ラブ魂   作:美雪

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今回は大体一ヶ月で書き終われたね。

銀時「いつもこうだったらなぁ」
穂乃果「いいじゃん。続いてる方だし。この小説」

オマケにお気に入りも私的には多い方だと自負してる。

穂乃果「自己評価大切だよね」

今でもコツコツ見てくれてる人達には感謝の念しか湧きません!

銀時「不定期にも程があるからな」

でもここまで来ると伸びが良くないよねぇ。

穂乃果「誰もが一度は通る道だよ」
銀時「むしろそんな上手くいくはずがないもんな」

だよねぇ。

因みにコツコツと地文の表現を変えている(一部)ところがあるので、覚えてる人は読み返してみてもいいかも。気が向けば。

穂乃果「内容的には読まなくても、多分問題ないもんね」
銀時「だな」

取りあえず、始めよっ!!

穂乃果「そうだね!」
銀時・穂乃果「ラブ魂!始まります!」


第十八訓 飼い主とペットは似るって言うけど、ペットは必ずしも飼い主に忠実というわけではない

銀時「ふんぬををををを!!!」

 

その日、神楽の代わりに定春の散歩に行くことになった銀時は、住宅街で人目もはばからずに踏ん張る定春を首輪に繋いだ紐を持って懸命に引っ張りながら、何とか阻止しようと奮闘していた。

 

銀時「おめっ、ダメだって!こんなところで用たしたら・・・!!お前の排泄物はわんぱく坊主の夢よりでかいんだから!!」

 

そう言っても踏ん張るのを辞めるつもりは毛頭なさそうな定春に、銀時も負けじと言葉を続けながら、更に紐を引っ張る。

 

銀時「チキショー!だから散歩なんざ嫌だったんだよ。面倒は必ず私がみるアルとか言ってたくせによォ。最終的にはぜってーお母さんが犬の世話することになるんだよ!!アレ?俺、穂乃果差し置いてお母さん?」

 

盛大に独り言を大声で叫ぶ銀時の後ろから、一つ声が掛けられた。桂である。

 

桂「フン」

銀時「!」

桂「ペットのしつけもできんとは情けない・・・」

 

振り返った銀時の視界には、予想通り桂と・・・何か白いオ○Qみたいな物体がその横にいた。

 

桂「動物一匹自由にできんようで天下国家をどうして動かせようか・・・貴様、それでも侍か?」

銀時「ヅラァ、なんだソレ気持ちワル!!」

 

正直が過ぎた。

 

桂「気持ち悪くない!エリザベスだ」

銀時「単体で見るとそーでもねーがお前とセットになると気持ちワリーよ。って言うかお前が気持ち悪い!」

 

もはや悪口である。

 

桂「坂本のバカがこの間俺のところに勝手に置いていったんだ。大方どこぞの星で拾って来たんだろう。相変わらず宇宙航海などにうつつを抜かしているらしいからな」

 

その横では、ペットの意地なのかなんなのか、定春とオ○Qが火花を散らして睨み合っている。

 

銀時「オメー、地球外生物は嫌いじゃなかったのか?」

桂「こんな思想も何も無い物をどう嫌いになれと言うんだ。それに・・・けっこう、カワイイだろう?」

 

桂の可愛い発言に、銀時は思わず絶句した。その言葉は桂が言うとはとても思えなかったものだったからだ。今までの桂からは考えられなかった。

 

決して、嘘だろう?と絶句した訳では無い。確かに、同意は出来かねるが、それでも桂の変わりように純粋に驚いたのである。純粋に

 

桂「よーし!行くぞ、エリザベス。今日は河川敷まで行こうか」

銀時「ヅラ・・・お前一体・・・っ!」

 

少し桂に銀時が気を取られていた一瞬だった。

その一瞬で、見事定春は排泄物を生み出していた。

 

銀時「あっー!!?お前、何やってんだよ!うわっでかっ!アンドくさっ!」

 

銀時の悲鳴を横に、定春は未だに出し続けている。

 

銀時「だからダメだって言ったじゃん!あっ!」

 

銀時の嘆きを横に、定春は排泄物を出し切ってスッキリした顔で一鳴き零した。

 

銀時「無念」

 

 

 

 

新八「へぇー、あの桂さんがねぇ。意外なところもあるんスね」

銀時「まーな。奴も丸くなったってことじゃねーの?」

穂乃果「確かに、地球外生物に可愛いなんて、今までだったら言わなかったよね」

 

