愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

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今回から湊内家の住人が一人増えます

誰なのかは見てのお楽しみ

それでは本編どうぞ


同居人が増えました その2

 

三種族の和平が結ばれて数日たち、俺の日常は少しずつ変わり始めようとしていた。三種族に直接関わりがあるわけではないとは言え、他種族との和平の仲介役となっている俺を構わないわけにはいかないらしく、三種族の一部の者たちの間では今後どうするか話し合いが行われているらしい。その話し合いでは俺の唯一の家族である爺さんが中心となっているようで、そのおかけで爺さんは二日ほど前から家を出ている。まあ、爺さんは元々家にいることのほうが少なかったから大して気にすることでもないのかもしれないがな。

 

そして今日、一つの変化が俺に・・・・・この家に訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「♪~」

 

機嫌よさげに鼻歌を歌う黒歌。まあ、それはある意味当然のことだろう。なにせ今日は・・・・

 

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

 

「来たにゃ!」

 

呼び鈴が3回鳴ったのが聞こえてくると、黒歌は一目散に駆け出した。

 

「黒歌、家の中走り回ったらダメ」

 

「オーフィス、それ黒歌に聞こえてない」

 

黒歌に注意するオーフィスだったが、その場に黒歌はもう居ないから残念ながら聞こえてないだろう。

 

「咲良、後で黒歌に説教したほうがいい?」

 

「いや、流石に家の中走っただけで説教は勘弁してやれ。理由が理由だから思わず走り出しちゃったのは仕方ないことだし。それに、オーフィスだって俺が学校から帰ってくるたびに走って俺の事で迎えに来てるって黒歌から聞いてるんだけどな・・・・・オーフィスが黒歌に説教するなら、俺もオーフィスに説教しなきゃいけないのかな?」

 

「我、黒歌に説教しない」

 

俺が言うと、オーフィスはすぐに黒歌への説教を撤回した。そんなに俺の説教嫌なのか・・・・まあ、何があってもオーフィスには説教するつもりないけど。

 

「それはそうと、俺達も出迎えに行こうか」

 

「うん」

 

俺とオーフィスも出迎えのために門前へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白音~。今日から一緒に暮らせるなんて嬉しいにゃん」

 

「・・・・・姉様、暑苦しいです」

 

俺とオーフィスが門前に赴くと、そこには白音に抱きついて頬擦りまでしている黒歌の姿があった。まあ、白音の方は若干鬱陶しそうにしているが。

 

「はあ・・・・おい、黒歌。そろそろ放してやれ。そんなんじゃおちおち話もできないぞ」

 

「いやにゃ!もっと白音を堪能したいにゃ!」

 

あ、だめだこれシスコンが爆発してる。あの事件がある前まではいつも一緒に居たって言ってたし、会えずにいた期間があるからその反動だろうか?俺もオーフィスと頻繁にイチャついてるからあまり強く言えないんだよなぁ・・・・・これどうしよう?

 

「姉様・・・・いいかげんにしてください!」

 

「んにゃっ!?」

 

どうしようかと考えていると、白音のグーパンが黒歌の顔面に炸裂し、その衝撃で黒歌は引き剥がされた。流石に加減はしてるだろうけど・・・・・・見てる分には痛そうだ。

 

「し、白音!?いくらなんでもグーはひどくないかにゃ!?」

 

「いつまでたっても放れない姉様が悪いです。自業自得です」

 

「そんな!?」

 

『ガーン』という効果音が鳴りそうな勢いでショックを受けている黒歌。うん、まあ相手が望まないなら過度なスキンシップは良くないから仕方ないよね。俺とオーフィスは互いに嫌がるなんてことないから問題ないけど。

 

「咲良先輩、今日からよろしくお願いします」

 

ショックを受けている黒歌をよそに、白音は俺に挨拶してきた。

 

