お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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出来るだけ簡単に読める様にしていたのですが、今回は話が長くなってしまいました。


第8話

 

 

 

エドラス世界の妖精の尻尾(フェアリーテイル)が参戦し形勢は逆転…までは行かず、一部を除いて拮抗していた。その一部は―表記しなくてもいいだろう。

 

裂破(レイピア)!!」

 

風が蹴りを入れた箇所の王国軍が爆ぜた。

 

「…オイオイ、アースランドの妖精の尻尾(フェアリーテイル)にはあんなバケモンが居んのかよ!?」

「ゴメン、エドルーシィ(エドラスのルーシィ)あの人は違うのよ。(たま)に私達を助けてくれるんだけど、あの人妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ってないの。見ての通り、強くて頼りになるけどすべてが謎の人物で、名前を〝黒き風〟って言うらしいわ。本名かコードネームかは分かんないけどね。」

 

風の出鱈目な戦闘力に驚愕するエドルーシィ。すかさずアースルーシィ(アースランドのルーシィ)が訂正したが、そのアースルーシィでさえ

 

「ホント、何者なのよ風は!?魔法を使わないのにあの戦闘力、()()()()をも使役する謎の召喚魔法…強いって言葉だけじゃ表現できないわよ!!」

「な、なに!?()()()()を使役するだと!?」

 

以前目の当たりにした()()()()に呆然としてしまった。そして今、目の前で繰り広げられている光景でも驚愕しているエドルーシィにその言葉は、更なる衝撃を与えたのだった。

 

 

 

~side 風~

 

 

 

邪魔なんだよテメェら!文字通り、蹴散らしてやらぁ!!おりゃぁ!!

 

「…。」

「む、無言で蹴ってると怖いんだゾ!!」

 

な、なにぃ!?こんなに心では叫んでるのに風様mouth(マウス)は動いていないだと!?

 

「…そうなのか。」

「そ、そうなんだゾ。って、あっちで妖精の尻尾(フェアリーテイル)滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)達が押されているんだゾ!?エ、エンジェルちゃんは囲まれてないから、もう大丈夫なんだゾ!!だ、だからあっちを手伝うほうがいいんだゾ!!(風を見た敵兵士達の士気が下がり始めたんだゾ。これならエンジェルちゃんのへっぽこ剣でも倒せるんだゾ!…そ、それより今は、風と一緒に居たくないんだゾ!!あっ、また兵士達の目がバケモノにでも出会った様に怯えているんだゾ!!)」

「分かった。」

 

分かったぜエンジェルの嬢ちゃん。ウェンディ達の助太刀をしてくるぜ!!

…でも、あのロボットに何が通用するんだ?クソッ、もうこうなったら破れかぶれだ!!って、何時もの事だけどなぁ!!

 

 

 

~side out~

 

 

 

三人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)で放った〝咆哮〟は、まさかの跳躍でかわされその直後受けた反撃で、ナツ、ガジル、ウェンディは地に付してしまった。

 

『大人しく我が世界の魔力となれ。態度次第ではそれなりの待遇を考えてやってもいいぞ。』

 

倒れている三人にエドラスの王、ファウストがそう言葉を放つ。

 

「グゥ…(まだだ…)」

「ハァ、ハァ…(もうダメ…立ち上がれない…)」

「…。(ここまで…か…)」

 

 

 

 

『我は無敵なり、』

 

風の言葉は()()を体現していた。

 

『我が影技に敵う者無し、』

 

魔力を使わず、己の体のみで戦い兵士達を蹴散らし続けた。

 

『我が一撃は無敵なり!!』

 

風は自身の身体能力を生かし、ドロマ・アニムに肉薄。そして、

 

神音(カノン)!!』

 

ドロマ・アニムの両足が直線上になる真横から、超振動の破壊技を放った。

 

「風…(親父(イグニール)を見てるみたいだ…)」

「出鱈目だな…(アレに躊躇(ちゅうちょ)なく蹴り込むって、どんな神経してんだよ!?)」

「風さん…(凄い…)」

 

その蹴りはドロマ・アニムの両足を粉々に砕いた。そして、

 

「…繋ぐぞ!!(これ以上ヤツに不甲斐ない所見せられるか!!)鉄竜棍!!モタモタしてんじゃねぇ!行けぇ火竜(サラマンダー)!!」

「分かったぜ、ガジル!!ウェンディー!!オレに向かって咆哮だ!!」

「は、はい!!『天竜の…咆哮』!!」

「うぉぉぉぉ!!『火竜の劍角(けんかく)』!!」

 

ガジル、ウェンディ、ナツの連携でドロマ・アニムを破壊。コックピットに搭乗していたファウストをナツが最後の攻撃と一緒に連れだした。

 

 

■□■□

 

 

いや~、俺の声にあのロボットが振り向いてくれて助かったわ。あのまま追撃されたら皆御陀仏だったからな~。そして、何処かの世界に存在するかもしれないディアス=ラグ、エレ=ラグ、ガウ=バン申し訳ない、勝手に『武技言語』を使ってしまった。…だ、だって、影技(シャドウスキル)の大技使うから仕方ないじゃん!!

