ケロちゃんのヒーローアカデミア!   作:諏訪子大好き

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修正

 

 

 皆、こんばんは。私は蛙吹梅雨の妹に転生したの。つまり、ケロちゃんだよ。ケロケロ。死んだ内容は不明で記憶も曖昧。取り敢えず、男だったか女だったかもわからないし、名前もわからない。でも代わりにオタクだったのか、ゲームとかの知識はある。

 さて、この世界は僕のヒーローアカデミアはとんでもない超能力が多い。"個性"が全てを決めるとても危険な世界なんだよね。私に個性があるのかはわからない。でも、私の名前が諏訪子だった。諏訪子は諏訪湖から取ったみたい。私が産まれたのが祖母が住んでいた長野だったから。諏訪子といえばケロちゃん。東方プロジェクトにでてくる土地神様だ。という訳で、四歳になった。

 

「ごめんね。諏訪子に"個性"を持って産んであげられなくて……」

 

 お母さんが泣きながら、私を抱きしめてくれる。でも、お姉ちゃんはちゃんと蛙の"個性"を持っていた。お祝いムードだった突き付けられた現実は、私の中で全てが変わった。前世の知識があり、言葉も知識もあった私はもてはやされていた。でも、この日からは違った。

 

「こいつ"無個性"の癖に生意気なんだよ!」

「せっかくだから、"個性"の実験台にしようぜ」

「いいな、それ」

「じゃあ……」

 

 小学校に上がると、"個性"はなくても勉強はできた。歴史以外は高得点をキープしていたけれど、それがいけなかったのか、学校で殴られたり、ノートや道具を捨てられたりしていた。

しまいには"個性"の実験台にされて火達磨にされた。幸い、駆け付けてくれた人に火は消火され、治癒の"個性"を持つ人によってある程度は治してもらった。

それでも、顔の半分が火傷で覆われ、瞳もなくなって片目が見えなくなった。私にこんなことをした人達はどうなったのかは知らない。それでも、私はそれ以来、幻痛に襲われるようになった。

 

 

 退院した後は人が怖くなって、長野にいるおばあちゃんの所へと引っ越しさせられた。前のところじゃ怖くて外にもでれなかった。お母さん達も一緒に来てくれることになっていたけれど、私が断った。お姉ちゃんの為にも私が一緒にいない方がいい。だから、頑張って説得しておばあちゃんのところで二人っきりで住むことになった。

 

「諏訪子、お散歩に出かけましょうか」

「……うん……」

 

 おばあちゃんに連れられていったのは四つの諏訪大社で、そこでお参りをするのが日課らしい。私もそれに付き合ってお参りするようになった。どうせすることもないし、毎日諏訪大社にいったり、湖にいったりしていたら、諏訪子の"個性"が目覚めるかも知れない。

 

 日課として山や湖で過ごす。小学校も行かずにただ、ひたすら神事の真似事や昔読んだ漫画やアニメの修行を繰り返す。

 

「あ~う~諏訪子って名前だけじゃやっぱりだめかな~」

 

 服装も諏訪子にしているのだけど、やっぱり駄目みたい。髪の毛も染めたんだけど……そもそも東方projectの諏訪子は火傷なんてしていないし。やっぱり、無理かな……もう中学3年生だし、二度目の受験だ。このままだと関係ないけれど。

 お姉ちゃんは蛙の"個性"を使って、私のような弱い人を助けるヒーローになるって決めたみたい。それで、国立名門校雄英高校を志望したらしい。

 本当に"個性"の有る無しがこの世の全てだよね。あるとないとじゃ、就職率も全然違う。この世は"無個性"にとって夢も希望もない。

 

「ケロケロ……決めた……」

 

 神事を行う。お母さんやお父さん、お姉ちゃんとさつき、おばあちゃんには悪いけれどやってしまおう。どうせ、これは私にとって二度目でもう詰んでいるから構わない。信仰することでどうにか生きてこられたけれど、やっぱりもう嫌だ。薬を飲んでも碌に寝れないし、幻痛で飛び起きてしまう。

 手紙を書いてから柳の木を削って串を作る。作ってから貯めていたお小遣いで狩猟目的で買っておいたクロスボウに仕掛けるそれから夜を待って、諏訪大社四社の中心。諏訪湖にボートに乗って移動する。ボートは勝手に拝借して、お金はおいておいた。

 中心に移動してから、冷たい水の中に飛び込んで自分に向けて放つ。串は私の身体に突き刺さって水に血が溢れて、口の中の空気と共に気泡がでていく。

 諏訪子になりたかったな……

 そんなことを思っていると、苦しくなってくる。呼吸ができずにどんどん水が入ってくるし、胸から血が大量に流れでてくる。幸い、痛みには慣れているから大丈夫。ただ、やっぱり呼吸できないのはしんどく、もがき苦しみ意識が暗くなっていく。

 

『ケロケロ』

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、退屈なんだよー」

「では、なにか面白いことが起きるように願いましょう」

「そんなことがおこればいいけどねーって、本当に起こったよ。流石は私の巫女だね。ちょっと遊びに行ってくるね」

「はい。いってらっしゃいませ」

 

