ケロちゃんのヒーローアカデミア! 作:諏訪子大好き
「オールマイトの登場のところすいませんが、ヒーローと生徒の皆様。動かないでください」
「けろ~」
「ご、ごめん」
見ると、そこには黒霧と呼ばれる奴が梅雨と緑谷、あとブドウっぽいのを霧で拘束していた。
「このままゲートを閉じればお三方は死ぬことになります。そうはなりたくないでしょう?」
「くっ、卑怯な……」
「卑怯は俺達の専売特許だからな」
梅雨と緑谷は殺す訳にはいかない。他のなら別にいいんだけどね。
「ちっ」
「黒霧、オールマイトを殺せ」
「そうですね。動かないでくださいよ」
「ああ。アンタが動くよりも俺がこの女を殺す方が速い」
「けろっ」
梅雨の頭にヴィランの手が置かれている。確かにこれなら私達が動く前に殺されるだろう。
「くっ、わかった。だから、生徒には……」
「いいだろう。だが、そっちのお前もだ。お前は危険だからな」
オールマイトと私の身体が黒い霧へと沈んでいく。途中で止まって、いよいよゲートを閉じようとしてくる。
「ひぃぃぃっ!? く、苦しいっ」
「なっ、なにっ、縮んで……」
「くっ……」
「皆仲良く締め殺してやるよ。約束なんて守るわけないじゃん」
「やっぱりかっ!」
やれやれ、どうやら本気で死にたいみたい。こっちの私が死ぬのはまずいから、皆纏めて殺すか……って、身体が勝手に動いてる? 私の身体が勝手に動いて閉じていく黒い霧を無理矢理押し開いていく。両手が切れて血がでてくる。再生が間に合わない。
「……プル……ス……ウル……トラ……」
この子……ああ、そうか。"祟り神の私"はお呼びじゃないってことだね。あくまでもまだ人間ってことか。足掻き続け、妖怪を超え、神を必要としなくなった人間と同じ。そして、それは一人じゃない。
「そうだ。こんなところで、終ってたまるか!」
「何を無駄なことを……」
「黒霧っ、避けろっ!」
「何?」
「プルスウルトラぁああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
緑色が掴んだ土を思いっきり投げつける。それは散弾となって黒い霧を襲う。しかし、黒い霧で防がれてしまう。
「あぶないあぶない。なっ!?」
背後から現れた爆豪が黒い霧の鉄の部分を殴りつけ、轟が凍らせて動きを止めた。
「やっと油断しやがったな」
「爆豪君っ、逃げろっ!」
「何っ⁉」
梅雨を捨てたヴィランが爆轟に触れようとしていた。そこを轟が氷の壁を作って防ごうとする。でも、間に合わないから、身体が勝手にミシャグジを送り込んで盾にする。ミシャグジが崩壊させられていくけれど、これで問題ない。
「ゲームオーバーだ。撤退する」
「了解しました」
逃がすか。大量のミシャグジをけしかける。しかし、ゲートを潜って逃げられた。少しは祟れただろうけど……無念。それよりも、梅雨の無事を確認しようか。身体を完全に返すと、辛いだろうに姉に抱きついて無事を確認して泣きわめいていた。まったく、神様から肉体の制御権を微かとはいえ奪い返したくせに……これだから本当に人間は面白いね。