大轟竜転生奇譚〜これが私の大轟竜としての、生き様だ〜(友人の金の月もいるよ!)   作:熨斗付けた紅白蛇

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金レイア、もしかしたら殺されてたかも。
けど、生きてるってことは?


嗚呼、なんというかつまるところ納得するしかなかった

『…………は?』

 

聞こえて来た言葉を聞いて聞き間違いかと思った。

 

『いや、だからさ……

もしも、チート持って調子に乗った嫌な奴だった場合、殺すつもりだったんだよ。ガキのうちならまだ弱いだろうし育つために親に頼るだろうから、俺がただのリオレウスならばそこまで警戒されない。そのために俺が転生者だってことは、ばらさなかった。話せるとわかってても話しかけなかった。ただのリオレウスだって思わせて油断させておくために』

 

しかしながら、親父殿が噛みしめるようにしっかりと言った、詳しく言い直された話は確かに聞き間違いではなかった。つまり、今私が押しつぶすことで静かになっているこいつは、そういう"チートを持って調子に乗った嫌な奴"と判断されていた場合、会うことすらなかったということなのだ。

 

『仮にそんなやつだった場合、野放しにするわけにはいかない。だが、転生っていうのはある程度育った精神で来る。矯正不可能な程度のやつがほとんど。そんなやつを出したら、起きるのは生態系の崩壊。

だいぶん前にそりゃあ調子に乗ったなにも考えてないバカがウラガンキンに転生してたんだが……酷かった。他を喰らうことによる無限進化。それによって生態系の上位にいる捕食者が軒並み激減した。そしてそのせいで草食竜が増えまくって草を食い尽くしちまった。そこからあとはもう地獄も地獄。あちこちで草食竜が飢え死にしてるし、山は禿山。しょっちゅう災害も起こるようになった。もう酷すぎた。……最後は、祖龍が弱らせたのを大勢のハンターが多大な犠牲を出すことで討伐した。後には崩壊した生態系と被害に釣り合わないそいつの素材だけだったさ。生態系が戻るまでは何年も何十年もかかった。何種類かの上位捕食者は、未だに数が少ない。……下手にしたら、絶滅かもな』

 

 

…………嗚呼、納得せざるを得ない。こいつを殺そうとしたのだって慎重になりすぎた結果だ。

そんなの、最悪な人災(・・)じゃないか。

 

『一応俺がただのリオレウスだって思っててくれたおかげでそいつの大体は素が見れた。そいつは……』

 

もしも、そうだと判断されたら、私はどうすれば……

 

『行き過ぎているリオレイア大好きな奴って印象で終わった』

 

…………は?

 

『清々しいまでに対応に普通と最上級という差があったが、それにしたってレディファーストとして見れば違和感があるけど無視できる程度で済んだ。別に調子に乗っているわけじゃなかった。

チートにしたって努力型なら無意味だが最初から最強的なのは無いということも観察しててわかった。ある程度は希少種としての育ち方だろう。通常種よりも能力が高いのは希少種の特徴だしな。

別に嫌な奴でもなければ、俺TUEEEEEEEE的な奴でも無い。単にリオレイアが好きなだけ。別に殺しておく必要もないってことはよくわかった』

『…………? つまり?』

 

『つまり、俺はそいつをきっちり育てる。嫌な奴じゃなければそれでいい。チートを持っていたとしても努力型ならそれは自分で強くなるっつーこと。普通のやつよりもポテンシャルが著しく高いだけ(・・)。下手にハンターやら古龍やらを刺激しなければ存分に強くなって静かに生き残ってくれ。それならば俺は全くなにも言わない。寧ろ頑張って巣立ちまで育ててやる。知りたいことがあるのならばしっかりと教えてやる』

 

…………えーと、つまりわが親愛なるレイアバカは、親父殿のお眼鏡にかなったということかな?

 

『そういうことだな。

ついでに、ティガの嬢さんにも、そのバカ娘の友人なんだからこの世界に関して教えておく。

それからだが、いい加減そいつの口を開かせてやってくれないか? なんか潰しすぎていよいよ圧死しそうだぞ?』

 

そう言われて見てみれば確かにそろそろやばそうだ。いい加減出してやるとしよう。

 

『ぶはぁぁっ?! 酷い目にあった! 具体的には死にかけた! それも判明しただけでこの竜生で二回って、酷い! そのうち一回はさっきので、一回は信頼すべき親って! なにこのハード! 寧ろバード!』

『バードは鳥だな、焼き鳥頭にはいい名詞になりそうだな』

『誰が焼き鳥頭か! 前の火炎袋よりも酷い! 私は竜! 鳥じゃない!』

『だったら、そのボケっぷりはどうにかするんだね。

…………ん?』

『どしたの』

『え、お前前に言われたこと覚えてたの?』

『覚えてるしそこまでバカじゃないわぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

うん、喚きだしたけど、それに返してやればすぐに反応する。十分に元気だな。

 

『…………おいお前ら、元気に掛け合いするのは良いが、俺を忘れるな』

 

おっと、親父殿を忘れていた。

 

『どこが元気じゃ! さっきまで潰されてて疲れたわ! 寧ろ死にかけたわ! しかも下手したら肉親に殺されてたってわかって心の傷が増えたわ! 寧ろどこが元気?!』

 

だがしかし、こいつは自重というものはあっても遠慮というものか無いため、速攻で噛みつきにいった。言葉的な意味で。

 

『そこまで大声を出せる時点で十分に元気だ。有り余りすぎなぐらいだ。

とりあえずお前は静かにしろ。話ができないだろうが。』

『冷たい! 黙るけど!』

 

そして親父殿に黙らされた。いうことはちゃんと聞く。

 

 

『……よし、やっと場が落ち着いたな。

これから、俺が知っている限りのこの世界に関してのことについて話す。憶測混じりのことだが、質問は受け付けるから、静かに聞いてくれ。特にバカ娘』

 

わが親愛なるレイアバカは一瞬不満そうな顔をしたが、黙っていた。その方がいい。これから聞くことは憶測混じりとは言え、間違いなく大事なことなのだから。




やったぁぁぁぁ!!二ヶ月かからなかった!一ヶ月以内で済んだ!
ども、作者です。別のアイデアばかり出てきてつらいです。それよりも深刻に戦闘シーンがちゃんと書けるようになりたいです。野生的な戦闘シーンが。


次回

親父殿が語る、憶測混じりの"この世界について"

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