魔王の写し児   作:ドリーム

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魔王っ子の一週間

 

「ふんッ!」

 

シュンッという音を立てて拳が突き出される。

 

「オリャッ!」

 

同じ音を立てて拳を何度も突き出す。

 

どんな町にも人が寄り付かないような場所がある。という全く確証のない考えを信じて歩き回り、ようやく見つけた廃ホテルに引きこもっていた。埃かぶったベットで眠り、コンビニで朝食をとり、このように身体能力を確かめることを繰り返して一週間が経った。

とりあえずこんな生活をしていて肌荒れが全くないことに若さってすげーなと思う。(精神年齢:24歳)

 

「すごい動くなこの体…まさにドラゴンボールじゃん…」

 

そうなのだ。この体…身体能力が凄まじく、動きが完璧にドラゴンボールの超人達みたいだ。

 

毎日嬉しくて壁を壊したり(コンクリ製)、ホテル屋上から飛び降りたり(20メートル)、舞空術使えないかなとぴょんぴょん飛んでみたり(少し浮いた)、とにかく色々していた一週間だった。

 

しかしあることに気づく。

 

 

 

 

 

 

「寒さにはさすがに勝てないよなあ」

 

肌寒くなって来て、鳥肌が立ってくる。そういえばお風呂の暖かさをここ暫く忘れていた。遺憾ながら…仮にも今の俺は幼女。誠に遺憾ながら幼女なのだ。さすがが薄汚れた幼女というのが今の自分じゃあなんともいえない。

 

「腕立てしながら考えることじゃないけど…」

 

さすがに外に出て寒さを防げて、お風呂にも入れるようにならなきゃな〜…

 

 

 

 

 

と、不動産に来てみて気づいた。というか思い出した。

 

ーーーーあ、今の俺…戸籍不明の幼女じゃん…

 

 

 

 

「まさか…幼女がここまで不便だとは…一応銭湯には行ったけど…」

 

間違えて男湯入った時はおじさんに引っ張られて女湯に入れられたな。どうだったって?美人が多かったね(真顔)

 

しかしホッカホカだ〜…う〜ん…ココアがうまい。

 

でも行くとこねえな…どうしようか…ストリートファイトでも仕掛けるか(白目)

 

「よう!何してるんだ?」

 

お?誰ぞ?

そう思い声の元へ首を向ける。

 

 

 

 

 

…イケメンだね。恨めしいくらいイケメンだね。ヌッコロしてえ…

おっといけない。ついバーサーカーソウルが…

 

「君は誰?」

「誰って…昨日遊んだじゃん!()()()

 

 

…………うん?なのは?

 

「俺…なのはちゃんじゃないよ」

「はあ?何言ってんだよ。その顔は間違いなくなのはだよ!鏡貸そうか?」

 

なんで鏡持ってんだというツッコミは置いといて…ふむ…ああそうか。なのはちゃんにあった時の違和感がわかった。

 

 

初めてなのはちゃんにあった時声とか顔に違和感…どこかで見た、聞いたと思ったら…

 

 

 

俺と瓜二つ…そっくり…分身の術…すんごい似てる。

 

 

というかそのまんま。違いは茶髪じゃなくて真っ黒い髪に赤と紫のオッドアイの眼かな…

 

というわけで…

 

 

「違うよ、俺はなのはちゃんじゃなくて王華まおかだよ。眼の色とか髪の色とか違うだろ?」

 

「え?…あッ!?ほんとだ!よく見ると違うッ!!」

 

やれやれ…そっくりな人間っているもんなんだな…

 

 

 

 

 

 

少年(イケメン)視点

 

公園のベンチ

 

俺は川嶋!転生者だ。リリカルなのはがアニメ以来大好きになって転生者してなのはにあってすんごく盛り上がった!気分が!

ロリなのはすんげー可愛かったし、元気でたわ…

宣言しよう!俺は将来なのはに告って付き合う!そして一緒に戦ったり、イチャイチャしたりしてゆくゆくは結婚して幸せになるとッ!そのためにはなのはと小さい頃から仲良くして、なのはの家族に認められるくらい鍛えて強くなって!原作でなのはが傷つく原因を少しでも減らして行くんだッ!

