ラブ魂   作:美雪

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5ヵ月ぶりのラブ魂だね!

穂乃果「長いようで短いようで長かった日々だった」
銀時「結局どっちだよ」

長かったんじゃない?

銀時「5ヶ月か・・・」

私、これでも来年にはもう卒業なんだよなぁ。
あれ、やっぱり5ヵ月って早い?

穂乃果「いや、待ってる側からしたら十分長いよ」

じゃあ、さっさと始めよう。

銀時「最近雑だな」
穂乃果「しょうがないよ。意外と続いてるし」

意外とって言わないで!意外とって!

銀時・穂乃果「ラブ魂!始まります!」

無視っ!?


第十四訓 第一印象がいい奴にロクな奴はいない

銀時達は朝からスナックお登勢にいた。

 

お登勢「ああ?アンタの口は家賃を待ってくれしか喋れないのかイ?いい加減聞き飽きたよ。偶には前払いだの、お礼だの、今日もお美しいですね、なの喋れないもんかねぇ。気が利かないねぇ」

銀時「喋るだけなら喋ってやらぁ。たかが、今日もお美しい〜。・・・ダメだ。お口がいやいやいや〜ん」

お登勢「そんな役立たずな口、縫い合わせちまいな。あたしがやってやろうかぁ?タコ糸と太針で。ああ?」

 

カウンターでは、神楽が白米を大盛りで食べている。

その隣では穂乃果がいちごチョコバナナパフェ(お登勢が穂乃果の為に置いている品。)をせっせっと食べていた。

 

銀時「うっせー。俺の口はな、いちご牛乳とチョコレートパフェの為にあるんだよ」

お登勢「そんな乳くせーモン飲んでる暇があるんなら、一円でもいいから家賃払いなってんだよ!」

銀時「家賃より俺の人生のが大事だってんだよ。つか、その乳くせーモン、穂乃果も食べてるじゃねぇーか」

お登勢「アレはあたしの奢りだからいいんだよ」

銀時「はぁ!?」

 

相変わらず理不尽じゃねぇか、とぶつぶつ呟く銀時にお登勢が我慢の限界とでも言うように銀時に向かって言った。

 

お登勢「本当、アンタ、アホだね。アホの上にドが付くね!?なんならクソも付けてヤローかぁ?このクソドアホー!!」

銀時「ああ?アホって言うのは、言った奴がアホ何だぜー!?アホアホ、マホー!」

お登勢「アンタ、その脳ミソ幼稚園児並みかイ!?」

 

そんな二人を見て、新八はため息をついた。

白米をいつの間にか食べ終えていた神楽は、お登勢の肩をちょんちょんと突っつく。

 

お登勢「あん?」

神楽「おかわり、ヨロシ?」

 

その神楽の言葉に銀時もお登勢も同時に捲し立てる。本当に同時な為、何を言ってるのか分からない程だ。

 

神楽「炭を入れて炊くとかるけ臭さが取れるネ。おばあちゃんの知恵袋アル」

お登勢「それで恩を打ったつもりかイ。遠回しに不味いって言ってるんじゃないか」

銀時「普通、メシ食う時の効果音はパクパクだろうが。お前のは・・・」

新八「ああ!?」

 

新八の声にその視線の先を見る銀時。

 

銀時「バカ!ここで一番高いのは、嘘で塗り固めた笑顔じゃなくてぇ!」

 

そう言って止める間もなく、神楽は飲み物を飲むが如く、ゴクゴクと飲み込んだ。

 

お登勢「家賃とは別に付けとくからね」

穂乃果「神楽ちゃんったら・・・」

新八「そ、そんな・・・」

お登勢「自分で(ケツ)の拭けないような奴が、人の面倒を見ようなんざ、ちゃんちゃらおかしいねぇ」

銀時「体が硬いのは生まれつきだよ・・・。少しぐらい残ってたっていいだろ」

お登勢「その(ケツ)じゃねぇ」

 

そんな話を神楽は気にしていないのか、新たな注文をする。

 

神楽「乾き物は喉が渇くネ。烏龍茶」

「ハイ」

新八「って、スーパーだったらペットボトル358円の烏龍茶を何でここで飲みますかぁ!?玄関で札束燃やして靴探す成金オヤジ並みの暴挙ですよ!何とかしましょうよ!このままじゃお金なんていくらあっても足りませんよ!あ、いや、元々ないですけどね」

