愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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タイトルからわかるとおり・・・・黒歌さんがちょっと可愛そうというかなんというか・・・・

どういうことかはその目でお確かめを

それでは本編どうぞ!


黒猫の受難

「つ、疲れた・・・・」

 

始業式を終え、帰宅する途中・・・・・俺は思わずそう呟いてしまった。

 

俺に婚約者がいると露呈してしまった後・・・・・本当に大変だった。その婚約者というのがどういう子なのかとひたすらに質問責めにあったからな。その時は始業式が始まる時間が迫っていたので皆すぐに切り上げてくれたが問題は始業式が終わったあとだ。皆がまた一斉に聞き出そうと俺のところに迫ってきて・・・・流石に付き合ってられなかったので大急ぎで帰り支度をして逃げ出したのだ。

 

「どうにか撒けたが・・・・・マジ疲れた。なんなんだ皆のあの異様な執着は?」

 

どんだけ他人の色恋沙汰に興味があるんだよ。思春期かっての・・・・あ、高2なんだから思春期か。

 

「本当に大変だったね咲良」

 

「まあ、俺達も通った道だ。君も存分と味うがいい」

 

「お前らな・・・・」

 

一緒にいたイッセーとヴァーリの発言に、思わずイラっとしてしまった。ちなみにこの二人がいるのは帰り道が途中まで同じだったからだ。

 

「だけど、あそこまで頑なに話そうとしなければ誰だって無理にでも聞き出そうとするに決まってるよ?どうしてそこまで話したがらなかったの?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

・・・・・言えるわけ無いだろ。その婚約者っていうのが見た目幼女なんだから。オーフィスと結婚の約束をしたことを後悔したりはしていないが、流石に俺の社会的信用が地の底に落ちてしまうのは避けておきたいところだ。

 

「まあ、君が話したくないというなら無理に聞き出すつもりはないさ。さっきも言ったが俺達も通った道だ。質問責めのしんどさは理解している」

 

ヴァーリが俺に気を遣ってくれるとは珍しいな・・・・まあ、こいつもイッセーと恋人同士になった時は質問責め凄かったからそれが原因だろうな。

 

「でも、無理に聞き出すつもりはないとしてもやっぱり気になっちゃうんだよねぇ・・・・咲良、面倒なことは言わないから写真とかあったら見せてくれない?」

 

イッセーがニンマリと笑みを浮かべながら尋ねてきた。

 

写真か・・・・・

 

「残念だけど俺の婚約者は写真に映るのあまり好きじゃない子でな。写真は一枚もないんだ」

 

「そっか・・・・残念」

 

・・・・まあ、嘘なんだけどな。一枚もないどころか携帯の中には写メ軽く百枚以上入ってるし・・・・もちろん一枚一枚バックアップもとってある。家にあるアルバムはもうすぐ30冊目がいっぱいになりそうだし。

 

「そう落ち込むなイッセー。桐生が会ったと言っていたんだ。俺達もいつか会えるかもしれないだろ?」

 

「んー・・・・わかった。ありがとうヴァーリ」

 

「何に対しての感謝かはわからないが、どういたしましてと答えておこう」

 

ヴァーリに頭を撫でられながら諭され、納得するイッセー・・・・というか、俺の目の前であまりリア充しないで欲しいんですけど。俺もリア充と言えなくはないけどなんかイラっとするんだよこの二人のイチャつき様は。

 

「・・・んじゃ、俺はこっちだから。またな」

 

そうこうしているうちに、二人と別れる場所にまで来たので二人に挨拶をしたのだが・・・・

 

「もう、ヴァーリったら・・・・」

 

「ふふっ・・・・」

 

あ、駄目だこいつら聞いちゃいねぇ。

 

「・・・・・お幸せにー」

 

完全に自分達の世界に浸っているイッセーとヴァーリに、どうせ聞こえていないんだろうなと思いつつも、俺は一言そう告げてその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