ま、俺は『武技言語』使って肉体強化出来ないから只のハッタリとあのロボをこっちに引き付ける為だったけどな。さて、じゃミストガンに礼を言って―<ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ>こ、今度は何だぁ!?

 

「島が落ちている…」

「な、何を悠長な事言ってるんだゾ!?逃げるんだゾ!!」

 

俺は、全然悠長に言った覚えは無いですけど!?

 

 

 

 

ミストガン(エドラスのジェラール)に逆展開された〝アニマ〟により、エドラス世界の全ての魔力がアースランドへ流れていた。

そして、ナツ、ガジル、ウェンディの三人は街を破壊していた。自分たちを〝悪役〟に仕立て上げミストガン(エドラスのジェラール)をその()を迎え撃つ〝英雄〟とし、()()の無くなったこの世界でミストガン(エドラスのジェラール)の発言力、説得力を持たせる為だった。

 

「これは、オレ流の妖精の尻尾(フェアリーテイル)式壮行会だ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を抜ける者には三つの掟を伝えなきゃならねぇ。」

 

『一つ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の不利益になる情報は生涯、他言してはならない。』

 

『二つ、何だっけ<ドゴ!>ぐえ!?』

 

『…二つ、過去の依頼者に(みだ)りに接触し、個人的な利益を生んではならない。』

「そうそう。」

 

『三つ、たとえ道は違えど、強く力のかぎり生きなければならない。決して自らの命を小さいものとして見てはならない。愛した友の事を、』

『生涯忘れてはならない…』

 

<ドン!!>

 

「届いたか?ギルドの精神があれば出来ねぇ事なんかねぇ!!また、会えると良いな。()()()()()!!」

「ナツ…お、お前体が!?」

 

逆展開された〝アニマ〟により、ナツ達体内に魔力を持つ者は体が光り出し〝アニマ〟に吸い込まれて行く。

 

「ミストガン…」

「ああ、風。ありがとう。君にはこれからエドラスの…か、風!?」

 

ミストガンが驚くのも無理はない。

 

「君の体が…」

「俺も向こうに引き寄せられている。別れを言いに来た。」

 

風の事をミストガンはエドラスの住人だと思っていたからだ。

 

「風…君は…」

 

あらら、そんな悲しそうな顔しないでくれよミストガン。俺はアッチに戻ってまた俺の世界に帰る方法を探すから。それに、探している最中どっかでまた会えるかもしれないしな!!

 

「俺は向こうでまた、俺の世界に帰る方法を探す。探している間にまた会えるかもしれん。」

「…君の、記憶は」

 

ん?記憶?記憶っても…

 

「俺の世界、『ソイル機関』が発展していたウインダリアは混沌と呼ばれるモノに襲撃を受け壊滅した。そして、永い旅の後、皆の力を借り混沌を消滅させた。そして、俺は別の世界を放浪していた…」

 

って云うのが俺が知ってる黒き風の()()で、俺の()()は…

 

「良かった。記憶が戻ったんだね。そして、壮絶な話だ。」

 

は?え?記憶が戻ったって!?ミ、ミストガン!?って、

 

「…体が浮いた。」

 

話している内に体が浮いちゃったよ!?別れの際は何か渡すんだっけ?は、早く何か渡さないと!!

 

「また、何処かで会えるといいな。風。」

「また、会おう。これを受け取れ。」

 

<ピーン!!>

 

クソッ、今何も持ってないからこれしか渡せない!!

