大轟竜転生奇譚〜これが私の大轟竜としての、生き様だ〜(友人の金の月もいるよ!)   作:熨斗付けた紅白蛇

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あらすじ

兄弟が産まれました。今狩りを教えてます。


つまるところ、旅立つよ

この世界で過ごしてそれなりな時間が経った。その間に、巣にあった他のタマゴが孵った。

ティガレックス通常種の幼体が二匹。恐らくで言えば、私の兄弟。

小さな子供であるからか、ティガレックスといえども可愛かった。目がキラキラしていて非常に可愛いかった。スピリッツで見た覚えもあるけど可愛かった。同じように小さかった私も生まれた当初は可愛かったのだろうか?

まあ、そんなの今更確認できることではないが。

 

今の私は、成体に比べれば遥かに小さいだろうが、それでも随分大きくなった。

当然、ケルビの一匹二匹では足りなくなり、私はさらに遠くに行った。

その行った先でアプトノスを見つけた。皆さんおなじみアプトノス。竜骨(小)と生肉を剥ぎ取れるアプトノス。

ケルビよりも大きく、ケルビよりも素早くない。

それもあって、私は二匹のアプトノスを狩ることに成功した。

片方は一番小さな子供、もう片方は群れの中で二番目に大きかったアプトノス。

大きな方のアプトノスを私はその場で喰らい、子供の方を巣まで持ち帰った。兄弟たちは大人しく待っていて、私がアプトノスを持ち帰ると早速嬉しそうに食べていた。

 

そうやって、私は兄弟たちが生まれてからの二週間を過ごした。

 

 

二週間もすると、兄弟たちの体長もそれぞれ大きくなってきた。ケルビを狩れるぐらいには。

そこで、私は兄弟たちを連れ、狩りをした。

最初のケルビの群れではケルビの捕り方を見せた。

次のケルビの群れでは、実際に狩らせてみた。

片方は獲れたが、片方はケルビを逃してしまった。

ケルビを獲れた方には、そのままケルビをまるまる一頭食わせる。

獲れなかった方は、なにも食べられない。

そんな風にしながら、狩りを教えていく。(獲れなければ食えないため、どちらも必死になる。)

 

元々、ティガレックスは獲物を探し求めてあちこちへと旅する。

時には、他の肉食竜たちとの争いになることもある。

だが、どちらにしろ共通するのはティガレックスは

基本的に一頭で行動するということ。群れをなすことはまずない。

孤高に一頭で獲物を求めて流離う。

その道程で他のティガレックスと殺しあうも良し。

他の肉食竜と喰い合うも良し。

野たれ死ぬのも良し。

全ては自分の力だけで生き抜かなくてはならない。

そのためには、この兄弟たちに狩りは一頭だけでするということを教える限り教えなくてはならない。

教えるだけで、協力はしないが。

 

餌をとってくるのは小さな時だけだ。そうしなければ死んでしまい、種を残せなくなる時だけ。

そのような時はいつまでも続かず、私も本来ならこのようなことをする必要は無い。

私の弱いながら残っている人間としての感性と、種を保存しなければならないという種族としての本能。それがたまたま良い具合に合わさった結果に過ぎないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからさらに一週間。

ようやく兄弟たちはアプトノスを狩れるようになった。

身体も大きくなった。

そろそろ、私も必要無いかもしれない。

兄弟たちはそれぞれ好きに生きていくのが良いだろう。

私も好きに生きる。それで良いだろう。

各々の判断で生きていく。

 

 

 

 

 

早朝、私は巣を離れる。

 

色々と集めたものは勿体ないが、探せばすぐに見つかるものばかりのため、置いていった。兄弟たちが使うこともないだろうから、巣が空いた時にメラルーやアイルーが使ってくれれば良いと思う。

 

兄弟たちはまだ眠っていたが、それぞれ離れて眠っていた。

己だけで生き抜いていくためには、良いことだろう。

 

かつて爆破して抉った木を頼りに、川まで行き、水を飲む。

この川とも、今日でさらばである。

 

 

樹海の中を進んでいくと、開けた場所に出た。

明るくなり掛けの空が見える。

 

周りには何もいない。

それを確認する。

 

……ティガレックス通常種が飛べて、希少種が飛べない道理はない。

なにしろ、ティガレックス希少種はあんな塔の上に居たんだ。塔を登ってきたとは思いがたい。塔の壁を登るにしても、あの塔は高すぎる。

ティガレックス通常種は、その場に留まったかと思えば一瞬で空まで跳躍した。そしてそのまま滑空する形で飛んでいた。

私にも出来るはずだ。

 

飛んだ時に木にぶつからないような位置にまで移動する。

そして、体を屈めて一気に伸ばす。

それだけで、私の身体は宙に放り出されるように浮き上がる。

慌てずに腕を広げる。翼腕は確かに風を受ける。

 

とりあえず、飛ぶことには成功した。方向転換はまだ出来ないが、まあ、良いだろう。

 

眼下には緑の絨毯のように、樹海が見えた。

ふと何を思ったのか、私は方向転換もできないのに右の方向を見た。

ぼんやりとだが、塔が見えた。

……ティガレックス希少種を狩れた塔だろうか?

私はそれ以上なにも思わずに、前を向いて飛び続けた。

 

とりあえず、上手くいけば氷海に行きたいと思った。

ポポ食べたい。




ティガレックス希少種(幼体 第二期)
生後66日
体長6.9m
体重___8kg(前半は破れて読めない…)

ティガレックスらしく、獲物を求めて旅に出る。
氷海に行きたいとは言っているが、行っている方向的には遺跡平原である。
ハンターに気をつけること。

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