ケロちゃんのヒーローアカデミア!   作:諏訪子大好き

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修正

 

 

 

 今、私が住んでいるのは愛知県。お母さんの家で、ここから学校に通うことになっている。雄英高校に無事に合格した私は午前中にお祈りしてからお姉ちゃんと一緒に勉強して、昼からは身体を鍛えるためにランニング。どうせならと、静岡の方に走って探検している。

 だって、主人公君にあえるかもしれないし? もっとも、ここ数日は会えなかったんだけど、合格発表から二日後くらいに夜にあっていたから、そろそろだと思う。そんなわけで今日も頑張っていこ~。

 数時間かけて多古場海浜公園に到着したころには流石にへとへとだよ。でも、ここがあの場所かと思うと凄いよね。今は綺麗だけれど、前は大量のごみに埋め尽くされていたんだよ。

 さて、時刻はお昼の三時。帰りは遅くなるけれど問題ない。お母さん達には連絡をいれてあるし。

 砂浜に降りて周りを見渡すと、デートしている人が多い。どうせだから海の中で訓練をしていこうと思う。服のまま海に入って、洩矢の鉄の輪を呼び出して身体に装着。海の中で首だけをだしてフラフープみたいに腰で回しながら正拳突きを放つ。

 

「抵抗がひどっ、わぷっ!」

 

 波が酷い。というか、海水が重い。鉄の輪も重い。思い付いたからやってみたけれど、これ負荷が半端ない。そのまま波に飲まれて海に沈んでいく。

 

 お~綺麗綺麗。水中から差し込む光が幻想的でなおよしだね。このまま漂うのもいいかもしれない。そんなことを思っていたら、誰かが飛び込んできた。顔を向けると必死にこちらへと泳いでくる緑の髪の毛をした少年。

 

 けろけろ

 

 すぐにこちらに寄ってきて、私の腕を掴んで引っ張り上げようとする。けれど、全然あがらない。まあ、洩矢の鉄の輪が重いよね。

 

「ごほぉっ⁉」

 

 流石は主人公。この状態でも諦めていない。というか、なにスマッシュを放とうとしているのかな? そんなことをしたら大変なことになるんだよ? 緑谷君がスマッシュを放ち、海水を吹き飛ばした。

 

「はぁっ、はぁっ……いっ、今のうちに……」

 

 右腕が折れて腫れ上がっている。それでも、私を抱き上げて沖へと走っていく。カッコイイね。でもさ、ここは海なんだよ。

 

「あーうー海水がくるよ~」

「っ!? くそっ! こうなったら……」

 

 足に力を入れようとするけれど、足元にあったなまこに滑ってこけてしまった。そのまま押し寄せるように戻ってきた波に飲まれる。すぐに次のスマッシュを打とうとするけれど、激しい渦に巻き込まれて無茶苦茶にかき回される。それによって、痛みによって呼吸がまともにできなかったみたいで、口から大量の泡をだしてもがき出した。

 様子をみていたけれど、これはまずい。なんの問題もなかったのだけど、助けないと色々とまずい。取り敢えず、彼を抱き寄せる。

 

「!?!?!?!?!?」

 

 顔を真っ赤にして動かなくなっちゃった。仕方ないから、ミシャグジさまを呼び出して海中から押し上げてもらう。その後、砂浜へと飛んで緑谷君を寝かせる。彼は気絶したようなので一度人工呼吸が必要かな? 取り敢えず、ミシャグジさまは帰ってもらう。

 

「げふぉっ、げふぉっ!?」

 

 頭を持ち上げて、人工呼吸をしようと口を近付けると彼が目覚めた。

 

「ケロケロ~大丈夫?」

「はっ、はいっ! 僕は大丈夫です!」

 

 ずざざざと顔を真っ赤にして私から距離を取りながら、手を無茶苦茶に振り回す緑谷君。

 

「けろけろ。落ち着きなよ。ただの人命救助だよ?」

「で、でもっ、女の子ときっ、キスなんて……僕には……なんていいますか、あれといいますか……」

「私のファーストキスだよ。責任とってね~」

「!? わっ、わかりました!」

「じゃあ、500万でいいよ~」

「お金!? お金なの!? というか、そんな大金持ってないから!」

「知ってるよ」

 

 けらけらと笑いながら、彼に近付いて手を差し出す。というか、彼はこちらをしっかりとみない。まあ、仕方ないかもしれないね。

 

「あ、ありがとう……」

 

 起き上がらせてあげてから、本題を告げる。

 

「君の"個性"を教えてくれるだけでいいよ?」

「!? そ、それは……」

「これも駄目?」

「ごめん。そっ、それよりも、君は大丈夫なの? 溺れていたみたいだけど」

「溺れてないよ~。君を助けた時みたいに何時でも出れたし」

「あははは、ボクの勘違いか……良かった。でも、じゃあ何をしていたの?」

「修行だよ。私、雄英に入学したから力をつけないとね」

「そうなんだ! 僕もだよ。今年入学なんだ」

「そっか、そっか。じゃあ、私と同学年だね」

「え?」

「おい。その疑問はなんなのか、詳しく教えてよ」

「そ、その、小さいから……」

「胸! 胸なの!?」

「違うよ! というか、はしたないよ!」

「え?」

 

 自分の恰好を改めてみると、海水でびしょびしょになり、服が透けていた。

 

