人理修復に芸術家を入れてみた   作:小野芋子

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今回は会話のみです


番外編 相談室だよ芸術家さん

「相談室?」

 

「ああそうだ。より素晴らしい作品を描くためには人の心情を理解する力も必要だろ?」

 

「まあそれは一理あるが、それがなぜ相談室につながる?」

 

「ただのついでだよ。君は人の気持ちを理解する力が身につく。相談者は相談に乗ってもらえる。ほら、ウィンウィンだろ?」

 

「………まあいい。たまには息抜きも必要だ。暇つぶしがてら相談室とやらもやってやるよ」

 

「さすが芸術家くん、話が分かる!!ああ、君の声はボイスチェンジャーで加工されている上に翻訳機によって相談者には敬語で話しているように聞こえるから君は普段通りの対応をしてくれていいよ!!それから初回ということで相談者は外部の人間にするから知り合いもいないし気楽にやってくれていいよ!!」

 

「どうでもいい」

 

「君らしいね。それじゃあ明日の朝9時にそこに書いてある場所に行ってくれ」

 

「了解した」

 

「頑張ってね!!」

 

 

 

 

 

「さて、明日が楽しみだな♪」

 

 

 

 

 

 

case1 夫との関係

 

『わたくしとますたぁの関係について相談したいことがあるんですがよろしいですか?』

 

「ここはそういう場所だ、好きにしろ」

 

『ありがとうございます。実はますたぁ、あっ!!ますたぁはわたくしの旦那様なのですがいつまでたってもわたくしに手を出してくださらないんです』

 

「へー、で?」

 

『どうにかして関係を進められないでしょうか?』

 

「じゃあこれを貸してやる」

 

『これは?』

 

「媚薬だ」

 

『へ?で、でもそれじゃあ無理やりそういう気持ちにさせているようで心苦しいのですが?』

 

「バカが、結婚しているのにいつまでたっても手を出さないお前の旦那とやらが悪い。挙句の果てにこんないい女が人に相談するほど追い詰められていることにも気付かない始末だ」

 

『で、でも』

 

「人というのはな、やりたいことやってる時が一番美しく輝くものだ。何をためらう必要がある?」

 

『そうですね!!ありがとうございます!!早速今晩使ってみます!!』

 

「それでいい」

 

『それでは失礼します!!相談に乗っていただき有難うございました!!』

 

 

 

 

 

 

 

case2 ツンデレな彼女が最近冷たい件

 

『相談というのは他でもない(オレ)のセイバーについてだ』

 

「聞こう」

 

『セイバーが(オレ)のことを好いておるのは間違いないのだが、照れているのかどうにも最近(オレ)への対応が冷たくなって来ていてな』

 

「それで?」

 

『原因は分かっているあの芸術家なるものがセイバーを誑かしているからだ。この(オレ)にも見せん笑顔をその男に向けていたのだまず間違いない。全くその作品の数々でこの(オレ)を興じさせてくれるあやつのことは気に入っていたのだがな……だがそれとこれとは話が別だ。セイバーに手を出すのであれば仕方がない。この(オレ)手ずから裁きを下さねばなるまい』

 

「それは相談に来る必要はあったのか?」

 

『何、ただの気まぐれでここを訪れただけのことよ。英雄王たるこの(オレ)が気まぐれとはいえわざわざここを訪れたのだ感謝するがよい』

 

「……コンクリートに咲く花がなぜ美しいか分かるか?」

 

『許す、話せ』

 

「別に難しいことじゃない。コンクリートという場所で懸命に花を咲かせるからこそその花は美しいのだ。だが、その美しさを得たいがために摘み取ってしまえばその花に価値はなくなる」

 

『なるほどな。要はその美しさが欲しければコンクリートごと奪い取ればいいということか。いいぞ、なかなかに面白い意見だ、褒めてつかわす!!褒美をやろう。なに遠慮はいらん、さしあたり我が財宝の中でも特に上等な酒をやろう。じゃあな顔もわからぬ雑種よ』

 

「ああ」

 

『芸術家ごと貴様を我がものとしてやるぞセイバー!!フハハハハハハ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

case3 人間関係について

 