銀時「ああ、ね」

新八「真面目に働くとか!」

銀時「ああ」

新八「いっそ真面目に踏み倒しとか!」

銀時「ああ」

新八「こ、こうなりゃヤケだ!アンタを殺して僕も死ぬ!」

 

そう言って突っ込んでいく新八の鼻に指を突っ込んで、銀時は止めた。

 

銀時「落ち着け」

新八「っ!っっ!ああ、もー!なんて無気力なんだ!物事に立ち向かう勇気どころか、逃げる決意さえできないなんて!父親不在の現代教育の歪みがここに・・・!」

銀時「うるせぇな。元服したら親の責任じゃねぇんだよ。てめぇ自身で何とかしろ」

新八「何とかなってないじゃないですか!家賃・・・!?」

 

新八の言葉の途中で、神楽が新八に対して物を投げてきた。

 

神楽「うるさいアル」

 

そう言ってから小さく欠伸をして、ソファに仰向けに転がる。

 

神楽「親が死んでも食休みっと」

お登勢「やれやれ」

 

その後ろでは新八が血がァ!?血がァ!?と騒いでいる。

そんな新八に濡れタオルを渡す人がいた。

 

「アノ、大丈夫デスカ?」

新八「あ・・・」

「コレデ押サエルト、イイデスヨ」

銀時「あら?初めて見る顔だな」

穂乃果「新入りさんなの?」

キャサリン「ハイ。コノ間カラ働カセテイタダイテマス、キャサリン言イマス」

お登勢「彼女、出稼ぎで地球(ここ)来たクチでねェ。実家に仕送りするため、頑張ってんだ」

キャサリン「ヨロシクオ願イシマス」

お登勢「本当、よくやってくれてるよ」

銀時「たいしたもんだ。どっかの誰かさんなんて、己の食欲を満たすためだけに・・・」

 

そう言う銀時に物凄いスピードで物が飛んできた。

神楽が寝ながらも投げたのだ。

 

神楽「ん〜・・・、もう食べられないネ」

銀時・お登勢「そりゃそうだろうよ」

穂乃果「あはは・・・」

銀時「じゃ、辛いこともしんどいことも耐えられないこともあるだろうけど、頑張って」

キャサリン「アリガトウゴザイマス」

銀時「今が辛いと思っても、この先もっともっと辛いことがあるからな。それを思えば、耐えられるってもんだ」

新八「アンタ、真性のマゾですか!!」

 

 

 

 

その日の夜、万事屋のソファーで横になって新八は唸っていた。そして何故かその隣には空がいた。

 

新八「ひもじいよ〜、ひもじいよ〜」

銀時「うっせーなー・・・。だったら、家に帰ればいいじゃねぇか。食いもんだってあるだろーによ。つか何で空まで居んの?」

穂乃果「確かにそうだね」

新八「・・・今日は、姉上がいるんですよ。そして、海未ねぇがいないんです」

銀時「あ?」

 

その言葉には穂乃果も首を傾げる。

 

新八「姉上がいて、食事の支度をしているんですよ」

穂乃果「あ〜・・・。だから、夜になって空ちゃんまで来たんだ」

新八「姉上の玉子焼きは、食べると見えちゃいけないものまで見えてくるんです」

 

すると何故か突然豆知識を新八が言い始めた。

 

新八「銀さん、知ってますか?シュールストレミングってニシンの缶ずめは、猫ですら逃げた出す匂いらしいですよ。臭いものは美味いって言いますもんね」

 

いきなりの新八の言葉に穂乃果と空は首を傾げ、銀時は無反応だが、それを気にせずに新八はさらに言葉を続ける。

 

新八「銀さん、知ってますか?イヌイットの人達はトナカイを倒したら、ドロドロ〜になった、胃の内容物もちゃんと食べるらしいですよ。暖かくて、柔らかくて美味しいんだろうなぁ〜」

 

その新八の目は、明らかに瞳孔が開いていた。

 

新八「銀さん、知ってます?フクロウは、子ネズミを攫ってきたら、自分の巣の中で餌を上げて太らせてから食べるらしいですよ。ぷりっぷりですよね、きっと」

空「・・・いつもの新にぃじゃない」

新八「世界には美味いものがいっぱいあるってのになぁ。・・・よく考えたら、ここの家賃ってそんなに安くないんじゃないですか?ここより安いところなんて、ざらにあるハズですよ。ねぇ、銀さん」

