ケロちゃんのヒーローアカデミア! 作:諏訪子大好き
やばい。やばいやばいやばいやばい。やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。なにがやばいって? 目の前に激おこぷんぷんの妖怪の賢者さんがいるのだ。
ここはあちらの世界とこちらの世界、幻想郷の狭間。そして、今はあちらの私の精神体をこちらで寝かせている。何故かって? 分体にもなっていない半端者が主神である神様に逆らってただで済むはずがない。ちょっと色々と治療しないと不味いのだ。
「萃香まで巻き込んで遊びすぎよ」
「でも、萃香も暇だっていってたしね~それに結界に影響ないし、いいじゃない」
「ええ、奇跡的にね!」
「で、萃香はこの空間で一戦やったのよね」
「おうともさ!」
萃香が一瞬で現れた。まあ、最初からここにいるしね。脳無に吹き飛ばされて朦朧とした瞬間にあっちの私の精神をこっちに引きずり込んで、萃香と戦わせてみた。結果は不合格だったみたいだけどね。
「異世界への干渉は今すぐにやめなさい」
「「だが、断る!」」
「本気?」
「全面戦争も辞さないよ! 神様としての矜持があるからね! ぶっちゃけ、私をこの子と一緒に向こうに送ってくれるなら、その後は閉じてもいいけどね」
私としては別に消えてもいいんだよね。そもそも、こっちに来たのだって神奈子に誘われてだし。それがなければ消えていたから。
「できないわよっ! そんなことをしたら結界に影響があるわよ! まあ、結界に影響がでないうちは黙認してあげる。流石に全面戦争は面倒よ。私が勝つでしょうけど」
「いうね~。今の私は全盛期とは言わずとも、結構強いよ?」
「そうでしょうね。でも、それは一対一ならでしょ?」
「ごもっとも。結界がやばくなったら……いや、そうか。紫、一つお願いがあるんだ」
「改まってなによ」
「力、貸して」
「へぇ……いいの?」
「この子の願いは私になること。私はそれを神様として了承した。だから、お願い。私達の境界を弄ってよ」
「よろしい。不確定要素がなくなるのは歓迎できるわ。それとこの狭間の管理も私が……藍に任せましょう。危なくなったら問答無用で強制的に消去するわ」
藍に丸投げだね。流石に覗き見賢者。式神使いが厳しい!
「質問! それって私もこの子で遊んでいいの?」
「ここでならそれぐらいは許可します。さて、後は藍に任せて私は寝るわ。くれぐれも……あ、霊夢に食材を買って渡しておいて。後、修行させておいて」
「ちょっ!? あのぐうたら巫女に修行とか無理難題を言ってくれるね!」
「うるさいわよ。貴女のせいで私の睡眠時間が削られて、霊夢のところにも行けなかったの。責任とりなさい」
「あーうー。了解だよ。萃香と私であっちの私と霊夢を鍛えるよ。食事で釣れば大丈夫だろうし」
「私が諏訪子と霊夢を鍛えるのか?」
「あっちの私だけでも頼むよ。暇つぶしには丁度いいでしょ。なんせ、身体は私と同じだから頑丈だよ。つまり、育成ゲームで遊ぼう」
「そいつはいいな。のってやるよ」
萃香ものってきたし、霊夢も鍛えるから、早苗もいれちゃえ。
「ついでだから早苗も鍛えよう。うん、それでいいや」
さて、さてやることをやっておこうか。私達が一つになる日も近い。
夢を見た。楽しい夢を。お姉ちゃんと一緒にヒーローになった人助けをしている夢。そして、もう一つはお姉ちゃんが殺されて暴走した私が無数の
そして、しばらくすると目の前には緑谷出久君が居て、私と戦っている。彼の隣には轟君やクラスメイトの姿が見える。
でも、私の横には誰も居ない。居るのは私達だけ。ミシャグジと私達諏訪子だけ。そして、最後に出久君とオールマイトに同時に前後から拳を叩き込まれて消し飛んだ。