散歩から帰ってきた銀時の横で話を聞いた穂乃果は、驚きに目を見開く。同時にそのエリザベスなるものが気になってくる。見てみたいものだ。

 

銀時「ウチのも貰ってくんねーかな。生産性のねェ奴はウチにはいらねーよ。コイツが産むのはウンコと痛みだけじゃねーか!」

 

帰ってきてからずっと定春に頭を咥えられたままの銀時が言った。

そんな銀時に対して、穂乃果の向かいのソファに座っていた神楽は新聞を見たまま、こちらにちらりとも視線をよこさずに、無情にも定春に対して告げた。

 

神楽「そんな言い方、定春に失礼アル。定春!そのまま噛み砕くヨロシ

銀時「待て待て待て待て!分かった分かった!!ウンコと痛みプラスシッコだ!」

神楽「ヨシ。定春、離してやれアル」

 

そんな神楽の指示も虚しく、銀時は定春に頭ごと飲み込まれた。

 

穂乃果「それでいいの?神楽ちゃん」

新八「ヨシじゃねーよ!ロクなモンプラスされてねーじゃねーか!」

 

大体と新八はそもそもの前提を否定する。

 

新八「ペットは安らぎを与えてくれる存在ですよ。見返り求める方が間違ってますよ」

 

新八が言い切ってから、つけていたテレビからタイムリーな話題が上がった。

 

『番組では変なペットを募集しています。鎖国解禁以来、我が国には天人と共に様々な生物がやって来ております。あなたの近所にも変なペットいませんか?当番組では、そんな変でかわいいペットを集め日本一を決定したいと思います。グランプリには豪華賞品が・・・』

 

そこまで聞いたところで、一斉にテレビを凝視していた穂乃果達に、同じく凝視していた銀時が同時に目を光らせて、ポツリと尋ねた。

 

銀時「・・・安らぎと豪華賞品、どっちが欲しい?」

 

その質問には誰も答えなかったが、その沈黙が物語っていた。

 

 

 

 

お登勢「一週間?」

 

いつもの様に家賃の催促に来ていたお登勢は、玄関でいつもと違って隠れも逃げもしなかった銀時の言葉を復唱した。

 

銀時「ああ、間違いねー。一週間待ってくれりゃ、ノシつけて払ってやるから心配すんな」

神楽「気分は既にオイルダラーヨ。酢昆布食べ放題アルヨ!」

穂乃果「苺食べ放題!」

新八「オイルの割にはやけに野望がちっちゃいなオイ」

お登勢「随分と余裕だねぇ。何か当てでもあるのかい?」

 

その質問に、銀時は未だかつてないほど自信を持って答えた。

 

銀時「ある」

神楽「珍しくナ」

新八「一応ですけど」

穂乃果「(私達からしたら)凄く頼りになる当てがね!」

お登勢「何か眉唾臭い気もするけどねぇ」

キャサリン「オ登勢サン、コンナ奴ラノ言ウコト信用シタラダメヨ。絶対ハッタリデスヨ。嘘八百デスヨ」

 

お登勢の横では、ここにいるはずのなかったキャサリンが当たり前のような顔をしてそこに立っていた。まるで、今まで何回も登場していたのかのような表情である。

 

銀時「オイ、テメー!何当たり前な顔して再登場してやがんだ、コラァ!」

神楽「確か今頃塀の中アル」

 

キャサリンの顔を引っ張る銀時と神楽、神楽に掴みかかるキャサリンを気にもとめず、お登勢は事情を話した。

 

お登勢「キャサリンはこの前、釈放になって出てきたのさ」

穂乃果「それはいいけど、なんでここに?」

お登勢「他に行く当てもないんでまた舞い戻ってきたんだよ」

銀時「しかしバアさん。アンタも物好きだねぇ。店の金をかっぱらったコソ泥をもう一度雇うたァ、厚生でもさせるつもりか?」

お登勢「そんなんじゃないよ。人手が足りなかっただけさね」

銀時「・・・ま、いいけどな」

 

そこで銀時は未だ掴みかかっていたキャサリンの頭から手をどける。

そこで、逆に神楽はキャサリンの首を絞めにかかった。

 

神楽「くれぐれも私の物にだけは手を出すなヨ!この猫耳星人!」

キャサリン「盗厶モンモ無イクセニ、偉ソウニ言ウンジャネーゾ!コノ小娘星人!」

神楽「気をつけるアルヨ、クソ年増星人!いっそポストに生魚ぶち込んでやるヨ!」

キャサリン「食ベズニ我慢出来ルナラ、ヤッテミロ、コノ大喰ライ星人!」

 