 

そう言って瞳孔が開いたまんま銀時の元に歩き、椅子の背に手をやり、こっち側に回したが、いつの間に入れ替わったのか、それは銀時の天パに似た偽天パを被ったマルタだった。

 

新八「あれぇ!?」

穂乃果「まさか!」

空「ほぇ?」

穂乃果・新八「緊急用予算が!!」

新八「あんの、糖尿寸前野郎ー!!」

穂乃果「またやられた・・・」

空「初めてじゃないんだ・・・」

 

 

 

 

一方その頃、銀時と言うと。

 

銀時「よ」

キャサリン「!!」

 

人気のない道をキョロキョロしながら進んでいたキャサリンの前に出て、いちごミルクを片手に声をかけていた。

 

銀時「お使いか?ババア、人使い荒いからな」

キャサリン「ソ、ソウデス。ムーサンノタバコカイニ・・・」

銀時「そうかぁ」

 

そう言ってからちゅーと銀時がいちごミルクを飲む。

 

キャサリン「スイマセン、スイマセン」

銀時「まぁ、この辺りはな・・・。ゴミ溜めの掃き溜めの吹き溜まりみたいなところだ。何を言いたいかって言うと、俺達は同じゴミ同士ってことだ。嫌、ゴミってのはちょっと違ってだな・・・。同じ穴の鼻くそ・・・同じ釜、鍋・・・?」

 

何が言いたいか分からなくなりつつあるらしい。

 

キャサリン「ワカリマス。アナタ、イイ人。皆、イイ人」

 

そこでパトカーが傍を通り、すぐそこで立ち止まった。

 

「アンタら、ここの人?」

銀時「・・・だったら?」

「こーゆー(もん)なんだけど」

 

そう言って見せてきたのは、警察手帳だった。

 

銀時「・・・で?」

「ちょっと、捜査に協力して貰えない?」

 

 

 

 

「これで、全員?」

お登勢「なんかあったのかい?」

「うん、ちょっとね」

「この辺でさァ、店の売り上げ持ち逃げされる事件が多発してるんだよね」

新八「え?」

空「売り上げ?」

「今月に入って16件ですねぇ・・・」

銀時「それは憂慮すべき事態ですなぁ」

 

そう言ってから一つゲップを漏らす銀時。

それに新八が反論し、穂乃果はささやかに冷ややかな視線を送った。

 

新八「って、金取った張本人がァ!それに、その目に見えてわかる甘ったるい息は何だァ!!」

「犯人は天人らしいんだが、まだ捜査中でね。何か、気になる噂とかない?」

銀時「それなら、知ってますよ。犯人は、コイツです!」

 

そう言って力強く神楽を指差す銀時の一呼吸置いた後、神楽は無言で銀時の人差し指を握りしめ、躊躇いなくボキッと折った。

 

銀時「いやァァァァァ!!」

穂乃果「銀ちゃん!?」

銀時「おまっ・・・お前何さらしてくれとんじゃァァ!!」

神楽「冗談がつまらない人は、指を折られるアル」

銀時「知るかァ!!」

 

どうするべきか悩んでいた穂乃果は銀時と神楽を交互に見たあと、大体は持参をしているいちごミルク味のアメを一粒包みから出したあと、神楽の口元に持って行き、条件反射で開いた口に放り込んだ。(しかし、自然過ぎて神楽も銀時も気づいてない。相手が穂乃果だと言うこともその原因の一つだ。)それをもう一粒包みからアメを出して、銀時にも同じことをやってから、空と新八にも分けてから、自分の口にも放り込んだ。

 

新八「・・・何でアメ?」

穂乃果「え、何となく?」

銀時「俺がせっかく、タダで故郷へ帰る方法を教えてやろうとおもったのに」

「いや・・・強制送還は、タダではないよ?」

神楽「全くアル。そんな不名誉な帰国、御免こうむるネ」

銀時「選んでる立場か!」

神楽「いざとなれば、船にしがみついて帰るアル。こっちに来た時も成功したアル。なんとかなるネ」

空「そうなの!?」

穂乃果「え!?凄いねっ!?」

新八「って、それ、冷たい方程式だから!」

銀時「大丈夫。宇宙に放り出しても、平気で生きられるから」

 

全然大丈夫ではない。

 

