そして、新たにお気に入りに登録していただいた方、また、お気に入りに登録し続けてくれている方。ありがとうございます。
タイトルの件と神代からzeroにかけての(FGOもですが)文章と感想対応などを読み返してみて余りの自分の酷さに何度か筆をおこうかと考えていたのですがこうして読みに来てくれてくださる方がいるという事もあってこのまま続けていこうと思っています。
本当に皆様には感謝してもしたりないくらいです。
色々とお目汚しすることとは思いますが今後とも当作品をよろしくお願いします。
また、以前書くと言っていたSN編とともにできればこの作品のリメイクにもチャレンジしてみたいと思っているのでその時が来たらご一読していただければ幸いです。
長くなってしまいましたが本当にありがとうございます。
では失礼しました。
古い縁、始動
僕と彼が出遭ったのは何の因果か結婚式場の前だった。
「お前が――の言っていた――か?」
ああ、そうだ。彼が答えた。
「我が―――――だ。―――をもらい受けに来た。」
言って同時に地を蹴った。
おそらく、言葉はただの飾りで、なんの意味もなかったのだと思う。
ただ、そう。形だけの確認作業として行ったのだ。
向こうも、そして僕も。
こうなるという事は何年も前からまるで決められていたかのようにわかっていたのだから。
宿敵。
或いは友。或いは兄弟。或いは隣人。
表現は探せばいくらでもあるであろう同胞。
たぶんこの出会いはきっとこれから先何があっても忘れることなんてできないのだろう。
元来忘却というものを備えていないこの身体をもってしても、そう思ってしまいたいと思うほどの感激を今でも僕は覚えている。
◇ ◆ ◇
「や、やめろっ離さんかっわたしを誰だと思っておるっ」
城・・・否、既に監獄と言って差し支えのない様相に変化した建物の回廊からズルズルと軽快に何かを引きずる音と、恐らくその引きずられているであろう人物の悲鳴じみた罵声が流れてくる。
「おいっ!!聞いているのか!!」
「・・・。」
引きずられている男・・・ピエール・コーション司教の怒鳴り声を、そして何よりその清貧であるはずの聖職者としてはあるまじき肥満体をものともせず引きずっていた人物は、ある扉の前にたどり着くとその
「ぎゃっ!!」
「そら、連れてきてやったぞ」
何処か無機質さを孕んだ声を聞いた司教は今度こそ溜まりに溜まった鬱憤を晴らさんとばかりに前のめりに倒れた自身を起こし、自身を投げ捨てた男の方に向けて怒鳴りつけた。
「きっさまっわたしをピエール・コーションと知っての行いか!?ええ!?野蛮人がっ!!今すぐ査問に掛けるまでもなくお前なぞ!!・・・ひっ!?」
このときはじめて運んできた男を直視した司教は思わず小さく悲鳴を上げた。
まず目についたのは男の顔立ちだった。恐らく中東の出身であろう浅黒い肌に、肩と言わず腰まで伸びた艶やかな黒髪、黄金の眼、そしてそれらに彩られた精悍な顔。年の頃は20前後であろうかと予想される美丈夫だ。
次に服装、何故かここらでは滅多に見る機会のない極東の着流しとかいう装束に女物の雪駄を履き、肝心の脚は包帯に隙無く包まれている。
そして、男が片手に持っている司教が悲鳴を上げる原因になったもの・・・今も尚鮮血をボタボタとだらしなく垂らしている人間の
「連れてくる手間を省いていただきありがとうございます。・・・ただ、もう少し欲を言うのならもっと穏便に連れてきてくだされば尚良かったのですがねえ・・・」
司教の横から聞こえてきた声が溜息を吐くと、始めて自分の持っていたものに気が付いたといった風に青年がきょとんと自分の手を見た。
「ん?ああ、これか。すまん。その、うっかり投げるときに放すのを忘れてしまったらしい。」
くっつけるから許せ。と司教に近づくが訳の分からない司教にとって青年は常軌を逸した恐怖以外の何者でもなく、その場を後ずさろうとして首根っこを掴まれた。
