銀時「またやっちまったな?」
穂乃果「いい加減、飽きられたりしない?」
・・・飽きられちゃうかなぁ?
銀時「可能性が無いわけじゃないな」
穂乃果「むしろ高いんじゃないかな」
うっ・・・!
いや、あのね?ちまちまではあるけど、一応書いてはいたんだよ?ただ・・・ゲームをしたり、アニメを見たりね?その・・・色々?いや、はい、ごめんなさい。
穂乃果「うんうん。やっぱり素直が一番だよねぇ」
銀時「でも、前回と開きすぎるとあれ?前の話ってどんなんだっけ?なんて事になりかねないよな」
本当に申し訳ありません・・・。
穂乃果「まぁ、始めようか?」
銀時「そうだな」
じゃあ、お願いします!
銀時・穂乃果「ラブ魂!始まります!」
この日、坂田銀時はある場所、一人で訳のわからないことを力説していた。
銀時「ちょっとぐらい違っててもいいんだよ。皆違って、皆イイって言葉知らねぇのかよ。ナンバーワンより、オンリーワンだろ!イラついてんじゃねぇよ。ムカつくとか言っとけば、世間を当てられると思ったら、大間違いなんだ!世の中、鬼だらけなんだよ!いいか!大事なのはコレだ!」
そういう銀時の左手には、お馴染みのいちご牛乳があった。
銀時「そう・・・カルシウムだ。カルシウムさえとっときゃ、全てうまくいくんだよ。受験戦争、親との確執、気になるあの娘。とりあえず、カルシウムとっときゃ全てうまく・・・」
新八「いくわけねーだろ!!幾らカルシウムとってたってなァ、車にはねられりゃ骨も折れるわ!!」
穂乃果「でも、骨折だけで良かったよね。ねー」
空「ねー」
穂乃果「アレ、そう言えば海未ちゃんは?」
空「お仕事。明日お見舞いに来るの」
そっかー、なんて会話を横目に話を進める銀時。
銀時「ともかく、俺もはねられたけどピンピンしてんじゃねーか。毎日、コイツ飲んでるおかげだよ」
新八「いちご牛乳しか飲めないくせにエラそーなんだよ!」
銀時「んだコラァァ!コーヒー牛乳も飲めるぞ!!」
空「結局牛乳入ってるし」
神楽「1日800キロカロリー、塩分控えめ、予算1食300円の割には美味いアルネ」
と、新八の病院食を食べる神楽。
銀時「いちご牛乳飲んどけ、いちご牛乳」
新八「うわっ、くさっ!息ヤバっ!」
銀時「なんだとぉ!?銀さんは、甘い息を吐いた」
新八「うわっ!新八は、99ポイントのダメージを受けた!」
因みに、こんなに騒いでいるが、ここは病院である。
当然、個室であるハズがない。
つまり・・・
「やかましーわ!!」
銀時・新八・穂乃果「!!」
「他の患者さんの迷惑なんだよ!!今まさにデッドオアアライブをさまよう患者さんだっていんだよ、ボケが!!」
銀時「ああ、スイマセン、こいつがうるさくて」
新八「アンタ本当に人間腐ってるな」
最終的に銀時と新八は、顔面に物を投げられた。
*
場所変わって、待合室・・・的な場所。
新八「もういい大人なんですから、いい加減にしてくださいよ。僕が病院に居づらくなっちゃうんですから」
銀時「人間、幾つになっても居場所探しの旅の途中だろ?」
新八「モークソング風にまとめてんじゃねーよ!!」
新八のツッコミの後に、何故か神楽がラップを始めた。
いつの間に着替えたのか、笑眠と書かれているチャックがないオレンジ色のパーカー、群青色のズボンに緑色のキャップの帽子というスタイルに着替えていた。
神楽「父YO母YO、ヘイヘイHOー、マイホーム探してマンホール、果てしない旅疲れ旅ー」
新八「ラップでもダメだから!」
銀時「やれやれ。アーティスト気取りのヤツが多すぎるな」
これもカルシウム不足のせいかねぇ、と言いながらいちご牛乳をそのまま飲む銀時。
穂乃果「あ、またそのまま飲んで!もう!」
「いちご牛乳か」
