皆さん、恐竜というのを知っていますか?それは昔々、それこそ妖精さんたちもいなかったかもしれない時代に存在していた大型の生き物のことです。
穏やかな恐竜もいればとても危ない恐竜もいるというのは通ってた学校の本でみたことがあります。
え?なぜいきなりその話をしたかって?
では、ここで問題です。解けたら私から花丸スタンプを押させていただきます。
急な話題+妖精さん=?
そうですよね、目を背けても答えが変わることはあります。観念しましょう。
「グォォォォ!!」「キー!!!!」「グルゥ……」「…………」
はい。これが答えです。
ジェラシックパーク開園!と意気揚々言いたいものですが洞窟(妖精作すごいお城)の皆さんの顔持ちはよくありません。
そりゃそうですよ。朝起きたら絶滅したはずの恐竜が徘徊していますので。
葉っぱで。
葉っぱで。
つい、2回言ってしまいましたがなんと木の葉っぱで恐竜が作られているのです。
流石の南雲さんも
『これが妖精の力か……』
と。
飛龍さんは
『蒼龍ぅ…』
泣きそうで今いない妹の名を呼び。
朝潮さんに至っては
『モグモグ……』
朝御飯を口に放り込み機嫌が悪そうにしています。
なんでしょう、この居たたまれない気持ちは。まぁ、まずはこの状況作った妖精さんたちに事情聴取ですね。
「はて」「にんげんさんや」「なにかごようですかぁ?」
「御用がなかったらよかったんですけど外の摩訶不思議光景を見て伺った次第です」
「あー」「なんだったけ?」「はっぱのやつかと」
「はい、それです。建物を作ってくれたことは嬉しいです。食料もよくやってくれました。ただ、外のあれは頼んでいませんけど」
「りあると」「ろまん」「おとこのゆめかと」「むなしくちりまっせ」
頭が痛いです。リアルとロマンを求めてこんなことしてくれるなんて助けに来た艦娘さんたちになんて説明すれば……妖精さんの仕業といったら納得してくれますね、いえ、してくれますかね?
そう思い私はこの『でんぱもにげるちょーすごいおうせつまようせいばー』のソファーに腰かけます。
「ふぅー、提督の仕事も楽ではありませんがまさかここまでひどくなるとは」
「おつかれのにんげん」「われらこれをかいはつしたしだい」
そういって二人の妖精さんが来ます。なんですかその観葉植物に実っている飴ちゃんは。怪しさ満載です。
二人の妖精さんはそれを食べました。
すると、豪快に失禁です。二人してだらしない。
そう思い私のすぐそばにいた妖精さんに説明を求めます。
「へい、ボーイ。これは?」
「まやくでは?」
「逮捕」
慈悲はありません。
■■■
「つまり、これは妖精達が作ったから危険はないと?」
「はい。上手くいけばヲ級を誘き寄せることも可能かもしれません」
そう言うと飛龍さんは何故と言う顔をします。
「ヲ級がここ付近にいるかもしれないというのは昨日の惨状のお陰で明白です。しかし、動物達も殺した島に突然変なのがうじゃうじゃわいてたらどうしますか?」
「確認しにまた来る?」
朝潮さんのその発言に首を縦に降って答えます。
「まぁ、早めに来てしまったら元も子もありません。次の作戦に移りますので皆さんはここで待機していてください。」
■■■
「にんげんさんや」
おっと、私から迎えにいく予定が逆になってしまいました……。
「あら?見たこともない子ですね。新入りさんですか?」
「せいご3じかんぐらいかと」
「若い……」
あまりの若さに私も驚きです。
「それで、なにか?」
「このしまおきにりにとうろくしました」
「気に入ったことですか?」
「いたく」「くにくにしてもよろし?」
……いつの間にか増えていた妖精さんには触れない方向でいきましょう。
「まぁ、それはいいですけど少しお願いが……」
「にんげんさんにたよられる」「とうとうわれわれのじだいがきたな」「やってやらぁ」
「貴女方の時代はもうとっくの前に来てるじゃないですか。まぁ、お願いというには運河の建設をお願いしたいのですが」
「うんがってなんですかぁ?」「かわのことです」「うんがをつくるとどうりますか」「た く さ ん し ぬ の だ」「われわれ」「なみだなみだ……」
あっちゃー。運河の建設は妖精さんですら嫌悪を示しますか。
これを打開するゆーもあな冗談で場を和ませましょう。
「では、働いてくれたらお菓子を召し上がりますか?それとも貴女方を召し上がってあげましょうか?」
「「「「「ぴー……」」」」」
失禁しているのを見るとどうやら失敗のようです。
「けれど」
おや、一人の妖精さんどうしました。
「そのしにかたってざんしん」「ひとあじちがってもいいかも」「おりじなりてぃーあるです」
この子達に社畜の心得伝授させたの誰ですか!!!!
