相変わらず難産ですが・・・・
それでは本編どうぞ
「ふむ・・・・やはり咲良の淹れたお茶は美味しいな」
「それは何よりだ」
俺の淹れた緑茶を口に含み、穏やかな笑みを浮かべる曹操。こういう表情を見ると、淹れ甲斐があるというものだ。
ただ・・・・
「・・・・・」
俺の膝の上のオーフィスは若干不機嫌気味だけどな。相変わらず曹操のことがあまり好きではないようだ。そんなオーフィスを見て、俺の隣に座ってる黒歌も苦笑いを浮かべているし。
「ふふふっ、相変わらずオーフィスは咲良にべったりだな。いや、以前よりも親密度は上がっているようにも感じるな・・・・・」
「まあいろいろあったんだよ。ところで、相談があるといっていたがその内容は?」
俺は不機嫌なオーフィスの頭を撫でながら、本題を切り出した。今日曹操がうちに来たのはどうやら俺に相談したいことがあるかららしい。
「・・・・・三種族の和平を機に、英雄派が二分化されてしまってね」
「二分化?」
「ああ。俺たち英雄派も三種族と和平を結ぼうと言う者たちと、三種族は人間にとって敵だから戦おうという者たち・・・・・そんな二つの派閥が出来てしまい、論争となっている」
「和平か戦争か・・・・随分とまあ両極端な意見にゃ」
黒歌の言うとおりだ。だが、そんな意見が出てくるということは、英雄派にとって三種族の和平というのは重大な意味を持っているということだろう。
「俺は英雄派のリーダーとして、どちらの意見を尊重し、今後の英雄派の指針とするのかの選択を求められている。だが・・・・」
「決められない・・・・か?」
「・・・・・ああ」
表情を暗くさせながら、曹操は答える。
「曹操おかしい。そんなの和平の方がいいに決まってる。争うの良くない」
「オーフィス、確かに争いは良くない。それは曹操だってわかっているさ。だけど、曹操はわかった上で決められないんだと思う」
「・・・・どういうこと?」
「俺だって、争うよりは平和のほうがいいと思っている。だが、俺たち英雄派は異形を倒すことを目的としている。もちろん見境なしにというわけではないが・・・・・それでも、三種族との和平は目的に反すると言う者は多い」
「だから揉めているということか?」
「ああ。英雄派の中には三種族に家族や友人を傷つけられた者や殺されたものも少なからず存在するからな。そんな者たちの思いを無下にすることは俺にはできない。だが、だからといって積極的に戦いを仕掛けることもできない。争えば犠牲者が出て・・・・憎しみの連鎖が生まれてしまうのは目に見えているからな」
曹操の苦悩は相当なものだろう。平和を望む声も、争いを望む声も曹操は無下にすることはできない。曹操は英雄派のリーダー・・・・・英雄派に属する者たちは、曹操を拠り所にしているのだから。
「咲良・・・・俺は一体どうすればいい?英雄派のリーダとして、どんな答えを示せばいい?」
「俺を頼って相談してくれたっていうのは嬉しいんだが、そういうのは俺よりも爺さんの方があてになると思うぞ?」
爺さんは俺よりもずっと長く生きてるからいろいろなこと知ってるし、ふざけはするが頭もキレる。曹操の相談の相手としてはうってつけだとは思うんだが・・・・
「伊槻には・・・・既に連絡を取って話した。だが、それは自分で考えることだと突っぱねられてしまったよ」
「伊槻は厳しい。我も経験ある」
そういえば、忘れがちだが爺さんは基本温厚だけど厳しくて容赦ないところもあるっけか。今回の案件はそこに触れるものだったということか。
「それで咲良に相談を持ちかけたということかにゃ?」
「ああ。伊槻には自分で考えろと言われたが答えは結局でなくてな・・・・・だから咲良に相談を持ちかけた。咲良は三種族が他神郡と和平を結ぶ際の仲介役となっていると聞いていたから相談するには適任だと思ったんだ」
すげぇプレッシャーだなおい。確かにその役目は請け負ったが、まさか曹操にこんな相談を受けることになるとは・・・・・正直俺には荷が重いと思うが、曹操は俺にとって親友だ。親友が頼ってきてくれたと言うなら、それに可能な限り応えたい。
