ケロちゃんのヒーローアカデミア!   作:諏訪子大好き

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修正

 

 

 オールマイトに連れられて病院に向かう途中、僕は色々な話をする。今日出会ったのは僕と同じ無個性だった彼女のことも話した。

 

「蛙吹諏訪子君だね。知っているよ。彼女の資料は何度もみたからね」

「そうなんだ。オールマイトがそれだけ注目しているなら、やっぱりすごい子なんだね」

「ああ、そうだね。彼女はおそらく緑谷少年と同じ存在だ」

「僕と同じ?」

「ああ、そうだ。彼女は一年前まで確かに"個性"がなかった。だが、()()()()()()()"個性"を得た」

 

 僕と同じということは、彼女も発現したのではなく、誰かから受け取ったということになる。

 

「彼女は一年前に失踪し、生存を絶望視されていた」

「どういうことですか?」

「自殺だと思われていたのだ。自宅には両親や家族にあてた手紙や購入したとされるクロスボウもみつかった。それも血塗れの串と共に諏訪湖でね。ボート屋にも彼女の指紋があり、使われたボートにも血痕があった」

「そんな……あの子が……自殺?」

「無理もない。彼女は"個性"の実験台にされ、女の子に大事な顔も含めて全身大やけどをおった。あの事件は彼女の心に深い傷を残し、治ってからも幻痛で苦しんでいた。そのせいか、宗教にどはまりしたらしい。毎日休まずに諏訪大社に参拝していたとのことだ。そのあたりも捜査されたんだが、いっさいわからなかった」

 

 神社に参拝って神頼みだよね。まさか、神様から"個性"をもらったとか?

 

「ああ、その顔は神様からもらったとか、思っているみたいだね。本人も神様からもらったと言っていたらしいよ」

「やっぱり……」

「だが、そんな彼女の言葉は認められなかった。だが、現実に"個性"を手に入れ、更には彼女は"個性"で神様に似た力を持つ生命を作り出している」

「それって……」

「諏訪大社が祭る災神ミシャグジ。彼女は神話にうたわれているその力とよく似た"個性"を得たのだ」

「だったら、真似する人は多そうですね」

「信憑性がなくても、そうだろう。しかし、数年間、雨の時も、嵐の時も、ずっと参拝し続けたうえに最後には自らの命を儀式として差し出す。そんなことを普通の人ができると思うかね?」

「無理ですよっ! 無茶苦茶じゃないですかっ! "個性"を得るために死ぬなんて!」

「そうだ。本末転倒もいいところだ。普通は成功することなんてない。だが、実際に彼女はそれに成功している。そして、医師の話では胸に白い石みたいなもので塞がれている穴があるそうだ」

「それってクロスボウの?」

「ああ、そうだ。見つかった串と穴の大きさは一致した。そして、彼女の身体の中には大量の白い石の蛇がいたそうだ。彼女の身体を詳しく調べようとすると、その蛇に襲われる。無理矢理にでも解明しようとしたものは蛇に噛まれて身体の一部を砂のように崩壊させたと記録されていた」

 

 オールマイトの話だと、その蛇が神様で彼女の心臓の代わりをしているってこと?

 

「神様本人から"個性"を貰ったのか、それとも神を名乗る誰かは知らないが、彼女は"個性"を得た。これは事実であり、問題がある」

「問題? "個性"を得たのならいいことじゃないんですか?」

「確かに彼女自身にとってはいいことだろう。だが、彼女は力を得たことで復讐に走る可能性もある。緑谷少年。君だって無個性でつらい思いをしただろう。憎しみや恨み、妬みがなかったなんていわせないよ」

「確かに思ったことはあります。何度もなんで僕には"個性"がないんだって……」

 

 それに彼女の場合は実験台にされて、瀕死の重症を負わされている。その恨みは僕なんかじゃ想像できない。

 

「狂信者が巨大な力を得た。そういう場合、大抵は悲劇を招く。歴史で習った毒ガス事件とかね」

「確かに……」

「彼女もそうなる可能性がある。本来はこんなことを教えないのだが……まだ同じ境遇だった君なら彼女も心を開いてくれるかもしれない。すくなくとも、二人で夕日をみている姿は楽しそうだった」

「そっ、それは……」

 

 色々と思い出して顔が赤くなる。

 

「あっ、僕……"個性"を貰った事を伝えてしまいました……」

 

 もちろん、肝心な部分はなにも言っていない。僕が無個性で、個性をある人から受け取ったということくらいだ。

 

「ああ、いいよ。優先するのは彼女と仲良くなって、支えになることだからね」

「え?」

「友達として、そしてヒーローを目指すライバルとして互いに切磋琢磨し合うといいってことだよ」

「もしかして、オールマイトは彼女が……」

(ヴィラン)になる可能性は高いと思っている。これは彼女の家族からも学校に伝えられた。姉と一緒のクラスにして欲しいという要望とともにね。実際、先生方で話し合ったが、不安定な彼女を教え導き、正道を歩ませるためにご家族と協力し合うことになっている」

