大轟竜転生奇譚〜これが私の大轟竜としての、生き様だ〜(友人の金の月もいるよ!) 作:熨斗付けた紅白蛇
とりあえず食べれるものと使えるものを探そう
……ゆっくりと覚醒していく頭と、しょぼしょぼする目を瞬かせながら、身を起こす。
ああ、確かに、私は生まれたばかりのキティちゃんの幼体だ。夢ではなかったことを認識する。
まだ薄暗い中、巣から顔を出しながらぼんやりと今日は使えるものと食べられるものを探しに行くことを思い出す。
本当は肉が食べられれば一番なのだが、生憎私にはまだケルビが狩れるぐらいの実力しかないと思われる。
だが、この辺りでケルビを見かけないため、糊口を凌ぐことが出来るようなものと使えるものを探しにいく。
そして、もしも見つかればだが、ケルビの群れを。
そういえば喉が渇いたが近くに水のあるところなどは無い。
つまり、私はまず、川なりなんなり、水源を探さなくてはならない。
だが、ここは密林……未開の樹海……と思しき場所。
違うかもしれないが、少なくとも見たことのあるエリアではない。なら、私は迷わないようにしていかなければならない。
そこで、私は少し考えた。
爪で木に跡を付けていくという事を。
とりあえず、まずはそこら辺の木で試してみようと思う。
まずは、この木に……。
勢いよくガリッという音をさせながら木に傷をつける。
傷をつけ、跡を付けたはいいのだが…………
爆破やられです、最悪です。
忘れていた。キティちゃんはとにかく新陳代謝が活発。そのため表皮の角質化が起こりやすい。
その角質が、爆破煙となる。細かいことは知らない。
とにかく、少しばかり爪を深く突き差しすぎて、それが原因で手?が木の幹に近づきすぎ、
とりあえず、退避。
爆破煙の量はまだまだ生まれたばかりの幼体だからお察しだが、それでも爆発は危ない。
爆発するのを巣の中で待とうと思う。
…………ドッカン
むっちゃ小さい爆発音だね?!
まあ、そりゃそうでしょうね何しろ生まれたばかりの幼体のですし?
そりゃ量もお察しですしね?
でもまあ、これで一応安全だろうと、巣から出てみる。
あの跡を付けようとした木は見事に一部が抉れていた。少し力を加えれば倒れるのではないだろうか。
まあ、それならそれで、使える材料になるかもしれないから良いが。
だが、これで木に跡を付けて道標にするという案は没になった。他の方法を考えなければならない。
帰巣本能とかそういうのは最終手段だ。
さて、どうしたものか……
結論というものは、何気に最初のアイデアから派生してくる。
つまり……
「ぎゅっ!(抉れた木が道標!)」
目の前の木に爆破煙を引っ付け、爆発して抉れた木を見届けて、次の木に爆破煙を引っ付ける。
つまり、抉れた木を道標にすれば良いと思ってたのだ。思ってしまったのだ。
没にした方が良かったのかも知れないが、これも一つの方法である。
事実、抉れた木を道標にするというのはなかなかに素晴らしくわかりやすいものだった。我ながら頭が悪いんじゃないかとは思うアイデアではあったが、結果は上々である。
ただし、爆発音はするため、幾つかの木に爆破煙を引っ付けたら即隠れる。爆発音に引かれてやってくるモンスターもいないわけではないからだ。事実、イャンガルルガが来た時には焦った。やつは耳が良いから。
そうやって道標に木を抉りながら進んでいると、なんと川を発見した。我ながらラッキーである。
正直、今すぐ川に駆け寄りたい。
だが、それは危険だ。なにしろ川には様々な生物がやってくる。ケルピやアプトノスのような大人しいものも、ディアブロスのような危険なのも、全て。
そんなわけで
警戒心マックスで川まで近づこうと思います。
まずは周りを見渡します。
次に空を確認します。
後ろを確認します。
対岸を確認します。
何もいませんね?
水の中は?
そもそもにしてむっちゃ浅すぎて何もいない。
安全確認はきっちり。
もう一回周りを見て……
水、ようやく飲めます。
な、長かった!約半日?ぶりの水!
目の前の水に口をつける。
喉が潤う。乾きが癒される。じんわりと水が染み込む感覚!
水が非常に大事なものだとつくづく思い知らされる。
時間が時間のため、ホロロホルルとかは気にしなくても(多少は)良いし、気にするべきはディアブロスとかレウス夫婦とかザザミとかだ。
ともかく、これで喉は潤った。なら次は
ここに水を飲みにくる可能性のあるケルピなどだ。
もちろん、しばらくはアイテムを探しに行こう。だが、それでもやはり、肉が食いたい。ティガレックスは元々肉食なのだ。肉が主食なのだ。その肉を求めて何が悪い。
いや、悪く無い。むしろこれは本能だ。
そんなわけで、私は地味に周りの草とかを回収しながらケルピやアプトノスが現れるのを待ってみるのであった。
ティガレックス希少種(幼体)
生後1日
身体記録:特に変化が無い為省略
道標に木を爆破して抉るという荒技に出る。
だが、その木はあの超人たちに見つかるとやばいのでは……?
そこら辺、まだまだ甘いと言える。
川を発見。
喉を潤した後、捕食対象となる生物を待ち構える。