銀時「よし、弁解はあるか?」
弁解をっ!弁解をさせてくださいぃぃぃぃ!!!
穂乃果「いいよー」
やる気はあったし、一年の時点でほぼ出来ていると言っても過言ではなかったの!
穂乃果「でも一年と二ヶ月はすぎたよね」
ううっ!
でも!今回は2本立てだから!
銀時「アニメが2本立てだったもんな」
今週と来週を予約投稿します・・・。
許してとは言わないっっ!でも、でも、読んでる間だけでも待たされたことは忘れてくださいっ!
因みに、後書きは次回です。
銀時「まぁとりあえずやるか」
穂乃果「久々だね!」
まぁ、うん・・・そうだね。
銀時・穂乃果「ラブ魂!始まります!」
今回の舞台は、万事屋ではなく、銀時達曰くの税金ドロボーである真選組であった。
近藤「えー・・・、皆もう知ってると思うが、先日宇宙海賊”春雨”の一派と思われる船が沈没した。しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴らを壊滅させたのは、たった三人の侍らしい」
そんな近藤の話に、周りから驚く声どころか、ザワザワと話声しか聞こえない。
そんな部下達に、近藤はため息をつき、その隣に座っていた絵里は呆れ果てていた。
近藤「あー・・・驚くどころか誰も聞いてねーな。・・・トシ!」
近藤の掛け声に、すぐ近くで座っていた土方は、これまたすぐ近くに何故か置いていたバズーカを躊躇いなく構え、それを撃った。
近藤「えー・・・、皆もう知ってると思うが、先日宇宙海賊”春雨”の一派と思われる船が沈没した。しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴らを壊滅させたのは、たった三人の侍らしい」
仕切り直しというふうに再び同じことを繰り返し告げた近藤に、今度こそ前を向き、近藤の話を聞いていたボロボロの部下達が、反応を見せた。
「え゙え゙え゙え゙え゙っ!!マジすかーっ!?」
ただし、後ろに
そんな奴らに土方は再びバズーカを構える。
土方「しらじらしい。もっとナチュラルにできねーのか」
近藤「トシ、もういい。話が進まん」
全くその通りである。
近藤「この三人のうち、一人は攘夷党の桂だと言う情報が入っている。まぁ、こんな芸当が出来るのは奴くらいしかいまい。春雨の連中は大量の違法薬物を江戸に持ち込み、売りさばいていた。攘夷党じゃなくても、連中を許せんのは分かる」
絵里「でも、問題はここからよ。違法薬物の密売に、幕府の官僚が一枚かんでいたってウワサがあるわ。違法薬物の売買を円滑に行えるように協力する代わりに、利益の一部を海賊から受け取っていたって言うものよ」
希「なるほどなぁ。それで、真偽のほどは定かじゃないにせよ、江戸に散らばる攘夷派浪士はウワサを聞きつけ、”奸賊討つべし”と暗殺を画策しているってわけやな」
真選組一同、集まっているにもかかわらず遅れてきた希は、話は把握したようでウンウンと頷きながら、絵里の隣に腰掛けた。
絵里「遅いわよ、希」
希「ごめんなぁ、えりち。ちょっと寝坊してもうて」
土方「ちょっとか?」
希「ちょっとやん」
近藤「んな事より知ってたのか、希」
希「外に色んな人いたし、色々と話してたから聞こえたんよ」
近藤「そうか。まぁ、そんなわけで、
*
そんな話があったすぐ後。真選組は、それぞれ警備に当たることになった。
土方「こんの野郎は・・・。寝てる時まで人をおちょくった顔しやがって」
そう呟く土方の視線の先には、開いた目が描かれているアイマスクをして寝ている沖田の姿があった。
土方は、何故か抜き身で持っていた刀の刀身を沖田に向ける。
土方「オイ、起きろコラ!警備中に惰眠を貪るたァ、どーゆー了見だぁ?」
その声で愛用しているらしいアイマスクを取りながら気だるそうに沖田が言った。
沖田「何だよ母ちゃん。今日は日曜だぜィ。たく、おっちょこちょいなんだから~」
沖田は、肩を揉みながらそう言った。
土方「今日は火曜だ!」
絵里「ツッコミどころはそこじゃないと思うわよ!?」
希「母ちゃんじゃないもんな」
土方「てめー、こうしてる間に攘夷浪士が乗り込んできたらどうするんだ!仕事ナメんなよ」
沖田「俺がいつ仕事ナメたってんです?俺がナメてるのは土方さんと矢澤、テメェだけだ!」