 

 

 

 

 ケロケロという言葉が聞こえ、目を開けるとそこは真っ暗な世界だった。目の前には白い壁があった。

 

「こんばんは。この時代に珍しい愚かな我が信徒よ」

 

 白い壁の上から神々しい声が聞こえる。上を向くと白い壁……白い石のような大蛇の頭に乗った小さな女の子。私と同じ格好をしていた。でも、顔は少し違う。なにより神々しい。

 

「しかし、軽く見たけれど面白いね」

「っ!?」

 

 いつの間にか、背後にいて私の肩に頭を乗せていた。

 

「洩矢神の中でも私に直接、魂を捧げてくれたんだ。お願いごとを聞いてあげてもいいよ。言ってみなよ」

 

 声をだそうとするけれど、でない。存在としての格が違いすぎる。弱体化していても、これなんだから諏訪子様は凄い。

 

「ねぇ、ねぇ、どうしたの? 叶えて欲しくないの?」

 

 ニコリと笑いながら、あえて感じる重圧があがってくる。叶える気なんてないのかも知れない。でも、そんなのいやだ。会えただけで幸せかも知れないけれど、どうせなら、叶えて欲しい。

 

「……わ……は……」

「ふふふ、返答には気を付けるんだよ? 祟っちゃうからね」

「……なり……たい……」

「ん?」

 

 全部の力を込めて、魂の底から発生する。

 

「あなたになりたい!」

「私っ!? えっ、ええええ!?」

 

 おどろいた諏訪子様はあわててキョロキョロしている。それから、自分を指さす。私は必死に頷く。

 

「あーうー……まって、力が欲しいとかじゃなくて?」

 

必死に頷く。

 

「いやいや、こういう時って普通は力を貰うものだよね? 私になりたいとか、それって自分は消えるってことだよ? 神様と人間の魂じゃ、その格が違いすぎるし」

 

 同一化するってことは、私が諏訪子様になれるのだから問題ないよね。うん、なんの問題もない。

 

「ちょっとタンマ! 流石にそれは考えさせてね」

 

 3分で考えて支度してね

 

「なんで天空の城っ!? えっと、えっと……接続場所は異世界か。あれ、でも案外いいかも……」

 

 頭の帽子を掴んで目深にかぶって必死に考えている。

 

「よし、願いを叶えてあげるって言ったし、叶えてあげる。でも、普通の方法じゃ駄目だから、覚悟はいい?」

 

 もちろんです。諏訪子様になれるのなら、なんだってする。

 

「よし。じゃあ、その死んだ身体じゃ無理だからまずは作り直そうか。私を取り込んでもらおう。痛いけど耐えるんだよ」

 

 私の身体の中に無数のミシャグジさまが入ってくる。内側から突き破られるような感覚が何度もして、激痛が走る。

 

「姿はほぼ私と同じだけど髪の毛もかえておこうか。"個性"だったけ。そっちは坤を創造する程度の能力をあげよう」

 

 

 

 

 

 数時間にも及ぶ激痛が終わり、私は改めて両目で回りをみた。目の前にはニコニコしている諏訪子様。

 

「諏訪子でいいよ。力を使うと君もどんどん私になる訳だしね。さて、その身体だけど身体のほとんどはまだ人間だから、鍛えないといけないよ。私の力に身体がついてこれないだろうし」

「了解だよ。それで、どうするの?」

「丁度いい見本が目の前にいるんだよ? だったら、やることは一つだよー。格言を一つあげよう、ケロちゃん風雨に負けず、だからね」

「はい!」

「では、戦おうか」

 

 いつの間にか諏訪子が懐に現れて吹き飛ばされる。果てがないのか、とても長い距離を吹き飛ばされた。更にどんどん追撃がとんでくる。東方ゲームで一般的な弾幕だ。とても綺麗でつい見惚れてしまう。

 

「動かないと死ぬほど痛いからね」

「わわっ」

 

 慌て弾幕を避けるけれど、回避が間に合わずに片腕が吹き飛んだ。本来は弾幕ゲームなら、ここまでダメージを受けない。でも、今回は殺傷出来る威力の弾幕を使っているみたいだね。

 腕がなくなっても、あまり痛くない。それに腕をみると傷口からミシャグジさまが生えてきて、腕の形になって固定化される。次の瞬間には腕が元に戻っていた。

 

「さあ、どんどんいくよ。最低限、力を使えるようになって貰わないと信仰を集められないからね」

「信仰って集めないと力が出ないんだよね」

「そうだよ。まあ、その身体はまだ人間だから大丈夫だよ。それで、ヒーローとヴィランだっけ。どっちも信仰を集めるのに有用そうだから、頑張ってね。頑張れば頑張るほど、私に近付いて、私がそっちの世界を楽しめるようになるから」

「任せてー」

「じゃあ、次は弾幕を撃てるようにしようか。捕獲にも便利そうだし」

 

