健全魔導士目指します   作:秘密の区域

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電撃には気を付けろ

 『妖精の尻尾』のみんなが優しすぎる件について。どうして俺なんかを気にかけるのだろうか。

 エルフマンの1件から受け身的に交流が広がった。ミラが俺の名誉を傷つけないように細部を隠しつつ、事の顛末を話したらしい。

 みんなからの尊敬のまなざしが痛い。

 

 そして何よりも致命的だったのは俺がエルフマンとバトルした際、エルフマンに怪我を負わせないように立ち回ったと言われていることだ。

 そんなわけないだろ。あれはエルフマンが強すぎて手も足も出なかっただけだ。応戦しようとした時には既に拳の雨に晒されていた。思い返せば啖呵を切ったくせに無様な戦いだった。

 

 俺の知らぬところで強者の噂が止まらないせいで、ナツに勝負を挑まれる頻度が増える。普通に勝負を挑むのは百歩譲っていいとして、殴りかかりながら挑んでくるのはやめてもらいたい。なんでギルドで神経使わねばならんのだ。

 だが挑まれる分対策もしっかりしてきて、E・ファンタジーで乗り物シチュエーションの妄想を見せて乗り切っている。妄想でも酔うとはチョロい。

 

 しかしナツだけが厄介ではない。俺の師匠であるエルザも話を聞いたおかげで、修行がハードモードになってしまった。煉獄の鎧を使うなんて間違ってる。目にした時、生きるビジョンが見えなくて、小便漏らしかけた。

 この調子だとアクノロギアを見た日には糞まみれかもしれない。

 

 まとめると俺は実力は皆無であり、人格者でもないってことだ。だからラクサスよ、俺を『雷神衆』に誘わないで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラクサス・ドレアーとその囲いである『雷神衆』。ラクサスは言わずと知れたS級魔導士で、しかも現『妖精の尻尾』マスターマカロフの孫。

 彼を崇拝する『雷神衆』もまた精鋭揃いだ。エバーグリーン、ビックスロー、フリード。どいつも癖の強い魔法を使うが、実力は折り紙つき。特にフリードの術式、あれは悪用出来そうだから、機会があれば俺も習得したい。

 

 ラクサス並びに『雷神衆』は『妖精の尻尾』でも上位クラスの実力を持っているが、ギルドから浮いている。

 まあ浮いているから浮いている者同士徒党を組んでいるのだろう。だから『妖精の尻尾』の中で、異質な俺をスカウトするのはわからなくもない。

 だが俺は『雷神衆』に入るほどの強さはない。強くても『雷神衆』に入ろうとは思わないがね。

 

 俺は事を荒立てないように丁重に勧誘をお断りした。

 

 しかしラクサスが言うには「てめえはいつまでその実力を隠しているんだ?」とのことだ。残念ながら隠しているのでなく、もともとないんだ。

 最強転生者にしなかった神を恨め。

 

 ラクサスが俺の勧誘から、俺の実力を試す方向に傾いてきた。腕試しされるなんてたまったもんじゃない。

 俺は思考をフル回転し、この状況を打破する言葉を捻出する。

 

「俺さあ、エルザ派なんだよね」

 

 ラクサスとエルザは仲が悪い。『妖精の尻尾』のメンバーの大半と関係がよろしくないラクサスだが、2人の対立はよく目立っている。

 そんなエルザを引き合いに出されたラクサスは「エルザに媚びるとはお前もたかが知れてるな」と言われてしまった。『雷神衆』に入ればラクサスに媚びるも同義なのに、なんでそんなことを言われないといけないんだ。どうせ媚びるなら男より女のほうがいいに決まってるだろ。

 

 俺はラクサスにエルザの魅力を長々と話すと、ラクサスも「お前の言うことも一理ある」と納得させることに成功した。

 それから話が下世話な内容に変わっていき、事前に聞いていた俺の印象と違うことに驚いていたので、それはみんなの勘違いだと教えてあげた。ラクサスはしばらく神妙な顔つきになった後、「そういうことにしておいてやる」と言ってきた。また別の勘違いが起きた気がしたが、これ以上踏み込みたくなかったので黙っていることにした。

