帰省によるUターンラッシュが凄かったですね。
見渡す限り、人、人、人ばかり。
接客業なので、一人ひとり対応するのが大変だった。こんな時、本当にメテオガーリックがあったらと思います(涙)
今年もよろしくお願いします。
最後にこれを読んでいる弟よ......この作品の続きが気になるのは分かるが、せめて私に睡眠をくれ‼︎
後日ーー
『何事も自ら調べて学ぶ』がモットーのアリアは、自らの保体知識が天動説並みに間違っていることを認めた。
図書館に通い詰めているアリアを偶々発見し、私に気づいたのかーーその場から逃げようとしたので、捕まえてみると『赤ちゃんの作り方』と明記された本を持っていた。
自ら調べるアリアの姿勢に私は思わず爆笑......じゃなかった。感動し、親身になって手取り足取り教えてあげたよ。
しかし、人が優しく丁寧に教えてあげるってのに、何故アリアは顔を真っ赤にして逃げようとしたんだろう?謎だ。
一方......白雪さんは、あれから生徒会に顔を出さなくなった。
私や金次君の前にも姿を現さないし、アリアとの対決以降、明らかに姿を隠すようになってしまったのだ。
昨日の一件は、ピュアな白雪さんにはちょっと刺激が強過ぎたかな?
そんなある日のーー昼休み。
「ふんふんふん!はー、モリちゃんいいニオイ☆」
食堂に向かおうする私の頭にアップルが引っ付いていた。
偶々廊下でバッタリ会って今に至る。
周りからのジロジロと、物珍しいモノでも見るような視線を感じる。
大方、アップルーー後輩からのスキンシップを受けてる先輩と思われているのかな?
今日は猫みたいに甘えてくるね。体重が軽いから苦にならないけどさ。
「こらっ。アップル、学校ではレイって呼んでよ」
武偵高に通う裏メンバーには、学校では私の事はレイと呼ばせている。
モリアーティを思わせるアダ名はできるだけ伏せていたいし、名前で呼ばれるのは新鮮で楽しい。
「ごめんごめん。うっかりしてたよ☆レイちゃん」
大丈夫かな......彼女、入学したての頃にも同じことがあったし、ちょっとだけ心配だ。
「ねぇ、レイちゃん。香水使った?」
「おや?どうしてそう思うんだい?」
私の髪の毛に顔を埋めて、くんかくんかと匂いを嗅ぐ。
「うーん、香水使わないレイちゃんにしてはいい香りがするなーって、思ってさ。くんくん」
流石、泥棒やってるだけに鼻がいい。
「正解。アップルの言う通りだよ」
「珍しいね〜。普段はオメカシしないのに。コレは槍でも降るかな。いや、弾丸の雨が降るかも」
失礼だなー、私だってオメカシしするさ。
しようと思ったのは白雪さんの影響が大きい。
決まって金次君に会う時は必ずオメカシしているから、私も香水くらい使ってみるかなー、とね。
「この甘みのある香りはハッカに似てるけど、爽やかなグリーン系の香りがするーーヒソップを使ってるでしょう?」
「大正解。鼻がイイね」
ヒソップはヨーロッパ南部~西アジアにかけての原産で、背はやや高く、ブルーやパープルの色が印象的な花をもつハーブ。
花言葉は「浄化、清潔」
「香水でさりげなく色香を立てるだけじゃなくて、他にもオシャレしてみたら?ウチの学科においでよ。私が可愛くしてあげる☆レイちゃんなら顔パスでOKだよ」
「ははは、気が向いたらね」
特殊捜査科の実施棟ーーあそこは嫌いじゃないけど、今一好きになれない。
何故かって?行けば最後。特殊捜査科の子達にオモチャにされるからだよ。
そんな事を考えながら、私は学食の券売機でざる蕎麦を購入する。
それに対して、アップルはイチゴパフェを購入した。
ーーーー
アップルは同じ中等部で特殊捜査科の子と食事するらしく、彼女と別れて、ざる蕎麦を手に歩いていると、
「金次君。一緒に食事してもいいかい?」