『相談というのは他でもありません。私の上司と娘についてなんですが』

 

「構わん、言え」

 

『有難うございます。では先に娘についてなんですが、どうにも私を避けているようなんです。毎朝部屋から出て来たところを挨拶するんですが無視されてしまって』

 

「毎朝?」

 

『ええ、娘が部屋から出るのを毎日部屋の前で待っているんですよ。恥ずかしながら初めての娘でして接し方が分からず、取り敢えず毎朝の挨拶だけはしておこうと思いまして』

 

「まあ挨拶は大事だな」

 

『そうですよね!!やはり礼儀を重んじることは大切なことですよね!!ではなぜ娘は私を無視するようなことを……』

 

「朝に弱い体質なのかもな」

 

『なるほど!!それは盲点でした。これからは少し待ってから挨拶をした方がいいのかもしれませんね』

 

「それで、もう1つの悩みってのはなんだ?」

 

『ええ、実は私の上司のことなのですが。実は私の上司はある男に恋をしているようなんですね』

 

「ふーん、それで?」

 

『恋すること、それ自体は喜ばしいことなんですよ。なんせいつも仕事ばかりでそういった浮ついた話を聞かない人ですから』

 

「問題はその男にあると?」

 

『ええその通りです。なんでも道行く女性全てに声をかける軽薄な男だと聞いているので』

 

「お前の上司はそういった男が好みなのか?」

 

『いえ!!むしろ誠実でいて男らしい男が好みだと』

 

「ならどちらかが間違いなんだろ。実際にお前は確かめたのか?」

 

『いえ。そうですね、噂だけで判断するとは私もまだまだ未熟者なようだ……。ありがとうございます、参考になりました。なにぶん不器用な私ですから言葉による会話ではなく拳によって語らってみたいと思います』

 

「まあそれでいいだろ。一応言っておくがその結果がどうであれその上司がその男を選ぶのであれば……」

 

『分かっています。大人しく見守ることにしましょう。今日は相談に乗っていただき感謝します』

 

「別にいい。これも仕事だ」

 

『それでは早速あの男を探して来ますので、ここで失礼します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

case4 Arthur

『Arrrrrthurrrrr……!!!!』

 

「……」

 

『Arthur………!!!!!』

 

「………」

 

『Arrrrrrrrrthurrrrr………!!!』

 

「………」

 

『Ari……gato……u』

 

「別にいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

case5 割と切羽詰まってます

 

『頼む俺を匿ってくれ!!』

 

「構わん、話せ」

 

『いや、そう言うんじゃなくてだな!!今弓を持った女に追われているんだ!!人ならぬクマ助けだと思って俺を匿ってくれ!!』

 

「何か悩みでもあるのか?」

 

『強いて言えばまるで話を聞かないお前を説得する方法かな?!』

 

「取り敢えず落ち着け」

 

『落ち着いてられるか!!死んじゃうよ?俺死んじゃうよ?!外でたら廊下に大量の綿が散らばっていても知らないからな!!』

 

「悩みは無さそうだな」

 

『何をみてそう判断した!!悩まず逝けってか?死んだら悩みも無いってことか?!』

 

『あっ!!ダーリンこんなところに居た!!』

 

『出たああああああ!!』

 

「新しい客か。悩みはなんだ?」

 

『違うよ!!あれはどちらかと言うと人を悩ます方だよ?!』

 

『うーん。ダーリンともっと親密になりたいことかな?』

 

『それってダーリン間に挟んで聞くことじゃ無いよね?なに?遠回しにもっと親密になれと言いたいのか?!』

 

「ならこの媚薬を使え」

 

『なんでだあああああ!!!色々段階すっ飛ばしすぎだろ!!物理的に親密になれってか?!親密(物理)ってか?!』

 

『ありがとう!!早速今日一服盛ってみるね!!』

 

『怖くて今日何も喉を通らねえええええええええ!!!』

 

「頑張れよ」

 

『それはどっちに向けられた言葉だ!!俺か?俺なのか?!』

 

『じゃあ行こっかダーリン!!』

 

