そんな超進化を遂げた我が家の主人公。
力はキャスターっぽいのに筋力とか敏捷がセイバーとかランサーレベルというクラス詐欺サーヴァントになりそう。
〇月◎日
女神イシュタルと遭遇した。
ウルク上空を天舟マアンナに乗ってうろついていたのを敵襲かなにかかと勘違いした
普通ならこの時点で神罰ものなのだろうが墜落時に強く頭を打ったらしい女神様は直前の記憶をなくしていた。ラッキーである。
何が目的なのか聞いたところ最近評判のウルクの王がどんな奴か見に来たのだそうだ。
おい、評判ってなんだ評判って。
〇月✖日
イシュタルに撃ち落としたのが
おいだれだチクったやつ。
おかげでイシュタルがエビフ山騒動もどきをかまそうとウルクに侵攻しようとしてくる始末。後始末がめんどくさい。せめて決闘とかの方が被害が抑えられていいんだけど。
結局天舟マアンナと天舟(試作)との打ち合いになった。ウルク上空でだが結界を張り巡らせたおかげでウルク自体にダメージはない。
散々打ち合った後、お互いに何やってたのかわからなくなって和解した。
天舟の実物も見れたし、試作のデモンストレーションにもなった。ほんといい経験になった。
△月◎日
あれからすっかりイシュタルと茶飲み仲間になってしまった。
最近ギルをよく目で追っていたので興味があるのかと聞いてみた。
あれは御せなさそうだしいらない。ときっぱりいわれた。
それにと続けようとしてちらりとこちらに目線をやるとなんでもなーいといってお茶をすする。おい、いったい
□月△日
最近夢見が悪い。いや、別に悪夢とかではないのだがなんだかもう戻ってこれなさそうな感じがするというか。こうして日常生活が送れているのが無事だというこの上ない証明なのだが。以前観た夢に対しての対策は一応お守りを作るなどしているものの効果が出ているかは不明なままだ。ギルが添い寝をやめて自室で一人で寝るようになったため余ってしまったスペースを見て少し心細くなってしまった。人の温もりが恋しい。
✖月△日
イシュタルがお出かけに誘ってきた。正直ろくなことにならなさそうだがアヌ神からも娘をよろしくとこの間言われたばかりなので支度をして出かけた。
・・・ら、なんか険しい崖みたいなところでドラゴンっぽいのとご対面からのバトルになった。肝心のイシュタルはやる気満々だし。貴様の狙いはこれか。
なんでもイシュタルはその瞳が欲しいらしいが力の加減がうまくできないため勢い余って消し飛ばしてしまう可能性大。さてどうしようかとなったときに自分と戦える
めんどくさかったのでブレスを躱しつつ首を切り落とした。終了。
取り分はイシュタルが両目、その他はすべて
こんなにもらっていいのかと思ったのだがイシュタルが欲しいのは瞳だけだから後は好きにしていいとの言葉をもらったため有難く素材の足しにすることにした。
得した。
帰って早速クインケ造りに取り掛かる。せっかくの竜種の素材なのでその炉心としての性能を生かしたものにしたい。
結果、ロッテンホロウもどきができた。あのままのチェーンソウ型だと隙もできるし重くなるだろうから可能な限り小型化した。
✖月□日
自主練をギルに見られた。質問攻めにあった。主に武器の出所関連。
あんまりにも勢いがありすぎて恐怖した
それなら一石二鳥ですねとか言ってから退散していった。
まるで嵐のようだ。こわい。
キシュの軍勢が国境を侵攻してきた。折角のお茶の時間を邪魔されたのでイラついてつい天舟から射撃というか光の矢をブッパしてしまった。
一発で軍勢を無に帰した。よし、・・・国境も更地になってしまったが。
ま、まあ、こちらの犠牲者はいないわけだし大丈夫。
・・・
◎月〇日
あれ以降ギルが度々勝負を仕掛けてくる。
こころなし目が生き生きとしているのを見てあれ?これ
身体ズタズタなんていうのはしょっちゅうなのだがそれでもギルは諦めずに向かってくる。スゲーなその根性。お手製の霊薬もあるから怪我はすぐに直せるのだが。奴には恐怖とかあるのだろうか。
キシュの王がなめた手紙をよこしてくれた。