眉尻を下げて困った顔のまま、じっと神楽とキャサリンのやり取りを見ていた新八は、キャサリンの大喰らい星人発言に確かに・・・と言葉を零していた。

 

穂乃果「そこ、納得するところ?」

お登勢「ま、今日はキャサリンの顔見せもあったからね。一週間だよ。もし払わなかったら・・・どうなるか分かってるねぇ?」

 

背を見せて玄関から去っていくお登勢のその声は、ドスの効いた迫力のあるものだった。

 

 

 

 

そんな訳で銀時達、万事屋一行は公園へと来ていた。

 

新八「よーし、ばっちこーい!!」

銀時「ヘイ、いつでもオッケーでぇー!」

 

そう気合十分に構える銀時と新八は、その格好も気合十分であった。

 

銀時の格好は、赤と黒のヘルメットに21と書かれた赤いユニフォーム──ラグビーで着るような格好である。一方新八は、自分の家の道場の剣道着に顔には穴の空いた白いお面姿である。統一感がまるでない。

 

そんな二人の向かいには行儀良く”おすわり”をしている定春、その横には神楽と穂乃果がいた。

 

神楽「よし、定春。頑張るアルヨ!」

穂乃果「優勝目指そうね、定春!」

 

こちらも気合十分である。

 

神楽「よーっし!行け、定春!」

 

そう言ってピシッと神楽の指さした方向──つまり、銀時達のいる所──に向かって神楽の言葉と同時に定春が走り出した。

 

定春が銀時達に辿り着く前に高く飛び上がった所に神楽はすかさず指示を出した。殴るモーション付きで。

 

神楽「定春、”お手”っ!」

 

その指示に定春はしっかりと答えた。神楽と同じ殴るモーションで。犠牲者は銀時である。

 

穂乃果「定春!”おかわり”っ!」

 

犠牲になった銀時は一切気に止めず、今度は穂乃果が定春に指示を出した。アッパーカットをするモーション付きで。

 

その指示に対しても、定春はしっかりと答えた。器用にも穂乃果と同じアッパーカットをするモーション付きで。犠牲者は新八である。

 

穂乃果・神楽「定春!”おすわり”!」

 

それにもやはり気に止めず、今度は穂乃果と神楽が同時に指示を出した。

 

今度はモーション付きでは無いものの、しっかりと答えた定春は、今度は強力な殴りとアッパーカットをくらって倒れている銀時と新八の上に遠慮なしにそのおしりを乗せた。

 

神楽「よし、行ける!だいぶ上達してきたアルネ!」

穂乃果「これは優勝も夢じゃないね!」

 

やはりちっとも潰されている銀時と新八を気にしている様子のない穂乃果と神楽に、銀時と新八は潰されながら言った。

 

銀時「いや、あのさ。まず最初にもうちょっとそっとやってくれるように言って貰えませんか?」

新八「っていうか、ホラ。基本のしつけでいちいち命懸けだから」

 

そんな普通の神経を持っていたら近づきたくないと思うような面々に、一つの声がかかった。桂である。

 

桂「何をしている?」

新八「?」

銀時「何だ、ヅラか」

桂「ヅラじゃない、桂だ」

穂乃果「こー君、どうしてここに?」

桂「散歩だ。それより何をしているのかと聞いている」

 

桂の問いに神楽が答えた。

 

神楽「見て分からないアルカ?定春に芸を仕込んでるアルヨ」

桂「おお、そうか。それはつまり、俺のアドバイスを聞き入れ心を入れ替えたという訳か?」

穂乃果「アドバイス?」

銀時「バカ言うな!誰がオメーの言葉何かで心入れ替えるかってーの」

神楽「今度定春がテレビに出るアルヨ」

桂「テレビ?」

銀時「その為に特訓中だ。まぁ、お尋ね者のお前にゃ関係ねー話だけど・・・なぁーっ!?」

 

銀時がそう話している最中に、定春が突然二本の足を銀時と新八の上に置いたまま立ち上がった。

 

神楽「よーしっ!次は”チンチン”アルヨ、定春」

穂乃果「凄いね、定春!」

桂「・・・テレビ」

 

 

 

 

定春の特訓を初めて早一週間。

変てこペットグランプリの開催の日である。

 

『変であることを恐れるな。変とはつまりオリジナリティーだ!第七回、宇宙で一匹変てこペットグランプリぃぃぃ!!』

 

