにするかを話し合っている。

主に「テツくんと同じグループがいい!!」と騒ぐピンク髪の少女のせいで会議は難航を極めている訳だが。ってあの子何処かで見たような。それとテツくんって誰だよ。

 

まあ、結局はその子の意見は取り入れられず、厳正なる多数決の結果くじ引きで決めることになった。最初からくじでいいだろうと思っていた俺は特に文句もないため、取り敢えず手近(前の席)にいた灰崎を我がグループの代表としてくじに向かわせ、若干蜃気楼の見えるグランドをボンヤリと眺める。

 

どうでもいいが俺の席は窓側の一番後ろだ。その理由が『白鳥くんの背中が邪魔で黒板が見えません』と言うのが悲しいがまあいいだろう。

ただしその後の『じゃあ白鳥は邪魔だから常に後ろの席にするが、みんなそれでいいか?』と言いやがった担任は許さん。

せめて邪魔の前になんかつけろよ!!なんか俺が虐められてるみたいじゃねえか!!

 

「きたああああああああ!!」

「うるせえぞさつき!!」

「静かにするのだよ桃井!!」

 

とても女の子が出していい様な声ではない叫びでもって喜びを顕にするピンク髪の少女と、それを注意する青髪のボーイッシュな少女と緑髪のメガネをかけた文学系少女。

3人ともビックリするくらいの美人で、思わず視線が釘付けになりそうだが、突如として脳内に現れたミニ虹村先輩(なお威圧感は健在の模様)が視認不可能な速度で殴って来たため急ぎ目を背ける。

 

これが教育の賜物か(白目)

 

 

 

 

 

「それじゃあ早速自己紹介しよっか!!と言ってもみんな一応顔見知りっぽいけどね?」

 

え?そうなの?俺、灰崎と黒子以外知らないよ?

 

「じゃあ私からするね!!私は桃井さつき、テツくんの彼女です!!」

 

矢鱈ハイテンションなピンク髪の少女が自己紹介と共に黒子に抱きつく。瞬間周囲の視線(主に男子)が嫉妬を孕んだものに変わり、何なら殺気すら纏った視線が黒子に向かうが、俺と灰崎が軽く睨むとすぐに消える。

誰だって身長の高い人間には萎縮してしまうものだ。その点俺らより背が低いのに奴隷の如く扱う虹村先輩はある意味化け物と言えよう。

 

いや、別に俺は背が高いだけで喧嘩っ早い訳でも血気盛んな訳でも無いけどね?あっ、でも今睨んじゃったから周りはそう認識したかもね。果たして俺がクラスに馴染める日は来るのだろうか?

 

「俺は青峰大輝。こんな名前だが一応は女だ。それより白鳥、お前バスケ強いんだよな!!バスケしようぜ!!」

 

少年の様な笑顔でそう言うのはショートヘアの青い髪にガングロの少女。何処ぞのゴールキーパーの様に『バスケしようぜ!!』と言って来るあたり、よほどのバスケ大好きっ子であることがうかがえる。身長は175くらいと長身で、静かに黒子が睨んでいるのが印象的だ。

いや、お前にもきっと成長期が来るから今は耐えようぜ?黒子。

 

「私は緑間真央。よろしくなのだよ」

 

無愛想に自己紹介をするのは緑髪を肩まで伸ばしたメガネをかけた文学系少女。それだけ見れば地味っ子と言う印象だが、両手に持った熊のぬいぐるみがそんな印象を払拭する。この学校には毎日変わったものを手に持っている不思議っ子がいると聞くが、まさかこの子なのでは?

因みにこの子も170近い長身で露骨に黒子が舌打ちをする。

っておい!!お前キャラはどうした!!いや時々真っ黒になるのは知ってるけど!!