「まぁ、そこまで張り切ってもらわなくてもちょくちょくやってくだされば結構です」
「きかんは?」
「はい。3日ほどでお願いします。それが終わったあとは外にある異様なモニュメント惨たらしく解体し、創作性の欠片もない実用性一点張りの筏を作ってこの楽しい日々とお別れをし元の鎮守府で暮らしましょう。」
「え」「しまのしんぼるかいたい?」
「すみませんがお願いします。此島から脱出するためです。背に腹は変えられません」
「かぞくがなんびょうにかかってもおなじこという?」
「暗い暗い、答えられない」
なーんでこうネガティブになるんでしょうか。
妖精さん達も鬱の雲を作り始めてきました。いい感じです。
■■■
海上を文字どおり走行している加賀は雲行きが怪しくなっていることに気がついた。
「加賀、この雲の様子だと近いうちに嵐が来るぞ。あとどれくらいで付きそうだ」
「ーー急いでもあと一日はかかるでしょう。長門さんは周囲の警戒を怠らずにお願いします」
私がそう言うと戦艦長門は小さく頷いた。
今回の編成は
加賀
瑞鶴
長門
暁
響
天龍
という空母2戦艦1駆逐2軽巡1という編成だった。
6隻ともかなりの練度であり、また全員が自ら志願したのだ。まぁ、一人辺り練度がずば抜けているが今は関係ない。
「瑞鶴。敵はいる?」
「おかしいわね……。鎮守府近海にはいたんだけど今じゃ影すら見当たらないわ。ここってかなり危険な海域だったはずよね?」
「ふふん!暁のれでぃとしての振る舞いに恐れをなしたのよ!!」
暁さんがない胸を強調するかのようにして言います。ここは戦場ですが少しお気楽さも必要でしょう。
「ったく。提督も不運なこったなァ。会議の帰りに新型に襲われるなんざ今までで初だろ?ははっ。笑えてくるな」
「天龍さん。口を慎んでください。朝潮さんだって巻き込まれているんですよ」
「へいへいーーーーん?」
突如として天龍の雰囲気が変わる。それは『死』という異臭を感じ取ったものだ。その反応を見た艦娘は全員警戒態勢にはいる。
「ッ!?敵影発見!!3時の方向、数は5!!!!」
瑞鶴が叫ぶ。
言われた通りその方向を見ると深海悽艦の姿があった。
異様としかいいようがない。5隻とも赤いオーラを纏っているのだから。
「エリート級か……」
長門が小さく呟く。
エリート級は通常よりも数段力が上がっている個体だ。
特徴は血の色の赤。オーラを纏っていることだろうか。
「陣形は縦横陣を組んでください。私と瑞鶴が艦載機を飛ばしたらーーー天龍さん、いけますか?」
武器を眺め暇そうにしている彼女は口元を上げニヒルに笑う。
「アァ。
だが、少し役不足だ。」
「ッ!!天龍さん!!!!」
天龍は水上を駆ける。
いきなりの独断行動、本来なら軍法会議で処罰されるようなものだが彼女だけ例外であった。
持ち前のスピードで敵に急接近する天龍に目掛け深海悽艦は照準を会わせる。
「■■■■■■■!!!!」
言葉にならない叫び。
それを合図としてか相手に動きが現れた。
まっすぐにこちらに向かってくる。
あいつが旗艦か……。へっ、戦艦エリートなんざ久しぶりに戦うな。
武器を振るう。
駆逐艦が言葉にならない悲鳴と共にその身を水中へと落とす。
武器を振るう。
軽空母が艦載機と共に運命を共にする。
武器を振るう。
2隻の軽巡が炎を吹いて命を散らす。
僅か、一瞬。
たった、3つの動きで天龍は4隻の深海悽艦を海の藻屑へと追いやった。
正に、無双。
それを見た他の艦娘は体に少しばかりの恐怖を覚える。
天龍は武器についたオイルを払い武器の切っ先を戦艦へと向ける。
「ーーーさァ。次はお前だぜ?」
あれが、最古参の一人。天龍なのだと。
残念!!!!強い方の天龍さんでした!!!!
補足としてラバウル鎮守府には数隻の最古参といわれる艦娘がいます。
横須賀鎮守府という化け物みたいな強さを持つ艦娘がいるところからもスカウトされるほどですが彼女たちはそれを断っています。
理由はおいおい……。