辺り一面に歓声が響き渡る。

 

ここ、お登勢ではキャサリンがテレビで変てこペットグランプリを見ていた。

 

お登勢「ただいまー」

キャサリン「オ帰リナサイ。ドウデシタ、オ登勢サン」

お登勢「ダメだ。また逃げやがったよ、アイツら。ったく、家賃回収の度に逃げ回りやがって」

 

煙草に火をつけて咥え、一息ついてからお登勢はドスの効いた声で言った。

 

お登勢「見つけたらボコボコにしてやるよ」

キャサリン「アア言ウ奴等ハ何言ッタッテ無駄無駄。腐ッタミカンハ、周リモ腐ラス。腐ラス前二追イ出ス一番デスヨ」

お登勢「保釈で出て来たばかりの分際で、随分偉そうなものいいじゃないか?」

キャサリン「ソレハソレ、コレハコレ」

お登勢「ったく、いけしゃあしゃあと」

 

そこで、テレビに顔を戻したキャサリンが驚いたふうに立ち上がった。

 

キャサリン「ナッ!オ登勢サン、オ登勢サン!アレ、アレ!」

お登勢「うるせーな!また、ムショにブチ込まれてーのか、あん?」

キャサリン「見テ見テ、テレビ」

 

そこでお登勢の目に映ったのは、テレビに出ている万事屋一行だった。

 

『新宿かぶき町から来て頂きました。宇宙生物定春くんと飼い主の坂田さんファミリーです』

お登勢「坂田さんファミリぃぃぃぃぃぃ!?何やってんだあいつらァァァ!!

キャサリン「アイツラノ家賃ノアテッテ、コレノ事ダッタンデスネ」

 

 

 

 

「予選を勝ち抜いたチームの皆さんには、前回のチャンピオン、マスク・ド・ムーさん一家のミス・ガターベルトちゃんへの挑戦権が与えられます。えー、頑張ってくださいね〜」

「かかってこいやー!」

「ヒャアー!!」

 

紹介された坂田さんファミリーの一人、新八はしみじみと呟いた。

 

新八「ホントに来ちゃいましたね」

 

そんな新八に坂田さんファミリーの一人、銀時は言葉の割にやる気のなさそうな顔で言った。

 

銀時「やるからには、てっぺん狙うぞ。気合い入れてけ」

 

坂田さんファミリーの一人、穂乃果は言葉も顔も気合い十分である。二つの握りこぶしを作ってフンスッとしている。

 

穂乃果「そうだね、気合入れてこー!」

 

因みに最後の坂田さんファミリーの一人、神楽は珍しくも緊張していた。冷や汗が凄そうだ。

 

「えーっと、こちら坂田さんに食いついて離さないのが、定春くん?っていうか、大丈夫ですか?」

銀時「大丈夫っすよ。定春は賢い子だから、ちゃんと手加減してますからね〜」

「血ぃ、出てるんですけど・・・」

 

銀時が賢いと言った傍から噛む力を強める定春。司会も審査員も真っ青だ。

 

新八「銀さん、審査員引いてますよ。血ぃ、止めて止めて」

穂乃果「血って止めてって言われて直ぐ止めれるものだっけ?」

新八「神楽ちゃん、定春止めてよ!神楽ちゃんか穂乃果さんの言うことしか聞かないし、神楽ちゃんが定春飼うって言い始めたんだから」

神楽「ウン」

 

新八にそう言われた神楽は緊張したまま、カチコチした動きでカメラの横、カンペを出す人の前に行くと定春に向けての言葉を言った。

 

神楽「定春ぅぅ!!メッ!!晩ご飯抜きにするアルヨ!!」

新八「オメーも抜きにされたいのか!?」

 

素早く神楽の首根っこを持って回収した新八は、囁き声で銀時に文句を告げる。

 

新八「ちょっとォ!ちゃんとやってくださいよ。こんなんじゃ決勝まで勝ち残れるわけないでしょ!?」

穂乃果「かなり厳しそうだよ、銀ちゃん」

銀時「そーか?審査員の奴ら俺にくぎづけになってるぞ」

新八「そりゃくぎづけにもなるわ!鏡で自分の顔見てこい!!

穂乃果「血まみれだもんね」

神楽「三人共、動きが硬いネ!舞台をフルに使って行こー!体を持っと動かそー!」

新八「オメーが一番ガチガチじゃねぇか!!