空「ん?」
「ワシも若い頃は飲み明かしたものよ。ギャルを引き連れてな」
そう言い、通りすがりの看護師のお尻を触るじいさん。
当然、平手打ちをくらった。
穂乃果の顔が心無しか引き攣る。
「ナツキちゃん、アレはええ子じゃった。『そんなにいちご牛乳飲んじゃ体に触りますよ。たまにはコーヒー牛乳にしたら?』なんてな。ゆかりちゃん、彼女もぶっきらぼうながらワシのことを心配してくれてのぉ。久しぶりに見たぜ!いちご牛にゃ!!」
銀時「いちご牛にゃ!?」
「そう、己の名誉にかけていちご牛乳を飲み続ける男を人は皆、いちご牛にゃと呼ぶ!」
何言ってんのこの人、という顔をしている穂乃果と空。
銀時どころが神楽も顔が引き攣っている気がする。
銀時「いやぁ、俺はしがない街の万事屋さんです」
「万事屋?」
銀時「そろそろ行かないと。仕事あるし」
穂乃果「そ、そうだね!」
「万事屋??」
銀時「ああ、忙しい忙しい。なんたって、万事屋だからなぁ」
そう銀時が言った後に、何故か手を広げるじいさん。
「万事屋ぁぁぁぁ!!」
その勢いに、輸血パックが倒れた上に、点滴のシールが剥がれた。
穂乃果「ひぅ!?」
空「うにゃあ!?」
神楽「ヤバいアルぅ!何か心の非常ベルを押しちゃったネ。ニキビマン言われてもクレーター言われても怒らなかった浜田君が、ボコ言われた途端椅子放り投げて暴れた中学2年の秋」
新八「誰、浜田くんって」
そんな事言う面々に徐々に近づいてくるじいさん。
その間にも誰が前に出るか揉めてる銀時達。
結果、新八が一番前になった。
「今、万事屋って言ったな?つまり何。万事、何でもしてくれるの?」
新八「いや、何でもって蘇生は無理ですから。教会行ってゴールド払ってください。時々タダでやってくれるところもあるんですけど、その場所は教えちゃ行けないって、ひいおばあちゃんが」
じいさんはそう言う新八に向かって何故か懐から先の尖った
新八「嘘です!すみません!ゴールドなんてゲームの話をして!」
そしてじいさんは新八の懐を掴んで思いっきり簪を振りかざした。
新八「最後の話題がゲームネタなんてイヤー!!」
幸いにも簪は目の前で止まったけれど、新八の意識は遠くなったそうな。
*
さらにところ変わって庭。
爺さん「この簪の持ち主を探して欲しいんじゃ」
穂乃果「簪の?」
空「簪って、アレだよね。髪飾りのヤツ」
穂乃果「そーそー、それだよ」
新八「それってどーゆう・・・」
その新八の問いかけに、おもむろに頬を赤く染める爺さん。
爺さん「は・つ・こ・いの、人じゃ」
その向かいでひたすら酢昆布をかじっている神楽。
空も空で、おもむろに桃味のペロペロキャンディーを出して無心で舐め始めた。
新八「ちょっと何その酢昆布。空ちゃんまで」
神楽「聞くに堪へない話を聞く時は、酢昆布が心の並行を保ってくれるネ」
その横で首を縦に降る空。
爺さん「この歳まで世帯も持たないで女のケツばかり追いかけてきたが、何故かな、今になって思い出すのはあの人の笑顔ばかりでな」
銀時「俺にも酢昆布をくれ」
穂乃果「あ、空ちゃん、ペロペロキャンディーまだある?」
空「あるよー」
穂乃果「じゃあ、貰えるかな?」
そう言って、穂乃果は無心でイチゴ味のペロペロキャンディーを舐め始める。
新八「ちょっ、穂乃果さんまで!?」
穂乃果「恋バナって、無性にお腹が空くんだよね」
空「確かに、それはあるよね」
結局ツッコむことを新八は諦めた。
爺さん「笑ってくれても構わんぞ。こんなジジイが、死に際に色気づきおって、とな」
新八「そんなことないですよ」
そういう新八も酢昆布を貰って食べてるため、人の事は言えなかった。
爺さん「ああ、本当に綺麗な人じゃった」
爺さんの話を簡単にまとめると、こうなる。