 

 ラクサスは俺と一緒にクエストに行く約束取り付けて去っていった。絶対一悶着あるとビクビクしていたのに、終わってみればラクサスと話せる仲になってしまっていた。

 これが原因でエルザと不仲にならないか不安だ。俺はラクサスとエルザだったら、もちろんエルザを取るので、いざとなったらラクサスは切ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、ギルドに行ったらエバーグリーンがエルザに絡んでいた。どんな因縁つけてんだ?と思っていたら、同じ『雷神衆』の1人であるビックスローが詳細を教えてくれた。なんと『雷神衆』の3人は昨日の俺とラクサスの会話を聞いていたらしい。その中で俺がエルザの魅力をラクサスに納得させたことが気に食わず、あのように絡んでいるんだとか。女の嫉妬は怖い。

 

 エルザも災難だなあと同情していたら、俺の存在に気付いたエバーグリーンがこっちに来てしまった。

 エバーグリーンが言うには「エルザより私の方が上だ」とかそんな話。俺は面倒だったので、「価値観は人それぞれだが、俺はこのギルドの中だとエルザが1番好みだ」と宣言した。

 

 これにエルザは勝ち誇った顔をし、一方のエバーグリーンはとても悔しそうにしている。とりあえずひと段落だと俺は思っていたが、俺の言葉は予想以上の反響を生み出しており、周りのざわつきが止まらない。ロキがこっそり耳打ちして「エルザは口説かない方がいい」と忠告された。口説くつもりは毛頭ないぞ。

 

 事態が収集つかなそうなのでこっそり抜け出そうとしていた時、1つの嫌な視線に気付いた。視線の主はミラだった。ミラはいつも通りニコニコしているものの、その体から黒いオーラが湧き出ているのがわかる。

 俺が負の感情を向けられていることを不審に思っていたら、ミラは「ふーん、Kは私にあんなことをしたのにエルザが好みって言うんだね」と、とんでもないことを口にした。

 それからみんなの追求を逃れるために長い逃亡劇が繰り広げられ、俺は人生最大の疲労を味わうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに数日が経ち、俺はまたエバーグリーンに絡まれた。彼女はエルザより下だと思われることを認められず、俺の認識を改悪しようと燃えていた。

 俺はあの出来事で疲弊していたので、適当にあしらいたかったのだが、エバーグリーンはそれを許してくれない。どうしたものかと俺は悩み、この状況を逆に利用してやろうという考えに至った。

 エバーグリーン、お前だって俺のターゲットのうちの1人だ。

 

 では今回の作戦を語る前にエバーグリーンの眼について触れる。エバーグリーンは石化眼という特殊な眼を有している。効果は目を合わした相手を石化させる恐ろしいものだ。ただし義眼や眼鏡だと石化眼は通用しない。それでも優秀な魔法であり、エバーグリーンの1番の脅威はこれだろう。石化眼に頼りすぎて義眼のエルザには敗北したが、相手が悪かっただけで、素のステータスも高い方だ。

 苦戦を強いられそうだと思うが、何も特殊な眼を持っているのは彼女だけとは言ってない。俺も極点眼(エクスタシーアイズ)と呼ばれる眼を持っているのだ。

 極点眼は相手の快感のツボを見通すことが出来る眼だ。今回はこの眼を活用して奴を快楽の虜にする。

 

 俺はエバーグリーンに「エルザは肌がきれいだ」と話した上で、ツヤを出すためにマッサージを提案した。当然大して親しくもない男にマッサージをされることにエバーグリーンは難色を示したが、「それは残念だ。エルザにもするつもりだったんだけどなあ」と言ったら、態度を急変して承諾した。

 

 エバーグリーンはギルドの1室を借りてすると思っていたが、今いるのは俺の部屋だ。いつ人が入ってくるかわからないリスクは背負えない。

 俺の部屋でやることも「見えないところできれいになる努力をしてるって良くないか?」など言葉巧みに使って了承済み。

 

 布団も敷いて準備万全になったところで、いよいよ戦いが始まる。俺はエバーグリーンにうつ伏せになるように指示した。彼女にはオイルを塗るからと水着に着替えてもらっている。

