私は教授じゃないよ。大袈裟だよ   作:西の家

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fgoのハロウィンイベントはレアアイテムがザックザックですね!
最後の選択は迷った......


空からまた降ってきたーー今度は2人して仲良く

飛行機事件から翌日、女子寮の前の温室にてーー

いつも人けがなく、秘密の打ち合わせには便利な場所で私はモランに呼び出され、

 

「主......何か言うことはありますか?」

 

「ごめんね」

 

バラ園の花壇をバックにモランの前で正座していた。

別に正座は苦じゃないけどさ......チラッとモランに視線を向けてみる。

彼女はゴゴゴという効果音が聞こえてきそうな目つきで、姿勢と身長差が相まってか私を見下ろしている。

うわー、メチャ怒ってる。原因はやっぱりアレかな......

 

「何の用意もなく、しかもお一人で、爆弾積んだ飛行機に乗り込むとは......馬鹿なのですか貴女は?」

 

「全くその通りです」

 

冷や汗が出ながらもモランから目を逸らし、思わず花壇に咲く薔薇を眺める。

薔薇が綺麗だねー、じゃなかった......やっぱり飛行機の一件か。

 

「おまけに爆弾を東京湾に投下するなんて、後から回収するの大変だったんですよ」

 

りこりんこと峰・理子・シュパン4世が退場した後、飛行機に搭載してあった2000ポンドクラスの爆弾の始末が問題だった。

万が一、着陸が失敗すれば大惨事もとい私もお陀仏だったし、脱出しようにも生憎とスカイバイブの用意はない。

『イ・ウー』が絡んだ事件で政府からもみ消される事は知っていたが、''関わった人間の記憶には残る''。

出来るだけ証拠は残したくはないーー苦肉の策としてハッチから東京湾に爆弾を投下した。

 

「私はその投下ポイントに居たんですよ!主の命令でスティンガー片手にボートで東京湾を漂って暫くしてーー上空を飛行機が過ぎると同時に、いきなり爆弾が降ってきたんですからね‼︎大慌てで海に飛び込こみましたよ」

 

「本当にごめんね!でも、爆弾の信管はダメにしておいたから、爆発はしなかったでしょう?」

 

今ならモランに土下座してもいいと思える。

狙ったわけでもなく、彼女の真上に投下するとはある意味で凄い確率だ。

私の謝罪を受けたのか、モランは「はぁー」と軽くため息をして、

 

「爆弾の件はもういいですよ。主が無事で本当によかったです」

 

さっきまでの怒りが嘘のように冷めていく。

おや?これは許してくる雰囲気ぽいぞ。

 

「まぁ、私も独断し過ぎたと反省してるよ」

 

「......本当ですか?」

 

ギロリッ!

ライオンも尻尾を巻いて逃げ出しそうな眼つきで、私を射抜くように睨みつける。

こ、怖い......まだ許してくれてなかった。観察眼が曇ったかな?

 

「自分は主に自分の全てを捧げたつもりです。だから、お一人で解決せず、もっと私......いいえ、仲間を頼ってください」

 

言葉の中に私に対する気遣いが見え隠れしているのが分かる。

 

「主にもしもの事があれば、私だけじゃなくジャックさん、アップル、そしてあの馬鹿二人組も悲しみます」

 

モランの目から涙が滲み出でている。

私は彼女に心配かけ過ぎていたのか。だから、あんなにムキになって怒っていたんだね。

 

「本当にごめん。あの時は自分でも信じられないくらい突発的だったよ」

 

私は立ち上がってモランの涙を指で拭いさってやる。

彼女の方が私より少し身長があるので、つま先立ちする形にはなるが。

 

「よし!じゃあ、これからはモラン達の力を大いに使わせてもらうよ。『イ・ウー』がアレで終わりにすると思えないし、ここから激戦になるだらうからさ」

 

「無論です。私の全ては主の為にありますから」

 

モランは王に忠誠を誓う騎士さながらの儀礼をしてみせる。

 

「それはそうと......主は何故、お一人で飛行機に?」

 

うん?どうしたんだか、モランの雰囲気がガラリと変わったぞ。

前にもこんな現場に立ち会ったような......