ガヤガヤと賑やかな学食の中、ハンバーグ定食を食べる金次君を発見する。同時に彼を取り囲むように桃マンを齧るアリア、相変わらずイケメンの不知火君、ツンツンヘヤーの武藤君を視界に捉えた。
「ああ、勝手に座って食えよ。っても座る場所といってもな......」
彼の眺める先にあるのは一つだけ空いた席が、アリアの隣だった。
「......座っていいかい?」
「絶対にイヤよ」
一様尋ねてみたが、結果は案の定予想した通りだった。
「食べるなら他所に行って、1人で食べてなさいよ」
「私はここで食べたいんだよ」
蕎麦、桃マンを手にお互い睨み合いが続く。
「(なぁ、キンジ。レイの奴、どうしたんだ?神崎と何かあったのか?)」
「(何かどころか、毎回、2人して顔を合わせるとこの調子だよ)」
「(この様子からしてただ事じゃないね。こんな顔をする零さん初めて見たよ)」
男子3人がコソコソと何か話しているが、今はどうでもいい。
「あー、アリア。とりあえず、座らせてやってくれ」
金次君の頼みを嫌々ながらも受け、アリアは私を隣に座らせる。
よりにもよって、アリアの隣に座るなんて......なんて日だ‼︎
気を紛らせるように蕎麦を啜る。
ちょっと、不知火君。そこは苦笑いしない。
「武偵高の生徒会長様がしみたれた食事ね」
「好きなんだよ、ざる蕎麦が。悪い?」
私のざる蕎麦を見て、アリアが嫌味を言ってくる。
「そう言う君は昼間から、そんな甘いモノをガッつくなんて、今にブクブク太るよ〜」
「あら、心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。アタシ運動してるし。それに知らないのかしら。麺類には炭水化物が豊富で、あんたの方が太るわよーーろくに動かないあんたは特にね」
「勉強不足だね。確かに蕎麦は炭水化物の部類に入るけど、他の麺類と比べると炭水化物数値が低いんだよ」
「どんなに低くくても、食べ続ければ蓄積されていくのよ」
「ガツガツ食べまくってる君の方が絶対に先に太る」
テーブルの上にある桃マンを目指しする。
「いいえ、あんたの方が太るわ!」
「いいや、君の方が太る!」
「あー!お前らいい加減にしろ‼︎」
金次君が大声で仲裁に入る。
「人が飯食って時に喧嘩すんなよ」
彼の言葉を受けて取り敢えず、お互い休戦に入る。
「ねぇ、零さん。もしかして、神崎さんとはいつもこんな感じなの?」
「アリアが先に突っかかるんだよ」
「あんたの方が先に絡んでくるんでしょうが」
「なんか見てると姉妹見てぇだな」
「「誰が姉妹よ(だよ)‼︎」
「グバァ⁉︎」
ふざけた事をぬかす武藤君の顔面に、私とアリアはパンチをお見舞いする。
モロに決まったらしく、椅子に座ったまま伸びる。
こんな奴と姉妹だなんて、考えただけでゾッとするよ!
「武藤君......あっ、生きてるね」
不知火君が容態を見る。
マズイ。公共の場ではしたなく暴力を振るってしまった。なんとかしないと。
「......そういえば金次君」
伸びてる武藤君をそのままに、私は紛らせるように話題を変えることにした。
「君、アドシアードはどうするんだい?」
アドシアードとはーー年に一度行われる武偵高の国際競技会で、オリピックみたいなモノである。
「まあ、音楽でもやろうかなと思ってる。得意でも不得意でもないしな」
「バンドかぁ。いいね。よし、私もやろう」
頭の中で楽団を編成する。
理想としては、声が綺麗な不知火君がボーカル、私がギター、金次君がベース、伸びてる武藤君がドラムだね。
「やろうって、意外だな。てっきりチアでもやるかと思ったのに」
「あれ?チアの方がよかった?」
ちょっと首を傾げてみる。すると、金次君はカァァと顔を真っ赤にする。
「何デレデレしてんのよ!」
「ははは、遠山君。顔が赤いよ」
「ば、馬鹿‼︎そんなワケあるか」
いつまで経っても彼の反応は見ていて飽きない。
大方、私のチアガール姿を見て興奮したのかな?
