私は教授じゃないよ。大袈裟だよ   作:西の家

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今回は短いです。すみません。
これも全てあの英霊アーチャーが‼︎素材が‼︎


共同の依頼 報酬は......

「なぁ、お前理子に何かしたのか?」

 

「何のことさ?」

 

登校して開口一番に金次君からそんなことを言われた。

りこりんは登校して来なかった。いや来れなかったのが正しい言い方だろう。

昨日、りこりんが私の料理を食べて倒れたので衛生学部に運び、学部の先輩に事情を説明したら「そのソースが死因ね......」と言われた。りこりんは死んでないよ!

まさか私の''特製ソース''が原因だったとは......ほんの少しアレンジしただけなのにね。私は別に何ともないのだけど。

今度お詫びにりこりんに何か差し入れ持って行ってあげないと。

 

「クラスの間で有名だぞ。あの理子が倒れてうなされているってな。しかも、その原因が零だって噂だぞ」

 

「何かの間違いじゃない?私は別にナニモシテナイトモ」

 

「おい、こっちを向いて喋れーーすげぇ怪しいぞ」

 

金次君の追求に思わず、私は視線を逸らしてしまった。そんなにジーと見つめないでくれたまえ。

 

「まあ、その件はとりあえず置いて......私のところに訪れたのはりこりんの事だけじゃないんでしょう?」

 

「......何でそう思うんだよ?」

 

「あっ、今喋るのを躊躇ったでしょう。それが証拠だよ。金次君は女の子に頼るのを躊躇するからね」

 

「またお得意の心理学かよーーああ、そうだよ」

 

私の指摘に金次君は「はあー」とため息を吐いた。

ため息を吐くと幸せが逃げると言うが、それは間違いだ。寧ろ、ため息は吐くといい。息を吸って吐くことは自律神経のバランスを整えてくれる。

特に血圧、血流には良い。身体に悩みを持つ金次君にはオススメだ。

 

「あなたは〜何か悩みを抱えていますね〜」

 

「お前、もう本当に占い師になれよ」

 

ダミ声で古畑任三郎風に喋った。これでOPがあれば最高なのだが。

それにしても占い師か。まあ、同級生ーー女子に対して占い師の真似事はしているけどね。

 

「当ててあげようか。君はそうだなー。専門授業ーー強襲科で何か困っている。授業についていけない?いや、違うね」

 

金次君の強襲科としての成績は素晴らしい。射撃もそうだが特に身体能力は飛び抜けている。

そんな彼が強襲科の授業で遅れを取ることはない。

 

「授業は上手くやっている。なら、残る可能性は......単位かな」

 

最後の指摘に金次君は目を見開いたーービンゴだ。

この学校では単位を修得ーー授業に出席するだけでは貰えない。

ならどうやって単位を修得するか?それは依頼をこなすしかない。

武偵は学生の内から依頼を受けることができる。

教務科が定めた依頼をこなすことでそれが生徒の単位になる。

依頼には様々なものがあり、特に高ランクな依頼=危険な依頼ほど多い単位がもらえる。しかし、それに伴い命の危険も高くはなるが......

 

「しかし、妙だね。強襲科の依頼ーー言い方は悪いけど危険な物が多いでしょう?それなら単位には困らないと思うんだけど......」

 

「危険な物ばかりとは限らねぇよ。依頼人や公共施設の警護なんかもあるからよ」

 

「いやいや、それもある意味では危険な仕事だよ。今度、SPを見てご覧よ」

 

依頼人の警護なんかは特に危険が伴うだろう。武偵とはいえ撃たれば血が出るし、場合によっては死んでしまうのだから。

まあ、プロの犯罪者なら警護ーー武偵なんか相手にせず、ターゲットだけを仕留めるくらいはできるだろうけどさ。

 

「なんか単位を見たら全然足りなくてな。このままだと進級できないかもしれない」

 

自分の単位くらいは把握しないと......後から気づくと取り返しがつかないよ?

 

「それで私に相談してきたわけか。だったら、進級に足りる単位の依頼をこなせば......」

 

「強襲科の依頼掲示板を見たら高単位の依頼は全部取られていた」

 

早い者勝ちか......善は急げと言うけど、今の金次君にはお似合いの言葉だね。

しかし、金次君。なぜ君はそんな嘘を言うのかな?依頼全部が取られたとしても低ランクの依頼をこなせば単位は稼げると思うのだけどな。

 

「でも強襲科と探偵科ーー共同で行う依頼だけは残っていた。だから......」

 

「一緒に依頼をこなしてくれ。そう言いたいのでしょう?」

 

金次君は「ああ」と答えた。

共同の依頼か......まあ、初めてではないし、何度かこなしたことはある。

それに、ここ最近は世界中で起きている未解決事件の関係性を探ることばかりやっていたので、気分転換にはなるかもしれないね。

 

「1000万」

 

「ーーはぁ?」

 

「依頼料は1000万円だ」

 

「お前はどこの無免許外科医だ⁉︎」

 

私のボケに見事なツッコミを入れてくれた。これなら漫才師になれるよ!

 

「ははは、ジョークだよ」

 

「本当に揶揄うなよ。一瞬、マジかと思ったぞ」

 

金次君に1000万円なんて払えるとは思っていないし、それに''彼''にはそんな要求はしないよ。

 

「それで肝心の依頼の内容ーー事件は?」

 

「コロシ(殺し)だ」

 




次回は殺人事件に挑みます。
探偵科と強襲科の共同の依頼は難しいな......

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