「ああ、動くなよ。間違える」と言って今度は司教の片手を掴む。
そこでようやく自身の腕を見た司教は言葉を失った。
司教の片腕は肘から先が無く、傷口はまるで毟られたかのようにズタズタに裂けている。
青年の「ああ、間違えて逆手につけてしまったが、まあいいか。」という声を最後に意識を失おうとしたが、それは即座に却下された。
「ああ、ピエール!ピエール・コーション司教!お会いしとうございました!貴方の顔を忘れた日は、このジャンヌ・ダルク一日とてございません。」
黒い―――竜の魔女の登場によって。
◇ ◆ ◇
「・・・き・・・・。」
熱くて、辛くて、でも幸せで。
楽しかった。
「・・・きろ・・・ば・め・。」
たぶんこの夢の中の誰かもそう思っていたことだろう。
ああ、なのにどうして・・・。
「っ起きろっ!!馬鹿メア!!」
「!?」
思わずベッドから転げ落ちると誰かが僕の目の前に立ちはだかった。
見慣れた全体的に青を基調としているサーヴァントに愛想笑いのように苦笑いを向ける。
「お、おはよー!アンデルセン!!」
「なにがおはようだ!!寝坊もいいところだぞ阿呆め。早く着替えて管制室に来い。」
ではなと言ってそのまま部屋を出て行ってしまう。
やらかしてしまった・・・と沈みつつ手を動かしていると簡素な備え付けのテーブルが目に留まった。
始めてみたが包み紙にはchocolateの文字が印刷されている。
おお、これがうわさに聞くチョコとかいう嗜好品か!
そんな興奮した気持ちで裏の継ぎ目をほどこうとすると裏には手書きで『私を食べて』と書かれていた。
ありがとうアンデルセン・・・でもどうしてルイス・キャロル?
取り敢えずポケットにしまっておくことにした。
「おっくれましたー!!」
管制室に着くとそこにはドクターをはじめとしたカルデア職員の人達とダ・ヴィンチちゃん。立花さんとマシュさんがいた。
「?所長は?」
「私ならここよ」
みんなに挨拶をして所長を探そうと辺りを見渡していると、上の方から所長がゆっくりとした速度で降下してきた。
「・・・とうとう人間離れしてきましたね・・・。」
「失礼ね。体の使い方が上手くなったと言ってちょうだい。」
「おい、無駄口はその辺で閉じろ。ブリーフィングを始めるぞ。」
アンデルセンの掛け声を皮切りにドクターが説明を始める。
ひとしきり説明が終わった後でドクターがこちらを向いた。
「で、メア、アンデルセン。君たちは立花君たちとは別編成の部隊として活動してもらう・・・ですよね。所長。」
「・・・ええ。では、ここからは私が説明します。
まず、この別動部隊は基本戦闘は避け、さっきロマニが言っていた物資の供給、調達を最優先事項として行う補助が主な役割だと思ってくれていいわ。その他は現地民やその土地の様子からより詳しく特異点の状況を知るための諜報活動を行います。ポータルも立花たち主力部隊とは離れた場所に設営、この召喚サークル設置にはメア。貴方のその武器を使います。アンデルセンの本でもよかったんだけど・・・何故かそちらに秘められた神秘の方が年代が古いのよね・・・。」
所長が僕の背に背負われている刀を見遣る。
結局僕が意識を失っても、帰還しても無くなることのなかったこの刀はそのまま僕のメインウェポンになることになった。自分の身長よりも少し大きいため振り回されてる感がどことなくあるのだがそれはご愛嬌という事でこの際目をつぶってもらおうと思う。
『アンサモンプログラム スタート 霊子変換を開始 します。』
「あ、そうそう。メア。これつけて。絶対なくさないでね。」
言ってドクターが慌てた様子でイヤリングを渡してくる。
「?はい。」
『レイシフト開始まで 3、2、1・・・ 全行程 完了。
グランドオーダー 実証を 開始 します。』
―――――第一特異点 邪竜百年戦争オルレアン―――――
――――開幕――――