 

「チッ……僕は黒子テツヤです。どうぞよろしくお願いします」

 

どう見てもよろしく無い様子でよろしくとほざく黒子。

俺は身長が高いために慰めの言葉もかけられないので、今は時間が彼の機嫌を直してくれるのを祈るばかりだ。

 

「は、灰崎しょ、祥吾……です。よろしくお願いしないでください」

 

何があったと思わず突っ込みたくなる謎の挨拶を決めるのは我らが灰崎くん。

普段ならここでチャラい言葉の一つや二つはかけてメアド交換までするのだが、今は美人を前に緊張しまくるウブな少年よろしく噛みまくっている。そのらしくない姿は思わず俺が罵倒の言葉をかけるのを躊躇ってしまう何かがあった。あっ勿論後で弄るけどね☆

 

「白鳥蓮だ。取り敢えずよろしく」

 

 

 

 

その後は青峰さんが積極的にバスケに誘って来ることと、灰崎が今じゃ十八番となったバイブレーション機能を発動させたことを除けば特に何事も無く話し合いは終わった。

主に桃井さんのお陰ではあるが。ってかこの子現地の人よりも詳しくない?どんだけ楽しみにしてたんだよ。

 

「そういえば、向こうには無料で使えるバスケットコートがあってボールもレンタルしてくれるみたいだけど、テツくん達って練習とかあるの?」

「「え?」」

 

俺と灰崎の声が被る。

 

別に宿泊学習だからと言って『練習サボれるぜヒャッホーイ!!』と考えていた訳ではない。それは夏の大会、つまりは3年生最後の大会が迫っている為である。

けどまあ何と言いますか、『バスケットコートは無いだろうから朝と夕方にフットワークなりランニングなりしとけばいいよね!!』っと甘い考えをしていなかった訳でも無く……。

まあ何が言いたいかといえば、だ。

 

「「絶対メニュー組んでるよあの悪魔!!」」

 

因みにこの場合悪魔と書いて虹村先輩、またはキャプテンとルビを振る。

悪魔と言いながらも尊敬の念が抜けないのは、偏にあの人のなせる人徳(物理)によるものだろう。

いやほんと尊敬するわ〜。マジリスペクトっスよ先輩。だから出来れば優しいメニューでお願いします!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間はあっという間に過ぎ去りついにやってきた宿泊学習。近場に海もあるらしいので、思春期真っ盛りの男子達は大盛り上がりの中、俺と灰崎の顔色は優れない。あれ?なんかデジャブ感じる。

 

まあそれも仕方のないことだろう。一応『練習疲れでぶっ倒れてずっと寝てました(テヘッ』はないように調整はしてくださったみたいだが、それを鵜呑みにするほど俺と灰崎は素直な性格はしていないし、その点だけでいえばまるで虹村先輩を信用していない。

それに加えて近場に海があるだと?浜辺使ったメニューが増えるに決まってるじゃないですかやだー。

 

 

 

時刻は11時

『海辺の生物を観察しよう!!』などと言うウィキさんを使えば1発で分かるであろうことを、わざわざ己が肉体をもって成そうと頑張る禿げた理科の先生を尻目に、私は貝になりたいと割と本気で考えながらボーッと海を眺めていると、必死になってザリガニを探している青峰さんと、それを注意する緑間さんの声が聞こえる。ってか海辺でザリガニは無いだろ。

 

同じ班の他のメンツ、黒子と桃井さんは少し離れたところにいる。

黒子が気配を消して捕まえたものを、黒子が支給されてプラスチックに入れて、その横でキャーキャー桃井さんが騒ぐと言う、何ともアレな光景ではあるがまあ楽しんでるようなので良いだろう。

 

因みに灰崎は隣で地平線を死んだ目で眺めている。

まあこの後地獄のメニューが待ち構えていると知っていながらテンションをあげろ、と言う方がおかしいだろうから特に何も言わずに放っておこう。

先輩達の最後の大会。さらに言えば、そんな先輩方を差し置いてレギュラーに選ばれたのだから練習をこなすのは当たり前と言えば当たり前なのだが、理解は出来ても納得はできないと言う奴だ。

 

「まあ諦めろ灰崎」

「知ってたか?メニューこなすのは俺とお前だけなんだぜ?」

 

あっ、ちょっとやる気下がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それじゃあ今から2時間は自由時間だ!!各自水着に着替えて来い!!ただし、指定されたエリアからは出るなよ!!あと、熱中症や脱水症状に気をつけてこまめに水分を取るように!!常に誰かとそばにいて30分おきに健康チェックをするように心掛けるよう!!それじゃあ2時間後、つまりは15時にはここにクラスごとに集合だ!!以上、解散!!』

 

強面の学年主任様がそんな指示を出してから一体どれだけの時間が経過したのだろうか?

