お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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緋想天様、akiha様誤字の報告ありがとうございました。


第3話

 

 

 

『貴様にふさわしい、ソイルは決まった!!』

 

風は六本の足で歩行する古代都市へ向け叫ぶ。

 

「す、凄まじい魔力だ!!」

 

スキンヘッドの男、聖十大魔道(せいてんだいまどう)にも数えられる蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラが驚愕し、

 

「な、何なんだこの男は!?」

 

眼球が黒く白髪の男、闇ギルド六魔将軍(オラシオンセイス)の首領ゼロが吠える。

 

『冴えわたる知性の煌めき、マーベラスオレンジ!』

 

ベルトに刺していたソイル入りの弾丸を顔の前に持っていき、指ではじき一本目を魔銃へ装填する。

 

『限りなき探求への欲望、マニアックパープル!』

 

更に、二本目。

 

『そして、完全勝利の誓い、ウルトラショッキングピンクゥゥ!!』

 

何時もとは違い、何やらハイテンションの風が最後はベルトを叩き、弾丸を勢いよく飛ばしシリンダーに装填した。魔銃にある風の心臓の鼓動が早くなりドリルが唸りを上げる。

 

「これぞ完璧無敵の組み合わせ、唸れ魔銃、ソイルの導く生ご…ソイルが導くがままに!!(あの六本の足で動く城は危険だ。これ以上()のような被害者が出る前に…此処で俺が打ち砕く!!)」

 

「出でよ!究極の召喚獣!砲撃獣(バハムート)!!」

 

 

 

 

~数時間前~

 

 

 

 

「…もうそろそろ指定の場所か」

 

今日は、珍しくアイツからの依頼。あのミストガンが俺に頭を下げてまで頼んで来た依頼だ。余程()()()が心配なんだな…

 

「カグラは元気だろうか?」

 

カグラちゃん元気かな~。って、これじゃ俺もミストガンの事言えんな。んで、あの娘って言うのは、ミストガンが俺に会うずっと前、この世界に来て初めて助けたって言っていた()()()()()って少女の事だ。ま、カグラちゃんの事は、

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々にあった時、聞こう」

 

風は走る。今回、正規ギルドの4つが集まり連合を組み六魔将軍(オラシオンセイス)と言う名の闇ギルドを討伐する為に集まっている場所へ。

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

「…これは、どうなっている?」

 

やってきました!! 此処が、今回闇ギルドを討伐するチームが集合する場所でぇ~す!! ま、

 

「………人が、倒れている。他には誰もいない―」

 

一人、お腹を押さえて倒れているだけで誰も居ないんだけどね!!さぁ、応急処置しなくちゃな。簡単な応急処置ならお手の物。伊達に数年間この世界で生きてないぜ(キリッ

 

「メ、メェ~ン…」

 

お、まだ人が居たの…くぁwせdrftgyふじこlp!?<ドン!ドン!!>

 

「メ、メェーン!? き、君!私を撃たないでくれたまえ!!怪我人だぞ!!」

「…済まない。条件反射で撃ってしまった」

 

に、人間だったのか!? 変な生物かと思って撃ってしまった。でも、後悔してない。

 

「メェ~ン!」

 

何か、濃ゆいし、仕草がムカつくから。

 

「ジュ、ジュラさん!? いけない!手当は君がしてくれたのか!? ありがとう!! でも、念のために痛み止めの香り(パルファム)を!!」

 

お、何かいい匂い。

 

「グ、ぬかった!! 一夜殿、早く彼らの加勢に!!」

「まだ動いてはいけない!!」

 

何か良くない事が起きたか? だったら、

 

「…俺も手伝おう。俺の名は黒き風。化猫の宿(ケット・シェルター)の加勢に来た者だ」

 

手伝うのが、普通っしょ!!

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

………れ、連合…ぜ、全滅やねん。なんでやねん! でもこれ、ほんとやで。

 

って使い慣れねぇ関西弁やっている場合じゃない。俺と変な生き物(青い天馬(ブルーペガサス)の一夜)、スキンヘッドのオッサン(蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラ)で連合の皆に加勢に来たんだけど、全滅でした。ハイ、お疲れさまっした!! 解散!! ――って、こんなんで終われるかぁ!! 何でかウェンディちゃんの加勢に来たのに当の本人は攫われてるし、

 

「私の腕ごと斬り落とせ!!」

 

腕に毒を受けたエルザって人は、足手まといになるから腕ごと毒を排除しようとするし!? ホント、どうなってんだよ!!