爺さんの初恋の相手はいつも簪を付けた、働き者の巷でも評判の娘だったらしく、いつもその人目当てで団子屋に行く人でいっぱいだったらしい。
爺さんは、そうしたくとも金もなければウブだった為、出来なかったそうな。
しかしある日、物陰から見るだけだった爺さんにその娘が話しかけてくれた。
しかしその直後、団子が喉を通らなかったらしく、喉に詰まらせた挙句、そんな醜態を見せたくないと足掻き、逃げ出したそうだ。
爺さん「気がついた時はどこぞの路地で、反吐まみれになって倒れておったよ。苦し紛れに引き抜いてしまった、彼女の簪を握ってな」
穂乃果「へぇ・・・」
爺さん「彼女を探して欲しいんじゃ」
銀時「うちは高いぜ。超一流の万事屋だからな」
爺さん「金ならある」
その一言に銀時と穂乃果の目が鋭くなった。
爺さん「ギャルにいくら払っても、使いきれんくらいじゃ。家族もおらんし、遺産をどうしようか悩んどったくらいじゃ」
さらに続いた言葉に、銀時と穂乃果が明らかに反応している。
爺さん「わしの頼みを引き受けてくれれば、アンタ達に全ての遺産を残そう」
銀時「し、仕方ねぇな」
銀時の声が震えていた。
銀時「年寄りの頼みとあっちゃ、断る訳には行かねぇだろ」
穂乃果「そ、そうだね!」
銀時に続いて穂乃果まで声が震えていた。
新八「って、アンタら笑いながら怒る人みたいになってるよ!」
つまり、そういう顔である。
銀時「黙れ新八!お前はこの依頼人のお世話をするんだ!誠心誠意、真心を込めてな!」
新八「えー・・・、僕も入院患者なんですけどぉ」
銀時「ばぁっかヤロー!万事屋ってのは、人様のお役に立ってなんぼだろ!人生に大事なのは金でも学歴でもねぇ、愛だ!」
神楽「気力と思いやりを忘れた若者はこれだから」
やれやれ、という動作でそういう神楽。
新八「あれ、なんで僕だけ今どきのダメな若者にされてるの?」
そうして、銀時と穂乃果と神楽はその場をあとにした。
因みに、空も何故かついてきた。
空「ねぇ穂乃果さん、いさんってなぁに?」
穂乃果「え?そうだねぇ、死んだ人が生きる人のことを思って、残してくれたもの、かな?」
神楽「いさんって酢昆布より偉いアルか?」
銀時「酢昆布ファミリーパックより偉い」
神楽「凄いアル!」
*
「団子屋『かんざし』?知らねーなぁ」
穂乃果「昔、この辺にあったって聞いたよ?」
「ダメだ、俺三日以上前のことは思い出せねェ」
銀時「ニワトリ以下だな」
「それよりよォ銀時、お前たまったツケ払ってけよ」
穂乃果「銀ちゃん、まだ払ってないんだ」
すると何故か三日以上前のことは覚えてないと言ったのに、銀時の払ってないツケをあげていく。
銀時「なんだよォ、都会動線の駅の名前、東京から全部暗唱するガキか、アンタはァ。日が暮れちまうぞ」
穂乃果「それよりもね、その『かんざし』で奉公してた綾乃って娘さんを探してるの」
銀時「娘っつっても、五十年も前の話だから今はバーサンだろーけどな」
「ダメだ、俺ァ四十以上の女には興味ねーから。それよりよォ銀時、お前たまったツケ払ってけよ」
そうしてまた呪文の如く銀時のたまったツケをあげていく団子屋さん。
銀時「円周率、覚えた方がモテるらしいぜ」
「え?マジ?」
その言葉に気を取られた団子屋さんの隙に、4人で一目散に逃げる。
「あ!ソ連の歴代書記長と征夷大将軍、どっちがイケてる!?」
*
「もう〜嫌んなっちゃうわ、あのエロジジイ」
「脳みそかち割ってやればいいのよ。いくら白衣の天使だって、殺意くらい湧くわよ。チップ貰えるならともかくさ」
「無理無理。入院費だって、もう何ヶ月滞納してるか」
その言葉に偶然聞いていた新八は口をあんぐりと開けた。
「お金ないの有名だもん」
