ローマの到着
「おいテメェら…カチコミの準備は出来ているな?」
真っ暗な部屋…その中で、俺はヤンキー座りで他の面子を見渡す。同じくヤンキー座りしているメンバーはニヤリと笑った。
「えぇ、奴らに一泡吹かせてやりますとも」
「オレ達の本気、見せてやろうぜ」
「はい、このガウェイン…我が王の手を煩わせる事なく勝利へと導きましょう」
「私は嬉しい───種火をたっぷりと戴き、万全の状態で挑める事を…」
「我が王の為、私も死力を尽くします」
「だぁあああああああああああ!!!」
堪らず電気を点けた俺は円卓の面々に不満を漏らした。
「お前ら、せっかく悪党風の演出にしようとしてんのになーんで皆んな丁寧語で話すかなぁ!!!」
「いいではありませんか。さぁ、行きますよ」
円卓の騎士達が次々と霊体化していく中、俺はコフィンに向かって移動した。今回はほぼ年中太陽が出ている地「ローマ」。ガウェインの得意な場所である。
「先輩!頑張りましょうね!」
「フォウ!」
「おう、今回マシュの台詞一言くらいしか無いかもしれないけど許してくれよ!」
「酷いッ!?」
俺はロマン達に軽く手を振るとコフィンの中に入って目を閉じた。
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「よぉし、最短距離で攻略しようぜ!」
「はい、サーチ&デストロイです!」
「「サーチ&デストロイ!!!」」
「バカ!その前に状況聞かなきゃ分かんねぇだろうが!!!……ロマン、聞こえてるか?レイシフト成功!サーヴァント達も無事転送完了だ!」
円卓の騎士達が凄まじい威圧感を放つ中、俺はロマンに通信を送った。円卓の騎士達を上手く手懐けられるか不安になってきたぞ。
「マスター!交戦中の部隊を発見したぜ!大部隊VS少数精鋭って所だな!」
「よし、旗を確認してくれ。勢力が分かると思うぞ!」
「オッケー!」
モードレッドの「直感」とトリスタンの視力を合わせて遠くの部隊を観察する。
「大部隊は真紅と黄金…少数精鋭も真紅と黄金だがちょっと違うな」
「───ふむ、少数部隊にはうら若き乙女が指揮を執り戦っているようです」
「なんと!?その乙女はロリ巨乳ですか!?答えよトリスタン卿!」
「───はい、なかなかのモノをお持ちなよ─ふごっ!?」
「どこ見てんだバカ!」
イラっと来たモードレッドに脚を踏まれ、悶絶するトリスタンを他所に何故か気合いが入りまくるガウェイン…まさか。
「───この剣は太陽の移し身」
「おいおい勘弁してくれよ!」
「──あらゆる不浄を清める焔の陽炎…!」
「ガウェインの脳死ブッパだ!全員退がれ!!!」
嫌な予感がして全員がガウェインから離れた直後……キリッとした顔で彼は溜められたエネルギーを解き放った。
「
薙ぎ払うような炎の一閃が大部隊の兵士達を襲う。あっという間に殲滅し尽くした彼の対軍宝具によって、勝利は少女の側へと回った。
「うむ!良くぞ危機を救ってくれた…と褒めたい所だが、お主の行動は軽率すぎるぞ。敵とてローマの民なのだからな」
「はっ…申し訳ありません」
いつの間にかロリ巨乳の少女と主従の関係を築き始めたガウェインをアルトリアとモードレッドは「養豚場の豚を見るような目」で見ていた。
兵士達に労いの言葉を掛けながら少女は俺の顔を見て尋ねた。
「して、其方達は何者だ?」
「えー…俺達は………」
なんて言えばいいんだ?……よし、これで行くか。
「お嬢さんなら信じてくれると思うんで…正直に言うわ」
「?」
「俺達はタイムトラベラー。未来から来た時代修正者だ」
すまん、他のアイデアが出なかった。今さらながら俺の頭の悪さが露見してしまったなぁ…。
「ほぉ〜!未来から来たのか!面白い!」
彼女は俺達の服装を見てポンと手を叩いた。その表情を見るに信用してやろうって感じ…であると信じたい。
「では何か芸をしてみせよ!」
───は?