指定されたエリアの端から端までを何度も往復ダッシュしながらそんなことを考えてみる。初めこそ何事かとこちらを見ていた生徒達は、今では目もくれずに各々好きなように有意義に時間を過ごしている。男女仲睦まじくしている様は、思わず舌打ちをしてしまうくらいには癒される光景である。

 

文句は無い。

どのみち自由時間を2時間も貰ったところで使いどころが分からないし、無意味に海の上でプカプカするくらいなら、フットワークをした方がまだましだと思えるくらいには教育が行き届いている自覚はある。

けど、流石にちょっとキツすぎやしませんかね?それに宿に戻った後も今度はコートを使った練習メニューがびっしりと書かれてあるし、後になって『実はお前達の様子はモニタリングしていた』と言われても納得してしまうくらいには事細かに時間設定までされている。

 

因みに自主的に参加した黒子は気づけばビーチパラソルの下で妹さんにポカリを貰っている。まあ体力のない黒子が参加しようと思うだけでも尊敬に値することだから、休んでいても労いの言葉をかけることはあっても、文句を言う気は無い。

 

例のイケメン(笑)5人のように女子とワイワイ楽しんでいるのに比べれば尚更だ。

あっ、突然足元にビーチボールが転がって来て、思わず蹴ってしまったらボールがあいつらの1人の顔面に飛んで行ってしまった!!うわーやってしまった!!いつか謝らないとね☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、はあ。………ようやく、終わったな」

「あのクソキャプテン、いつかしめる」

「俺にはお前が返り討ちにあっている未来しか見えないんだが?灰崎」

「奇遇だな、俺もどう足掻いても勝てる未来が想像できねえ」

 

軽口を叩きながらも息を整える。こまめに水分補給を行なったりなるべく日陰を利用したりと、気を使っていたため熱中症や脱水症状の類は無いだろうと思う。

さっき聞いた話では残り時間は1時間近く残っているみたいだが、今更ワイワイと騒げる体力もない為、取り敢えず今は黒子が寝込んでいたビーチパラソル目指して歩いている。

 

途中灰崎は声を女子生徒にかけられていたから、無視して先を進んでいたら気づけば隣を歩いていた。

 

「良かったのか?チラッとしか見ていなかったがなかなか可愛かっただろ?」

「冗談だろ?俺の相手をするにはまだまだ足りねえぜ」

「なんだか灰崎割りがしたくなって来たな」

「それただの撲殺宣言じゃねえか!!」

 

どこにそんな体力があるのかギャーギャー喚く灰崎を無視し、漸く目的地にたどり着いた俺は、途中にあった補給所のようなところで貰ったポカリを今もまだぐったりしている黒子に差し出す。

 

「ありがとうございます。すみませんね白鳥くん達のほうが僕より頑張っているのに」

「体力のあるなしは気合でどうこうできるもんでも無いだろ?それに無茶して熱中症だか脱水症状だかになるよりよっぽどマシだ。お前にはお前の強さがあるんだから、そう卑屈になんなよ」

「そうだよテツくん!!今は疲れを癒すことに専念した方がいいよ!!だからハイッ!!レモンの蜂蜜漬け食べて!!」

 

そう言いながら文字通り蜂蜜に入ったレモンを差し出す桃井さんを見て、ああ、黒子がぐったりしている理由の大半はこの子なんだな、と思う。

ってか今時マジでこんな料理作って来る子がいるのか。もはや絶滅したと思っていたぞ。別に絶滅しても誰も困らないけどね。

 

「白鳥くんはポカリ飲まなくて良いんですか?」

 

いつの間にか隣にいた黒子(妹)に声をかけられて、思わず変な声が出そうになったがなんとか堪える。それによく思い返してみればさっき見たときだって兄妹2人で居たんだから、彼女がここにいるのは当たり前だろう。

