おっすおらぐだ男。まあ冗談はさておきこの愚痴を聞いてくれているみんなはセイバーオルタがマナーモードと化すほどのトラウマについて覚えているだろうか?ぶっちゃけ俺はこの目でその景色を見るまで普通に忘れていた。なんだかんだで優しいあいつだからきっと本気で怒ることは無いんだろうとそう思っていた。
その認識が甘かった。もちろん俺があいつをキレさせるようなことはしていない。けど俺は見た、見てしまった。本気で怒るあいつを。情け容赦なくただただ敵を蹂躙するあいつの姿を。
舞台は第1特異点、フランス
ワイバーンのボスにして伝説のドラゴンファブニールを現地で交流した竜殺しの英雄、ジークフリートとともに辛くも勝利を収めた俺たちカルデア一行は敵の本拠地であるオルレアンに潜入し、道中襲いかかってくるバーサーク化した敵サーヴァントをなんとか退けついにこの戦いの最後の敵、ジャンヌ・オルタとジル・ド・レェの元へと辿り着いた。
隣でジャンヌ・ダルクとジャンヌ・オルタをあごに手を当てつつ観察していた芸術バカを無視していざ決戦を始めようとした時、突如笑い声が響く。
あまりに突然のことで俺たちどころか敵も固まるなか、当の笑い声をあげた張本人たるあいつはその笑い声とは裏腹にまるで笑っていないその目に確かな怒りを滲ませてジル・ド・レェを睨む。
そのあまりの剣呑さにとっさに海魔を召喚するジル・ド・レェだがあいつの操る起爆粘土により数瞬で爆破される。
爆破によってより無惨な姿になった海魔を見てあいつは心底つまらなそうに『貴様の芸術はもう飽きた。はじめこそ新しい形だと思ったが、今じゃまるで心踊らない。センスも魂も感じない作品など何度作っても同じだ。早々に消え失せろ』唾でも吐き捨てるかのように放たれたそのセリフにさしものジル・ド・レェも怒りを露わに声を上げようとするがどこまで冷え切ったあいつの視線がそれを許さない。
『もういいだろ?三流芸術家。くだらない人形ごっこはここでお終いだ』やはりつまらなそうに言うあいつの言葉にジル・ド・レェの表情が今度は驚愕に染まる。事態にまるでついていけていない俺たちはただただ疑問符を浮かべるだけだ。唯一納得の表情を浮かべているジャンヌが説明してくれたことによるとなんでも俺たちの目の前に存在するジャンヌ・オルタは聖杯によって作られた偽物らしい。その事実に思わず顔を見合わせったら俺とマシュだがジル・ド・レェの叫びがその意識を現実に引き戻す。
『このフランスはジャンヌを裏切った!!この国を救ってくれたジャンヌに対し、その恩に報いず在ろう事か罰を与えた!!たとえジャンヌ本人がそれを許そうとも、この私が許さない!!ジャンヌを殺したこの国も!!そこに生きる民も!!この世界共々滅べばいいのだ!!そのために私は、私の思うジャンヌを作り出した!!この国に復讐を願う、この国に裁きを加えるジャンヌをだ!!』
あまりに身勝手なその叫びに答えたのはやはりあいつだった
『くだらねえ。心底くだらねえよお前。死んだ人間は生き返らない。たとえどれだけ精巧に作っても所詮はただの人形だ。糸が切れたら動かない、ただのガラクタだ』
まるで自分に言い聞かせるようにそう呟くあいつになおもジル・ド・レェは食ってかかるがそれを睨んで黙れせたあいつはさらに続ける
『愛情ってのは向こうが答えて初めて意味をなす。一方的な愛情などただただ迷惑なだけだ。しかもそれを死人に向けるなんてあまりにくだらなすぎて言葉も出ねえよ。いい加減現実見ろよ三流、お前の隣に立っているのはただの人形で、お前のやってることはただの自己満足だ。そこに魂もなければ、当然意味もない』