新八はその言葉に騙された事を悟り、怒りの赤いオーラを放って震えていたが、その新八を超える怒りの赤いオーラを新八の後ろで震えながら、出している三人がいた。
言わずもがな。銀時と神楽、そして珍しい事に穂乃果である。
銀時・穂乃果・神楽「「「あんのくそエロジジイ・・・!!」」」
*
銀時と穂乃果、神楽は怒りのあまり、爺さんのいる病室の扉を破壊し、室内へと入った。
銀時・穂乃果・神楽「金ぇぇぇぇぇ!!!」
しばらくの沈黙の後。
爺さん「あ、バレた?」
そう軽く言う爺さんに、銀時と穂乃果と神楽はひっくり返った。
銀時「よ〜く〜も〜っ!!」
爺さん「待て待て。お前は金如きで、老人の生きる希望を奪いさろうとするのか?」
神楽「この口でそんな事言うアルカ!」
爺さん「いたたっ!」
穂乃果「金の切れ目が縁の切れ目って言うじゃない?」
銀時「降ろさせてもらうぜ」
新八「ジャンプは貰っていきます。十週目が気になりますから」
空「自業自得だよね」
神楽「病室食もネ。うすあまーいデザートが気になるネ」
そう言って、爺さんの病室から去っていく面々。
銀時「という訳だ、悪く思うなよ」
穂乃果「ごめんね?」
そう2人が言った後、微かなうめき声が後ろから聞こえた。
*
爺さん「これで、ワシがただのエロジジイじゃなく、病弱なエロジジイだと分かってもらえたじゃろ」
銀時「その顔色、アンタ本当は・・・」
爺さん「あの団子事件には続きがあるんだ。聞くか?」
その話を銀時と穂乃果は静かに聞く。
爺さん「あの後、人ずてに聞いた話によると、彼女はあの店を辞めさせられちまったらしい。ワシだけじゃない。貧しい子供や腹ペコの野良犬や野良猫見つけては、内緒で団子を食べさせてたんだ。ワシの一件で主人にそれが露見しちまって、辞めさせられちまったのさ」
穂乃果「お爺さん・・・」
爺さん「本当に悪いことしちまった。今更謝っても
*
銀時「行くぞ」
そう言って、新八が読んでいたジャンプを取り上げる。
新八「あ、帰るんですか?」
穂乃果「簪の持ち主探し、続行だよ」
新八・神楽・空「えっ!?」
すると突然、何故か語り出す銀時。
銀時「いいか、昼間にいちご牛乳を飲みすぎて、夜中にトイレに行きたくなったとしよう。しかし布団の外は寒い。布団から出たくない。しかし尿意は強まる一方だ。
すると何故か周りの人達も話を聞く為か立ち止まっていく。
銀時「だかそこで気づく!俺がいるのはトイレじゃない、布団の中だ!太ももに広がる生暖かい感触!だか止まらない、止められない!そーいうものなんだよ、何事も!それが真のいちご牛にゃーなんだ!分かったか!?」
神楽「いちご牛にゃー!!」
空「いちご牛にゃーだぁ!!」
何故か目を輝かせる神楽と空。
新八「つーか・・・」
新八が何かを呟こうとすると、周りからいちご牛にゃーコールが溢れた。
それに銀時は満足そうに頷き、新八は戸惑っていたものの、最終的にはいちご牛にゃーコールをした。
*
新八「つっても、こんなどこにでもある簪、どうやって調べたら・・・」
神楽「いいアイディアがアルネ」
そう言って銀時の手から簪を取り、定春の鼻の前に持っていく。
神楽「見つけたらかじり放題ネ、定春」
空「なるほど!」
新八「おーい!さすがに無理でしょ!つか、かじり放題って何!?誰を!?」
神楽「にやり」
新八「ニヤリじゃねっつーの!!」
しかし方法は他にない為、定春の背に怪我をしている新八を乗せて定春の鼻を頼りに探す。
新八「50年もたってるんだ。匂いなんて残ってるわけ無いって」
穂乃果「やっぱりそうかなぁ?」
神楽「分からないアルヨ。綾乃さん、もしかして体臭キツかったかもしれないアル」