 

「俺はさっき飲んだから今はいい。『飲みすぎてお腹壊して後の練習が出来ませんでした』なんて言えば後で虹村先輩にぶん殴られるからな」

「あっぶね!!」

 

そう言って急ぎポカリから口を離す灰崎。よく見ればその手には既に空になったがペットボトルが2本も握られている

まあ、灰崎が考えなしのアホであると言うことは知って居たが、そこまで頭が回らないとなるとちょっと虹村先輩に教育(物理)して貰った方がいいかもしれない。むしろして貰おう。テストが近づくたびに泣きついて来るのにはいい加減うんざりしていたところではあるしな。

 

ビーチパラソルの下に敷かれていたレジャーシートに寝転びながらそんなことを考えていたら、突然パラソルとは違う何かの影がさす。

チラリと視線を向ければ太陽にも負けない赤い髪に王者の風格を携えた小柄な少女が、後ろに紫の髪のフワフワとした雰囲気をもつ大柄な少女をまるで従者のように従えて立っている。

 

うわー、何処かで見たことある光景だー。

などと若干の現実逃避をしながら、でかい図体を必死になってパラソルで隠そうとしている灰崎を無視して、上半身を起こす。

 

俺に用件があるとは微塵も思ってはいないが、彼女、赤司征奈を前にして寝転がっていられるほど図太い精神は持ち合わせていない。

白鳥蓮と言う男は何処までも小心者なのだ。

 

「男子バスケ部は随分と張り切っているようだね?」

 

明らかに俺に向かって放たれたそのセリフに胃がキリキリして来るが、残念ながら胃薬を持って来ていないため痛みをなかったことにして口を開く。

そう言えば今日のおは朝占い、俺のラッキーアイテム胃薬だったなと思い出しながら。

 

「正しくはレギュラーメンバーである俺と灰崎、あとは自主的に参加している黒子だけだ、です」

 

わー気づけば敬語になってたよー。まあ最後にですつけただけのこれが敬語だとは思えないけどね

 

「可笑しな言葉遣いだね?まあ先輩方の最後の大会が近いから君たちが頑張っている理由はよく分かるけどね。っと、そんなことより君に提案があるんだ」

「提案?」

「ああ。私たちもこの宿泊学習で練習をする予定だったんだが、どうだい?合同で練習をすると言うのは?コートが一つしか無いんだ、態々時間を決めてコートを譲り合うのも面倒だろ?」

 

まあ言いたいことはよく分かる。実際こちら側としてはまともに練習する気があるのが俺と灰崎と黒子しかいないため、練習メニューもだいぶ限定されたものになってしまうのは辛かったところではあったし、そう言った意味でもその提案は非常に魅力的だと言える。けど、

 

「まあ非常に魅力的な提案ではあるが、そっちは大丈夫なのか?」

 

提案して来た側にこう聞くのも可笑しな話だが男女の差というものは無視できるものでは無い。まだまだ成長途中の男子中学生とは言え、俺と灰崎に限って言えば既に成人男性よりも背は高い上に力だってある。

無理な運動は体を壊すためする気は無いし、常に注意はするが、それでも女バス程度なら吹っ飛ばしてしまう可能性もあるわけだ。

 

が、当の赤司さんはなんだそんなことかと少し笑い

 

「問題はないよ。さっき君が言っただろ?練習しているのは君と灰崎君と黒子君だけだと。君と黒子君が私たちに何か可笑しなことをして来るとも思えないし、灰崎君は既に調きょ、………リスクリターンくらい判断できるだろうしね」

 

おい今なんて言おうとしたこの子、調教って言おうとしなかった?何?うちの灰崎君既に女バスの犬と化してたの?