神楽「ゴキブリじゃないネ!」

銀時「何だァ?その言い方は!ゴキブリさんに謝れ!地球最高を誇る生命力を持つゴキブリさんに謝れ!」

穂乃果「確かにそうかもしれないけど・・・ねぇ?」

 

そんなワイワイ騒ぐ銀時達を見て、警察官は呟いた。

 

「何か、俺、邪魔・・・?」

お登勢「少なくともうちには、取られるような大金も、取るような悪人もいないからね。ま、何かあったら知らせるよ」

「よろしく」

 

 

 

 

その夜のことだった。

 

万事屋から銀時が出てきて、階段を下りていた。

 

銀時「うぇ・・・口の中が気持ちわりぃ・・・。やっぱり飯なに甘い飲料を飲むもんじゃねぇな。よし、俺はまた一つ大人の階段を昇った」

穂乃果「銀ちゃん、今階段降りてるじゃん」

銀時「はっ!本当だ!って穂乃果、どうしたんだ?」

 

いや、何となく?と返しつつ、銀時と穂乃果は下にあるスナックお登勢の店の前まで来て、扉を開けた。

すると目の前にいたのか、スナックお登勢の中からはキャサリンがいた。何故か頭は出ているが、全身黒タイツ姿で。

 

穂乃果「あれ?」

銀時「あ?あれ、残業?・・・なわけねぇか」

 

銀時と穂乃果が見る視線の先はキャサリンの手で、その手はスナックお登勢のレジを持っていた。

 

その時、新八と空が来た。

 

新八「お腹が減ってぇ〜・・・」

空「お腹すいたね・・・。海未姉、今日は一段と遅いし・・・」

新八「ん?」

 

すると何故か唐突に銀時とキャサリンを目の前にした新八は慌てだした。(不意打ちで穂乃果が目に入ってなかったらしい。)

 

新八「すぐに消えますから!めくるめく感動の世界をお楽しみください!」

銀時「おい」

穂乃果「爛れた情痴・・・?」

 

すると直ぐに後ろを振り向いた新八の目の前に、今度は神楽がいた。

 

神楽「愚民共が〜。(棒)あたしの力の前にひれ伏すがいい!あははっ!あははっ!」

新八「・・・って、寝惚けてんの?それ、何の夢?ブランデーグラスと猫?」

神楽「人の命とはなんと虚しいものかー。(棒)」

銀時「おい」

新八「だからそれ、何処の悪代官?」

 

その時、神楽が何かに気づいたかのように目を覚ました。

同様に、空もそちらに目を向けた。

 

神楽「あ・・・あれ?」

空「あ」

 

神楽と新八のやり取りに、いつの間に取りに行っていたのか、原チャリに荷物を乗せてるキャサリン。

 

銀時「それ、俺の原チャリに似てるな?」

穂乃果「いや、似てるって言うか・・・」

キャサリン「イイ人バッカリネ」

神楽「そう言えば後ろに積んでいる傘、私のにそっくりアルナ」

空「いや、そっくりって言うか・・・」

新八「つかあれ、店のレジ!」

 

その時、騒がしいことに気づいたのか店の中からお登勢が出てきた。

 

お登勢「何だい、こんな丑三つ時に・・・っ!!」

 

その時、お登勢の脳裏に思い浮かんだことは、キャサリンに会った時のことだった。

 

お登勢「キャサリン・・・!」

キャサリン「アバヨ!腐レババア!バァーカ!!」

 

心底バカにしたような言い方に、銀時と神楽がキレた。

 

銀時・神楽「「血祭りじゃああああぁぁぁぁ!!」」

 

そう言い放った銀時と神楽は、キャサリンに追いつくため、まずは神楽がタクシーの前に出て止めて、銀時が後ろに乗っていた2人の男女の客を追い出した。同時に、神楽は運転手を追い出し、運転席に乗った。

 

穂乃果「いいのかなぁ、こんなことして」

 

とか言いつつ、後ろの席に乗る穂乃果。

銀時は助手席だ。

 

新八「ちょっ・・・!何やってんだ!どこ行くの!?」

 

その問いに答えず、タクシーは神楽の運転で発進したが、新八と空は間一髪乗り込んだ。

 

 

 

 

まさに暴走車というに相応しい運転をする神楽。

 