 

 

……すまん。1人で盛り上がってしまった。とにかく、そんな感じで今日もなのはと遊ぼうと思って公園に来たのだが…

 

 

「おーい!固まってないで返事してくれー」

 

なのはそっくりの子にあった。いや、そっくりというかそのまんまというか…

 

げ、原作にこんな子はいなかった筈…まさか僕と同じ転生者…

試して見るか…

 

「ね、ねえまおかちゃん」

「ん?なんだ?」

「魔法って知ってる?」

 

どうだッ!?

 

 

 

 

 

まおか視点

 

魔法?魔法なんてこの世界にあるのか…そいつは知らなかった。

 

「いや、知らない。そんなのがあるのか?」

 

「え?い、いや冗談だよあはははは…(ホッ…)」

 

なんだないのか。ちょっとでも期待して損だったな。さて、そろそろ帰るか。あんな廃ホテルでも少しは寒さに耐えられる。

 

「あッ!どこ行くの?」

「帰るんだが?」

 

そう言ってホテルの方に歩いて行く。

 

「あ…」

 

 

 

川嶋視点

 

帰ってしまった。

あれ?でもあっちの方には廃ホテルぐらいしか何もなかったけど…

 

 

まさか…

 

 

 

まおか視点

 

さて、ついたついた。帰り道、すごい視線を感じたけど気のせいだろうか…まさかロリコン!?…な訳ないか…自意識過剰にもほどがある…

 

ん?

 

「…なんてこった…不良が集っているじゃないか…」

 

廃ホテルにはそれはそれはテンプレな奴らが集っており、あそこを通らなければいつもの部屋にはいけない。

 

「まおかちゃんッ!」

「お、どしたの君」

「あそこはよく不良がいるから危ないよ」

 

と言ってもな〜…あそこ今の所俺の家だし、荷物もいくつかあるから行かないわけには行かないんだよな〜…

 

不良って何人いるんだ…?

 

ひーふーみー…8人か〜

 

 

「問題ないな」

 

「いや、あるよッ!!」

「うるさいな〜…まあ見てなさいって」

 

 

俺はそう言い、中へ走って行った。

 

 

 

川嶋視点

 

お、俺は夢を見てるんだろうか…

まおかちゃんが心配でついて行った。ストーカーじゃないです。

彼女は家に帰ると行ったがその彼女の家は見当たらずあるのはでかい廃ホテル。もしかしてここに住んでるのだろうか…だとしたら…

そう思うと彼女がとても可哀想に見えてきて …

 

しかし…今僕が見てる光景は

 

 

「それッ」

「うぎゃっ!」

「ホイッと」

「なにぃッ!」

「うよいしょぉぉ!!」

「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁッ!?」」」」

 

最初は素通りしようとしてたんだ。でも不良に見つかり、案の定囲まれ、リーダーらしい男がまおかちゃんの服を引きちぎったんだ。

 

俺は我慢の限界で、殴られても良いという覚悟で走り出した。

 

しかし…

 

「次は〜…お兄さんかな?(笑顔)」

「ひぃッ!」

「幼女ってなんだっけ(哲学)」

「「「「「「それな(白目)」」」」」」

「オラッ!」

「グハァッ!」

「ありがとうございますッ!」

「えぇ…(ドン引き)」

 

囲っていた不良は花火のように吹き飛ばされ、

 

突進して行く奴は殴り飛ばされて、

 

羽交い締めしようとする奴は回し蹴り飛ばされて、

 

殴ろうとする奴には腕を掴み拳をコンクリの地面に叩きつけて、

 

最終的に不良の山が出来上がり、

 

まおかちゃんはリーダー格にもうここに来ないことを約束させて追っ払ってしまった。

 

「ま、まおかちゃん!大丈夫ッ!?」

「ん?心配してくれてありがとうな。大丈夫だよ。」

 

 

 

 

 

 

まおかちゃん…君は一体…何者なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称視点

 

ブレイクワールド

 

 

人はいなかった次元世界。

文明はなかったけれど、緑豊かで、生物が普通に生息していた無人世界。

 

しかし今は…

 

木々は荒れ果て、水は汚染され、生物のほとんどが体から紫色の鉱物を生やした禍々しい姿に変えられ、本能のままに暴れまわっていた。

 

空はくらい雲に覆われ、美しい緑と青の世界は、黒く薄紫色の霧が立ちこもる世界に変わっていた。

 

 

 

 




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