「実は見てみたかったのだ。未来では一体どんな歌や踊りが流行っているのか…どんな料理が流行っているのか…どんな手紙が流行っているのか…色々気になるのだが、何か1つここで見せてみよ!お主も人間であるならば特技の1つ、あるのだろう?」
む…無茶振りを…こんな事誰が想定していようか。
「仕方ない…腹ァ括るか」
保存食の存在を勘付かれる訳にはいかない。仮に交渉に失敗した際に手ぶらだったら確実にくたばる自信がある。
なので、俺は背中に背負っていた調理道具一式を下ろした。
「俺の特技は料理です。で、ここにあるのは普段使っている調理道具です。これを使って俺は料理を作ります。が、食材が無い為に料理が作れません」
「────ハハハ!それもそうだな!では、我が国に入る事を許そう」
「本当─」
「ただぁ〜し!余の他にも当然ながら多くのローマ市民がおる。彼らにも同じ料理を振る舞うのだ。良いな?」
「──は?」
ちょっと待て。ローマ市民全員に料理を振る舞えと?炊き出し?TA☆KI☆DA☆SI !?
「出来るな?それが出来たのであれば余は其方達を認める事にしよう。二言は無いぞ!」
なんか早々に無茶振りなんですがそれは………。
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ローマ
「えー、皆さんにお配りしてるのは我が祖国で『家庭の味』として食べられているカレーライスでございます!白米が得られなかった為大麦で代用しております事をここにお詫び申し上げます!現在、辛口・中辛・甘口を用意しておりますので皆さん!並んでお受け取りいただきたい!」
結局チョイスしたのはカレーライス。元々シチューにする予定だったが、スパイスとカレー粉を偶然市場で入手出来た為変更したのだ。
「うめぇ……泣きそうだぜマスター」
「マスター、おかわりです」
「なるほど、その場その場で味付けも変えているのですね」
「──美味しい。私も追加で一皿」
「ガウェインのマッシュポテトを添えたくなります。作れますか?ガウェイン卿」
「美味い!よくぞ応えた!其方をローマ市民として認めよう!」
身分も何も関係無く炊き出しに群がり、カレーライスを味わう姿に俺は心の底から嬉しくなった。やっぱローマ人も飯食ってる顔が同じだ。
「どうだ?お主さえよければ宮廷料理人として受け入れても良いぞ?」
「あー…ありがたい話ではありますが、俺らにも譲れない仕事がありますので」
「むぅ…つれないのぉ。だが、そういった気概は認めよう!余も協力するぞ」
そして、なんとローマの地で暴れる許可と早駆けの得意な馬は戴いた。旗印も覚えたし、とにかくサーチ&デストロイの勢いで敵を薙ぎ払って早急に聖杯を回収しよう。軍の大半は拠点の防衛をしてもらい、我らカルデア円卓組がネロを担ぎ上げてカチコミし制圧する。夢もロマンも物語も無いが、速攻で制圧すれば…多分逃げ果せたレフ教授も引き摺り出せる筈だ。ネロの説明では、敵側に宮廷魔術師がいるという…恐らく奴と見て間違いはない。
「俺達の目的はズバリ!敵国に脇目も振らず突貫し、速攻で降伏させる事だ。サーヴァントなら倒し、現地の人々は戦意喪失させるだけでいい。分かったな?」
「「はッ!!!」」
「私も前線に立ち、制圧しましょう」
「敵から色々略奪する勢いで攻め込むんだろ?滾るぜ」
取り敢えず、今日明日は英気を養うべく休憩するとする。その間に荷物を用意し早駆けで行く。敵の拠点が発見出来次第、ガウェインが万全の状態である昼に突貫。これで任務は即終了だ。
「マシュ、現地の留守は頼んだぞ。俺達は皇帝様を敵の国まで運び、占領するからな」
「……先輩の私への扱いが酷い件について訴訟したいです」
不満を漏らすマシュに対し、俺はその肩を握り顔を合わせた。
「いいかマシュ。その盾とロマンへ通信出来る能力が俺達の役に立つんだ。もし、役に立ちたいと思うならこの作戦で1番重要な役割である首都防衛を果たして欲しい」
「先輩……はい!マシュ・キリエライト!任務を遂行します!」キリッ
「いい返事だ。頼りにしてるからな!」
「(チョロいな)」
「(チョロいですね)」
さて、明日はゆっくり休んでから任務遂行だ。レフよ、震えて眠れ。
ネロ・クラウディウス
身長:150cm / 体重:42kg
出典:史実
スリーサイズ:B83/W56/H82
属性:混沌・善 / カテゴリ:人
性別:女性
趣味:芸術・歌
特技:何でも出来るぞ!
概要:ついに登場赤セイバー。セプテムの特異点修復の主要人物だが、ワガママキャラとなっている。何気に生身でサーヴァントを倒せる凄い人。