『誰か助けてええええええ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

case6 近々友達の誕生日なんですが

 

『実は相談というのは俺の……と、友達についてなんですが…』

 

「構わん、言え」

 

『ありがとうございます。その…近々そいつの誕生日があってサーヴァント達と祝おうと思っているんですけど、なにぶんそいつは変人なんで何をあげれば良いのか…』

 

「そんなもん俺が知るか」

 

『全く持ってその通りです……。けど、友達に誕生日プレゼントをあげること事態が初めてなんで、無難なもので良いので何か意見を貰えないでしょうか?』

 

「はぁ……。そいつの趣味は?」

 

『作品づくりです』

 

「ほう、気が合いそうだな。まあいい、ならば実用性の高く尚且つ長期に渡って使えるものを買うのが良いだろう」

 

『成る程。確かにその方があいつは喜びそうですね』

 

「まあ喜ぶかどうかは知らん。が、そういうのは祝われただけで嬉しいと聞くが?」

 

『いえ、そいつ変人なんでその辺はどうなんでしょうね……』

 

「おかしな奴もいるものだな…」

 

『そうなんですよ!!あいつはほんとおかしいんですよ!!この前だってーーーーー

 

 

ーーーーーーってこともありまして………あっ!!すいません。つい話し込んでしまって』

 

「別に良い。これも仕事だ」

 

『そうですか。ってヤベッ!!もうこんな時間だ!!すいませんが俺はここで失礼しますね!!』

 

「プレゼントの件だが」

 

『?』

 

「今筆が痛んでいてな。ちょうど新しいのが欲しかったところだ」

 

『へ?……え?お前まさか……?!』

 

「じゃあな」

 

『ちょっ!!待てっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなところに居ましたか芸術家殿!!さあ私と勝負です!!」

 

「なんだ?」

 

「何を言っているんだランスロット卿!!いいからアロンダイトをしまえ!!」

 

「ええい離せガウェイン卿!!私には確かめねばならないことがあるんだ!!」

 

「「「「「ほう、それは是非とも聞きたいものだなランスロット」」」」」

 

「あ、アーサー王…?!」

 

(あっこれランスロット卿死んだな)

 

「マスターよ私はハンバーガーが食べたい。だから食堂に行くぞ」

 

「?…別にいいが」

 

「待て芸術家殿!!私の用はまだ終わっていない!!」

 

「……ガウェイン卿」

 

「な、なんでしょう王よ?」

 

「そのランスロット(バカ)をフェルグスの刑に処しなさい」

 

「わ、分かりました」

 

「や、やめろ!!ガウェイン卿!!その手を離せ!!王よ!!慈悲を!!」

 

「「「「「ギルティ」」」」」

 

「あなたには(ヒト)の心がわからない!!」

 

「さあ行くぞランスロット卿」

 

「やめろガウェイン卿!!芸術家殿!!私と決闘を!!芸術家どのおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたぞ芸術家!!あいも変わらず(オレ)のセイバーを誑かしおって」

 

「私はお前のものではない」

 

「しかし(オレ)も寛大だ。今回は目を瞑ろう」

 

「私はお前のものではない」

 

「だが貴様にはセイバーとともに来てもらうぞ。これは王たる(オレ)の決定だ。拒否権はない!!さあ来い芸術家!!セイバー共々この(オレ)手ずから可愛がってやる!!」

 

「ギルガメッシュ…君もそっちに目覚めてしまったんだね…」

 

「どうした我が友よ。その鎖はなんだ?」

 

「大丈夫だよギルガメッシュ。痛くはしないから」

 

「待て我が友よ!!(オレ)はそいつらに用が……いないだと!!」

 

「さあ行こうかギルガメッシュ」

 

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ますたぁ♡」

 

「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」

 

「ダーリン♡」

 

「うわあああああああああああああああ!!!!!」

 

「今日は騒がしいな」

 

「そうですね。それよりもハンバーガーを食べたいです」

 

「少し待ってろ。今作る」

 

「はい!!」

 

 

 

 

 




ツッコミ不在の芸術バカを書きたかっただけなのに何故こうなった?

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