愛しき龍神と過ごす日々   作:shin-Ex-

15 / 48
当小説はサブタイトルへのツッコミを受け付けておりません

サブタイトルから内容を察知できなくても責任を負いかねませんのでご容赦を

それでは本編どうぞ




男1人に女4人・・・・・・どう考えても羨ましいです

「うまい!日本の食事はうまいぞ!」

 

「うんうん!これよ!これが故郷の味なのよ!」

 

「すごい食べっぷりにゃ」

 

物凄い勢いで俺の作った料理を食べるゼノヴィアとイリナを見て、黒歌は呆れていた。気持ちはわかる。だってこの食べっぷりは正直女性のそれじゃないように見えるし・・・・正直これは俺も呆れる。まあ、それだけ空腹だったということなのだろうが。

 

「・・・・・二人共間違ってる」

 

「「え?」」

 

次々とおかずを食べ進める二人に、オーフィスはどこかむっとした表情浮かべながら言う。

 

「日本の食事が美味しいんじゃない。故郷の味だから美味しいんじゃない。咲良の料理だから美味しい。咲良の料理は世界一」

 

「湊内くんの料理だから美味しい・・・・なるほど」

 

「確かにこれほどうまい食事はこれまでの人生で初めてだ・・・・世界一と言われても納得できる」

 

オーフィスがどこか誇らしげに言うと、イリナもゼノヴィアもなぜか感銘を受けている。いやいや、オーフィスにそう言ってもらえると嬉しいけど・・・・・世界一は言いすぎじゃないか?

 

「オーフィスがそう言うのもよく分かるにゃ。私もそこそこ裕福な悪魔の眷属だったけど、あそこでもこんなに美味しい料理は食べられなかったし。咲良の料理は間違いなく世界一ね」

 

お前もか黒歌。というか冥界基準で考えても俺の料理レベル高いの?

 

「ああ、主よ。世界一美味しいの料理を食べさせてくれた少年に慈悲を」

 

「アイタッ!?」

 

「あ、ごめんなさい」

 

イリナが俺に向かって十字を切った瞬間、黒歌が頭抑えた。どうやら目の前で十字を切られたせいでダメージを受けてしまったらしい。自分に対してではないというのに・・・・・悪魔というのはこういう時不便だな。

 

「ともかく、今はこの料理を存分に堪能しなければな。というわけで咲良、おかわりを頼む」

 

「あ、私も!」

 

「我もおかわり」

 

「咲良ー、さっきの十字でダメージを受けた私にもお願いにゃ」

 

「はいはい」

 

俺に茶碗を突き出してくる4人を見て、俺は思わず苦笑いを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても・・・・・まさに驚くべきことだ」

 

「本当よね」

 

食後に出したお茶を飲んいるゼノヴィアとイリナは、こちらを見ながら言う。

 

「うん、まあ・・・・普通はそうなんだろうな」

 

俺は膝の上にちょこんと座るオーフィスを見やる。

 

「世界最強と称されるドラゴン・・・・無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス。それがこんな可愛らしい女の子だって言うんだから、ゼノヴィアとイリナが驚くのも無理もないか」

 

「いや、それもなんだけど・・・・」

 

「それ以上に、そのオーフィスを咲良が婚約者にしてるっていうのがな。驚きを通り越してもはやどうリアクションをとればいいのかわからなくなる」

 

ああ、そっちか。

 

「やっぱり珍しいことなのか?」

 

「咲良・・・・はっきり言ってそれ珍しいってレベルじゃないにゃん。どう考えても前代未聞だから」

 

「我、咲良以外に結婚したいと思う相手にあったことない。これからも咲良以外にそう思うことないから咲良が最初で最後」

 

「そか・・・・俺のこと好きになってくれてありがとうなオーフィス」

 

「ん」

 

オーフィスの頭を撫でてやると、怪訝良さそうに俺に擦り寄ってきた。俺の婚約者マジ可愛い。

 

「・・・・ねえゼノヴィア。なんだかさっきデザートのプリンを食べたときよりも口の中が甘いんだけど・・・・」

 

「奇遇だなイリナ。私もだ」

 

「気持ちはよく分かるにゃ。ほんとに」

 

何やら俺とオーフィスを見てゲンナリとしているゼノヴィアとイリナ。そんな二人に、黒歌は同情の視線を送る。そんなに今のやりとりって甘たっるいか?いつものことなんだが・・・・

 

「いつものことだからそんなに甘ったるくないだなんて思ってるならそれは大間違いよ咲良。私は毎日砂糖を吐きそうな思いをしてるんだから。私は・・・・毎日・・・・」

 

