健全魔導士目指します   作:秘密の区域

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鎧の下には夢が詰まっている

 『妖精の尻尾』に入ってから1ヶ月くらい経った。

 

 この1ヶ月で、ナツに再戦を挑まれまくって鬱になったり、簡単だと言われて行ったクエストで死にかけたりと、楽しいギルド生活を送っている。

 1ヶ月も経つと、友人関係も着々と構築されていき、特に仲良くしているのは『シャドウ・ギア』の3人、ナツ、ハッピー、エルザといった面々である。……俺は思っていたよりコミュニケーション能力がなかった。カナやミラとかとも仲良くなっている予定だったが、仕方なし。

 

 ところで俺はその良き友人の1人であるエルザに、剣術を教えてくれと頼み込んだ。

 

 俺の弱点はふざけた魔法だけでなく、経験や技術の少なさもある。それを補うためにも、俺は靴を舐める勢いで頼み、そんな俺に引きながら、エルザは快諾してくれた。

 

 エルザとの修行は順調に進んだ。加減を知らないエルザの攻撃で心が折れそうな時もあったが、なんとか喰らい付き経験や技術を会得していった。

 エルザの指導は厳しいが、時折優しさも見え、彼女に抱いていた恐れは小さくなった。深く関われば良さがわかるという奴だ。

 

 余談だが、エルザの鎧で好きな鎧は炎帝の鎧。ツインテールになるのがミソである。

 

 また修行だけでなく、クエストもエルザと行動をともにしたりした。

 しかしクエストはエルザが強すぎるせいで俺の出番はほぼなし。たまにエルザが取り逃がした獲物を俺が狩るぐらいであった。

 1回複数のモンスター討伐クエストで「どちらが多くモンスターを倒すか勝負しないか?負けた方は勝った方の言うことを聞くというルールで」といった勝負を提示された際、エロい命令をするために頑張ったものの、大差で敗れ、スイーツを奢ったのはいい思い出である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日、俺は町で声を掛けられたボランティアに参加していた。

 

 仕事内容は物品の運搬や建物の掃除などの雑務が大半である。既にギルドに加入している俺が、こんな仕事を手伝う理由は本来ないのだが、団体名に惹かれて参加してしまった。

 

 『巨乳を愛する会』。二つ返事で了承してしまう巨乳の魅力ったらもうねえ?

 

 だがこの『巨乳を愛する会』、ふざけたネーミングから想像できないほど、熱心に慈善活動に取り組んでおり、その評判はすこぶる良かった。

 

 そんな『巨乳を愛する会』は、今日たまたま「儀式」の日らしく、幹部とすっかり意気投合した俺は、これにも「参加しまーす」なんて軽い返事をしてしまった。もっと後先を考えるべきである。

 しかしお呼ばれした「儀式」は、幹部と一部の会員しか参加出来ないレアイベントのようで、結構楽しみだったりする。

 

 「儀式」の時間が近づき、俺は仲良くなった幹部に連れられ、とある教会へと着いた。外観はボロボロだが、中は『巨乳を愛する会』が掃除をしているらしく、きれいだ。いずれ外観もリフォームしてきれいにするとのこと。

 

 幹部が呪文を唱えると、地下へと続く隠し階段が出現した。一気にきな臭くなってきたが、同時にワクワク感も高まる。

 階段を降りて、地下の1室に辿り着くと、そこには既に十数名の会員が集まっていた。その中でも髭を蓄え、いかにも「私、威厳あります」とアピールしている老人の姿があった。彼が会長なのだろうか?