 こうして見るとエバーグリーンも『FAIRY TAIL』の登場キャラらしく、そそる肉体をしている。あのキツい性格ばかりが印象的だが、それをこれから屈服させると考えると、脳汁が止まらない。

 

 俺はオイルという名の禁具スライムを溶かした液体を手に取り、微弱なE・サンダーを纏わせた。

 まずは背中からじっくり責めていく。ヘマをするわけにもいかないので、慎重にツボを避けながらほぐしていく。エバーグリーンは本格的に乱れてはいないものの、スライムとE・サンダーの影響から、妖しい声が漏れる。

 そろそろ頃合いだと、俺は極点眼で見たツボを思いっきり押した。

 

「っ!あっ……あぁう」

 

 エバーグリーンの大きく息が乱れ、声を押し殺そうとするも我慢出来ない。間髪入れずに俺は彼女の快感のツボを押していく。俺の猛攻に彼女は腰を浮かせ、感じている様子がよくわかった。

 すっかり乱れた彼女の姿に俺は今すぐ襲ってしまいたい衝動を感じるが、辛抱するんだと自分を戒める。

 

 俺の手は下半身へと移動する。初めの背中と同様に焦ることなくじっくりと責める。

太ももの感触をこれでもかと堪能し、前線はお尻へと登りつめた。尻を勢いよく掴むと、それを無我夢中で揉み始めた。

 

「んんっ!!ふああっ……くっ」

 

 先ほど以上に大きく声をあげる彼女の様子も相まって手のスピードは加速する。オイルまみれの尻が、俺の手でいやらしく形を変えていく。

 

 満足した俺は姿勢をあおむけにするようエバーグリーンに伝えた。彼女は今、石化眼対策のアイマスクで何も見えないだろうが、俺にはこの痴態が丸見えだ。

 ここにはもういつもの高飛車な彼女の姿は存在しない。

 

 エバーグリーンは堕ちた。抵抗することも出来ないはずだ。興奮しているせいか目眩がするが問題ない。

 俺は遠慮する必要がなくなったと判断し、彼女の胸に手をかけた。ふむ、エルザやミラほどではないが、認めてやらんこともない。

 

「K……これはどういう……あっ、やめ、んぁ!」

 

 俺の凶行にさすがに待ったをかけようとするが、俺の手は止まらない。エバーグリーンの胸のツボを押さえながら、揉みしだいていく。

 

「トップスの方外させていただきますね」

 

「ちょっと!?何やって……」

 

 俺はマッサージ師になりきり、丁寧な口調でトップスを外すことを伝え、実行する。 

 解放された彼女の大きな2つの山はすっかり出来上がっていた。頂上のフラッグはその存在をアピールするようにしっかり立っている。そのフラッグを指で弾きながら山に手を加えていく。

 そしてとどめのE・サンダー(強)を放った。

 

「〜〜〜〜〜!!」

 

 エバーグリーンは声にならない声をあげ、俺は勝利を確信した。

 

 しかし俺の快進撃は、ここで俺の意識が途絶えたことで終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は認識していた弱点である経験と技術は克服しようとしていたが、1つ見逃していた弱点があった。魔力量の少なさである。

 俺がマッサージの最後に気を失ったのもそれが原因だ。微弱とは言えE・サンダーを手に纏い、極点眼を常に発動させるのは俺の魔力では無理があったようだ。

 

 俺の見通しの甘さで完遂出来ず、エバーグリーンに何を言われるかハラハラしていたが、驚くことにお咎めなしだった。

 エバーグリーンはマッサージを受けた後、絶好調になったらしく、クエストで大活躍。調子に乗ってエルザに勝負を挑んでみたら引き分けたというではないか。

 そんなこともあって大いに感謝され、「エバ」と呼ぶことを許された。この呼称はラクサスと『雷神衆』の2人にしか許していないとのことだ。……また知らないうちに良好な関係を構築してしまった。

 そしてたまにマッサージすることを頼まれたが、今度は普通にしようと俺は本屋でマッサージ関連の本を探すのであった。


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