 

そのまま大声で言い合う神楽と新八を眺めてから、司会がカンペ通りにことを進めた。

 

「・・・えー、ペット以上に個性的な飼い主さん達みたいですね。じゃあ一旦CMでーす」

 

 

 

 

「はーい!じゃあ次のチームの方、どうぞー!」

穂乃果「ん?」

「続いての変てこペットは宇宙生物エリザベスちゃん。そして、飼い主の宇宙キャプテンカツーラさんです」

 

予想外の人物の登場に、銀時達は思わず瞬きをしてから凝視した。

 

銀時「・・・なにやってんの、アイツ?」

穂乃果「指名手配中のハズなのに、変装までしてテレビに出てきたね」

新八「余程ペットが気に入ってるよーですね・・・」

神楽「ペットもそーだけど、あの衣装も気に入ってるアル

 

その視線の先には、以前着た事のある海賊っぽい衣装である桂だ。

 

「えー、カツーラさん、宇宙キャプテンって要するに何なんですかね?」

桂「要するに宇宙のキャプテンです

 

まんま過ぎる答えに、司会が一瞬沈黙した。

結局深くは聞かず、そのまま話を進めた。

 

「えー、あちらの定春ちゃんと対戦し、勝ち残った方が決勝へと進める訳ですが、どーですか。自身の程は?」

 

その質問に桂は定春の方を見て答える。

 

桂「あんなのタダのデカい犬じゃないですか!ウチの実家の太郎も、アレぐらいありますよ」

銀時「んだコラァ、ヅラ!てめーのそのペンギンオバケみてーな奴もな、ウチの実家じゃ水道の蛇口ひねったら普通に出てきたぞ」

穂乃果「どんな蛇口?」

新八「バレるよ、バレるウソは止めて!!」

 

辺り一面に軽やかな音楽が流れる。

 

「アピールターイム!どんどんどん、パフパフ!では、第一回戦!お互いのチャームポイントをそれぞれアピールしてください。いつも言ってる事ですが、審査員の先生達が独断と偏見で得点を算出します。ではまず、坂田さんファミリーからアピールタイム行ってください!」

 

順番だと言うことで、銀時達は練習の時通りの持ち場へと散らばる。皆、その顔はやる気に満ち溢れている。

 

神楽「いいアルカ。特訓の成果、見せつけるアルヨ!」

穂乃果「頑張ろうね、定春」

銀時「あたりめぇだよ、ホント。この一週間の血のにじむような苦労、無駄にしてたまるか!」

新八「血が噴き出すの間違いですけどね」

 

銀時と新八の向かいから手を大きく振りながら穂乃果と神楽が声をかけてきた。

 

神楽「準備はいいアルカー!銀ちゃーん!新八ー!」

穂乃果「銀ちゃーん!新八くーん!二人も頑張ってねー!」

神楽「いいアルネ、定春」

銀時「大丈夫。自分を信じなさい。お母さん、アンタはホントは出来る子だって信じてるからね」

新八「誰に話してるんですか」

 

銀時の言葉に新八は呆れた表情だ。

 

神楽「よーし!定春ぅ、行っけー!!」

 

その言葉を合図に走り出す定春。

 

神楽「定春、”おて”!」

 

見事な殴りを入れる定春。犠牲者は銀時だ。

 

穂乃果「定春ぅー!”おかわり”!!」

 

見事なアッパーカットを決める定春。犠牲者は新八だ。

 

穂乃果・神楽「止めだ!”おすわり”!!」

 

”おすわり”も練習通りに銀時と新八の上へと座る。

 

神楽「おっしゃ!完璧アルネ、穂乃果!」

穂乃果「やったね、神楽ちゃん!」

 

それを見ながら桂はせせら笑った。

 

桂「フン。この前と何も変わってないではないか。勢いと流血だけで芸と言うならば、なんの苦労もいらん。ウチのエリザベスはそんな下等な芸などしない」

 

自信たっぷりである。

 

「じゃあ、次はエリザベスちゃんのアピールタイム。どうぞー」

桂「これを見よ!!