 

「こ、これは『ソイル』が入っていない空の薬莢(やっきょう)?」

「『ソイル』とはその者の魂のことでもある。それはお前が輝かせるんだ。達者でな。」

「ああ、君も達者で。そして、これをマスターマカロフに!!」

「分かった。渡しておく。」

 

風はナツ達と一緒に〝アニマ〟に吸い込まれて行った。

 

 

 

 

 

~アースランド~

 

 

 

 

アースランドに送られたエクシート達とシャルルのわだかまり(滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を抹殺する為の使命)は、シャルルが持つ『未来予知』により彼女が勘違いした事。そして、本当は女王の『未来予知』で浮遊島(エクスタリア)が崩壊する未来を見て子供たちをアースランドへ()()()為だった事が分かり解決した。そして、

 

「リリーは何処だ!?」

 

ガジルは、自分の相棒にする為(ナツとウェンディにエクシードが居るのに自分には居ないからである。)勧誘したパンサー・リリーを探した。

 

「オレなら此処にいる。<小っちゃ!!!>…オレは王子が世話になったギルドに入りてぇ。約束通り入れてくれるんだろうな…ガジル。」

「もちろんだぜ!!相棒(オレのネコ)!!!」

 

アースランドの影響か小さくなったパンサー・リリーに頬ずりするガジル。

 

「で、怪しいヤツを見つけた…」

 

 

 

 

 

 

 

■□■□

 

 

 

 

 

 

 

「なんかギルドも変わってるし。ミラ姉も雰囲気変わってるけど。」

「そう?」

 

2年前死んでいたと思われていたリサーナは〝アニマ〟に吸い込まれエドラスで生きていた。そして、今めでたくアースランドに帰って来たのだ。

 

「ミストガンの事は残念じゃったが、そのエドラスとやらで元気にしてる事を願おう。」

「元気さ、このギルドで育ったんだ。元気に決まっている。」

 

マカロフとギルダーツが話している間も、妖精の尻尾(フェアリーテイル)内はドンチャン騒ぎだ。そこに、

 

「え~、エンジェルちゃんは嫌なんだゾ!!」

「ミストガンからの頼みだ無下には出来ん。それと、お前には関係ない。外で待っていろ。」

「それも嫌なんだゾ!!一人にされたら此処の連中に捕まってボコボコにされるんだゾ!!」

 

風が元闇ギルド六魔将軍(オラシオンセイス)のエンジェルを連れて入って来た。

 

「マカロフと云う人物はいるか?」

 

様々な手助けをしてくれた『風』と何故か行動を共にしている闇ギルドの一人、『エンジェル』の登場で、一瞬で騒ぎが止み全員が固唾を呑む。

 

「お主は…「がじぇ゛どの゛~!!」カ、カグラ!?」

 

マカロフが話を切り出そうとした瞬間、以前風に助けられ恩義を感じているカグラが風目掛け飛び出した。

 

「(おぉ!?カ、カグラちゃん!?)…元気か。」

「う゛ん゛!」

「兄と姉には会えたそうだな。」

「う゛ん゛!!」

 

「(こんなに、嬉しそうに泣きじゃくって。おっちゃんもらい泣きしそうだわ。っと、まずはマカロフさんに此れを渡さないと。)…マカロフ。ミストガンからだ。」

「これは、あヤツが使っていた杖か?」

「ああ。それに感謝しているとも言っていた。ではな。」

 

風はミストガンから渡された杖をマカロフに渡しそのまま帰ろうとした。が、

 

「カグラ放せ。」

「い゛や゛だ!!」

 

カグラが風のマントを掴み放そうとしない。

 

「(カグラちゃん放してよ。これじゃ、此処を出れないよ~!!)はな「じゃあ、放さなくていいゾ。エンジェルちゃんがその手を斬りおとして」止めろ。スマン、しばらくやっかいになる。(ちょ、エンジェルの嬢ちゃん皆が居る時にそんな事言うんじゃない!!ほらほら、怖いお兄さんやお姉さんが睨んでるよ!?)」

 

「冗談なんだゾ。エンジェルちゃん達は一応『脱獄囚』だから他人には知られないような所がいいんだゾ。(上手く行ったんだゾ。風と一緒なら怖いモノはあまりないけど…もう、野宿は嫌なんだゾ!!)」

 

「(は?脱獄?…あ゛俺達牢屋の中から行ったんだった!!)…頼む。」

「わ、分かった。」

「風殿~!!」

 

ミストガンから受け取った杖をマカロフに渡すだけだった風。しかし、カグラのお願いと野宿が嫌になったエンジェルにより少しの間妖精の尻尾(フェアリーテイル)に居る事になった風。

 

「(ヤ、ヤベェ…脱獄ってどうやってもみ消せばいいんだ?)………どうする。」

 

そんな彼は今後妖精の尻尾(フェアリーテイル)と共に様々な出来事に巻き込まれて行く。

 




2017.7.29 修正加筆しました。

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