お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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投稿が遅くなって申し訳ありません。
引き続き、4月ぐらいまで不定期更新になります。


第28話

 

 

 

そこは殺戮(さつりく)のかぎりがされ尽された場所だった。

 

「こ、こんなことが…」

 

見渡す限り屍の山。その場所をボロボロになった白と黒が混在している奇怪な髪をしている青年が呆然と眺め、呟いた。

 

「こいつ等は只の生物じゃないんだ!ドラゴン!ドラゴンなんだ!!…そのドラゴンが百体以上いて、何故たった一人の人間に負けてしまうんだ!?」

 

その屍は全て全生物の頂点とうたわれていた〝ドラゴン〟()

 

「…俺はアンリミテッド(果てのない命を持つ、神をも超える存在)。この程度なら造作もない。」

(ま、混沌(異界を創った化物)って規格外の存在か、完全体で我を忘れているオメガが相手なら怪しいけどな!)

 

奇怪な髪をしている青年…未来から来たローグの叫びを黒き風は何でも無いようそう答えた。

 

「ア、アンリミテッド…」

 

それは魔導士達には聞きなれない存在。

 

「か、風殿!体は、体は何ともないですか!!」

「こ、黒龍になってもエンジェルちゃんは添い遂げるんだゾ!!」

 

そんなやりとりをしている時、涙と鼻水でグシャグシャになった、カグラとソラノがまくしたてる様に風へ叫んだ。

 

「…ん?何の事だ?」

(そうそう、さっきから体がどうの竜がどうのって言ってたっけ?)

 

二人は簡単に風へ黒龍の生まれた過程を説明した。

 

「…大丈夫だ、問題ない。(ってそれはフラグってんだ!俺と変わってくれ!!)…お前達の言う滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ならその特性でトカゲ共の力を取り込み過ぎ、その力に溺れ破壊衝動だけの獣になりかねん。だが、お前たちの言う魔法を使えない俺は召喚獣と体術で対処した。だから、問題ない。」

 

そう、〝エクスプリス〟と云う魔力を吸収する魔道具が反応しないように、黒き風はこの()()の魔法は全く使えない。

 

「な、何だと!?貴様、あの召喚獣は魔法ではないのか!?」

「…厳密には魔法では無い。この()()()()を命の結晶であるソイルへ変換し、螺旋運動で物質エネルギー化したものだ。」

 

それを聞いた未来から来たローグは驚愕した。

 

「風殿、後はこの首謀者の男のみ。後は私と、」

「エンジェルちゃんに任せて、休んでいるといいんだゾ!!」

「クッ!!」

 

カグラが刀の鍔に手を掛け、エンジェルが自身の身体を魔力で包んで未来から来たローグを倒そうと臨戦態勢をとった。

 

「…では、俺はトカゲ共の骸を何とかしよう。このままでは都市の復興の邪魔になる。」

「「「は!?」」」

 

 

 

■□■□

 

 

 

センターマn…オホン、ローグって奴なら二人に任せても大丈夫だろう。何で二人が泣いていたか分かったし、良かった良かったってな。で、都市の復興だけじゃなく、景観にも悪いからこの蜥蜴の骸共をちゃちゃっと片付けますかね!!じゃ、相棒!行くぜぇ!!

(…任せろ。)

 

『お前()にふさわしいソイルは決まった!!』

 

風はドラゴンの屍の山へ指を向け静かに叫ぶ。

 

『大空を超える無限、スカイブルー!』

 

ベルトに刺していたソイル入りの弾丸を顔の前に持って来て、指ではじき一本目を魔銃へ装填する。

 

『邪気の闇満たす光、ホーリーブラック!』

 

一本目と同じように二本目を装填。

 

『そして、審判の果ての希望、ジャッチメントホワイト!』

 

最後はベルトを叩き、弾丸を勢いよく飛ばしシリンダーに装填した。魔銃にある風の心臓の鼓動が早くなりドリルが唸りを上げる。

 

『照らせ!召喚獣!アレクサンダー!!』

 

魔銃から撃ち出された弾丸は螺旋を描き、最後に3つの弾丸が衝突しエネルギーが生まれた。そのエネルギーが一瞬にして物質化し召喚獣が現れた。

 

いや~、男の子なら誰もが憧れる、

 

「カッコイイ!!」

「お手伝いさんにしては大きすぎるんだゾ。」

「き、機械仕掛けのゴーレム…だと!?」

 

えぇぇい!ちっがーう!!ローグ君!!此処は〝ロボット〟って言ってくれ!!

