人理修復に芸術家を入れてみた   作:小野芋子

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マリー編

これまで愚痴を聞いてくれたみんなに朗報だ。

今回は数少ないあの芸術バカが苦手としているサーヴァントについて話したいと思う。

 

 

まず言いたいのはあいつが苦手にしているということがどれだけ珍しいかということについてだ。

 

あいつは基本合理主義者だが付き合いのある奴や気に入った奴には甘い性格をしている。

だが逆にいえば嫌いなものには徹底して冷めた態度か最悪無視を決め込む人間だ。

まあサーヴァントというのは殆どが麗しい見た目やたくましい外見、中身だって一癖も二癖もあるがなんだかんだ言って憎めないようなのがゴロゴロいるから現在カルデアにいるサーヴァントの中にあいつが嫌う存在はいない。

 

だからこそ苦手というのは珍しい。

苦手というのはつまりは嫌いでは無いが好んで接触するわけでも無いということだ。

つまり好きか嫌いという極端な性格をしているあいつからすれまずありえない立ち位置だ。

それにあいつは見た目がよければそれでいいという性格でも無い。

さて長々と話したがではあいつが苦手とするのはどんな人間か。

 

それはまあ簡潔にいうと向こうからガンガンくる人間だ。

 

例を挙げるなら源頼光さんやナイチンゲールさんのような感じの人だ。

特にナイチンゲールさん。

作品に没頭して睡眠を忘れたり食事を忘れたりすることが多々あるあいつだからこそナイチンゲールさんは大の苦手だ。

この前強制で眠らされたしな。

それも薬によるものじゃなくて拳によって。

あの時は素直に同情した。

まあそんなことがあっても作品作りをやめないあたりあいつも筋金入なんだけどな。

 

 

 

話が逸れたが、早速本題に入りたいと思う。

 

舞台は前回に引き続きフランス。

ジャンヌと合流した俺たちは時々やってくるワイバーンを危なげなく倒しながら現地にいる野良?のサーヴァントと合流し、少しでも戦力を上げようと考え行動していた時。

 

そんな時に出会ったのがアマデウスさんとマリーさんだ。

 

ここまではいい。

別に流れとしておかしくないし、戦闘向けでは無いとはいえ戦力になる人材であるのも事実なのでこの出会いに文句はない。

 

まあ誰と出会おうと貴重な経験だから文句をいうつもりは無いがそれは置いておこう。

 

あの芸術バカがあいも変わらずマリーさんに声をかけたのもまあいい。

短い付き合いだがあいつがその行動をとることに不満こそあれど不思議では無いからだ。

 

問題はその先。

 

少し想像してほしい。

 

あの芸術バカは確かに変人だがこと容姿に関していえば上の中かそれ以上に当たるくらいには整っている。

それに身長は160前後と年齢に対して低め、童顔で中性的な顔立ちをしていて下手をすれば小学生と間違われるくらいには幼い外見をしている。

そんな少年が無表情ながらにキラキラした目で詰め寄ってくるのを果たして母性溢れる女性が見たらどうなるか。

 

答えは猫可愛がりをする、だ。

 

俺はあの時の出来事を未来永劫忘れることはないだろう。

なんてったってあの常に無表情な芸術バカが目を見開いてぽかんとした表情を浮かべたのだから。

もちろんそんなことを気にするマリーさんではない。

惚けている間にも頭を撫でたり抱きついたりベーゼしたりとやりたい放題だった。

 

因みに俺とマシュはその様子をガン見しながら聖剣ブッパしそうなセイバーオルタさんを命がけて止めていた。

確かにあいつを救出したほうが早いかもしれないが好奇心には勝てなかった。

 

その後ようやく意識が回復したあいつが珍しくも顔を真っ赤にしながら距離をとっていたが色んな意味で遅かった。

マリーさんが完全に狙いを定めたという意味でもDr.ロマンが録画したという意味でも。

 

 

 

 

 

 

 

どうだ?

スッキリしただろ?

まさかあの変人にそんな弱点があるとは思っていなかったから当時はそれはもう浮かれたものだ。

 

まあ録画された映像をDr.ロマンが高値で取引していたこと知った時はドン引きしたがそれは置いておこう。

 

じゃあ現在あいつはどうなっているのか。

 

答えはこれだ。

 

誰が書いたのか、いつの間に貼られていたのかはわからないが廊下に貼ってある《廊下を走るな》と言う忠告を無視して起爆粘土で作った小さめの鳥に乗って追いかけてくるマリーから全力で逃走している。

 

いやある意味忠告は守ってるのか?

確かにあいつは走ってはいないか。

 

まあどうでもいいな。

そんな感じで逃走しているあいつだが結果は見えている。

 

なんせあいつの向かう先には対芸術バカに特化したサーヴァント、アタランテ様がいるからな。

何やら遠くから

 

『俺はもう16歳だ!!子供では無い。だから離せ!!おい!!どこへ連れて行く気だ!!なぜマイルームにメディアがいる!!その服はなんだ!!おいお前たちなぜそこで見ている!!俺を助けろ!!くそ!!こうなれば令呪で!!.......ルールブレイカーだと?!やめろ!!こんなものは芸術ではない!!ダヴィンチのやつが仕立てようが関係ない!!だからやめろ!!やめろおおおおおおおおお』

 

とか聞こえるが気のせいだ。

 

心なしか遠い目をした男性陣があいつのマイルームがある方面から歩いてきているが気のせいだ。

 

フェルグスの兄貴が数人がかりで取り押さえられているがあれは見てはいけない。

神話の益荒男たちは両刀が多いと聞くがそれも関係ない。

関係ないったら関係ない。

だからマシュ今日は外に行こうか。

ん?あの芸術バカは大丈夫なのかって?

大丈夫だよ。

あいつは強いやつだから。

.....きっと大丈夫だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 




ぐだ男
なんだかんだ言ってカルデア内で一番仲がいい。
最近冗談をいうようになったり。感情豊かになりだしたのは基本こいつとマシュのおかげ。
たまにエミヤに愚痴をこぼすとやけに優しい顔をされるのだが原因は分かっていない。

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