学校を出て20分程して、俺は家に帰ってきた。帰宅の挨拶をしながら玄関の引き戸を開けると・・・突然、俺の胸にそれが飛び込んできた。

 

「おっと」

 

俺は少しよろめきそうになったのはこらえて、飛び込んできたものを抱きとめる。飛び込んできたのはもちろん、俺の最愛・・・・オーフィスだった。

 

「咲良、おかえり」

 

顔をあげ、俺におかえりの挨拶をしてくるオーフィス。無表情ながらも、とても嬉しそうなその雰囲気を身にまとっている。

 

「ああ、ただいまオーフィス」

 

オーフィスの嬉しそうな雰囲気にあてられたのか、俺も思わず笑顔になってしまう。オーフィスの頭を軽くなでてやると、オーフィスは気持ちよさそうに目を細めた。そんなオーフィスもまた愛らしく感じる。

 

「よく俺が帰ってきたってわかったな」

 

「咲良の気配感じた。だから来たら咲良帰ってきた」

 

「そっか」

 

俺の気配をか・・・・なんの特別な力も持ってない俺の気配なんてそうそう察知できるものでもないだろうに。それだけオーフィスに想われてるということか・・・・・嬉しいなおい。

 

「そうだ、黒歌と一緒でどうだった?」

 

「良かった。我、満足」

 

どうやら黒歌と一緒にいて楽しかったようだ。本当に黒歌が居てくれてよかった。もしもいてくれなかったら・・・・・やっぱり寂しい思いをさせてしまっていただろうからな。

 

「ところでその黒歌は・・・・」

 

「・・・・呼んだにゃん?」

 

黒歌はどうしてるかとオーフィスに聞こうとしたら、廊下の奥から黒歌がやってきた・・・・のだが、なぜか少々ぐったりした様子だった。

 

「え?黒歌?お前どうしたんだ?」

 

「どうもこうもないにゃん・・・・・咲良が学校に行ったあと、オーフィスに咲良の話を聞かされて」

 

「俺の話?どんな?」

 

「ほとんど惚気にゃ」

 

の、惚気?あのオーフィスが惚気って・・・・ヤバい、超嬉しい。オーフィスのやつ、惚気けるほど俺のこと・・・・

 

「それを・・・・咲良が学校に行ってから帰ってくるまでずっと聞かされてたにゃん」

 

そっか、それを俺が帰ってくるまでずっと・・・・・は?

 

「ずっとって・・・・・ずっと?」

 

「ずっとにゃ」

 

「休憩は?」

 

「お手洗いに行く時だけにゃ」

 

「・・・・マジかー」

 

俺が学校が学校に行って帰ってくるまでって・・・・4時間ぐらい経ってるはず。その間黒歌はずっと俺の惚気を聞かされてたのか?

 

「初めのうちは私も楽しく聞かせてもらったけど・・・・・・流石にずっとはキツかったにゃん。あはははははは・・・・」

 

ヤバい。なんか黒歌が虚ろな目をして笑い始めた。これ相当キテるぞ。

 

「その、なんというか・・・・ドンマイ」

 

「・・・・そう思ってくれてるならそれをどうにかして欲しいにゃん」

 

そう言いながら、黒歌はオーフィスを指差す。それに釣られてオーフィスの方を見てみると・・・・何やら俺の背に手を回し、ギュッと抱きしめながら胸に顔を埋めていた。

 

「オーフィス?何してるんだ?」

 

「咲良のにおいと体温堪能してる」

 

おう、そうきましたか。いや、気持ちはわかるよ?俺だってオーフィスのにおいと体温好きだし・・・・・露呈したら社会的に俺の居場所がなくなりそうだから誰にも言わないけども。

 

というか・・・・

 

「・・・・黒歌。もしかしてオーフィスって俺にぞっこんか?」

 

「何を今更言ってるにゃん。それでぞっこんじゃなかったらそれこそおかしいにゃ」

 