穂乃果「いやぁぁぁぁぁぁっ!!?」

新八「ねェ!とりあえず落ち着こうよ、二人とも!僕らの出る幕じゃないですって、コレ。たかが原チャリや傘でそんなにムキにならんでもいいでしょ」

銀時「新八、俺ぁ原チャリなんてホントはどーでもいいんだ」

新八「!」

銀時「そんなことよりなァ、シートに昨日借りたビデオ入れっぱなしなんだ。このままじゃ延滞料金がとんでもないことになる。どうしよう」

穂乃果「それは大変だね!」

新八「アンタの行く末がどうしようだよ!!」

 

そんな銀時に神楽は言った。悪魔の囁き同然の言葉を。

 

神楽「延滞料金の心配なんていらないネ。もうすぐレジの金がまるまる手に入るんだから」

新八「お前はそのキレイな瞳のどこに汚い心隠してんだ!!」

穂乃果「て言うか、大丈夫なの?普通に運転してるけど」

空「神楽ちゃん、免許持ってないよね?」

神楽「何言ってるアルカ、空。人、はねるのに免許なんて必要ないアル」

新八「オイぃぃぃ!!ぶつけるつもりかァァ!!」

銀時「お前、勘弁しろよ。ビデオ粉々になるだろーが」

穂乃果「気にするところってそこなの?」

新八「ビデオから頭離せ!」

 

そう話してるうちにも段々とキャサリン目掛けて迫っているのに気づいたのか、狭い路地裏へとスクーターを滑り込ませた。

 

銀時「あっ、路地裏に入りやがったぞアイツ!!」

 

しかし神楽にはそんなことは関係ない。

 

神楽「ほァちゃあああああ!!」

穂乃果「やぁぁぁぁぁ!!」

空「死ぬぅぅぅぅぅ!!」

銀時「オイオイオイオイ

新八「なんかもう、キャサリンより悪い事してんじゃないの、僕ら!!」

神楽「死ねェェェアル、キャサリィィィン!!」

 

勢いに任せてキャサリンを追った神楽の運転だったが、路地裏の先は、水場だった。

 

銀時・穂乃果・新八「「「あれ?」」」

 

当然スクーターのように小回りが利くわけではないので、そのまま重力に逆らわず、落下した。

 

銀時・穂乃果・新八「「「あれェェェ!!」」」

 

車が沈むのを見届けたキャサリンは、この場を去ろうとして、目の前に立つ人影に気づいた。お登勢だ。

 

お登勢「残念だよ。あたしゃ、アンタのこと嫌いじゃなかったんだけどねェ。家族のために働いてるっていうアレ。アレもウソなのかい?」

キャサリン「お登勢サン・・・アナタ、イイ人。デモ、馬鹿ネ」

お登勢「・・・」

キャサリン「世話好キ結構。デモ度ガ過ギルト、私ノヨウナ奴二ツケコマレルネ」

お登勢「そいつは性分さね。もう直らんよ」

 

そう言ってお登勢は懐からタバコを出し、ライターで火をつける。

 

お登勢「でも、おかげで面白い連中とも会えたんだがねェ」

 

その言葉に微かにキャサリンは眉を顰めた。

 

一方その頃の銀時達は、溺れていた。

 

お登勢「聞きたいかい?いや、聞いていきな、せめてさ」

キャサリン「・・・」

お登勢「まずある男女二人はこうさ」

 

回想の中のお登勢は、雪の中を傘をさして、花束を入れた水桶を片手に持ち、歩いていた。

 

お登勢「雪の降る寒い日だった。あたしゃ気まぐれに旦那の墓参りに出かけたんだ」

 

旦那のお墓にお供え物を置いたお登勢に、一つの声がかかった。当時の銀時だ。

 

銀時『オイ、ババア』

 

呼ばれたお登勢はそっちに顔を向けた。

 

銀時『饅頭食べていい?腹減って死にそうなんだ。俺ら』

 

余程お腹がすいてるのか、早口に銀時は聞いた。

 

お登勢『こりゃあ私のじゃなくて、旦那にやったもんだよ。旦那に聞きな』

銀時『あ、そ。んじゃ』

穂乃果『え、いいの?』

銀時『いいんだよ。ほら』

穂乃果『んぐ・・・美味しい』

銀時『だろ?ほら、一個多くやるから食べろ食べろ』

お登勢『・・・なんつってた?あたしの旦那』

 

