それぞれの件数を見て思わずリアルで叫んでしまいました。
怒られました。ごめんなさい。
拙い文章ではありますが今後ともよろしくお願いします。
では、少し早い気もしますが新章をスタートしたいと思います。
ある王の手紙
姉様へ
届かないと思うのでしまっておきますが、もし姉様が帰ってきたとき不備がないよう近況報告の手紙を書くことにしました。
僕が王になってからしばらく経ちますが、いまだに僕含め皆時折姉様の名前を口にしては口を噤んでいます。王位が移ったのは承知の上ですが姉様がいないという事実がまだ飲み込み切れていません。どうしたものでしょう。
まあ、王務に支障はないのでしばらく放置したいと思います。
ギルガメッシュ
姉様へ
姉様・・・後始末ぐらいちゃんとして行ってください。
今日たまたま王の寝室の衝立を移動させたら仕掛け階段が出てきました。
閉まらないようにつっかえの棒をねじ込んで下に行ったら地下室があったんですが。
すごく怪しげな工房みたいだったんですけど、いったい何してたんですか。姉様。
まだ数種類薬品があったようなのでいただ・・・没収します。
自分で試すのも怖いので気になる薬品を丁度よさげな牛がいたので飲ませてみました。
・・・雄叫びみたいな鳴き声と共に牛が狂暴化したんですが。
いえ、ここまでは予想の範疇内です。
けど、滅茶苦茶な細胞増殖による身体強化とか。貴方どれだけ筋肉に憧れてたんですか。
牛は牛で肥大し過ぎた胴体を支えられなくてただの肉塊と化しちゃうし・・・。
その死体を啄みにきた鳥は食べた瞬間同じ様な肉塊になって飛べなくなっちゃうし・・・。ほんとに何してたんですか姉様。
ギルガメッシュ
姉様へ
最近時間がないので食事の片手間に書いています。
食べかすとかついていたらごめんなさい。
こんな行儀の悪いことをしているときっと姉様がいたら食事中なんだから食べることに集中なさいとか言って引っ叩かれそうですね。あの頃が懐かしいです。
姉様が作ってくれたニホンショクが恋しいです。
姉様は似せただけの別物だと言っていましたが本物はもっとおいしいのでしょうか・・・。
できればこの王務から抜け出して食べてみたいものです。
・・・王務が終わりません。いえ、終わるんですが空き時間がありません。
切実に一人の時間が欲しいです。
朝も昼も夕方も食事以外は王務に追われ、夜は夜で知らない女の人が僕の部屋にやってきます。一夜として同じ顔の人に会ったことがありません。なんでも今夜のお相手?なんだとか。
疲れているしめんどくさいので適当にお話しして朝になったころに帰ってもらっています。
僕、お悩み相談所じゃないんですけど。
今日も寝不足です。王様にも休みがあればいいのに。
ギルガメッシュ
姉様へ
王務の量が落ち着いてきました。
成長痛で全身がギシギシです。痛い。
それでも今日はイシュタル神の祭事の日なので現場含めみなめまぐるしく働いています。
ともかく量が多いので足りるかどうか不安なものが多々・・・。
三日ぐらい連続で寝所にやってくる女の人。ぐいぐい来るので苦手です。
なんでも彼女、割と高い地位の貴族の御令嬢なんだとか。
どうりで三日も連続で来れる訳ですね。納得。
今日は僕の寝台に無断で入り込んで待ってました。正直やめてほしいです。
香水の臭いが染みついて眠れなくなりました。おえ。
姉様みたいな匂いが当たり前だと思っていたのですが認識を改める必要がありそうです。
もう眠れないので前立ち寄った地下室に行くことにしました。
姉様の匂いがするので落ち着きます。・・・時々それとはまったく別の変な臭いもしますが。取り敢えず僕は元気・・・かどうかはわかりかねますが生きてます。
ギルガメッシュ
姉様へ
イシュタル神が最近頻繁に僕のもとにやってきます。
要件を聞いてもべっつにーと言って結局お茶して帰っていきます。僕何かしたんでしょうか。一応、イシュタル神の神殿への供物の量を増やすことにします。
どうか何もありませんように。姉様の所に行ったほうが、いいと思いますよー。
場所わからないですけど。
ギルガメッシュ
姉様へ
最近周囲とのズレが顕著になってきました。
女の人をお話ししてはそのままさよならする僕にある臣下からなぜ王はお子をお作りにならないのかと言われました。ああ、あれはそのための人達だったのかと思いつつ必要ないからと返すと何事も先をみて~云々説教的な何かが始まりました。
僕千里眼あるんで先読みについては困らないんですが。
その補足をするように別の方からも声が。
王がいかに優れているかわたしたちは知っているが、それ故に頼り切っているのもまた事実。王は戦場に置かれましてもわたしたちの導になっていただいています。が、それ故に怖いのです。もしあなたを遠からず失ってしまったとき我々がどうなってしまうのかが。故、目に見える形の安心が欲しいのです。と。
人間って自分の事で手一杯なんですね。姉上。
〈ここから先は何故かインクで塗りつぶされている〉
◇ ◆ ◇
「ふん、何が安心か。正直に我の保険が欲しいと言えばいいものを。」
いまだ幼い貌には不釣り合いな凶悪な笑みがそこには在った。
足元には今しがたまで執拗に言い寄ってきた女の肢体が転がっている。
その体を中心として白の掛布と衣服が真っ赤に染まっていく。
瞼の動きも呼吸も先程止まったばかり。
死にたての、死体である。
凶器の類は見受けられない。
それを見て再度嗤った少年は唐突に目を瞑って一拍おくと再び目を開いた。
そこにはもう先程のような悍ましさはない。
「あれ?なんだか一瞬意識が飛んだような・・・?」
そして、足元の死体に気が付く。
「あややー。随分派手だなあ。いったい誰の仕業なんだか。」
取り敢えず人を呼んで片さないと。と少年は使用人に声を掛けようと回廊に出た。
ここで何があったのか、死体は自殺したのか殺されたのかは。
死体と、もう一人の人物しか知りえないことである。
今回は一方的な手紙形式をとらせてもらいました。
ちなみに主人公の事を子ギル君は姉様ですが青年体の方は姉上と呼んでいます。
一応これはプロローグだと思ってください。