大轟竜転生奇譚〜これが私の大轟竜としての、生き様だ〜(友人の金の月もいるよ!) 作:熨斗付けた紅白蛇
ひとしきり話しまくった二竜。そこでふと、リオレイアの方が何かを思い出す。
『……あ、しまった。私飛べないから帰れない』
本当に今更ながらリオレイアは、自身の翼が小さすぎて飛んで帰れないことを思い出した。
『帰りは考えていなかったと?』
『イエス』
質問に否定もせずにコンマ1秒で返事をした金レイアに、主人公は冷ややかなジト目を送る。
『え、何そのジト目、すごい怖い』
『このおバカと蔑んでいるんだよ、このおバカ』
『2度もバカって言った! バカって言った方がバカだから、君は大バカだね!?』
『何トンチンカンなこと言ってんだこの火炎袋。良いから帰る準備しろ』
『荷物ないけどね身一つだけどね』
バカなことを答えていた金レイアだが、帰る準備という言葉をきっちりと認識した途端に一瞬キョトンとする。
『って、送ってくれんの?』
『途中までな。お前の親の巡回中に見つかって殺されちゃかなわない』
『マジか、よっしゃ頼む。今日親父が巡回してるはずだから、見つけてもらえば帰れる』
『……本当に、空が見えるところまでな?』
『了解了解。それじゃ、見送り頼ます』
『…真面目な受け答えができんのか……。
まあいいか。ほら、とっとと載れ』
『私は荷物かな? 搭載品かな?』
『無駄口叩くな。』
『はーい。』
漢字の違いすらも敏感に感じ取ってボケ始める金レイアのボケを一言で封じ込めつつ、背中に載ったことを確認すると、
『しっかり掴まって振り落とされないように。』
といって、返事を聞く前に走り出す。その方向は、金レイアが落ちてきた方向とは逆の、このエリアの出口。その方向にはジャギィやジャギィノスが居て威嚇してきて居たのだが、気にすることなく吹っ飛ばして高い段差を登る。
『いヤァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!! 落ちルぅぅぅゥぅぅぅううううううううううう!!!!!!』
背中の悲鳴も気にせずに。
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狩りからもどった緑の母は、嬉しそうに鳴きながら近づいてくる仔竜の中に、最初に生まれた金の子がいないことに気がつく。
その時、その子の大きな悲鳴が巣よりも下の方向で聞こえてくる。だが、その声は凄まじい速さで遠のいていった。
何かあったのは容易に想像が出来るこの状況に、しかし母は動かなかった。
その役目は母のものでは無い。
故に、母は咆哮を上げる。その役目をもつ夫へ伝わるように。
遠くから返ってきた咆哮を聞けば、母は子らに獲物を与えるために噛み砕き始める。
あとはすべて、赤い父に任された。
お久しぶりでございます。約二ヶ月ぶりの投稿となりました。
エタったかもと思われても仕方ないランクかなーとか思いながら、少しずつ書いていっておりました。
短いものですけど、第三者視点にすることで少しは読みやすくなっていたら良いなぁと思います。
なお、主人公と金レイアには名前が無いため
『主人公』、『金レイア』という名称にしています。
名前は…付けようかなと思ったんですが、覚えてなかったら誰が誰かわからなくなるということがわかりまして…
この二竜に関しては主人公と金レイアで通そうかなぁと思ってます。多分、付いてもそれぞれ種族名を短くした程度のものしか付けないと思われます。
最後?資料不足とこんなのだったらまあ格好いいかなって。違う気がしますが。でも、まあ、侵入者への攻撃の役目は本来は父の役目ですし、一応咆哮は近くの雑魚を遠ざける力はあるはず……
自然は残酷ですので、無事な子だけを育てるというだけな気もしますが。