 これから始まる地獄の特訓。頑張って動けるようにならないとね。

 

 

 

 

 一年後、睡眠時間が基本的に一分な地獄の特訓がいったん終わって私は現実世界に戻ってきた。水面から浮上して回りをみると、ここはどうやら諏訪湖みたい。私は水面の上に立っている。

 

「さて、どうしようかな? 取り敢えず、かっえろ」

 

 水面をスキップしておばあちゃんの家へと戻っていく。岸に到着すると貸しボート屋が見えた。そこには貼り紙がしてあって、"蛙吹諏訪子を探しています"とあった……。そりゃ、探してるよね。もう一年だもん。

 

「か~えろ、かえろ、おうちへかえろっと」

 

 歌いながら走る。運動能力も高くなっているこの身体なら、車並みの速度だって簡単にだせるんだよね。

 

 

 

 山にある家の前に戻り、こっそりと塀の外から家の中をみてみる。すると、扉が開いておばあちゃんとお母さん、お姉ちゃんがでてきた。

 

「梅雨ちゃん、受験なのに大丈夫なの?」

「大丈夫よ。諏訪子を探すことの方が大事だから。おばあちゃんは休んでいたら?」

「そうですよ。後は私達がやっておきますから」

 

 その手には沢山のプリントを持っている。なんだか、三人の姿をみると涙が流れてきたよ。どうやら、思っていたよりも充実していたのかも。

 

「あ」

 

 帽子を目深に被っていると、いつの間にかお姉ちゃんがこちら気付いていた。

 

「えっと、えっと」

 

 お姉ちゃんの舌が私に巻き付いていた。直に引き寄せられて、抱きしめられる。

 

「やっと見つけたわ。心配させて、もう逃がさないから」

「あーうー」

 

 そのまま、お姉ちゃんに連れられてお母さん達の所へと連れていかれて一杯泣かれて、抱きしめられた。

 

「ああ、ありがとうございます。洩矢様」

「おばあちゃん、毎日お祈りしてたのよ」

「境内でプリントを配ったりね」

「ありがとう」

 

 取り敢えず、家に入ってからこの一年のことを話す。といっても、修行を行って"個性"を発現したことを伝える。その"個性"を使って身体を治したこと、それに副作用で髪の毛が金色の地毛になったことも伝えた。

 

「つまり、"個性"を得るために一年間もいなくなっていたのね」

「この馬鹿娘。どれだけ心配したと……」

「ごめんなさい」

「それで、"個性"はどんなの?」

「えっとね~これ!」

 

 手を叩いてミシャグジさまを呼び出す。白い石のような蛇。

 

「呼び出す"個性"なの?」

「違うよ? えっとね坤を創造する程度の"個性"だよ。内容は大地を創造し、操ることができるの」

「なにそれ、すごい」

「まだそんな大規模にはできないんだけどねー。一応、生命の創造もできるよ。まだこの子達限定だよ~」

「私的には怖いけれど、いい"個性"ね」

「ありがとう、お姉ちゃん」

 

 お姉ちゃん達はミシャグジさまを撫でていく。

 

「この子達の名前は?」

「ミシャグジさまだよ」

「す、諏訪子? その名前は……」

「大丈夫、大丈夫。祟りも標準装備だから」

「危険ね。凄く危険よ」

「そう……諏訪子は神隠しにあっていたのね……」

 

 おばあちゃんの呟きがある意味では一番正しいと思うよ。この身も魂も全てミシャグジさまのものであり、それは同一存在である諏訪子様のもの。そして、私でもある。お祈りしないとね。

 

「そうだ。お姉ちゃん、私もヒーローになってみたい。別にヴィランでもいいけど」

「「「やめなさい」」」

 

 お願いだからヴィランは止めてと言われちゃったよ。祟りの能力も考えたら……やっぱり、ヴィランも似合うんだよね。でも、ヒーローでもヴィランでもいいって諏訪子様も言ってたけれど、私としてはお母さん達に迷惑をかけたくないからヒーローになろうと思う。

 

「梅雨ちゃん。諏訪子を頼むわね」

「ケロケロ。絶対にヒーローにしてみせるわ」

「わっふ~」

「という訳でこれから試験勉強よ。大丈夫、間に合わせるわ」

「徹夜は慣れてるから多分平気だよ」

 

 頑張って試験合格しないとね。でも、その前に警察とかにいかないといけないらしい。面倒だけど仕方ないよね。私としての残された時間は少ないけれど、この暖かな家族は大切にしないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 名前:蛙吹諏訪子

 種族:半人半神(侵蝕度2%)

 容姿:東方の洩矢諏訪子

 個性:坤を創造する程度の"個性"(大地を創造し、操る)

 使用可能スペルカード。

 開宴「二拝二拍一拝」

 土着神「手長足長さま」

 神具「洩矢の鉄の輪」

 弱点:炎

 備考:身体の半分はミシャグジさまでできているため、神力を打ち出す弾幕や飛行も可能。

 

 

 

 


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