ですよねー・・・・・いや、結婚の約束したから好意的に見られてると思ってはいたけど。最近の行動を鑑みるにこれは相当だと思ったほうがいいのか?オーフィスにそこまで想われてるなんて男冥利に尽きるな。

 

「・・・・今まで気がついてなかったとしたらとんだ鈍感にゃ」

 

・・・・・否定できないな。

 

「ところで咲良・・・・私いい加減見てるだけで胸焼けを起こしそうなんだけど・・・・」

 

明らかに気分が悪そうにしている黒歌。惚気やイチャラブと言ってものは大好物なんだろうなぁと思っていたが・・・・流石に許容量を超過してしまっているらしい。これ以上は流石にいたたまれないからオーフィスを止めるとしよう。

 

「オーフィス、ストップだ。これ以上はやめような?」

 

「いや。一緒にいられなかった分もっと咲良堪能する」

 

一緒にいられなかった分か・・・・・午前だけでこれなら一日学校の日はどうなるだろうか。いや、それはまたあとで考えるとして。

 

「俺ももっとオーフィスを堪能したいよ?けど、このままじゃお昼ご飯作れないだろ?オーフィスはお腹すいてないのかな?」

 

「・・・・我、お腹すいてる」

 

「だろ?だったら・・・・離してくれるな?」

 

「・・・・・わかった」

 

ようやく説得を聞き入れ、話してくれたオーフィス。やや不満気であるが、ご飯には変えられないということだろう。

 

「よし、いい子だ。それじゃあ俺はご飯作ってくるから・・・・」

 

「我は黒歌と話してればいい?」

 

オーフィス、それは勘弁してやれ。見てみろよ・・・・黒歌のやつ小刻みに震えてるぞ?

 

「せっかくだからゲームでもしたらどうだ?流石に話ばかりじゃ飽きちゃうだろ?話すことも無くなるだろうし・・・・」

 

「我、飽きない。咲良のことで話したいことまだいっぱいある」

 

4時間話してまだいっぱいあるとは・・・・・恐れ入ります。

 

「そう言ってくれるのは嬉しいよ。けど、黒歌とゲームするのも楽しいと思うぞ?話をするのもいいけどさ・・・・もっといろんなことして遊ぼう?黒歌にも色々と楽しいこと知ってほしいだろ?」

 

「黒歌にも楽しいこと・・・・わかった。我、黒歌とゲームする」

 

どうやら黒歌とゲームをしてくれるらしい。黒歌のためってところに反応していたあたり、なんだかんだオーフィスも黒歌のこと気に入っているのだろう。

 

「よし、決まりだな。黒歌もそれで・・・・」

 

「それでいいにゃん」

 

俺が聞き終える前に、黒歌は返事を返した。それほどオーフィスの惚気話はもうお腹いっぱいということなのだろう。

 

「それじゃあお昼すぐ作っちゃうからゲームしておいで。黒歌にゲームのやり方しっかりと教えてあげるんだぞ?」

 

「うん。黒歌、我と来る」

 

「わかったにゃ」

 

オーフィスは黒歌と一緒に、ゲームのある部屋に向かった。ひとまずこれで黒歌の負担は多少減ったかな。

 

問題があるとしたら、オーフィスのゲームの腕が尋常じゃないくらい高いから黒歌がついていけるかどうかだけど・・・・・まあ大丈夫だろ。黒歌そういう娯楽は飲み込み早いだろうし。

 

「・・・・よし、とりあえずご飯作ろう」

 

黒歌に対して一抹の心配を抱えながらも、俺はひとまず昼食を作ることにした。

 

 




オーフィスちゃんは咲良さんにかなりゾッコンです。まあ、咲良さんもオーフィスにぞっこんなのでまごうことなき相思相愛なのですが

ちなみに、

ヴァーリ×イッセー→咲良の心労マッハ

咲良×オーフィス→黒歌の心労マッハ

となっておりますので、現状黒歌さんが若干可愛そうです

でも大丈夫・・・・・きっといつか慣れるから(笑)

それでは次回もまたお楽しみに!

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