「「心中察する(わ)」」

 

遠い目をしながら言う黒歌に、ゼノヴィアとイリナは肩に手を置きながら慰める。黒歌は悪魔なのに教会の戦士である二人が慰めるとかとんでもないレアな光景だ。

 

「えっと・・・・まあすまないな黒歌。悪いとは思う」

 

「じゃあ頻度減らしたりは・・・・」

 

「我、咲良ともっとイチャイチャしたい」

 

「というわけで頻度は減るどころか増えそうだ」

 

「うん、知ってた」

 

ほんとごめん黒歌。でも、オーフィスにここまで言われちゃあイチャイチャするしかないじゃないか。

 

「世界最強の無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)がこんなところで人間相手にイチャイチャ・・・・教会が知ったら大騒ぎになりそうね」

 

「ふむ・・・・イチャイチャはともかくとして、その言い方からしてあの人はオーフィスのことちゃんと秘密にしてくれてるんだな」

 

「ん?まるで教会内にオーフィスがここにいることを知っている者が存在しているみたいな言い方だな・・・・」

 

「いや、まるでもなにもいるぞ?教会内でオーフィスがここに居ること知ってる人。一人だけだけど」

 

「「・・・・え?」」

 

俺の発言に、ゼノヴィアとイリナの表情は共学に染まる。今日これで何度目だろうか。

 

「嘘・・・・居るの?教会内に知ってる人?」

 

「ああ。厄介事になるかもしれないから秘密にしておくと言っていたが本当に誰にも言っていないようで安心した」

 

「その人も言っても信じてもらえないと思ったんじゃない?普通なら誰だって信じないと思うにゃ」

 

まあ、世界最強の龍神様がこんなところにいるだなんて普通は考えられないから黒歌の言い分はもっともだ。だけどあの人って教会内でも結構な地位らしいから言えば信じた人も多いんじゃ・・・・それがわかってたから言わないでくれたんだろうし。

 

「ちなみにその人物の名は・・・?」

 

「ヴァスコ・ストラーダって人だ」

 

「「ストラーダ猊下!?」」

 

俺が名前を出すと、ゼノヴィアもイリナも声を張り上げた。

 

「二人共ストラーダのこと知ってる?」

 

「知ってるに決まってるでしょ!教会の重鎮も重鎮!教会の戦士達の指導者よ!」

 

「御年八七歳になられるが、現在でも教会においてトップの戦士だと断言できる!まさかここでその名が出てくるとは・・・・・」

 

オーフィスが聞くと、二人は少々興奮気味に答える。というかストラーダさんってそんなにすごい人だったのか・・・・・外見は老人とは思えないほどごつかったけど、気さくなお爺さんって印象だったんだが・・・・

 

「そもそも、どうして猊下がオーフィスのこと知ってるの?」

 

「4年ぐらい前だっけか・・・・俺の爺さんがストラーダさんをここに連れてきたんだよ。古い友人だからもてなしてやってくれってな。それがきっかけであの人はオーフィスのこと知ったんだ」

 

「猊下を古い友人?咲良、お前のお爺さんの名は?」

 

「湊内伊槻」

 

「ああ、うん・・・・・」

 

「なんか・・・・納得したわ」

 

およ?この反応もしかして・・・・・

 

「二人共爺さんのこと知ってるのか?」

 

「何度か会ったことがあるわ。『俺がお前達を鍛え直してやるー』とか言って修行をつけてもらったんだけど・・・・」

 

「やめろイリナ。思い出させないでくれ」

 

「・・・・・ごめんなさい」

 

クソ爺何しやがった?ゼノヴィアとイリナの萎縮の仕方が半端ないぞ。

 

「あのクソ爺・・・・・二人にどんな修行をつけたのかは知らないが、帰ってきたら説教してやらないとな。何かやりすぎっぽいし」

 

「あのバケモノに・・・・・説教?」

 

「湊内くん・・・・・それ本気で言ってるの?相手はあのバケモノなんだよ?」

 

どうやら爺さんはバケモノ呼ばわりされているらしい。まあ、オーフィスを力で押さえつけられるんだからそう言われても仕方がないかもしれないな。

 

「安心しろ。爺さんに説教するのが家族としての俺の責任だ。きっちりと悔い改めさせるさ」

 

二人の件以外にもオーフィスに色々と吹き込んでくれたからな・・・・・マジで覚悟しろよクソ爺。

 

「・・・・私は会ったことないけど、咲良のお爺さんには同情するにゃ。咲良の説教だなんて・・・・」

 

「黒歌震えてる。寒い?」

 

違うよオーフィス。黒歌が震えてるのは寒いからじゃない。恐いからだ。自分で言うのもなんだけど。

 