「でも、僕なんかじゃ……」

「少年はヒーローになりたいんだ?」

「はい……」

「だったら、迷える少女の一人ぐらい救ってみせろってことだよ。少女一人を助けられないで何がヒーローかってね」

「はい!」

 

 確かにそうだ。ヒーローを目指すなら、これぐらい朝飯前にこなさないと。だけど、救うためだからって友達になるのは不誠実だよね。

 

「オールマイトに言われたからじゃなく、友達として困った時はお互いに助けようと思います」

「それでいい。私の話をそのまま聞いて友達になろうとしたら拳骨を叩きんでいるところだったよ。友人関係に上も下もないからね。ちゃんと対等に、真摯に接するように。特に女の子には」

「はい!」

「まあ、これは受け売りなんだけどね!」

「お~るまいと~!」

「HAHAHAHAHAHA」

 

 病院で治療を受け、折れた腕を治してもらった。家まで送ってもらってから、トレーニングを頑張る。

 次の日、海浜公園に朝6時に行くと諏訪子ちゃんはいなかった。まあ、当然だよね。このまま掃除してからトレーニングを開始しよう。

 言われた通りに一万回を目指してみる。やっていると三時くらいに彼女はきた。

 

「やっふぉー」

「こんにちは」

「ごめんね。やっぱ家が遠いからね~」

「どこからきているの?」

「愛知県から走ってだよ」

「愛知!? 車でも一時間はかかるのに!」

「へいきへっちゃらだよ~。それよりもだいぶ良くなってるね。でも、まだまだ甘いよ」

「うわっ!?」

 

 後ろから諏訪子ちゃんが抱きついてきて、僕の身体を動かしていく。

 

「うん。これでいいよ。ちゃんと全身を使うんだよ」

「わかったよ」

「じゃあ、私も隣でするね」

 

 諏訪子ちゃんが砂浜に手をつくと、砂が集まって鉄の輪へと作られていく。それを腕や腰で回していく。良く見れば身体中に小さな鉄の輪をつけている。

 

「諏訪子ちゃん、それは?」

「これは重りだよ。あと、私の武器でもあるんだよね~」

「そうなんだ。ねえ、それ僕ももらえる?」

「重いよ?」

「御願い。強くなりたいんだ」

「けろけろ。ハードトレーニングになるけど、覚悟するように~」

「もちろんだよ」

 

 僕の身体に無数の鉄の輪が装着された。それはものすごく重くて、オールマイトが乗った冷蔵庫なんかと比べ物にならない。これなら、もっと効率良く身体を鍛えられるかもしれない。よし、この状態で一万回を目指そう。

 その日は夜の10時までかかって6000回だった。諏訪子ちゃんは途中で帰ったけれど仕方ない。家にはなんと這って帰った。

 翌日。朝の4時に来て始める。夜の10時まで8000回までいけた。次の日は9000回。その次の日は10時30分までで10000回に到達できた。そのまま倒れたけれど、探しにきたお母さんと様子を見にきたオールマイトに助けてもらった。

 翌日、またやっていたら、オールマイトに止められた。でも、どうにか説得して夜の9時には帰るようにと約束させれた。

 諏訪子ちゃんは毎日3時くらいにきて、5時くらいには帰る。最初は無理だったけれど、お互いに話ながらの修行は楽しい。

 

「あーうー……ありえない~ありえないよ~なにこの主人公補正……ずるいよ~」

「どうしたの?」

「なんでもない。でも、もう一万回までいけたんだね」

「そうだよ。でも、朝の4時から夜9時までかかるけどね」

「夕日が沈む前が目標だよ」

「わかった。どれだけ早くできるかだね」

「そーそー」

 

 基本的に修行のことや僕が好きなヒーローのことを話していく。諏訪子ちゃんはヒーローにあまり興味はないみたいだけど、こちらの話を聞いてくれる。

 それに彼女は理想の女性として神様のことを教えてくれる。聞けば聞くほど諏訪子ちゃんと姿は同じ人のようなんだけど。後は彼女のお姉ちゃんのことなんかも教えてくれる。

 家族や神様のことを話す諏訪子ちゃんはとても楽しそうだ。逆に近くで焼肉をやっていた人達がいた時はかなり取り乱していた。慌てて抱きしめて押さえつけないと暴れてやばいことになったと思う。

 落ち着いてから話しを聞くと、どうやら火が駄目らしい。見るだけで身体がすくんで動けなくなって、パニックになるとのこと。実際、砂浜の一部に彼女の"個性"で巨石が出現した。どうにかして彼女を火に近付けないようにしようと思う。

 次の日、諏訪子ちゃんと話し合った結果。この巨石を殴って壊すことにした。最初は微かにあたる程度で、次第に威力を上げていく。というのも皮膚を鍛えるためらしい。それと、砂浜では裸足でやるほうがいいとのことだ。そのアドバイスに従って頑張ってみようと思う。

 

 

 

 

 

 

 


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