大轟竜転生奇譚〜これが私の大轟竜としての、生き様だ〜(友人の金の月もいるよ!) 作:熨斗付けた紅白蛇
なんか適当な感じの神様にキティちゃんに転生させられた主人公(死因は強盗犯の凶弾)。
とりあえず嬉しいけど、これからどうしようか。
……少しずつ少しずつ動いて、ようやくこのキティちゃんの身体にもなれた。
最初は違和感しか無かった。尻尾とか、人間にはないからね。
腕は前に突き出した状態で尚且つ地面に着けてなきゃいけないし、腕には皮膜がついてるし、足はがに股気味だし……
まあ、違和感。
だがしかし、今は私はキティちゃんである。
慣れました。てか、違和感すらありません。むしろこの形が当然とも思えてます。
素晴らしきかな、適応力。いや、それはちょっとおかしいか?
まあいいか。それ以外特には思いつかないし。
今の問題は……
「……ギュッ(まだ帰ってこない)」
親が帰ってこない。
かれこれ、巣の周りを動き回ることn時間。日が落ちかけている。
しかし、親は帰ってこない。あと、他の兄弟もタマゴから孵ってこない。
兄弟に関しては、私が早くに孵ってしまっただけなのかもしれないが、親がいつまでたっても帰ってこないのは少しおかしい。
なにしろ、巣にはタマゴ。これを放置しているのは、いくらなんでもおかしい。ティガレックスでもだ。
……夜まで待ってみるが、親が帰ってこなかった場合、私は選択を迫られることになるのだろうか。
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塔がある。
かつて栄えていた古代文明の名残で、使用用途は不明。
今の技術では作成不可能な武具の設計図や、現代では謎の多い古龍の生態が記されていたりする。
そのような古代文明の遺物とも呼ぶことのできるこの塔の頂上は、狩人たちの狩場でもある。
この塔には、何故か古龍や希少種といった強大な存在が幾度も確認されている。
そのためだけではないが、この塔の調査はギルドの大きな信頼を得たハンターだけが行うことができる。
グギャァァァアアああアアアアアアアアア!!!!!
重苦しい音を立てて倒れ伏す巨大な赤。
それを見ているのは3人のハンター。
それぞれがG級と呼ばれる一握りの者たちしかなれないクラスであるだけでなく、
そのG級の中でもさらに少ない特別許可証を持った者たちである。
「……や、やったんだよね?」
ナバル装備に、盾斧を持った女が、盾を前に突き出しながら言う。
「……ああ、とうとう、やったんだ……」
女の言葉に、ガルルガ装備の男が、震えた声で答える。
「やった……とうとう……倒せた……」
その言葉を聞いたガブル装備の女は、へたり込む。
「…………狩れた! やっと、狩れたんだ!!」
動かないモンスターに、ようやく狩ることができたという実感がわいたのか、喜びの声を上げるナバル装備の女。
大急ぎで武器を仕舞うと、短めの黙祷をして剝ぎ取り用のナイフを取り出してモンスターの亡骸に近づいていく。
「ほら、とっとと立つんだ。 実感がないのはわかるが、早く剥ぎ取ってギルドに報告しに戻るぞ」
「え、は、はい……ありがとうございます……」
いつまで経っても立ち上がらないガブル装備の女に業を煮やしたガルルガ装備の男は、手を貸して立たせ、すでに剝ぎ取りを開始しているナバル装備の女の隣にまで行かせる。
黙祷を終えたガブル装備の女が剝ぎ取りを始めると、自身もモンスターの皮膜を剝ぎ取りにかかる。
「ああもう! 本当にどれだけ撤退したかとか覚えてないよ?! それぐらい強かった!」
「そ、それはそうですよ……あの、ティガレックス……その、存在しているかどうかも怪しまれていた"希少種"……なんですから……」
剝ぎ取りを終えたナバル装備の女は、昂ぶる気持ちを抑えられないとばかりにはしゃいだ声を出す。
それに、同じく剝ぎ取りを終えたガブル装備の女が抑えた声で応じる。
「まあ、とにかく、これは大きな発見だ。 剥ぎ取った素材も、ティガレックス希少種の存在を示す大きな証拠になるだろう」
「うん! そうなるね! こんな強い子の存在が知られないなんて、そんなの人生の半分以上は損してるよ!」
「……そのような考え方が出来るのはお前だけだこの戦闘狂」
「おぉぅ? 酷い言い草だね?」
「事実だ」
「……事実ですね」
「うっわぁ! 本当に酷いね君たちは!」
ナバル装備の女のことを口々に言い合いながら、最後に再び短い黙祷を捧げて3人は塔を降りて行った。
あとには、ティガレックス希少種の赤い亡骸が横たわっているだけだった……。
「…………ギュゥゥ(帰ってこない……)」
続きました!
やった!キティちゃん活躍しようね!
でも勢いがあるのは最初だけの竜頭蛇尾にもなりそうだね!
変なところがあったら指摘して下さると助かります……
こうやって書いてますけど、資料とかは本当にどれだけ探しても不足しているようなものなので……
てか、不足しまくりです。
さて、次はどのようにするべきか……