チラリと隣を見ると新しく【からにこもる】でも覚えたのか、隣にチョコンと座っているヤドカリと似たような姿勢でパラソルに引きこもっている灰崎がいる。

 

もはや何も言うまい。

 

諦めの境地に達した俺は静かに了承するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

宿に戻り、4時〜6時までの自由時間の間バスケ用の運動服に着替えた俺たちは急いでコートに向かう。暫くして辿りついた俺たちの前に立っていたのは、つい最近見た顔触れだった。いや、1人知らない奴いるけど。

 

「よう、白鳥!!やっとバスケできるな!!」

「今日のラッキーアイテムは白と名の付く中学生、仕方がないから合同練習してやるのだよ」

「あ、この前の肩車の人じゃん。ねえ?また肩車してよ?」

「げっ、ショウゴ君いるじゃないっスか」

「今日はよろしく頼むよ、白鳥君、黒子君。……あっ、それに灰崎君」

「今日はよろしくお願いしますね?白鳥君、お兄さん」

「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」

「白鳥、俺はもうダメかもしれねえ。虹村先輩には今まで生意気言ってすみませんでしたと伝えてくれ。それと遺言は『キセキこわい』で頼む」

「こっちこそよろしく頼む。それと灰崎安心しろ、お前はこれまでろくに生意気なこと言えずに叩きのめされてたから。あと、その遺言が冗談じゃなく本当のことのなりそうだから取り敢えず謝っとけ」

 

取り敢えず一言

 

キャラ濃すぎんだろ!!どうなってんだよこのメンツ!!既にお腹いっぱいですけど!!

ってか灰崎今キセキって言わなかった?え?俺の想像ではキングコングが5匹くらい並んでるからキセキと呼ばれてんのかと思ってたけど違ったの?

赤司さんは表のキャプテンで裏ではキングコング養成所が密かにあるとか思ってたのに、ちょっと恥ずかしいじゃねえか。

どおりで学校中を探しても大量にバナナが入荷される場所がないわけだよ。

 

いや、もしかしたら普段は美少女のふりをしているが試合になれば突然変貌を遂げるのかも…

 

「何か失礼なことを考えなかったかい?」

「いえ、特に何も考えてないウホ」

「ウホ?」

「はははははははは、噛みました」

 

小首傾げながらウホって、ちょっと可愛いじゃねえか。

ってか思わず口から出ちゃったよ。なんだよウホって、今時ネクタイつけたゴリラでもそんな鳴き方しねえよ。

 

「君はやっぱり面白いね。それじゃあ早速だが練習を始めようか。指示は私が出すけど、それでいいかな?」

「別に構いませんよ」

 

人に確認を取るときは威圧感を消せって習わなかったんですかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習もひと通り終わりあとは晩飯の時間まで各自好きなことをしろとのこと。

取り敢えずコート上で倒れ込んでいる黒子兄妹を肩に乗せコートの隅にあるベンチまで運ぶ。流石に2人同時はきつくて肩が外れるかと思ったが、なんとかポーカーフェイスを保つ。

ベンチに座った2人に近場にあったポカリを渡し、あらかじめ用意しておいたタオルを被せる。

 

「毎度毎度すみません、白鳥君」

「僕も、態々運んでもらってありがとう御座います」

「問題ねえよ黒子兄妹。困ったときはお互い様って言うだろ?」

 

なお、灰崎とは不幸を分かち合い、幸せは潰し合うのが暗黙のルールだ。

初めこそは『お前の技も幸せも俺が奪ってやるぜ』などと意味のわからないことをほざいていたが、俺の技を奪えないことを思い知り、そもそも幸せなどまるで持ち合わせていないことを知ると現在のようになった。

って憐れんでんじゃねえよ!!幸せじゃ無くても普通の生活送れたらこっちは満足なんだよ!!

 

そう言えば幸せで思い出したが今日の晩飯はなんだっけ?別に前もって知っておく必要はないが、俺にとってこの宿泊学習で唯一の楽しみであるため心の準備はしておきたい。宿泊学習で晩飯が一番楽しみって、我が事ながら涙出てくるな

 

「なあ、黒子」

「「何ですか?」」

「あっ、テツヤの方な」

 

そう言えば兄妹2人とも居たんだった。

 