 幹部に付き添われ、髭の老人のところへ挨拶へ俺は行く。思った通りこの老人こそ会長だったようで、話していくうちに会長とも仲良くなった俺は、なんと今日の「儀式」の執行人を任された。何をすればいいのか全くわからないが、会長から指示が出るそうなので、心配しなくてもよさそうだ。

 

 儀式の時間になり、会員の円の中央に黒い箱が移動式の机の上に置かれてやって来る。

 あの中には何が入っているのだろうか。人1人余裕で入る大きさだ。「儀式」というくらいだから御神体でも入っているのかもしれない。

 会長の挨拶のあと、今回の主役である俺が紹介された。幹部や会長と仲良く会話していたことは周知だったので、反感もなく歓迎された。

 しばらく会長のよくわからない話が続き、そろそろ飽きてきたころに、会長の合図によって黒い箱が開かれた。

 

 中に入っていたのは下着姿のエルザ・スカーレットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エルザ・スカーレット、この世界では知らない方が珍しい魔導士だ。常に鎧を着ていて、戦闘時にも武器や鎧を換装し戦う。

 その強さもあってついた異名は『妖精女王』。『妖精の尻尾』の女性魔導士の中で、最強と言っても過言ではない彼女にはふさわしい異名だろう。

 さらにエルザは『妖精の尻尾』でも数少ないS級魔導士の1人だ。

 試験を合格した者のみがなれるS級魔導士は、面子を見れば、格の違いが嫌でも認識させられる。雷の魔法の使い手のラクサス、サタンソウルのミラ、そして触れたものを破壊するギルダーツ。ミストガンは……どうなのだろうか。借り物の魔法使いだが、S級魔導士になってるからには強いのだろう。

 とにかくどう足掻いても現状勝つことは絶望的である。

 

 そのエルザ・スカーレットが、俺の前で無防備に拘束されているのだ。最初は幻覚か、精巧に似せて作った人形かなんかかと深読みしたが、会長の口から本人であることが告げられた。

 エルザをどうやって捕まえたのか疑問をぶつけると、知り合いのケーキ屋と結託し、飲み物に睡眠薬を入れたらしい。

 話を聞いていくと『巨乳を愛する会』は慈善活動の皮を被った非合法集団であり、こうして女性を攫っては「儀式」という名の淫行を働いているようだ。……なんてすばらしい集団なんだ。今すぐギルド抜けてこっちに入りたいくらいだ。

 

 拘束されたエルザは睡眠薬がまだ効いており、意識はない。そんなことより注目すべきはエルザの体。普段は鎧を着ているため目立たない巨乳の存在感がすごい。会員たちもその迫力に釘付けである。

 

 会長から様々な道具を渡され、儀式の開始が宣言された。

 

 まず意識を取り戻した際に、俺がいることがバレるのを防ぐため、目隠しで視界を覆う。これで好き勝手出来るな。

 俺は意識があった方が興奮するので、水をかけてエルザを起こすことにする。

 

「……ここは一体」

 

「お目覚めかな、エルザ・スカーレット」

 

 俺は声色を変え、事の経緯を語る。エルザは怒りを露わにするが、魔法は拘束している鎖によって使えないから、恐れることはない。

 早速俺は手を使い、エルザの全身をまさぐる。肌スベスベで柔らかいし、まさに至福のひと時だ。エルザに「下衆が……」と言われたが、俺にとってはご褒美だ。周りもこの言葉に盛り上がりを見せたので、共通認識なのだろう。

 次に俺は主張しまくりのおっぱいに目を向ける。まだ手が届かないと思っていたものが、すぐそこにあるのだ。

 俺は震える手でエルザのブラを外す。

 

「「「うおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

 そこには前に見たレビィとは比べ物にならない豊満なおっぱいがあった。これには会員一同大興奮。エルザもさすがに大勢に見られて恥ずかしいのか顔を赤らめている。

 興奮を抑えきれない俺は、エルザの胸を揉み始めた。柔らかい感触が俺の手に伝わってくる。モミモミと俺の手によっていやらしく形を変えるおっぱいに、周りから感嘆の声が漏れる。

 だがエルザは悔しそうな声をあげるだけで、感じてはいないようだ。これはいかんと、会長から渡された道具の1つである筆を俺は手に持った。その筆でエルザの豊かな双丘の突起をなぞっていく。

 

「くっ、あ……」

 

「ほれほれ〜、ここか?ここがいいのか?」

 

 鮮やかな俺の筆さばきの前に、エルザは抗うことは出来ない。艶かしい声が漏れ始め、会員たちも我慢出来なくなったのか自らの聖剣を取り出して磨き出した。

 やがてぷくりと膨らみを見せたエルザの突起を見て、俺は衝動に駆られて、それに吸い付いた。

 