それは果たして敵に向けられた言葉なのか、なぜか俺にはその言葉全てがあいつ自身に向けられているような気がしてならなかった。
『お前はこの俺直々に殺してやる。くだらない人形ごっこの先達者として、俺自ら引導を渡してやる』
『亥・戌・酉・申・未…………口寄せの術!!』
親指を噛み、あいつが印と呼んでいたものを一瞬のうちに組み終えその右手を地面に叩きつけた瞬間、叩きつけた地面に浮かぶ魔法陣のようなものを中心に世界が変わる。
俺たちを囲んでいた城内の壁は消え去り地平線が見えるくらい広く平坦な世界が広がる。赤褐色に染まる土の上にまるで死体のように転がる数え切れない数の人形。上を見上げれば血のように真っ赤な空に黒い雲が浮かんでいる。おおよそ一般的な空間とは大きく異なるそれがあいつの持つ固有結界の景色だった。
暫く呆然とその景色を眺めていた俺たちだがそこで隣にあいつの姿が無いことに気付く。
僅かに聞こえる戦闘音を頼りにあいつの姿を探していると小高い丘の上からジル・ド・レェを見下すあいつがそこにはいた。
指先から出る細い糸のようなもので黒いボロボロの布を身に纏った【風影】と呼ぶ人形を操るあいつは敵の操る海魔を、生成した鳥型の起爆粘土で迎撃しながらジル・ド・レェ本体を時に爪で切り裂き、時にクナイで突き刺し、時に叩きつけたりと一方的蹂躙していた。
聖杯による魔力の支援と、圧倒的な回復力を身につけているにも関わらずまるで手が出ない敵を見て顔を青くしてしまうが『ちょっとだけ本気を出すか』どこか楽しそうに告げられるその言葉を聞いて思わず敵に同情してしまう。いつの間にか隣に立っていたセイバーオルタが若干震えた声で『今回は随分と優しいんですね』と言うがあんた一体何されたんだよ。
そう思っている間にも戦況は大きく変わる【風影】の口が開いたかと思えばそこから黒い物体ーーセイバーオルタが言うには砂鉄をーーを放出し三角錐と直方体の形に砂鉄を固めたかと思えば俺の目では目視不可能な速度でジル・ド・レェめがけて放たれる。三角錐でえぐり、直方体で押しつぶすその攻撃は死なないように絶妙に加減されており抵抗もできないジル・ド・レェを何度も痛めつけていた。
もはや海魔を召喚する宝具すら奪われなすすべもなく一方的に蹂躙されるジル・ド・レェを冷めた目で眺めたあいつは一方的な虐殺に飽きたのか攻撃の手を止めて語りかける
『知ってたか三流。最初この世界には傀儡もなく青い空と白い大地が広がってたんだぜ?じゃあこの大地を、この空を赤く染め上げたものはなんだと思う?そこら一帯に転がっている傀儡はなんだと思う?俺の足元に転がっている俺そっくりな赤い髪のこの傀儡は一体なんだと思う?………ああ別に答えなくていいぞ。そもそもお前に聞いてるわけじゃねえしな。なに、ただの傀儡になりきれなかった愚かな男の末路だ、大したことはない』
こいつは誰だ?思わずそう疑ってしまうほど、そう語った時のあいつは小さく見えた。いつもの不遜な態度は鳴りを潜めどこまでも自嘲気味に笑うあいつはらしくなかった。
『…幕引きにするか』
その言葉と同時に宙を舞っていた直方体の砂鉄の上に三角錐の砂鉄が重なる。まるで雲のようにジル・ド・レェの上空に移動したそれは少しずつ雨のように砂鉄を降らせ
『砂鉄界法!!』
あいつの言葉を引き金に空中にいくつもの黒い線が走る。
蜘蛛の巣のように張り巡らされたそれは確実にジル・ド・レェの行き場を奪いその体に突き刺さる。空中に突然できた幾何学模様に思わず魅せられてしまうなかその様子を冷めた目で見つめるあいつはなおもジル・ド・レェに語りかける
『いいことを教えてやろう。今お前の周囲には砂鉄によって作られた結界が幾重にも重なっている。なに、大した結界じゃない。ただその空間を密閉するだけのものだ』