 

「…全てのドラゴンの骸を消せ。」

『オオォォォォォォ!!』

 

○ッジーン、ゴー!!そしてそして!!バイ○ダー、オン!!

 

「うぉぉぉ!動いたー!!」

「もう少し静かに移動して欲しいんだゾ。」

「め、目から閃光!?…む、骸が消えた!?」

 

ローグ君、それもちっがーう!!ビームだよビーム!!光○力ビィーム!!

(…相棒、少し落ち着け。後、五月蠅い。)

す、済まん。スーパーロボットが目の前に有ったから興奮しちまってな。それともソウ○ゲイン、フルドライヴ!!の方が良かったか?

(…もういい。)

 

召喚された巨大ロボ似のアレクサンダーは、瞳孔の無い目から閃光(ビーム)を放ち敵を次々と包み消滅させて行った。

 

 

 

■□■□

 

 

 

「こ、こんな事…あ、あり得ない!こんな過去俺は知らない!!こんな過去あってはならないんだぁ!!(はく)(えい)竜の(あしぎぬ)!!」

 

目の前の現実を受け入れられない未来から来たローグは錯乱し、無差別に攻撃しだした。

 

「貴様の理想など知った事か!此処は私達の()()。」

「そう、明日から始まるエンジェルちゃんの新婚生活の邪魔なんだゾ!!」

「って違う!!そうではない!普通『此処から先の未来は私達で切り開く!』など皆が明るく暮らせる未来を思い描けるよう続けるのが普通だろうが!!」

 

未来から来たローグから数々の迫り来る滅竜魔法攻撃をカグラは刀の鞘でいなし、ソラノは強化した身体能力と動体視力を駆使しなんでもない用に回避していく。

 

「クソッ!何故、何故お前達みたいな只の魔導士に、この俺の攻撃が当たらないんだ!?」

「フッ、貴様の攻撃など、既に見切っ「()と一緒に行動してたから、もっと早い攻撃に慣れてお前の攻撃がトロく感じるんだゾ。」…一々私が喋っている時に横からしゃしゃり出るな!!」

 

規格外の存在〝黒き風〟を間近で見ていた二人にはローグ程度の速さでは驚かない。しかし、相対するローグは風の規格外さに畏怖を抱き、メテオのダメージも相まって攻撃の精度は随分落ちていた。

 

「クソォ!たかが女二人に負けて堪るか!!(はく)(えい)竜の『遅い!<斬!!>』『五月蠅い!吹き飛べ!聖爆(セイバー)!…だゾ!!』…グォ…」

 

ローグが渾身の一撃を放とうとした時、カグラとソラノは溜める隙を見逃さず切り裂き、倒壊した建物へ蹴り飛ばした。

 

「さて、皆の所に戻るか。」

()との新婚生活の始まりだゾ!!」

「私がさせん!!」

 

ローグを倒した二人は皆のいる所へ帰還したが、エルザを含めたS級魔導士達にこっぴどく怒られたのは…仕方のない事だ。

 

この日数体を残し全滅したドラゴン達。その数体のドラゴンも瀕死の状態だった。そして、未来から来たローグが倒された影響か、そのドラゴン達は元の時代に戻った。

 

この日、たった一人の男が数百体のドラゴンを相手に勝利した。此処から彼が英雄としてこの世界の伝説になる旅が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

よっしゃ!前世の記憶も取り戻したし。魔銃が連発出来る様に戻った。これで野宿や野営ももっとやりやすくなる!!

 

かもしれない。

 




この世界は多世界解釈、ドラゴンボールの未来トランクスの様なパラレルワールドと云う設定ですので、タイムパラドックスは起きないです。

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