「あーうー!!」

 

 慌てて身体を隠して、しゃがみ込む。貧相な身体だけど、恥かしいものは恥かしい。元々の性別はあやふやだけど、14年も女の子として生きてきたのだから、羞恥心はちゃんとあるからね。

 

「みっ、みた……よね?」

「ごっ、ごめんっ! これはその、不可抗力で……」

「……もういいよ。私を助けようとしてくれたわけだし……うん。さっきの責任は友達になってくれることにしよう」

「僕なんかでいいの!?」

「いいよ~。私は蛙吹諏訪子。よろしくね。それとキスもしていないんだけね~」

 

 改めて片手を差し出して、彼を起こしてあげる。もちろん、片方の手で服は隠している。

 

「し、してなかったんだ……あっ、僕は緑谷出久。こちらこそよろしく」

 

 どこか残念そうにしながら腕を掴んで立ち上がった彼と自己紹介をする。

 

「あの状態から無事に出られるなんて、蛙吹さんはすごいんだね」

「諏訪子でいいよ。学校にはお姉ちゃんもいるしね」

「おっ、女の子を名前でよっ、呼ぶなんて」

「私も名前で呼ぶから、よろしくね」

 

 それから色々と話し合っていく。互いに少し前まで“無個性”だったことに驚き、意気投合していく。もっとも、私は知っていたのだけれどね。ちなみに私は自分から"個性"を貰ったと言ったら、彼も誰からかは言わないけれど教えてくれた。

 

「僕ももっと強くならないと。少なくとも使いこなせるようにならないと」

 

 折れた腕をみながら、そう語る出久君。

 

「確かに貰い物だから使いこなせないんだよ~。もっとすごいこととかできるはずなのに~。そうだ、一緒に修行する? 厳しいだろうけど」

「いいの?」

「うん。でも基本的に水中でやろうかと思っているんだよね」

「水中で?」

「水中は身体中の筋力を使うから」

「なるほど……」

「まずはその腕を治さないとね」

「病院にいかなきゃ……」

「治療しないとね」

 

 綺麗な夕日を砂浜に座って二人で、見ながら話をしていく。波の音とかもいい感じだよ。って、まるでこれは……

 

「おや、青春をしているね」

「オールマイト!?」

「沖で凄い爆発がしたと通報があったから、急いできてみたんだが……」

 

 私達に後ろから声をかけてきたのは、オールマイトだった。筋肉ムキムキのアメリカンなヒーローさん。ナンバーワンヒーローにして平和の象徴と呼ばれる有名人。私達が越えるべき壁。

 

「どうやら無事に解決したみたいだね。それで、緑谷少年。その腕は……」

「実は……」

 

 出久君がことのあらましを話していく。

 

「はやく病院にいきなさい。それと君は危険なことはしないように」

「別に危険じゃないよ?」

「他人が危険だと思うことをしないように」

「修行ができないよ~」

「海の中での修行はやめなさい! せめてプールにするように!」

「いや、プールだと波がない上にお金がかかるんだよ~」

「むぅ。それは確かに大事だね。だけど、危険は……君の場合はどうにかできてしまうか。ううむ……だが、やはり許可はだせん……といいたいが、条件付きでいいだろう。私が紹介する大人が一緒の時だけは許可する。それ以外は大人しく地上で修行するんだ」

「は~い」

「うむ。では、私は緑谷少年を病院まで送っていこう。それではな、蛙吹君」

「またね」

「またね~多分、明日もここにいるからくるといいよ」

「わかった!」

 

 オールマイトに出久君が連れていかれた。残された私はお土産を買ってから自宅へと戻るためのランニングを開始する。

 

 

 次の日も頑張って臨海公園にやってきた。すると、出久君がすでにいた。彼の腕は無事に治っていた。"個性"持ちに治してもらったみたいだね。

 

「やっほー」

「こっ、こんにちは!」

 

 顔を真っ赤にしながら、おどおどしつつ返事をしてくれる。

 

「じゃあ、修行をしようか。取り敢えず、正拳突きを一万回ね」

「え!?」

「"個性"をくれた人達に感謝してやるんだよ。それで強くなれるから」

 

 同じジャンプ時空なのだから、間違いないよね、うん。

 

「が、頑張ってみる」

「ただ打つだけじゃなくて、身体全体を使って放つんだよ」

「はい!」

 

 主人公魔改造計画の発動だよ。といっても、最初はできるはずもなくて諏訪子様への感謝の正拳突きは一日で7000回が限界だった。緑谷君も倒れるまでやってくれた。彼を抱えて教えてもらった家に送り届ける。

 そのあと、帰ってお姉ちゃんとバトルする。毎日繰り返すと二人共強くなっていっている。もちろん、私も。もっとも、私の本番は眠ってからだけれど。

 

「さぁ、今日も弾幕ゲームを始めようか」

「鉄の輪っ!」

 

 無数に放たれてくるビームや丸い形の弾幕を必死に回避する。ほぼ毎日、夢の中で訓練してもらっている。ミシャグジさまや全能力を使って対峙するけれど負けてしまう。でも、私にとっての理想の姿がそこにあるので、真似するだけでどんどん実力があがっていっていると思う。

 

 

 

 

 

 こんな感じで月日がすぎ、四月の入学式の日となった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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