「あのバケモノにしてこの孫あり・・・・ということだろうか?」

 

「なんだか湊内くんのこと恐くなってきたわ・・・・恩人なのに」

 

いや、なんで俺が恐がられなきゃならないんだよ・・・・爺さんの説教上乗せしてやる。

 

「まあ爺さんのことは置いておくとして、一応言っておくけどオーフィスのことは・・・・」

 

「安心して。私達も秘密にするわ」

 

「咲良には恩があるからな。それぐらいのことは構わない。言えば騒ぎになるだろうしな」

 

よかった、二人共オーフィスのことは秘密にしてくれるようだ。教会ぐらい大きな組織に知られると面倒事になりかねないからな。それをわかってストラーダさんも秘密にしてくれてるんだろうし。

 

「まあ、そもそも生きて帰れるかわからないがな・・・・」

 

「・・・・・そうね」

 

「・・・・それ、どう言う意味だ?」

 

嫌に神妙な雰囲気で言う二人。それが何を意味してるのか気になった俺は聞いてみた。

 

「任務・・・・とだけ言っておこう。恩人とはいえ、これ以上のことは無関係な一般人に話すわけにはいかないからな」

 

「ごめんね湊内くん」

 

だが、二人は詳しくは教えてくれなかった。まあ、教会の事情を無関係な俺に教えるわけにはいかないに決まってるか。

 

「いや、俺の方こそ詮索して悪かった。任務頑張ってくれ」

 

「ああ。死力を尽くすよ」

 

「何があっても絶対に成し遂げてみせるわ」

 

「・・・・二人共、死ぬ気?」

 

黒歌は、真剣な面持ちで二人に尋ねる。

 

「死ぬつもりはない。だが、生きて帰られるかはわからない」

 

「それでも私達は覚悟の上で任務を受けた。だから恐れたりはしないわ」

 

二人の目からは確かな覚悟が感じられた。教会に・・・・神に対する信仰が二人にこれほどまでの覚悟を強いているのだろうか?だとしたら・・・・やはり現実は残酷だと言わざるを得ない。

 

だって二人が信じる神は・・・・・・もういないのだから。

 

「・・・・死ぬのは良くない」

 

「「え?」」

 

「我、死がどういうものかわからない。でも、良くないものだっていうのはわかる。だから、二人共死んじゃダメ」

 

じっとゼノヴィアとイリナのことを見つめながら言うオーフィス。今日あったばかりだが、二人とは同じ食卓を囲んだ・・・・ゆえに、オーフィスは二人に縁を感じ心配しているのだろう。

 

「オーフィスの言うとおりだな。死ぬのはよくないことだ。俺も二人には生きていて欲しい。どんな任務なのかは知らないが生きて・・・・またうちにご飯食べに来いよ。次はもっとうまいの食わせてやる」

 

「賑やかな食事は好きだし・・・・私もあなた達が生きて任務を終えられるように祈っておいてあげるわ。悪魔からの祈りなんていらないかもしれないけど」

 

オーフィスに続いて、俺と黒歌も言う。俺も黒歌も、オーフィスと同じように二人が心配でたまらないのだ。

 

「もっと美味しいものをか・・・・ふっ、そんなことを言われては死ぬわけにはいかないな」

 

「そうね。何が何でも生きて任務を全うして・・・・またここにご飯を食べにきましょゼノヴィア」

 

「ああ」

 

ニコリと微笑みを浮かべ、またここにご飯を食べに来ると誓うゼノヴィアとイリナ。

 

「では、そろそろ私達は失礼しよう」

 

「そろそろ任務に戻らないといけないもんね」

 

どうやら二人はもう行ってしまうらしい。今日ぐらいうちでゆっくりしていけばいいと言おうと思ったが・・・・やめておいた。ここで止めてしまえば、逆に迷惑かもしれないからな。

 

だから・・・・引き止める代わりに、俺は二人に言う。

 

「ゼノヴィア、イリナ・・・・またな」

 

「我、二人が来るの待ってる」

 

「ああ・・・・また」

 

「3人とも、次に会う時まで元気でね」

 

「それはこっちのセリフにゃん」

 

再会の約束を交わして、俺達は任務に赴くゼノヴィアとイリナを見送った。

 

 




伊槻爺さんとストラーダ猊下はお友達。というより戦友?

おそらくこの世界において人間同士の友達の中では最強でしょう。そもそも伊槻爺さん最強だけど

それにしてもあったばかりのゼノヴィアさんとイリナさんのこと心配するオーフィスちゃん優しい可愛い

それでは次回もまたお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。