「でも、零さん。バンドをやるって言うけど、生徒会長である以上、色々忙しくないかい?」
アドシアードの様なイベントは何かと忙しくなる。生徒会長である以上、手が離せなくなる事も珍しくない。
「そこは大丈夫。生徒会長の権限を使えばチョチョイのチョイさ♪」
「ソレって、職権乱用じゃないのか?」
「まあ、零さんだし、いいんじゃないかい?」
ちょっと、不知火君。ソレどういう意味だい?
「そん時はあたしが取っ捕らえてやるわ」
「Catch me if you can(できるものなら 捕まえてご覧)」
その言葉を合図に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
同時に不知火君が深刻な表情を浮かべた。
どうしたのさ。私、変な事を言った?
おまけ1
「今日から始まった零の懺悔室」
「さあ、おいでなさい。悩みを抱えた迷える子羊達。ここはとある教会の懺悔室。根の深〜い業を抱えた人を救済すべく開かれた私の庭へ」
「えっ?何、シスターの真似事してんじゃないよって?神様に背きまくってる奴が一丁前に救済なんて軽々しくやるなって?細かいことは気にしない♪気にしない♪」
コンコン!
「ほら、こうして間に早速、1人目の迷える子羊さんが。はい、どうぞお入りください」
ガチャ!
「壁を挟んだ私達は違いを確認出来ません。故に恐れる事なく悲しむ事なく、このひと時、クソた......じゃなかった。多忙な神に変わってアナタの罪を聞き届けましょう。さあ、どうぞ」
「感謝します。名も知らぬシスターよ。どうか聞いてください、私の悩みを」
「実は私には主と敬う人がいまして......」
「ほうほう」
「その方は本当に素晴らしい人で、命を懸けてお使いすべきと思っております」
「ただ、私だけじゃなく他にも仕えてる連中ーー世間で言うところの同僚って奴がですね......」
「ふむふむ。つまり仕事仲間との折り合いが悪いと?」
「ええ、その中でも特に頭がアッパラパーな二人組がいまして、仕事中に酒を飲むは、暴言を吐くはの有様で正直、扱いに困っております。主から同僚達のまとめ役を仰せつかっているのですが、この先まとめていけるか不安でして」
「さらに主に対しても不安がありまして」
「おや?アナタはご自身で慕っていると仰ったではないですか?」
「いえ、正確には主に纏わりつく わ る い 虫がですね。普段、超が付くほどのカッコイイあの方が、奴の前ではメチャ可わ......じゃなく、デレデレとして。キャラ崩壊も甚だしい」
「そもそも奴は主の何だと言うのだ!ベタベタと私が敬愛する主に纏わりついて羨ましい‼︎私だって主にひっ付いてあんな事や、こんな事やりたいのにぃぃぃぃ‼︎」
「遠方からストーキ......じゃなく、観察している間、私がどれだけ苦渋を舐めた事か。思わず狙撃したくなった事だって一度や二度じゃない‼︎」
「成る程。つまりはその主さんに纏わりつく男が気にくわないと。アナタの悩みは理解しました。それなら、えーっと、思い切ってフルボコにしちゃったらどうでしょう」
「丁度、武偵高には闘技場がありまして、そこで悪い虫さんをボコボコしちゃえば、アナタの大好きな主にベタベタできなくなりますよ。きっとネ♪」
「成る程......悩まず真っ向からぶつかっていけというワケですか」
「ありがとうございます。おかげでスッキリしました。これで心置きなくヤれる」
ガチャ!バタンッ!
「武偵高は本当に悩みや悔いに事かかないね。そんな彼らに明日の道しるべを指し示すのが私の役目なのかな〜なんちゃって♪」