 

声高らかに叫んだ桂が持っていたのは、紙と絵の具の筆であった。

 

桂「さぁ、見せつけてやれ、エリザベス!!」

 

その視線の先のエリザベスは、ベリー帽を被って筆を口で咥え、更に手に持った状態でキャンバスに向かっている姿であった。

 

暫く筆を顔の前に持って行って眺めていたエリザベスだが、急に目を光らせて物凄い勢いで描き出した。

 

出来上がったのを見た人々は、歓声をあげた。

 

その絵は、恐らく桂とエリザベス。しかしその絵のタッチは、評論家には高評価を得られそうなモノである。

 

銀時「な、なんだありゃ?」

穂乃果「器用なんだねぇ、エリザベス」

「やけに見事な絵が完成しましたよ!まるで、人間が描いたような絵です」

 

その言葉は桂にとって許し難い事なのか、司会に向かって掴みかかる。

 

桂「おい司会!なんだその言い方は!エリザベスに失礼であろう!」

「あ、いや・・・すんません」

神楽「ふ、フン!あんなのより私が描いた方が上手いアルヨ!」

新八「いや、そういう問題じゃないから」

銀時「大丈夫だ。インパクトは俺達の方が勝ってる。心配するな」

新八「勝ってるのは血の量だけですよ」

穂乃果「大丈夫・・・大丈夫!まだ第一回戦だから!」

新八「そんなに言い聞かせなくても」

 

エリザベスの描いた絵を司会が近くで虫眼鏡を使いながら見てから、審査員に得点を出してもらう。

 

「えー、では!審査員の皆さん!得点の方をどうぞ!」

 

両者、神妙な顔付きで得点盤を見る。

 

定春”2てん

エリザベス”1000てん

 

得点にかなりの点差が出来た。

 

「おーっとぉ!?これはいきなりかなりの点差が出来てしまいました!!果たしてこれから逆転は可能なのか!?」

新八「いや、それ・・・こっちが聞きたいんですけど」

 

この点差には流石に逆転出来る未来が見えなかった。

桂は早くも優勝確定だと決めつけている。

 

穂乃果「これが、独断と偏見による採点・・・」

銀時「恐ろしいな・・・」

 

 

 

 

「それではー、第二回戦に移らせてもらいますよ。私が投げたこのフライドチキンを先に咥え、持ち帰った方が勝ち。飼い主の誘導もけっこーですよ。因みにこれに勝つと3万点です!気合いを入れてチャレンジしてください!」

 

その言葉に優位な立場だった桂が振り向いて文句を告げる。

 

桂「おい司会!だったらさっきの一回戦はなんだったのだ!?」

「いえ、やはり・・・番組としては盛り上がりというモノが・・・」

桂「そんなもの必要ない!今すぐルールを訂正しろ!」

銀時「おいコラァ、ヅラァ!主催者様にイチャモンをつけてるんじゃねぇぞ。文句があるならとっとと帰れ!」

桂「何・・・?」

「まぁまぁ、とにかくこれで勝負が決まります。両者共に頑張ってくださいよ」

 

銀時と桂を宥める司会の声が聞こえてないのか、銀時は喧嘩腰に言った。

 

銀時「んなまどろっこしーの止めてよォ、男らしく殴り合いでいこーや?」

桂「望むところだ!」

いや、オメーらじゃねーよ!!いい加減にしろよ、オメーら!!

穂乃果「銀ちゃん!こー君!もー、変なところで脳筋なんだから!勝負するのは定春とエリザベスでしょ!」

 

一方で、勝負内容を聞いた新八は安心の笑みを見せていた。

 

新八「これ、もしかしたら勝てるんじゃない?エリザベスはどう見ても鈍足そうだもん。ねぇ?神楽ちゃん」

 

そうして横を見た新八は、そこに神楽が居ないことに気づき、疑問符を浮かべながらも反対側の横に視線を向けて。

 

──そこに神楽は居た。

カメラの横でヘッドホンを被り、カンペ用のノートに「新八、そこでボケる」と書いたモノをこちらに向けながら。その更に横には本来、カンペを持つ男が困った顔で神楽の傘を代わりに持って居た。

 

新八「・・・もう帰れば?」

 

それからやっと始める事が出来る第二回戦。

エリザベスの表情は変わらないのでよく分からないが、定春の表情はいつもよりずっと真剣な眼差しである。

 

「それじゃあ行きますよ〜。位置について、よーい〜・・・GO!!」

 

司会はGOの部分で思いっきり遠くへ飛ばすつもりで骨を投げた。

 

定春とエリザベスはそれと同時に走り出す。

 

しかし──・・・。

 

穂乃果「さ、定春ぅぅー!!?

銀時「おわァァァァァァァァァ!!!