とりあえず・・・・俺の考えを言ってみるか。
「まあ、頼られたからには俺の意見は言わせてもらうよ。まず、爺さんは自分で考えて決めろって言ってるみたいだがとりあえずはそれは無視しろ。人生自分で考えったって決められないことなんていくらでもある。自分で決められないなら誰かに決断を委ねるってのは必ずしも悪いことではないからな。もちろん、他人に提示された選択にちゃんと折り合いをつけて納得できればの話だがな」
自分で決められずに延々と悩むよりは、いっそ他人に決めてもらったほうがいいと俺は思っている。まあ、当然その場合は決めた誰かが責任を負う必要はあるし、決めてもらった者もそれを言い訳にしてはならないが。
「その上で俺の考えを話すが・・・・俺としてはやはり争うよりも平和の方がいいと思う。ただ、それを決める前にやることはあるがな」
「やること?」
「話し合いだよ。ただ、話し合いといっても英雄派の中だけでってことじゃない。三種族を交えての話し合いだ。思うに、争いを求める連中は三種族に対して悪印象ばかりが先行してしまって、詳しい理解ってのが足りてないと思う。理解できていない相手に和平だなんて言われても納得できるものじゃない。だから和平云々の前にまずは話し合いの場を設ける必要があると思う」
知りもしない相手と和平を結んで仲良くしましょうだなんてよほど特異なものでない限りそう簡単にできることじゃないからな。なら必要なことはまず対話だ。どうするかの結論は相手のことを理解した上で決めるべきだ。
「なにより、相手に対する理解が足りていないのは曹操も同じだと思うしな。だからこそ曹操は決めることができないんだと思う。仮に曹操の中でしっかりとした答えがあったとしたら、周りの意見があったとしても相談せずに決められたことだと俺は思っているしな」
「・・・・そうか。決められない理由は俺自身が三種族のことを理解できていないからで、俺はその言い訳に英雄派の皆を利用してしまっていたのか。その挙句に咲良に相談してしまうとはな・・・・」
いや、そこまでは言っていないんだが・・・・だけどまあ、実質そういうことになるんだろうか?けどそれも仕方がないことだろう。今まで多くの異形と戦ってきた曹操だが、対話っていうことはあまりしてこなかっただろうし、どんな強力な力を持っていたとしてもそれでも曹操はやはり人間だ。他種族のことを簡単には理解できないだろう。
「とにかく、俺個人としては和平を勧めるが、どうするのかは話し合ったあとだ。三種族との話し合いは爺さんに話を通せば出来ると思うから・・・・そこからは曹操、それと英雄派次第になるな」
「ああ・・・そうだろうな」
「まあ、俺に言えるのはこんなありふれた事ぐらいだ。役に立ったかどうかは正直わからないが・・・・」
「十分に役に立ったさ。ありがとう咲良」
俺への感謝の言葉を口にする曹操。正直礼を言われるようなことでもないが・・・・まあ役にたててなによりだ。
と、そうだ・・・・
「最後に一つ、一応言っておくことがある」
「なんだ?」
「英雄派が今後どうなろうとも・・・・あれだ。曹操が俺にとって親友であることは変わらないからな」
「え?」
「どんな結果になろうともお前は俺の親友だ。だからいつでもうちに飯でも食いに来い。誰にも文句なんて言わせないからさ」
「咲良・・・・・ありがとう」
「別に礼を言うことじゃないっての。当然のことなんだからさ」
曹操は俺にとって一番の親友だ。それはなにがあっても決して・・・・絶対に変わることはない。
俺は・・・・そう信じている。
「曹操、咲良は渡さない」
「いや、オーフィス。そういうのじゃないと思うにゃ」
次回もまた曹操さんのお話になります
理由?アニメのPVででた曹操さんが格好良かったからですが何か?
にしても相変わらず曹操さんに咲良さんを私たがらないオーフィスちゃん可愛い
それでは次回もまたお楽しみに