『そしてこの砂鉄だが2つほど仕込みをしている。1つは毒。と言ってもこちらも大した効果はない。血行を促進するだけの効果しかない比較的マシなもんだ。まあ量を工夫すれば呼吸困難に陥ることもあるがそれは今はいいだろう』
『ではもう1つの仕込みは何か。なに、これも単体では大した威力はない。微分子レベルまで小さくした起爆粘土が砂鉄に混じって今もなおその密閉空間を漂ってるだけだ。もっともそのあまりの小ささから皮膚の細胞や呼吸によって体内に侵入し血流に乗って体全体に行き渡るが……どうやら気付いたみたいだな』
『言っておくがサーヴァントだからと期待はするなよ?この起爆粘土に最高レベルのチャクラC4が込められている。C1程度で手も足も出なかった貴様に防ぐすべはない。……じゃあな』
『喝!!…………昇華』
それで戦闘は終わった。
塵芥のように消えていくジル・ド・レェをあいも変わらず冷めた目で眺めているあいつが見ていられなかったからか、らしくもないことだと自覚しながらあの芸術バカに近寄って乱暴に頭を撫でる。
無言で腹パンしてくるが全然痛くない。なんならあと100回殴られてもいいくらい…嘘です冗談です。だから全く同じところを何度も殴るのをやめろ。
『この俺が落ち込んでるとでも思ったかバカが。だからお前はダメなんだよ』
いつの間に回収したのか左手に聖杯を持ちながらあまりの痛みに這いつくばる俺を足蹴りして嗤う(誤字にあらず)
そのあまりのいつも通りさに思わず笑顔が……違うよ?これは足蹴りされて喜んでるとかじゃないよ?だからマシュ、そんな目で見るのやめて?ほんと違うからね?セイバーオルタもそんな目で……え?いつも通りだって?いつも俺をそんな目で見てたの?!やめろ!!セイバーオルタにそんな目で見られたら変な扉を開きそう……嘘だから!!なんでみんな一歩引くんだよ!!芸術バカも見てないで止めろよ!!『今のお前はこれまでにないくらい輝いてるぞ』じゃねえよ!!こんな状況で輝くわけが……え?嘘じゃないの?え?マジで?おい!!こっちを見ろ!!ジャンヌさんから触媒もらうのは後でいいだろ!!なんでジャンヌ・オルタからも触媒貰ってんだよ!!頼むから!!さっきから聖剣で背中グリグリされてんだよ!!あれ?レイシフトされてる?ちょっと待って。せめてジャンヌさんの誤解だけ解いて…………ちくしょおおおおおおおおお!!!
主人公 基本シリアスはサソリの過去が関係する
固有結界と言う名の異世界をもち、その中ではチャクラを使用して戦うことが可能。
そのため固有結界内であれば対魔力を無視した攻撃が出来、ヘラクレスを殺すことも可能になる。
ただ結界の維持にかなりの魔力を消費するため万全の状態でも1時間が限界。ヘラクレスと戦った場合魔力切れより先に固有結界が崩壊するため頑張っても5、6回殺せるか殺せないかくらい。
転がっている傀儡はサソリとデイダラが殺してきた忍びたち。
チャクラを消費すれば生きている人間の傀儡を生成できるが実力は格段に下がっているため基本使わない。また同様にチャクラを消費すれば傀儡の見た目を限りなく本物に似せることも可能。こちらも基本使わない。
ちなみにセイバーオルタと戦ったときはチャクラを大量消費して見た目そっくりなオルタ人形を使って戦った。
上からの砂鉄による攻撃、下からの起爆粘土による攻撃、横からは速さ重視の起爆粘土と大量のオルタ人形による攻撃。しかも砂鉄による攻撃はオルタ人形もろとも突き刺すと言う鬼畜仕様。
最初宝具による攻撃で重傷を負うがその後は宝具の溜めを与える隙もなく攻撃を続け最後には我らがデイダラの十八番を3発導入して試合終了。こりゃトラウマにもなりますわ