 

定春は銀時目掛けて走り出した。エリザベスとは逆の方向だ。

 

銀時はそれに思わず思いっきり逃げる。

 

銀時「バカ、おめっ!あっちだって!!」

「定春ちゃん!イキナリ逆走して飼い主を追いかけ始めたぞ!!」

銀時「やめろォ!だからあっちだってばァァ!!」

 

銀時は目の前にあった審査員席に身を隠そうとするも、定春の巨体の前には意味をなさなかった。

 

「おおっとぉ!!坂田さんが審査員席に乱入ぅぅ!?てかやめろよ、オイ!!セット壊すなオイ!!!」

 

気を取り直して、司会はエリザベスに視線を向けた。

 

「さて、一方エリザベスちゃんの方は・・・ものスゴいスピードだ!!一見、不利と思われたエリザベスちゃん、スゴいスピードでかけてゆく!!」

 

その時、司会は不可解なものを捉えた気がして、疑問の声を上げた。

 

「アレ?気のせいか!?一瞬、オッさんの足のよーなものが・・・アッ!また見えた!!ホラ、オッさ・・・」

 

オッさんと再度言いかけた司会の首に桂が刀を添える。

 

桂「言いがかりは止めろ。エリザベスはこの日の為に特訓を重ねたんだ。オッさんとかそういう事を言うな」

「あ、すんません・・・」

 

一方銀時は、未だに定春に追いかけられていた。

全力で逃げまくる銀時に新八と穂乃果が声をかける。

 

新八「銀さーん!!どうせ逃げるなら骨の方へ逃げてくださいよ!!」

穂乃果「銀ちゃん!!あっち!!逃げるんならあっちだってばー!!」

新八「神楽ちゃん!定春呼び戻して!!」

 

そうして顔を向けた先は先程と似たような光景。

違う所は、横にいる男が神楽の傘を背中に乗せた状態で泣いていた事と、神楽の持つカンペに「ちょっと小腹がすいてきたんですけど……」と書かれている事であった。

そんな神楽に新八は静かに一言。

 

新八「・・・誰に言ってるんだよ」

穂乃果「ぎ、銀ちゃーん!!」

 

未だに追いかけられている銀時を穂乃果が思わず追いかけた。尚、つい動いてしまった穂乃果なので打開策は何も無い。物凄く慌てている穂乃果の頭には、定春を呼ぶと言う選択肢はなかった。

 

銀時「よせっ!来んじゃねっ、バカ犬!!」

穂乃果「銀ちゃん!前、前ェ!!」

 

穂乃果の言葉で前に顔を向けた銀時の視界に飛び込んできたのは、チャンピオン席に座る前回のチャンピオンとそのペットである。

 

銀時「って、あぶねっ!そこどけってぇ!!」

 

このままでは一直線で突っ込んでしまうだろう。

しかし、前チャンピオンは馬鹿であった。

 

「退くわけには行かないな。変てこペット第4代チャンピオンとその飼い主として」

 

そうして奇妙なポーズを繰り広げるバカ。

 

「ここで逃げる訳には行かない!受けて立つぞ!」

 

そうしてプランCだとかでペットのガターベルトが若干厳つくなったが、どちらも瞬殺であった。

 

飼い主であるマスク・ド・ムーは銀時に殴られ、ペットであるガターベルトは定春に吹っ飛ばされた。

 

「おっと、チャンピオンあっさりと敗北でーす・・・。えー、決勝は一体どうなるんでしょう」

穂乃果「銀ちゃんも定春もやりすぎっー!!」

 

やった張本人達はやられた元チャンピオンの事など気にせず。

とうとう追い込まれた銀時は定春に噛み付こうとする。しかし、ただでやられる銀時ではないので、必死に定春を抑えようとする。

 

「とうとう定春ちゃん、坂田さんに食いついたーっ!一体なんなんだ、お前らの関係はーっ!?」

穂乃果「ちょっと激しめのスキンシップを取る関係ですっ!」

「いや、激しすぎだろ、これっ!」

 

一方で順調に言ってるのはエリザベスである。

 

新八「銀さーん!!どうしよう、もうダメだ!!」

銀時「うっ・・・!!」

穂乃果「もうエリザベスが骨の手前まで来ちゃったっー!!」

神楽「定春、退くアルヨ」

銀時「?」

 

ややいつもより低い低音ボイスで定春に言い聞かせるふうにそう言った神楽は、自分の愛用している番傘の先を上手く使って銀時の襟に引っ掛けて左右に揺らした。

 

銀時「はっ?」

穂乃果「え?」

神楽「ほ〜れほ〜れ。欲しいかい?コイツが」

銀時「オ、オイオイ!降ろせ、クソガキ!!」

 

銀時の言葉を無視して、神楽は大きく振りかぶった。

 

神楽「行っけぇぇぇぇ!!!」

 

ゆらゆらと左右に揺れる銀時を行儀よく座りながら目で追っていた定春は、神楽が真っ直ぐ遠くに飛ばした銀時をもの凄い勢いで追いかけた。

 

銀時「行くのっー!!?