「そう言えば、白鳥君は僕のことも灰崎君のことも苗字で呼びますよね?もう付き合いも長いんですからそろそろ下の名前で呼んでもいいんじゃないですか?」

「それ、ブーメランだからな?」

「そろそろ下の名前で呼んでもいいんじゃないですか?」

「あれ?今無かったことにしなかった?」

「そろそろ下の名前で呼んでもいいんじゃないですか?」

「あっ、これ『はい』を選択するまで終わらないやつだ」

 

と言っても今更下の名前で呼ぶのも何だかむず痒いものがある。別に嫌なわけじゃ無いんだが、こう、恥ずかしいのだ。

 

「白鳥君?」

「わかった、分かったよ、分かりましたよ。呼ぶよ、呼べばいいんだろ?その代わり交換条件として黒k………テツヤも俺のことを名前で呼べよ?」

「分かりましたよ白鳥君」

「分かってないよね?何?分からないことが分かったの?哲学者なの?」

「冗談ですよ、蓮君」

「ふふ、何だか男の友情って感じで楽しそうですね?」

 

楽しそうに笑う黒子さんにちょっと見ほれかけるが、脳内虹村君がアップを始めた為にすぐに目を逸らす。なんか俺、これから先誰とも付き合えそうに無いんだけど気のせいかな?

 

「ってそうだ、なあテツヤ?今日の晩飯ってなんだ?」

「確か、海の幸を使った和風料理だったと思いますよ?」

 

ほう、それはなかなか分かっているじゃないか。やはり魚と言ったら和風料理、妙な味付けはせずに新鮮な魚を刺身で食べるのが最もうまい食べ方というものだろう。え?違う?まあ個人の好みだよね。

 

「そう言えば黒子さんってどこのクラスなの?」

 

3人居て無言は辛いので何と無く質問をするが、我ながら内容が小学生みたいで笑える。特定のやつとしか話さないからそう言った能力が低下しているのかもしれない。

 

「僕は君と同じクラスじゃ無いですか」

「いや、テツヤには聞いてないんだが?」

「僕も黒子ですよ?」

 

ものっそい悪い笑みを浮かべるあたり、まず間違いなく確信犯だろう。何だよ、今度は愛する妹さんのことも下の名前で呼べとでも言いたいのか?流石に女子を下の名前で呼べるほどのリア充力(笑)は持ち合わせて居ないぞ。

 

「僕は君の隣のクラスですよ?蓮さん」

「ゴフッ!!」

 

黒子さんの名前呼びのあまりの破壊力に、思わず吐血したような錯覚をする。

テツヤの視線が鋭くなったような気がするが無視だ。脳内虹村くんが巨大化を始め、等身大虹村君へと変貌を遂げようとしているが、こちらも強い意志をもって抑え込む。

初めて出来た癒しを潰すわけにはいかないんだ!!

 

「おや?随分とテツナと仲良くしてるね白鳥くん。もしかして君もあっち側の人間だったのかな?」

 

ぞわり、と普通の人生を送っている限りまず間違いなく感じることがないであろう圧倒的な恐怖をもって、ハサミ片手に赤司様が御降臨なされる。

「あっち側」の時にハサミを向けられた灰崎は若干泡を吹いているが気にしている余裕はない。さらに不幸は不幸を呼び、脳内虹村君が抑えを振りほどき今では3m近い大男へと変貌を遂げる。

さらに言えばテツヤはミスディレクションで姿を消しており、いつでも俺を暗殺できるよう準備をしている。

どう足掻いても詰みだ。先ほどまでのほのぼの系RPGは、突如として指一本動かしただけでデッドエンドを迎えるR-18指定のグロゲーに変わってしまった。

 

俺は何を間違えた。いや、まだ終わったわけではない!!諦めたらそこで試合終了だ!!だから俺は!!

 

「青峰さん!!1on1やろうぜ!!」

 

逃げた

作戦はやっぱり『命大事に』だよね

 

 

 

 

 




ここで主人公の説明
今作の主人公は体幹が異常に優れている為、例え空中であろうと滅多なことではバランスを崩すことはありません。
それに加えストリートでの経験もある為原作青峰以上に変人チックなシュートも可能です。ただしその場合シュート成功率は当然下がります。
まあ、それ以前にチームプレイ大好きっ子なので無茶なことはしませんがね。

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