最後の言葉を見回り中に偶然通りかかったにこにそう高らかに言い放った沖田の言葉に対するにこの反応は相当早かった。
にこ「何?何の話!?よく分かんないけれど、アンタが私に対して物凄い理不尽な飛び火を飛ばしている事だけは分かったわ!」
土方「よーし、勝負だ。剣を抜けェェェェ!!」
にこと土方が同時に捲し立てた直後、沖田を含んだ3人に拳が降り注いだ。
近藤「仕事中に何遊んでんだァァァ!お前らは何か!?修学旅行気分か!?枕投げかコノヤロー!!」
にこ「何で私まで!?」
そう大きな声で捲し立てる近藤にも拳が降り注いだ。
「お前が一番うるさいケロ!ただでさえ気が立っているというのに!」
近藤「あ、スンマセン」
「・・・ったく、役立たずの猿ケロ」
そう捲し立てて背中を向け去っていくのを見届けてから、沖田は呟いた。
沖田「何だよありゃ。こっちは命懸けで身辺警護してやってるっていうのに」
土方「お前は寝てただろ」
にこ「まぁ沖田に同意するのは癪だけど、私もそう思うわ。幕府の高官だか何だか知らないけど、なーんであんなカエル如き、守らなきゃならないのよ」
沖田「俺も珍しくにこさんと同意見でさぁ。不本意なことに」
にこ「不本意なのはこっちよ!」
絵里「ちょっとにこ!」
睨み合う両者の間に挟まれるように縁側に座っている近藤はため息をついて窘めるように言った。
近藤「総悟、にこ、俺達は幕府に拾われた身だぞ。幕府がなければ今の俺達はない。恩に報い、忠義を尽くすは武士の本懐!真選組の剣は幕府を護るためにある!」
にこ「・・・そりゃあね。今の私達は幕府のおかげであるんだってことぐらいは分かってるわ。幕府があったから私達は出会って、
沖田「けれど、もしかしたら海賊とつるんでたかもしれんヤツですぜ。どうも乗れねぇや、ねぇ土方さん」
土方「俺はいつもノリノリだよ」
そういう土方に対し、沖田は庭でラケットを振っている男を指し示した。
沖田「アレを見なせぇ。みんな、やる気無くしちまって、山崎なんかミントンやってますぜ、ミントン」
土方「山崎ィィィ!!てめっ何やってんだコノヤロー!!」
そう叫び物凄い形相で追いかけてくる土方にこちらも必死に全力で逃げる山崎。
にこ「相変わらずバカね、山崎は」
希「でも偵察では頼りになるやん、山崎さんは」
にこ「偵察だけね」
この毒舌、沖田さんのが移ったのかしらと思いつつ、そんな事はおくびにも出さない絵里は、苦笑いを零した。
近藤「総悟、にこ。あんまりごちゃごちゃ考えるのはやめとけ。目の前で命狙われてるヤツがいたら、いいヤツだろーが悪いヤツだろーが手ぇ差し伸べる。それが人間の在るべき姿ってもんだよ」
その言葉にむぅと顔を膨らませているにこに希は微笑みながらその膨らんだ頬をつつく。
希「それは分かるけど納得は出来ないって顔やな」
にこ「だって・・・」
絵里「そうねー。まぁ、気持ちは分かるわ」
ただひたすらに分かったか!と叫びながら山崎を殴る土方を誰も気に止めず、絵里がそう言った瞬間、近藤の視線の先にはあのカエルの天人が廊下を出歩く姿が見えた。
近藤「うん?あ・・・あっ!ちょっと!勝手に出歩かんで下さい!ちょっと!」
沖田「ハァ・・・底なしのお人好しだ、あの人は」
叫んでから廊下を出歩くカエルを追いかける近藤を見ながら沖田が呟く。
沖田の隣に出来た人一人分の空白の隣でにこは、後ろに向かって床に倒れ込んだ。
にこ「近藤さんがお人好しなのも今に始まったことじゃないし、別に構わないわ。けれど・・・護る為にも必要なことの区別をつけれないヤツを守ることになるなんて、サイアク・・・」
にこから小さく零れた舌打ちの後に続いた言葉に、絵里は苦笑いを零し、希は小さくそうやなぁ・・・と呟き、静かに立ち上がった。
*
近藤「ちょっと、
禽夜「うるさい!もう引きこもり生活はうんざりだケロ」
希「アンタ、命狙われてるって分かってるん?分かってなくても分かってても、こう勝手に行動されると困るんやけど」
禽夜「ふん!貴様らの様な猿に守ってもらわなくても何も変わらんケロ」
その言葉に希は目を細めた。
その変化に気づいてないらしい近藤は、カエル──基、禽夜に向かって言い返した。
近藤「猿は猿でも俺達ゃ、武士道っつー鋼の魂を持った猿だ!なめて貰っちゃ困る!!」