 

「あの娘は天空の滅竜魔導士、天竜のウェンディ!! あの娘ならその人を治療できるわ!!」

 

ありゃりゃ、俺が無い頭で一生懸命整理していると、いつの間にかウェンディちゃんの救出が決定されたみたい。

 

「それと、貴方は誰? あの二人を助けてくれたらしいけど?」

 

おっと、ネコさんがこちらに質問してきた。此処は華麗に、分かりやすく、友達が出来る様に、近所のオッサンの様に気さくに自己紹介をしよう!!

 

「ある人物から化猫の宿(ケット・シェルター)の加勢を頼まれて来た。黒き風だ」

 

チ、チックショー!! 悔しいです!! な、何故こんな硬い自己紹介しか出来ないんだ!! 友達がミストガン以外居ない俺。知り合いがミストガンしか居ない俺。…さ、寂しくないやい!!

 

「お前が風!? ラクサスの魔水晶(ラクリマ)を一人で消し飛ばしたヤツ!?」

「楽園の塔でエルザさん達を救ったって言う!?」

「…カグラが感謝してたぞ」

 

ナツ、ルーシィ、グレイが風に話しかけた。

 

オイオイ、一度に話しかけるな。照れるだろ!! って違う。俺は聖徳太子じゃねぇからいっぺんに話しかけるなっての。それよりも、

 

「カグラが世話になってる。それより今はウェンディの救出だ。俺も手を貸す」

「うおぉぉ!! コイツ今から仲間だ!!」

「心強いわ!!」

 

そ、そんなに期待しないで!! 外見は大丈夫だけど、中身は一般人だよ!!

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

「な、何故エンジェルちゃんを助けたんだゾ?」

 

何故、お前を助けた、か。ウェンディを連れ去った理由、()()()()()()と云う魔法の特性を知る為だ。

 

「知るかよ!人を助けるのに理由が居るのか? それより、ウェンディちゃんを攫った理由と、さっきの光がニルヴァーナって魔法だろ? そいつを教えてくれねぇか、嬢ちゃん。」

 

…先程の光を見てから何かがおかしい。

 

「て、天空の巫女を攫ったのはジェラールと言う人物を回復させ、巫女を人質にニルヴァーナの有りかを吐かせる為だゾ」

 

ジェラール、聞き覚えのある名だ。…つい最近牢獄に入れられた犯罪者だったな。

 

「ジェラール、確かあの変な塔で何かしようとしてた兄ちゃんだったな。で、何故回復がいる? それに、そいつは牢獄の中だったはず…それと、あの兄ちゃんはウェンディの兄貴だったのか?」

「…ジェ、ジェラールはニルヴァーナの正確な位置を知っているから、エンジェルちゃんのジェミニ(星霊)を使って脱獄させたゾ。脱獄させたら、何故か善人になってたから拷問して吐かせてやろうとしたけど…口を割らなかったゾ。だから此処まで連れて来て「あ~、嬢ちゃんもういいわ」な、何なんだゾ!!」

 

人とはこうも変われるモノなのか……良い事だな。

 

「あの兄ちゃん改心したのか。良い事だぜ。済まねぇなこっちで話を振ってんのに中断させちまって。だが、これ以上嬢ちゃんの話を聞いてると、殺気が抑えられなくなる。で、ジェラールとウェンディの関係は?」

「ブ、ブレインが言うには恩人らしいゾ」

 

…恩人、か。

 

「ま、それじゃ仕方ねぇわな。最後にこの魔法に付いて教えてくれや」

「ニ、ニルヴァーナは―」

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

「すげぇヤベェ魔法じゃねぇか!!」

 

表と裏を入れ替える魔法。(正しくは光と闇の感情を入れ替える魔法である)

 

「俺みたいに思考と口調が逆転しちまったら、世界が混乱しちまうぜ!!」

 

風は走る。先程地面が隆起し大きな都市が動きだした方向、化猫の宿(ケット・シェルター)へ。

 

そして、冒頭に戻る。

 




2017/6/5修正しました。

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