新八「体臭って・・・。青少年の甘づっぱい夢をさらっと打ち砕くな。この酢昆布娘」
銀時「いやいや、安心したまえ、新八君。別嬪さんってのは、理屈抜きでいい匂いがするものですよ」
銀時のその言葉に一斉に視線が穂乃果に向けられて、当の本人は首をかしげた。
神楽「確かに、穂乃果はいい匂いがするアルナ。私、好きアル。この匂い」
銀時「だろ?」
空「うちの海未ねぇも、いい匂いなんだよね」
新八「そうですね・・・。何だか、心配が無くなりました」
そう話してる内に見覚えのある建物まで来たのに、銀時達は気づいた。
銀時「って、オイ!お前、家戻って来てんじゃねーか!!散歩気分か、バカヤロー!!」
定春は下にあるスナックお登勢の扉を前足で突っついている。
銀時「オイ、まさか・・・」
新八「まさかねぇ・・・?」
*
お登勢「なんだよ、家賃払いに来たのかイ」
穂乃果「いや・・・ん?」
お登勢「お前、こちとら夜の蝶だからよォ。昼間は活動停止してるっつったろ。来るなら夜来いボケ。穂乃果、ジュース飲むかイ?」
空「夜じゃなきゃ、ダメだったんじゃなかったの?」
銀時「・・・いやいや、これはないよな」
神楽・新八「ナイナイ」
銀時「綾乃ってツラじゃねーもんな」
神楽・新八「ナイナイ」
お登勢「何で私の本名知ってんだイ?」
その言葉に一瞬の沈黙が降り落ちた。
穂乃果・空「ええっ!?」
新八「頭が痛いィィィ!!理解出来ない言葉がァァァ!!」
銀時「ウソつくんじゃねェェェ、ババァ!!」
神楽「おめーが綾乃のわけねーだろ!!百歩譲っても、上に「宇宙戦艦」がつくヨ!!」
お登勢「オイぃぃぃ!!メカ扱いかァァァ!!」
あまりにもあんまりな言い様に、一泊程置いてお登勢は告げた。
お登勢「お登勢ってのは源氏名・・・言わば、夜の名前よ。本名は寺田綾乃っていうんだ」
その言葉を聞いてるのか聞いてないのか、銀時と神楽はそこに行列を作って歩いているアリを見ていた。現実逃避である。
穂乃果はお登勢には世話になっている自覚はあるし、よく出来た子なので、そんな露骨な現実逃避はしない。
神楽「アリんこさん、お散歩は楽しいですか〜?」
お登勢「何わかりやすい現実逃避してるんだ!アリより綾乃だろ!!」
お登勢のツッコミが入った所で、お店にある電話が鳴り響いた。
お登勢「ハイ、スナックお登勢・・・。え?万事屋ァ?大江戸病院から電話だよ」
穂乃果「大江戸病院から?」
お登勢「なんかジーさんがもうヤバイとか言ってるけど」
銀時・穂乃果「!」
お登勢「知り合いが入院してるのかイ?」
*
「非常に危険な状態だ。そろそろかもしれないね」
「心臓に治療不可能な病気を抱えていましたからね」
「しかし、アレだな?女遊びの激しい人だと聞いていたが、誰一人看取りに来てくれないとは。寂しいもんだな。ま、病院としちゃあ問題患者がいなくなってくれれば、助かるけどね」
「先生、脈が弱まってきました」
*
その頃、銀時達は定春に乗った神楽、穂乃果、お登勢とスクーターに乗った銀時、新八、そしてひっそりその小さな体を活かし、銀時の足を置くスペースの間に座っている空は、それぞれ乗っているモノで、猛スピードを出し、病院に向かっていた。
「暴れ馬だぁ!!」
「きゃあああ!!助けてぇ!!」
そんな感じで混乱に陥っているのに構わず、スピードを緩めない一行。
新八「ちょっ!さっき何か踏みましたよ!?」
穂乃果「え?そう?」
神楽「気にすることないネ」
銀時「俺達の崇高な人助けに、小さな犠牲は付き物さ。おい、空あんまり動くなよ。お前が落ちて怪我負った日にゃ、お前のねーちゃんに殺されるから、俺」
空「うん」
新八「て言うか、アレ人でしたよ!?確かに人!多分人!!」
銀時「違うな」
神楽「どっちかって言うと、石ころとか綿埃の仲間アルネ」