今日から白音はここで暮らすことになっている。理由は俺の護衛の為。他種族、他神郡との和平の仲介役を務める俺には護衛が必要だとリアス先輩が判断し、サーゼクスさんに話を通した上で派遣したらしい。

 

白音を選出した理由に関しては、ここには白音の姉である黒歌がいるからだろう。やはり家族は一緒にいるべきだ。まあ、それ以外にも理由はあるみたいだけどな。

 

「こちらこそよろしく頼むよ白音」

 

「我も、よろしく」

 

「は、はい・・・・」

 

オーフィスの方を見て、白音は少し萎縮している様子だ。まあ、相手は龍神なのだから仕方ないか。こればっかりは一緒に生活して慣れてもらうしかないだろう。

 

「さて、それじゃあそろそろうちに上がろうか・・・・・黒歌、項垂れるのはそこまでにしておけ。白音に家の中案内するんじゃなかったのか?」

 

「そうだったにゃ!白音、ついてくるにゃ!」

 

「ちょ、姉様そんなに引っ張らないでください」

 

先程まで落ち込んでたのが嘘のように、黒歌は意気揚々と白音を連れて家の中へと入っていった。

 

「黒歌、楽しそう」

 

「ああ・・・・そうだな」

 

少々元気すぎる気もするが、黒歌が楽しそうでなによりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

数十分後、白音は居間の机に突っ伏していた。原因は言わずもがな・・・・・ハイテンションな黒歌に振り回された結果である。

 

「黒歌・・・・・嬉しいのはわかるが振り回しすぎだ。うちに来て初日にこれじゃ白音からしたらたまったものじゃないだろ」

 

「にゃはは・・・・・ごめん白音」

 

「白音、大丈夫?」

 

「な、なんとか・・・・」

 

流石にやりすぎたという自覚はあるようで、白音に謝る黒歌。その一方で、突っ伏している白音をオーフィスが慰めていた。

 

「まあともかく、うちの中は大体どんなもんかはわかったか?」

 

「はい。一通りは把握しました」

 

「当然にゃ。ちょっとテンション上がっちゃったけど、案内自体はちゃんとやったから」

 

むしろあれでちゃんと案内できてなかったら流石に説教ものだったけどな。

 

「何か必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ。準備できそうなものは準備するから。あと、変に遠慮とか気遣いとかする必要はないからな。黒歌なんて結構早い段階で我が物顔でくつろいでたし」

 

「姉様・・・・・」

 

呆れたような目で黒歌のことを見る白音。対する黒歌の方は一切悪びれている様子はない。まあ、別に悪びれる必要もないからいいんだけど。

 

「とりあえず、荷解きしてきてもいいですか?」

 

「もちろん構わないよ。その間に夕飯の準備しておくから」

 

「私も荷解き手伝うにゃ」

 

「我も」

 

白音の荷解きを、自分も手伝うと名乗りをあげる黒歌とオーフィス。

 

「いえ、荷解きぐらい自分でできますので・・・・」

 

「手伝わせてくれないの?」

 

「我が手伝うの迷惑?」

 

「うっ・・・・・」

 

白音に手伝いは不要だと言われ、二人共しょんぼりモードだ。そんな二人に白音は良心が痛んでる模様。

 

「わ、わかりました。せっかくですので手伝って・・・・」

 

「それじゃあ白音の部屋にレッツゴーにゃ!」

 

「ごー」

 

白音からの許可をもらってからの二人の行動は早かった。白音をその場に置き去りにして、白音の部屋へと向かっていった。

 

「・・・・・咲良先輩、正直疲れます?」

 

「うん、なんていうかごめん・・・」

 

思わず謝ってしまった俺。今日一日だけで体力根こそぎ奪われかねない勢いだな。

 

「えっと・・・・・荷解き終わるまでには夕食の準備終わらせておくから白音も行っておいで」

 

「はい、それでは失礼します」

 

二人のあとを追うように、部屋に向かう白音。そんな白音を見送った後、俺は夕食の準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぐもぐ・・・・・美味しいです」