お登勢「そう聞いたら、そいつなんて答えたと思う?」

キャサリン「サァネ。他人ノ思イ出話二ハ興味ナイ」

お登勢「死人が口聞くか、だとさ」

キャサリン「・・・」

お登勢「この恩は忘れねぇ」

 

その言葉を聞きつつ、キャサリンはエンジンを鳴らして、お登勢に向かって動き出した。

 

お登勢「ババア、老い先短いんだろうが、この先はアンタの代わりに俺が・・・俺らが護ってやるってさ」

 

その言葉と同時に、溺れていたハズの銀時と穂乃果が水面から出てき、お登勢の前に立ち、木刀を構えた。

 

銀時・穂乃果「「てやああぁぁぁぁ!!」」

 

お登勢『アンタらがあたしを護る?お手並み拝見といこうじゃないか』

 

 

 

 

銀時「仕事くれてやった恩を仇で返すたァよ。仁義を解さない奴ってのは男も女もみにくいねェ、ババア」

お登勢「家賃払わずに人ん家の二階に住み着いてる奴はみにくくないのかィ?」

銀時「ババア、人間なんてみんなみにくい生き物さ」

お登勢「アンタ、言ってることメチャクチャだよ」

銀時「そんなこと言うんなら穂乃果はどうなんだよ。一緒に住んでるだろ、俺と」

穂乃果「え、私?」

お登勢「穂乃果は別にいいんだよ。遅れても一ヶ月そこらだから」

銀時「ババアこそめちゃくちゃだろ!」

 

そうやり取りしている横を、警察に連行されたキャサリンが通り過ぎて行こうとしたところで、お登勢はキャサリンの方を向いて呟いた。

 

お登勢「とんだ野良猫だったねェ」

 

その言葉にキャサリンは顔を逸らした。

 

お登勢「けどま、ネコってのは、引っ掻くものさね」

キャサリン「!」

銀時「大当たりってわけだ」

お登勢「今更直りはしないよ。また食いっばくれたら、店の裏においでな。残りもんでも食わせてやるよ」

 

そのお登勢の言葉を聞いて、キャサリンは静かに涙を流した。

 

キャサリン「オ登勢サン、アンタ馬鹿ネ。デモ・・・」

 

そう呟いてからパトカーに乗ったキャサリンを見送ってから、銀時は呟いた。

 

銀時「馬鹿だって言われて怒らないとこ、初めて見た」

穂乃果「ね」

お登勢「気まぐれだって起こすことあるさ。だからま、今月の家賃くらいはチャラにしてやるよ」

銀時「マジでか?ありがとうババァ!再来月からはちゃんと払うから」

穂乃果「ありがとう!お登勢さん!」

お登勢「穂乃果はともかく、銀時、お前っ!これまでの滞納2ヶ月分チャラにしてんだ!しかも再来月って!」

銀時「やった♪やった♪」

お登勢「可愛子ぶってんじゃねぇ!!」

 

 

おまけ

 

 

ちょこっと

3年Z(ずぃー)

銀八先生

 

銀八「いいかぁお前らぁ。糖と言う字はなぁ、人と人と人人が支え合って、十字架担いで糖の国に行きましたとさ。むかーしむかしの話じゃった」

穂乃果「せんせー、昔話になってます!」

空(一体、なんの話しがしたかったんだろう?)




終わった!
今日は別に紹介しなきゃ行けない新キャラはいなかったね。

銀時「だな」
穂乃果「あれ?キャサリンは?」

キャサリンは特に変わりないもん。
穂乃果大好き設定もなきゃ、無双だってしないし。

銀時「アイツが無双とか有り得ねぇけどな」

ね。
あんまり違和感なく書けてるといいんだけど。

穂乃果「そうだねー」
銀時「今日のゲストは?」

え?んー・・・、きょ、今日はなし?で!
予告は穂乃果に頼んじゃおうかな!

穂乃果「そこはキャサリンじゃないの?」

だって、読みにくくなるでしょ。

銀時「あー・・・確かにな」

じゃ、お願いします。







穂乃果「次回はハム子を探して欲しいという依頼が舞い込み、その先に、宇宙海賊春雨と遭遇してしてしまう話です」







ま、大体そんな話だよね。

銀時「そうだな、大体そんな話だな」
穂乃果「えと、では、次回もお楽しみにしてください!」
銀時「何時になるかは分かんないけどな」

しっ!

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