「やめろ……んんっ!それ以上は」

 

 赤ん坊のごとくチュパチュパとわざとらしく音を立て吸っていることを強調する。ただ吸うのではなく、緩急をつけ、時折口の中で舌を駆使し、突起を転がす。

 

「よし!ストップ!ストップじゃ!!ワシが代わりにやるぞ」

 

 ここで俺を指名したはいいものの、我慢の限界だった会長が交代を催促してきた。無視して行為を続行したいところだが、相手はこの集団の中のトップである。自分はゲストにすぎないことを思い出し、惜しみながら交代を決めた。

 

 しかし交代しようとした直後、鎖を無理やり引き裂いたエルザの鉄拳により、俺はダウンすることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、『巨乳を愛する会』は壊滅していた。俺は早くもお縄に頂戴されるのかと思っていたら、エルザは俺が組織の暗躍に気付き、潜入していたがエルザを乱暴から守ろうとしたところを気絶させられたと勘違いしているようだ。……目隠しして本当に良かった。

 

 『巨乳を愛する会』逮捕に際し、評議院から取り調べを受けたが、特に何もなかった。会員たちが俺のことを暴露するんじゃないかというのも杞憂に終わった。どうやら同志たちは俺を売らなかったようだ。

 

 ありがとう、『巨乳を愛する会』。俺は一瞬だけしかその輪に入らなかったが、お前たちは俺の立派な仲間だ。

 

 あとは帰宅するだけだったのだが、評議院の取り調べが思ったより長くなってしまい、宿を取って1泊することになった。

 エルザと同じ部屋で、だ。

 

 まだイベントがあるとは、今日はすごく濃密な日である。濃密過ぎて勘弁して欲しい。今日はマジで俺の異世界ライフは終了したと思った。たまたま運が良かったが、一歩間違えれば、監獄にさよならだったのだ。

 

 だからダブルベッドだなんて、俺を刺激する要素をぶつけないで欲しい。普段の俺なら大喜びだっだが、神経を擦り切らしている今の俺には、危険物そのものである。なんで旅行シーズンでもないのに、部屋の空きがないんだ。

 

 自分の運命を呪っていると、エルザが風呂から戻ってきた。実は入る前に「一緒に入るか?」と誘われたが、丁重にお断りした。誘う意味がわからなかったが、ナツやグレイが、エルザと一緒に入っていたことを思い出し、同じように弟分と思われているのかと理解した。

 確かに最近クエストによく一緒に行くし、俺の剣の師匠でもある。そう思うのも仕方ないかもしれないが、俺はエルザより1つ年上の18歳であることを彼女は忘れていないか?まあ威厳もヘッタクレもないから、年齢なんて些細なことだと思われているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 就寝の時間になったが、思っていた通り、俺は寝ることが出来なかった。

 

 一方のエルザは、速攻で眠ってしまった。男の横で無防備に寝るとは舐められたものだ。俺はそこらの男より、危険思想を持った奴であることを自負している。エルザよ、後悔しても手遅れだ。俺の手で、2度目の恥辱を味わうのだ!……調子に乗りすぎると、今度こそシャレにならないので、ほどほどにな。

 

 

 では、まずはジャブから入ろうと、エルザの尻に手を伸ばす。

 

 しかし俺の手が届く寸前、エルザに手を掴まれ、そのまま捻られてしまった。俺は慌ててエルザに掴まれていた手を解き、同時に恐怖に襲われる。エルザ、まさか起きてた?

 

 恐る恐る様子を確認するが、眠っているのは確かであった。

 

 つまり腕を掴まれたのは、エルザの自己防衛本能によるものだ。これはこれで怖い。眠っているはずなのにこの危機管理能力はなんなんだ。その癖簡単に睡眠薬盛られるし、なんというかな。

 

 俺はエルザへのイタズラを諦め、どうにかして寝ることにした。

 

 しかしエルザが近くにいることに悶々としすぎて、よく眠ることは叶わなかった。


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