目を開けると知らない天井がある。視線を横にやると集中治療室のような場所に私はいた。身体には血が滲んだ包帯が巻かれていて、口には酸素マスク。視線をさらにさげるとベッドの横にはお見舞いの品が沢山おいてある。それにお姉ちゃんが椅子に座って眠っていた。
「夢か……良かった……」
お姉ちゃんの手を握るとちゃんと脈があり、温かい。酸素マスクを取って、起き上がる。身体を伸ばすと節々が痛いなんてことはなく……むしろ、絶好調だね。元気が有り余ってる。自分でも力が湧き上がってくるのがわかる。今なら島だって作れそう。
「まあ、今はこっちだよね」
ベッドから起き上がって、お姉ちゃんを抱き上げてベッドに寝させる。後はお姉ちゃんを抱き枕にしてそのまま一緒に寝ちゃおうと思ったけど、ノックされた。
「どうぞ~」
「お邪魔しま~す。って、なっ、なにをしているの!?」
「あ、出久君。女の子の寝込みを襲いに来たの?」
「違うからねっ!?」
どうやらお見舞いにきてくれたようだ。彼の後ろからは麗日さんやオールマイト先生も来ていた。というか、クラスメイトがいっぱい来た。
「ん、あら? これは……」
「あ、おはようお姉ちゃん。可愛い寝顔だね」
「……起きたのね。よかった。心配したのよ」
「あははは、ごめんね」
抱き着いて泣いてくるお姉ちゃんを慰めていると、一部の男子の声が聞こえてきた。
「うひょー! 手術着がはだけて胸がみえて……」
「ミシャグジ!」
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁっ!!」
「けろけろ」
締め付けてがじがじしてやる。でも呪いはしない。
「まったく。ほら、男子はさっさと出る。諏訪子さん、着替えましょう」
「そうだね。そっちの方がいいよ。服はある?」
「そこに置いてあるわ」
「オールマイト先生、医者と看護師さんを呼んできてください」
「任せてくれたまえ」
「じゃあ、またあとで」
「はいはい~」
手術着を脱ぐと、お姉ちゃんがタオルで汗を拭いてくれる。
「私も手伝うよ」
「ありがと~」
緑と白の寝間着を着てようやく落ち着くころには先生がやってきて、検査を受けていく。お姉ちゃん以外の人は帰り、代わりにお母さん達がやってきた。検査が終わり、色々と教えてもらった。それでわかったけれど、驚いたことに結構な日数を寝ていたようだね。
「失礼します。私は警察の塚内という者です。少し話をいいですか? 不味ければ出直しますが」
「大丈夫?」
お母さんが聞いてくる。別に身体に異常は無いし、問題ないよね。
「平気だよ」
「わかったわ。どうぞ」
お姉ちゃんは私の横に座って、手を握ってくれる。
「まずは意識が回復してよかった」
「ありがとうございます。それで、警察の人がなぜ?」
「襲撃事件のことだけど、君は覚えているかな? 脳が剥き出しになったヴィランのことを……」
「脳が向き出しのヴィラン……?」
ん~と、多分、あっちの私だよね。襲撃ってことはヴィランの……あ、思い出してきた。
「確か、ミシャグジに飲ませたんだった」
あれ? 普段はミシャグジさまって言っているのに今は普通に呼び捨てにしちゃう。これはいよいよ、融合が進んできたのかな?
「思い出したようだね。君は二重人格ということはわかっている。だが、記憶があるなら……」
「ミシャグジ」
「何をっ!?」
大きなミシャグジを呼び出すと、刑事の人が驚くけれど気にしない。
「ぺっ、して」
ミシャグジがペッとすると口の中から大きな人がでてくる。溶岩を溶かすと身体がどんどん再生していく。
「おいおい……生きているぞ……」
警察の人が脈を取っていく。慌てて人を呼んで確認していくけれど、多分生きてるよ。その後、脳無の生存が確認され、精神も精神系の"個性"を持つ人が調べて元から色々とされていることが判明したみたいで、私は厳重注意ということになった。ヒーローはヴィランを殺したら駄目ということだね。気を付けないと。私の"力"は強すぎるから。