禽夜「なにを!!成り上がりの芋侍の分際で!!」
近藤に向かってそう高らかに言う禽夜に、希は笑顔を浮かべていた。しかしその目は少しも笑っていない。
希「・・・」
きんや「己、陀絡。奴さえしくじらなければこんな事には・・・」
近藤「え?ラクダ?」
とんだ聞き間違いである。
その時、遠くで何かがチカッと光ったのに、近藤と希は気づいた。
近藤「いかん!!」
希「!ダメ、近藤さん!」
咄嗟に禽夜を護るように前へと出た近藤だったが、希もまた、咄嗟に近藤の前に庇うように出ていた。
近藤「希!」
絵里「希っ!」
銃が当たった希を、近藤は抱き起こし、絵里、にこ、沖田は顔を覗き込むように近くに膝を着いた。
苦しそうに呻きながらも、うっすらと目を開けて、視線を近藤に向けた希は、近藤にだけ聞こえる声で呟いた。
希「・・・近藤、さん。あのな──」
近藤「!・・・ああ、もちろんだ」
何かを言った希の言葉に頷いた近藤を見て、希は満足そうに微笑み、意識を飛ばした。
土方「山崎!」
山崎「はい!」
遠くで狙いを外した狙撃手が背を向けて逃げ出すのを見た土方が名指しで呼ぶんだ山崎は、それに対して素早く反応し、行動に移した。
にこ「希!しっかりして!」
沖田「希さん!」
「希さん・・・っ!」
禽夜「フン。猿でも盾代わりになったようだな」
その言葉に対して沖田が瞳孔を開きながら素早く腰の剣に手を伸ばした。しかし、それよりも何秒か早く動けた者がいた。──にこだ。
にこは沖田が剣に触れるよりも先に抜刀した剣先を禽夜の喉元に突きつけた。
本人的には首を取るつもりで剣を向けたのだが、そこはいち早く気づくことの出来た絵里がにこの手首を掴んだお陰で、喉元に突きつけるだけで済んだ。
沖田「・・・!」
絵里「にこ!」
土方「止めとけ、にこ。瞳孔開いてる上に凄い形相だぞ」
その言葉ににこは悔しそうにしながらも、剣を収めた。
にこ「・・・勘違いしないでよね。希は・・・希はっ!アンタを護ったんじゃない。アンタを護ろうとした近藤さんを護ったんだっ・・・!」
沖田「・・・にこさん」
その瞳に浮かんでいたのは、悔しさから浮かぶ涙だった。
*
大勢で囲んでいては女性である希はゆっくりと休むことが出来ないだろうと言う配慮の元、手当てを終えてから負傷した希と一応の為に数人の女性隊員、それから絵里の考えで近藤を一部屋に残し、その隣の部屋へと残りの真選組一同は集まり、話し合っていた。
山崎「ホシは
土方「そーか。今回のことは俺の責任だ。指揮系統から配置まで全ての面で甘かった。もっかい仕切り直しだ」
「副長。あのガマが言ったこと聞いたかよ!あんな事言われて、まだ奴を護るってのか!?」
「アイツは
山崎「副長、勝手ですがこの屋敷色々調べて見ました。倉庫からどっさり
その言葉を静かに聞いていた土方は背中を向けながら言った。
土方「フン。何を今更」
山崎「!」
土方「今の幕府は人間のためになんて機能してねェ。んなこたァ、とっくにわかってた事じゃねーか」
そう言いながら襖を土方は開けた。
土方「テメーらの剣は何のためにある?幕府護るためか?将軍護るためか?俺は違う。・・・覚えてるか。あの頃、学もねェ居場所もねェ。剣しか能のないゴロツキの俺達をきったねー芋道場に迎え入れてくれたのは誰か。廃刀令で剣を失い、道場さえも失いながら、それでも俺達を見捨てなかったのは誰か。失くした剣をもう一度取り戻してくれたのは誰か。・・・幕府でも将軍でもねェ。俺の大将はあの頃から
その言葉ににこはハッとさせられた。
真選組としての仕事を案外真面目にする事にはするが、普段ヤル気を目に見える形で見せることが希はない。そこまで重要性のなく、尚且つ自分が居なくても余裕だと思える案件に対しては昔よりは少なくなれど、今ですら遅刻を頻繁にしたりする。重要性のある案件にも、作戦開始時間ギリギリに来ることだって、ザラにある。
それでもしっかりと希が今まで手を抜くことなく、任務に着いていたのは、──それは、希自身が近藤は自分にとって必要不可欠な大将だと、寧ろ大将は近藤以外にはいないのだと、いつだってその考えが頭の片隅にあったから。
そこまで考えてにこは思った。
順位を付けることなんて出来ない。そもそも順位を付けること自体がバカバカしい事だ。けれど──もし、順位を付けるとしたら?