 

飛ばされた銀時はものの見事に順調に走り進めていたエリザベスの背中に悲鳴をあげながらぶつかった。

 

「これは坂田さん!定春ちゃんが自分に食らいついていくのを利用し、エサになったっー!!猛然と駆ける定春ちゃん!しかしエリザベスちゃん、既に骨に手を〜?」

 

あと一歩で骨だと言うところで、銀時は起き上がりエリザベスを両手で持った木刀で首元に持っていき、引き止めた。

 

銀時「豪華賞品は渡さん

 

浅ましい事を言う銀時を、更に桂が首を絞める形で引き離そうとする。

 

桂「エリザベスを離せェェ!豪華賞品は俺とエリザベスのもn・・・」

 

こちらも浅ましい事を言っている途中で、桂の頭に定春が噛み付いてきた。定春の大きく、尖った歯が刺さり頭から血が流れ落ちる。

 

桂「・・・フン。なんだかんだ御主人様が好きか?だが、それ以上噛み付こうものなら、君の御主人様の首を折るぞ!!さぁ、どーする?」

銀時「どーするじゃねーよ!!通じるわきゃねーだろ!!」

穂乃果「こー君!その子、犬だから!いくら賢くても、通じる事にも限度があるから!!」

 

いい加減な銀時と桂に司会は青筋を立てている。

 

「てめーらよォ!!競技、変わってんじゃねーか!!頼むから普通にやってくれェ!!放送できねーよ、コレ」

桂「放送など知った事か!!」

 

更に銀時の首を絞める桂。

 

穂乃果「ていうかコレ・・・確か生放送じゃ・・・」

 

穂乃果がそう言い終わる前に、銀時の下から──つまり、エリザベスから聞き覚えのない声が聞こえた。

とてもダルそうな感じである。

 

これには銀時、桂共々驚き、思わず首から手を離した。

 

エリザベス「あー、もういいっスわ〜。なんかダルい」

 

突然の事に何も言えないメンツの前で、エリザベスの口からは人の腕が出てくる。

 

エリザベス「もう帰るんで、ちょっと上どいてもらえますぅ?」

司会「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!コレは・・・

 

正しく目の前で見た事が信じられない桂は、ポツリと呟いた。

 

桂「・・・ウソだろ、エリザべs・・・」

 

 

 

 

プチン、と画面が暗くなり、直ぐに「しばらくお待ちください」の文字が出たテレビにお登勢、キャサリン共に暫く何も言えなかった。

 

しかし次の瞬間、お登勢は凄い大声で捲し立てる。

 

お登勢「んだそりゃあああ!!!そりゃねーだろォ!!エリザベスに何があったんだいィ!!オイッ!!エリザベスぅぅ!!




この話、終わりが中々進まなかった。

穂乃果「それでもコツコツとした賜物だよね」
銀時「にしても今回の初キャラはあいつか・・・」

特に書くことないから、設定はパスだね。

因みに予告だけど、エリザベスが捕まらなかったので、プラカードだけ貰いました。

銀時「そう言うのいいの?OKなの?許されちゃうの?」

あり寄りのありです!

穂乃果「いいじゃーん!じゃあ、今回の予告はコレだね!」







『次回は原作だとあのマダオがメインの話。ラブ魂だと、高坂穂乃果視点での話になるらしいです。(予定)』
穂乃果「みたいだよ!尚、大まかな内容は変わらないと思われるらしいです!」







穂乃果「次回もよろしくね!」
銀時「予定って、曖昧な」

希望とも言うね。

穂乃果「とにかく!次回も早く載せれるように頑張ろうね!」

だね!
それじゃあ、次回も気長にお待ちください!

(出したいカップリングは出すけど、アンケートをやってみたかったのと、自己満足の産物です。宜しければ、お願いします!)

  • どんなクロスカップリングでもばっちこーい
  • 組み合わせによるかも
  • メイン2組以外ありえなく無い?
  • むしろ楽しみかも!
  • 出るかと思うと憂鬱になります・・・

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