というか前回もあの長さで今回もとか・・・ほんと申し訳ない。
なんだか・・・もう・・・どこで話として区切ったらいいモノやら。
もしかしたらこれに加筆するかもしれないし、次回が出るかもしれない。
すまない、すまない。
6月19日、加筆しました。・・・してしまいました・・・。
一瞬の沈黙の後。
「・・・さっきの、
あまりにも混乱し過ぎでいたがゆえに大声で戦車上での会話が他の面々に伝わっている。
もちろん、当人たちの元にも。
瞬間ビシリと固まったギルガメッシュの許に笑顔ではあるものの全く目の笑っていないウルレシュテムが移動する。
赤い主従はまるで瞬間移動でもするかのように自分たちの間をすり抜けていった彼女とさっきまでいたであろう位置を交互に見比べ、戸惑いつつも警戒対象にウルレシュテムを付け加えた。
「ねえ。ギル。」
すっと固まって、更に震えが加わり出したギルガメッシュの両頬を優しく姉の冷たく白い手が包み込んだ。
「うふふ。
まるで不倫を問いただす妻と不倫がばれた夫の様な構図になってしまった二人を、部外者である他の陣営は生唾を飲んで片時も目を離すまいと見守っている。
ここに、紀元前約三千年、おおよそ五千年越しの修羅場が開幕した。
◇ ◆ ◇
「ぶふっ。何アレ超ウケるんですけどーーーっ。」
「もールルうるさい。折角隠れてるのにばれたらどうするの。」
最早キャラも何もないハンドラーの使い魔にして現在の件の中心人物であるウル・ルガル。
そんな彼の隣でこんな夜中に何処から調達してきたのか、激辛麻婆ラーメンを啜るハンドラー、岸波白野。
二人は海岸近くにある住居の屋根に腰かけつつ、防音、姿隠しなどの効果のある宝具のマントを羽織って修羅場を観戦していた。
「ふっふふ。いや、すみません。だって・・・ぶふぉっ。ナイス右ストレート・・・ちっ惜しい。すんでで魔力の障壁でガードしたか・・・しぶとい。」
片手にワイン、片手に果実。ここに居座る気満々といった状態に白野はふうっとため息をついた。
「・・・出て行ってあげないの?」
そうすればもっと早く解決しそうなことなのにと心の中で思いつつジト目で自らの使い魔の男を見遣ると、本人はこてっと首を傾げた。
「おや?何故ですか。」
「何故って・・・会って安心させるとか・・・誤解?・・・を解く?とか?ともかうむっ!?」
はっと鼻を鳴らして不遜気な態度に戻った後、自身が食べていたであろう果実を白野の唇に押し付けつつウル・ルガルは口を開いた。
「出ていきはしますよ。ただ、誤解も何もないということは君が一番知っているでしょう?マスター?隠されたのも止められたのも、あの人にされてきたのは事実だ。まあ、今回の事は当然の報いと取るべきでしょう。」
それとも今更仲良く家族ごっこでもしろと?とあの、裏側のときより久しく見ていなかった冷たい眼光が、
「待て待て待てえいっ。何でそう早まるの!?そうじゃなくて、そうじゃなくってっ。」
必死で止める白野を怪訝そうに見て今度はなんですか?と少しめんどくさそうに言うルルに白野はポツリと呟くように返答した。
「いや・・・よく考えたらお家事情含めルルの個人情報が曲解してあそこの面子に伝わりかけてるから早く乱入したほうがいいんじゃないかなって・・・。」
微妙な沈黙が流れる。
「な」
先に口を開いたのはルルだった。
しゅんっと瞬時に先程まで出していたワインやら果実やらを蔵にしまい、白野の腰を掴む。
「何故それを早くいわんのだっ」
そのまま白野を抱えて屋根を足場に跳躍した。
「ルルが言わせてくれなかったんじゃないかああああああっ」
白野の叫びが夜中の冬木に響き渡った。
◇ ◆ ◇
ガスっという鈍い音がギルガメッシュの頬、そこから数cm上に張り巡らせた魔力の膜にあたる。正確には、同じように魔力で強化されたウルレシュテムの拳が、だが。
「待て待て待て、まず話を聞け、姉上。」
必死に言い募るも連続する打撃が止むことは無い。
「話?そんなに素直に話すのならここに来る前の段階で話しているでしょう?話さないということは少なくとも
言われたことが図星だったのか一瞬ギルガメッシュの動作が鈍り、拳を避けきれずこめかみあたりを掠った。掠ったとみられる個所は出血しており、頭部ということもあってか派手に血が噴き出している。
「っつ」
「ほら御覧なさい。やはり丁寧に丁重に・・・削っていくしかないですね?」
さあ、っと再びウルレシュテムが拳を構え直したとき。一陣の風が吹く。
それは特別強いというわけではなかったがその場にいた面々がピタリと静止した。
瞬間、爆音が、地響きと共に広がる。
パラパラと舞う地面の欠片に砂埃、それは煙幕の様に自身たちの中心、正確にはギルガメッシュ目掛けて空から降ってきた。
「随分楽しそうなことをしているじゃないですか。」
いまだ舞う煙幕の中からおそらくまだ若いであろう男声が響く。
ブオッという風切り音と共にまず最初に見えたのは金色の紐。
どうやらその紐で煙幕を無理矢理払ったらしい。
「さあ、
次に見えたのはその肉体に刻まれた赤の幾何学模様。
「会いたかったですよ。」
腰まで伸びた、括られた金髪に、血の様な赤の眼。
母によく似たその面貌。
その声は台詞とは裏腹に、憎悪に満ちて/無機物の様な冷たさを伴って。
「お久しぶり・・・いえ、初めましてですかね?」
「おと~さん?」
わざとらしい言葉遣いに、わざとらしい声音で父を呼ぶ。
不遜気な、されど一片の隙も無い微笑みを携えて、青年。
ウル・ルガルはその場に降臨した。
ちなみにここで四兄弟の簡易説明。
長男・・・いろんな負債を押し付けられた苦労人(無自覚)。父親がすべきだった行動(叙事詩)をしたこの世界でのギルガメッシュと言っても過言でない存在。外見は母親にかなり似ているがフェチズムは心の折れる音、何かの壊れる音またはその様。と中身はfate原作のギルガメッシュに近い。
次男・・・外見は父親。中身は幼年期の父親。と言った人物。賢君。これと言って目立った活躍は無いが人間たちの黎明期を支えた偉大な王であることに変わりはない。一番王の財宝を使うことに長けている。
長女・・・外見中身共に父親似。ぶっちゃけにょギル様である。訳あって自身の教師をしてくれていた幼少期の長男が大好きで大好きで大好きでいろいろやばい人。
次女・・・両親をうまい具合に合わせてマイルドにした外見。中身は他の兄弟より人間寄りではあるものの、決して人間には理解されないという感性の・・・要は騎士王みたいな・・・聖女みたいな・・・。長男の叙事詩の際には朋友の位置を担ったが、その末にある破滅に絶望し現在はマジで騎士王二号と化している。苦労人その2。
と言った具合になっている。
閲覧ありがとうございました。