もしかしたら、希はこの中の誰よりも近藤を忠誠心を誓っていて、誰よりも先にその身を削ることが出来るのではないだろうか。
にこ(他の人達はどうか知らない。けれど、近藤さんが声をかけてくれて、真選組に入れて、一番救われたのは私達三人の中だと、間違いなく希なのよね。きっと当たらずも遠からず、ね)
ひっそりと一人で考え事をしていたにこの耳に丁度考え事が終えたタイミングで土方の話が聞こえた。
土方「それがわかってたから、遅刻するくらい今回の件にやる気を見せなかった希も、近藤さんを護ったんだ」
絵里「・・・そうね。確かにその通りだわ。希は仕事に対してやる気にムラがあるけれど、それでも人一倍近藤さんの事になるとやる気関係なく動ける人だから」
にこ「それに、何よりも近藤さんは護ることを止めるなんて言ってないものね。そうでしょ、近藤さん」
にこの視線の先、そこには襖を開けて立っている近藤が居た。近藤は真剣な眼差しで静かに頷いた。
近藤「・・・もちろんだ。希にも言われたからな」
土方「大将が護るって言ったんなら仕方ねェ。俺ぁ、そいつがどんな奴だろーと護るだけだよ」
最後に一言、襖を開けながら土方は言った。
土方「気にくわねーってんなら帰れ。俺ァ止めねーよ」
その後を顔を合わせた絵里とにこは着いていく。
部屋を出て少し歩いた三人の目に映ったのは、沖田が禽夜を磔にして火で炙っている光景であった。
土方「何してんのォォォォ!!お前!!」
絵里「ちょっ!沖田さん!」
沖田「大丈夫、大丈夫。死んでませんぜ。要は護ればいいんでしょ?これで敵おびき出してぱぱっと一掃。攻めの護りでさァ」
にこ「・・・ふむ。沖田のくせに一理あるわね」
絵里「ないでしょ!!」
禽夜「貴様ァ!こんな事してタダですむと・・・もが!!」
沖田が左右に揺らしていた薪をカエルの本能か禽夜は喋ってる途中にもかかわらず、舌で掬い取った。
それを気にもとめずに、沖田は手に持っていた薪を話しながら次々と禽夜の口に詰め込んでいく。
沖田「土方さん。俺もアンタと同じでさァ。
にこ「なんでナチュラルに私まで入れてるのよ!?」
土方「フン。・・・あー、なんだか今夜は冷え込むな・・・。薪をもっと焚け、総悟」
沖田「はいよっ!!」
そう言われた沖田は更に火に向かって薪を放り投げる。
禽夜「むごォォォォォ!!」
薪を口に詰め込みながらも叫ぶ禽夜に向かって、銃が向けられた。
「天誅ぅぅぅ!!奸賊めェェ!!成敗に参った!!」
「どけェ、幕府の犬ども!貴様らが如き、にわか侍が真の侍に勝てると思うてか」
突然現れた相手に対して、落ち着いた様子で土方達は剣を抜く。
沖田「おいでなすった」
土方「派手にいくとしよーや」
絵里「にわかですって?誰に向かって言ってるのかしら」
にこ「まぁ仮ににわかだとしても、そんなにわかに手も足も出ない場合、あんた達はそれ以下ね」
近藤「まったく、喧嘩っ早い奴らよ」
絵里「近藤さん!」
突然聞こえた声に、後ろを少し振り向いた。
近藤「トシと絵里と総悟とにこに遅れをとるな!バカガエルを護れェェェェ!!」
その声と共に一斉に向かう奴らを見て、土方達は少しの笑を零した。
それに対して、土方は気合を入れるためにも叫ぶ。
土方「行くぞォォォ!!」
一方部屋の中では、目を覚ましたらしい希が閉じられている襖に目を向けて、微笑を浮かべながら呟いた。
希「・・・頑張ってね、皆」
*
神楽「おてがら真選組。攘夷志士、大量謙虚。幕府要人。犯罪シンジケートとの癒着に直撃・・・」
万事屋内にて、新聞を読んでいたらしい神楽はそこで言葉を止めた。
神楽「・・・銀ちゃん」
銀時「あー?」
神楽「癒着って何?」
その質問に困ったらしい銀時は、ジャンプを顔に乗せ寝っ転がっていた姿勢のまま、イビキをかきはじめた。
神楽「オイ、とぼけてんじゃねーぞ、天然パーマ!」
その様子に神楽の隣にいた穂乃果は、苦笑いを浮かべていた。