穂乃果「多分って言ってる時点で、人じゃないのは間違いないね!」
空「そーなんだ!」
散々と言う銀時達にお登勢はポツリと呟いた。
お登勢「酷いね、オイ」
*
ところ変わって病院。
「いよいよか」
「結局、誰も最後間に合いませんでしたね」
そう看護師が呟いた時、後ろの窓から何かが突っ込んできた。
言わずもがな、定春である。
その後すぐ、そのまま廊下を走ってきたのか、スクーターに乗ったまま銀時達も来た。
穂乃果「お爺さん!」
銀時「爺さん!」
「な、何だ君達は!?」
銀時「いちご牛にゃー同士の約束だ。連れてきてやったぞ」
その言葉に反応したかのように、爺さんが目を開いた。
「先生!意識が・・・!!」
「何っ!?」
驚く医者を退かすように、銀時と穂乃果は爺さんの傍へと寄る。
銀時「オイ、聞いてんのか爺さん」
銀時はそしてパシッと軽く爺さんの頭を叩く。
「ちょっと君、何やってんの!?」
そう騒ぐ医者の頭を定春が首まで丸ごと咥えた。
銀時「簪はきっちり返したからな」
穂乃果「見えるかな、お爺さん」
そう言ってお登勢と入れ替わる様に銀時と穂乃果が後ろへ下がる。
爺さん(・・・ああ、見えるともさ)
そう思う爺さんの目には、若い頃の寺田綾乃、その人の姿が見えた。
爺さん「・・・綾乃さん」
そう呟くように言った爺さんに見せるように、綾乃は簪を付けた。
爺さん「アンタやっぱり・・・簪良く似合うなァ・・・」
その言葉に綾乃は微笑む。
綾乃「ありがとう。簪、返してくれて」
*
お登勢「やれやれ。いきなり何処に連れていかれるのかと思いきや」
新八「でも、いい顔してましたね」
お登勢「ふーん?」
銀時はふと考えた様子を見せてから、お登勢に尋ねた。
銀時「・・・バーさんよォ。アンタひょっとして、覚えてたって事はねーよな?」
お登勢「何をだイ?」
銀時「いや、あ、つまり・・・」
お登勢「さあね」
穂乃果「ん?」
お登勢「さてと・・・団子でも食べに行くとするかイ」
銀時「ん・・・ああ」
色々あって疲れたからか、銀時に抱き抱えられながら眠っている空以外は、今一瞬だけお登勢が寺田綾乃だけであった頃の姿に見えて、一斉に目を擦った。
終わったー!
銀時「終わったなー」
穂乃果「終わったねー?」
最近やる気がないね?
穂乃果「そんな事ないよー。ね、銀ちゃん。・・・ふぁ〜」
銀時「おう。そんな事ないな。・・・ふぁ」
欠伸してんじゃん。
穂乃果「そんな事より、今日のゲストは?」
・・・お登勢さん?
銀時「あ?なんでだァ?」
今回の話の起点だし?
穂乃果「じゃあ、お登勢さーん!」
お登勢「ゲストのお登勢です」
今日、別に話すことないんだけど、何かある?
お登勢「別にありゃしないけど、しいって言えば更新遅すぎじゃないかイ?」
それは自分でも分かってるよォォォォ!!
穂乃果「お登勢さん、お登勢さん」
お登勢「ん?」
穂乃果「そこはほら・・・オブラートに包まないと」
銀時「意外とメンタル弱いからなぁー・・・」
お登勢「・・・うん、なんかゴメン」
・・・いいよ、別に。
ほら、予告ちゃっちゃとやっちゃお。
*
お登勢「次回はあのネコ耳を付けた獣人が出るよ。じゃ、次回もよろしく頼むね」
*
・・・それだけっ!?
穂乃果「簡潔だね」
銀時「これ、分かる奴には分かるけど、わかんない奴にはひたすらわかんないやつ」
お登勢「いいだろ、別に。あたしも忙しいんだ。もう戻ってもいいよな?」
・・・うん、いいよ。
じゃあ、私達も解散で。
穂乃果「そだね」
銀時「さてっと・・・パチn・・・いや、夢の玉を手に入れに行くかな」
穂乃果「ちょっ!銀ちゃん!ダメだよ!お金、ただでさえないんだから!」
・・・次回も気長にお待ちください!