 

「それは良かった」

 

白音の荷解きを終え、今は4人で夕食を摂っている。今日の夕食は手巻き寿司。今日から白音がうちで暮らすことになった歓迎の意味合いで普段より少し豪華にしている。

 

豪華にしている・・・・・のだが・・・・

 

「な、なあ黒歌・・・・・白音の食べっぷりが凄いんだが」

 

「白音、昔からよく食べる子だったから・・・・・成長に繋がってるかは微妙と言わざるを得ないけど」

 

「姉様、何か言いました?」

 

「な、何も言ってないにゃ!」

 

名前に反して清々しいほどの黒い笑みを浮かべる白音。どうやら発育がイマイチであることを気にしているようだ。まあ、だいぶ小柄だもんなぁ・・・・まあおかげで学内ではマスコット的な意味で人気を得ているようだけど。

 

「そ、そうだ白音。この家で暮らす先輩として最重要事項を一つ教えてあげるにゃ」

 

誤魔化すように話を逸した黒歌。けど、最重要事項って一体なんなんだ?

 

「最重要事項?何ですかそれは?」

 

「・・・・・早めに慣れなさい。でなければ辛いわよ」

 

「は、はあ・・・・」

 

先程とはうって変わって神妙な面持ちで言う黒歌に対し、あまりの真剣さに少々気圧され気味の白音。

 

というか慣れってもしかして・・・・

 

「咲良、これ我が作った」

 

「ん?」

 

俺に声をかけてくるオーフィス。その手には具が多く少々不格好な手巻き寿司があった。

 

「咲良、あーん」

 

オーフィスは手にした手巻き寿司を俺の口元に持ってくる。どうやら食べさせてくれるようだ。正直ちょっと具が多すぎて食べづらそうなのだが・・・・・ここで食べねば婚約者失格だ。

 

「あーん」

 

ひと思いに手巻き寿司にかぶりつく俺。具がはみ出てこないように一口で一気にだ。口の中一杯で少し苦しいが。それでも味わいながら噛みほぐし、ある程度して飲み込んだ。

 

「美味しい?」

 

「うん。オーフィスが作ってくれたから美味しさ倍増だよ」

 

「よかった。次は咲良が我に食べさせて」

 

「ああ。作るからちょっと待っててくれ」

 

俺は海苔に酢飯と具材を乗せて巻き、手巻き寿司を作ってオーフィスの口元に持っていく。

 

「はい、あーん」

 

「あーん」

 

パクリと、オーフィスは俺が差し出した手巻き寿司を食べるオーフィス。

 

「・・・・・咲良が作ってくれたの美味しい」

 

「そうか。それは何より」

 

どうやらご満悦のようだ。

 

「・・・・・あの、姉様。以前も思ったんですがあの二人は・・・・」

 

「これが通常運転にゃ。白音、今どんな気分?」

 

「口の中がすごく・・・・・甘いです」

 

「でしょうね。私も慣れるまでは辛かったにゃ。白音も早めに慣れなさい・・・・正直慣れても辛いままだけど」

 

「姉様・・・・・苦労していたんですね」

 

「うん、それはもう・・・・・」

 

俺とオーフィスの食べさせ合いを見て、黒歌も白音もげんなりした様子だ。

 

なんというか・・・・・ゴメンな白音こればっかりはやめられないんだ。黒歌の言うように早めに慣れてくれ・・・・なれても辛いらしいけど。

 

「咲良、また食べさせて」

 

「ああ、もちろん」

 

「「もう勘弁してください・・・・」」




というわけで湊内家に新メンバー、白音ちゃん(小猫ちゃん)が加わりました。早めに慣れてほしいものです・・・・・・あのイチャつきに

なお、原作よりもシスコン成分が強いせいで黒歌さんのテンション高めで

にしても、私もオーフィスちゃんと食べさせ合いっこしたい(切実)

それでは次回もまたお楽しみに!

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