 

「あー、それはね。金次君が突然、飛行機に乗り込むなんて言い出すからさ〜」

 

ビキッ‼︎

私の説明を合図にモランの顔が死んだ。

あれ?私は何かいけない事をしたのだろうか?ただ、理由を述べているだけなのに。

それからも淡々と理由を述べていく度、モランから表情が消えていく。

 

 

 

数十分後ーー

 

「......まぁ、そういう訳で彼がいる事で計画がパアになっちゃって」

 

「成る程......成る程......成る程......成る程......成る程」

 

私の説明を最後まで聴き終えると、モランは壊れたテープレコーダーのように同じ単語をブツブツと呟く。

モラン、少し怖いよ。

 

「おーい、モランちゃーん、聞こえてるー?」

 

ブンブンと彼女の目の前で手を振ってみるが、モランは何処か上の空だ。

 

「えぇ、聞こえてますとも......遠山キンジこそが主の計画を台無しに追い込んだ元凶だと」

 

モランの目に決心の炎が灯る。

 

「いやいや、別に私は気にしてないよ?寧ろ私のミスーー彼の行動を頭に入れてなかった。それに金次君が原因で計画が台無しになったの今回が初めてではないよ」

 

「なんですって‼︎やはり、遠山キンジは主の敵ではないですか!」

 

「だから違うって」

 

金次君が原因で計画が台無しになったの別に今に始まった事ではない。

彼の後先考えず突っ走る行動で計画が台無しにはなったが、寧ろそれで犯罪者を逮捕に追い込んだ。

中には始末しておきたいホシもいたが、別の形で事件を解決できた。

 

「金次君は関係ないよ。だから、この件はコレでお終い。いいね?」

 

「......分かりました。ボソッ(遠山キンジ ブッコロス‼︎)」

 

念を押して金次君は関係なしと述べる。

最後に余計な事が聞こえたが、気のせいだろう。

話を終えて薔薇園を後にしようとした時、モランから呼び止められた。

 

「あの、主......折り入ってお願いが......」

 

モランが顔を赤く染めてモジモジしている。

普段のキリッとした態度とは違って、可愛いく見えるね。

それにしても、モランが私にお願いとは珍しい。

 

「どうしのかな?遠慮せず話してごらん」

 

「は、はい!実は......その、今度時間が空いてる時で結構なので......私とデー......じゃなかった、どこかに出かけませんか?」

 

恥ずかしがりながらモランが私を遊びに誘ってきた。

そういえば、最近仕事ばかりでモランに構ってあげられてなかったね。

頭の中でスケジュールを確認してみると、幸運な事にいくつか予定が空いていた。

 

「いいよ。何処に出かけようかな......そうだ!思い切って、◯ィズニーランドに行こうよ。2人きりで」

 

「2人きり......‼︎約束ですよ!嘘ついたら徹甲弾1000発飲ませますからね!」

 

ハアハアと舌を出し、尻尾を振る犬のように私に詰め寄る。

徹甲弾1000発って、そこは針千本飲ますでしょう?どちらにしても嫌だけど。

モランとの約束を最後に今度こそ薔薇園ーービニールハウスを後にしようとした、次の瞬間。

 

がっしゃあああん!

 

ビニールの屋根を突き破ってーー金次君とアリアが降ってきた!

なんで2人が空から降ってくるのさ⁉︎

 

びりがしゃ!

 

ビニールの屋根がクッションになるーーかと思ったが。

2人はそのまま屋根を突き破り、温室の中に落っこちるーーもう離さないとばかりに、抱きついた状態で。

 

「......2人して何やってんの?」

 

「零⁉︎なんでお前がここにいるんだよ。もう身体はいいのか?てっきりまだ病院にいるかと」

 

「レイですって⁉︎ちょっと、何ジロジロこっち見てんのよ!」

 

2人仲良く密着した状態で心配されても嬉しくないよ。

ご心配なく、身体は完全に回復したさ。

ジーと座った目で2人を眺めていると、

 

「遠山キンジ......ブッコロしたらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

モランが金次君に殴り掛かる。

ただ真直ぐに「うおおぉぉぉぉ」と雄叫びを上げ、金次君に突撃する。

 

「うわっ⁉︎なんだよコイツは!」

 

「ここで会ったが100年目!主の為にも今すぐ死ネェェェェェェェェェェ‼︎」

 

「キンジ!何とかしなさい!この子ったら、目がイっちゃってるわよ!」

 

「無茶言うな‼︎零、助けてくれ!」

 

金次君の必死のSOSに対して、

 

「モラン......取り敢えず、100発は殴っちゃって♪」

 

「分かりました。くたばりやがれェェェェェェェェェェ‼︎」

 

「裏切ったな零ぃぃぃぃぃ‼︎」

 

ドゴッ、ドスッ、ボスッ、ドンッ、ボコッ、ボゴッ、ガッ!

 

温室内に金次君の絶叫がこだまする。

今度2人して抱きついたら''野球''させるか♪

 




これにして『武偵殺し編』は無事?に終了です。
長かった......一つの章を終えるだけでここまでかかるとは......
次回はジャンヌ編です。
お気づきかもしれませんが、金次の不幸?はこれで終わりではありません。

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