曰くいつまでも繋ぎの小娘に頼ってるとか俺のとこの属国の自覚あるの?このままだとそっち荒らしに行くよ?まあ、隷属の証としてその小娘献上するなら辞めてもいいけど?(意訳)みたいな。
届けに来た使者も使者でこっちを品定めするような目で見てニヤニヤ。
即座に魔術で気絶させて焼き鏝持ってこさせた
くっつけたとき有機物の焼ける臭いと共に悲鳴が上がったがもう一回気絶させる。それを紐で縛って天舟に乗り込みキシュ上空へと移動。生成した矢に外殻を形づくるとそこに先程縛った使者を括りつける。そして思い切り引いた。放たれた矢は王城前に落ちる。
任務完了を見届けた後そそくさと帰った。
人目につかないようにと森で時間を潰し夜闇に紛れて室内に降り立つと丁度ギルガメッシュの部屋だったらしい。何度か撫でて部屋を立ち去る。
癒された、今日はいい夢見れそう。
☆月□日
伝言が効いたのかどうかはわからないがあれからキシュは沈黙を続けている。
このまま何事もないことを願う。切実に。
相変わらずギルガメッシュと
けっこういい感じに強くなっていっている。
この調子ならいつか本当に
楽しみだ。ああ、楽しみ。早く強くなっておくれ。
子は親を裏切るもの。
上は下を守るもの。
なら、
関係性がなんにしろ。
できることなら神などではなくかの人に してもらいたいものだ。
★月〇日
とうとうこの日が来た。ギルガメッシュに王位を継承し、
結局勝負に関しては
式が終わってからすぐに自室に向かった。なんせ今日中に迎えが来てしまうため時間がない。既に部屋の中は任に着いた当初の姿に戻っておりシステムキッチンなどの未来からの逆輸入じみたものは一切排されている。よし、あとはこれだけだ。
グッバイウルク。いい王になれよギル。
楽しかったよ。
簡素な箱に納まったそれとウルレシュテム・・・正確にはその髪を見てギルガメッシュは固まっていた。
「ね、姉様。これは・・・というよりその髪は」
「ん?ああ、これですか?」
造るのに少々と言って軽く自身の髪を梳くウルレシュテム。
彼女の髪は長さこそ変わっていないものの髪の色が元の黄金ではなく白銀へと変化していたのだ。一本も金は見当たらない。
ギルガメッシュが2歩、3歩とふらふらとウルレシュテムに近づく。
「姉様。」
「はい。」
「これ・・・は?」
ウルレシュテムがそんな呆然としている弟に向かって手招きをする。
そのままの足取りで近づいて来る弟が手の届く距離まで来ると優しく抱きしめた。
「ギル、ギルガメッシュ。
優しく、だがしっかりと抱擁する。
「きっとこれから貴方は王として様々な者と出会い、学び、関わることとなるでしょう。」
それは姉として諭すように。
「それはきっと良いものばかりじゃない。この世には良いこともあれば理不尽なことも山ほど存在している。特に貴方は他者より多くのものを持っているからこそ、その理不尽に突き当たってしまうこともある。」
母が子を案じるように。
「
改めて箱をぐっと手に押し付ける。
そのまま振り返ることもせずにウルレシュテムは部屋を出て行った。
神々の使者が待つ広場へと。
ギルガメッシュはその箱を開けた。
中には姉が大切に、何より誇らしそうに使っていた天の帯が入っていた。
唯一姉が所有していたものと違うのは帯の色が一片の隙も無く輝かんばかりの
帯を腕に巻いて走り出した。
せめて、この姿だけでも姉に見せようと。
ところどころにいる使用人に姉の行き先を訪ねながら走っていく。
やっとの思いで広場に着いた頃にはもう姉は迎えの者たちとともに姿を消していた。
悔しさやらいろんな感情が入り混じる中でポツリと言う。
「見ていてくださいね。姉様。」
立派な王になって見せますから。言って、餞別の帯をギュッと握った。
主人公はギル君にあげた天の帯(正確には二式)を作るにあたって時間がなかったため急ピッチで作った結果魔力を与えすぎて黄金に輝くとんでもねー代物を作ってしまいました。
そのため魔力の与えすぎで銀髪になってしまいます。
本人はこれで有馬さんにまた一歩・・・よっしゃー。
ですが傍から見たギル君は僕のために姉様が・・・姉様の髪が・・・という感情の落差。
ことごとくすれ違っています。でも最後のあれ、あれはきっと本心のはずです。