修正させていただきました。
それと新たに地雷注意タグと原作崩壊タグを着けました。
少し更新が遅くなるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。
「ルル、ルルっ次あっち行ってみよう!」
キャラキャラと幼子の様にはしゃぎながら商店街を歩く白野。
「はいはい。初めての外にはしゃぐのは結構ですが、前見ないと危ないですよ。白野。」
そんな白野をやれやれとこころなし微笑ましげに見るルル。
・・・そして、そんなルルに襟ぐりを掴まれて引きずられているこの世界における正当な聖杯戦争のアーチャー、英雄王ギルガメッシュ。現在は意識はないものの一応現代風の服装に着替えさせられ、欠損した片腕は義手が取り付けられている。
洋服店、雑貨店、洋菓子店と回ったところで白野がある店の前で立ち止まった。
「どうしました?」
急に立ち止まって動かない白野にルルが声を掛ける・・・と振り向いた白野は目を輝かせて答えた。
「なんかここ、運命の出会いがある気がする。うまく言えないんだけど・・・。」
一端話を区切ってから店の名前を再度確認し、もう一度ルルの方を振り返って満面の笑みで彼女は言った。
「紅州宴歳館 泰山。だって!」
こうして、一人の少女と青年は
◇ ◆ ◇
店内は割と混雑しているようで空いているテーブルは一つもない。
どうやら相席するしかなさそうだ。と、ルルは店内を見渡す。
丁度いい塩梅に空いているテーブルが一つだけあった、四人掛けのテーブルに一人。
カソックと呼ばれるであろう礼装を着た、あの裏側の購買員を若干若返らせたような神父が掛けている。
「相席よろしいですか。」
にこりと
物思いにふけっていたらしい神父然とした男ははっとした後席を立った。
「ええ、構いませんよ。私はもう食べ終わって帰るところでしたから。」
それでは、と言って立ち去ろうとする男の肩にルルが手を置く。見た目はぽんとおかれた程度だが、その見た目に反して効果音はガシリとかつきそうな手の置き方だ。
「僕たちここには観光で来たばかりでして・・・おすすめとか、教えていただけませんか?神父さん?」
ついでにこの方のことも、といまだ目覚めぬ英雄王を前に突き出す。神父の纏う雰囲気が一瞬殺気立つ。
「・・・ええ、いいでしょう。」
一同が着席した。
神父は店員に何事か注文をし、向き直った。
「失礼。それで、何故貴方はそこの男を・・・そもそも何者なんだ。」
警戒の色を隠すことなく神父はルルに問う。
ルルはそれを特に気に留めることもなく、微笑でもって返した。
「まあ、そう焦らなくてもいいじゃないですか。折角君がおすすめを人数分注文したのに、待ちきれなくなる。」
微笑の瞳の奥にはその表情には似つかわしくない獰猛な色が覗いている。
獰猛な、と言っても猛禽を思わせる意思ある暴力と言うわけではなく。どちらかと言えば断頭台にセットされたギロチンの刃。無機質な凶器を思わせるものだ。
ですが、こうして引き留めておいて自己紹介の一つもないのはさすがに無礼でしょう。とルルは笑みを深める。
「僕はそこの人の付き人・・・のようなことをしています。ルルと申します。ついでに、こちらは主人の岸波白野。」
よろしく。と言われて神父・・・言峰綺礼は戸惑う。
聖杯戦争の期間中にこの町に来て。且つ、魔力を纏う疑似主従関係者など参加者に他ならない。まさか、こんな白昼堂々公言されるとは思っていなかったのだろう。
綺礼は頭の中でイレギュラークラスか?と作戦を思考し始める。最も、その作戦を立てたところで、得をするような人物は既にいないも同然なのだが。
思考の後ふう、と息を吐いて綺礼は目線を目の前の男に戻した。
「それで、貴方たちはどの様な用件で私に声を掛けた。」
「いいえ。別になにも?」
即答だった。
「は?」
丁寧な言葉すら忘れて綺礼は唖然とする。
ならば何故此処に来たのか。
「偶然僕らが此処に食事に来て、偶然君のところしか空いていなかった。ただ、それだけです。」
さっきまでの表情を引っ込めて、感情のみえない目でルルは言う。その真意はわからない。
暫しの沈黙の後、顔の前で手を組んで肘を突きながら再度ルルが口を開いた。
「遠坂時臣。」
その名前にピクリと綺礼が反応する。
「彼が今どんな状態か、ご存じで?」
「っ貴様っ。」
何故今その様な質問をするのか。
簡単だ。目の前の男、ルルがおそらく時臣の現状、ひいては事の真相をよく知る者、はたまたは実行犯なのかもしれないのだから。
今朝からアサシンを付けていたにも関わらず行方を眩まし、連絡の取れなくなった師を思い浮かべーーー浮かべて、綺礼は忍ばせてした黒鍵の柄に手を掛けた。
綺礼が臨戦体勢に入ろうとするのを腕で軽く制したルルはふふふと笑った。
「怒りました?悔やみました?どちらでもいいですが。君、今笑ってますよ。」
言われた一言に綺礼はぎょっとする。
その表情の移り変わりを見てルルはおや、もう少しだったのに、残念。と言って少女に叩かれた。
「っ?」
「はいっそこまで。余計な茶々入れしないっ。」
気にしないで下さいと言って少女、白野は再び着席した。いつの間にか起きたらしいギルガメッシュは綺礼をニヤニヤと笑いながら見ている。先程の男の笑みとは異なるものの、何故か言わんとしていることは同じなのだと綺礼には感じられた。
「なんだ?
して?答は出たか?綺礼と半神半人の王が問う。
対する綺礼は顔を俯け、答えない。
其処へ丁度店員が注文の品を運んできた。
コトリコトリと置かれたのは人数分の赤黒い麻婆豆腐だ。
グツグツボコボコと鍋を離れて尚煮たっており、見ただけでヤバイなにかということが理解できる代物だ。
出てきた料理を見ておおーと白野は目を輝かせる。
ルルも心無し口角が上がっている。
只一人ギルガメッシュのみがなんだこれは・・・と口許をひきつらせた。
そんな個々それぞれの反応を見せる中、食事が・・・始まった。
◇ ◆ ◇
「ご馳走様でした。あー楽しかった。」
満足げな表情でルルが呟く。
横には同じ様に満足げな白野。
前方には同じく満足げな綺礼。隣を見て口許を楽しそうにひくつかせている。
斜め前には・・・テーブルに半身を投地したギルガメッシュ。口からは真っ赤な血・・・ならぬ麻婆が一筋、垂れている。
「君も楽しかったですか?」
そんなルルの問いに間髪入れずに、綺礼は興奮気味にこたえた。
「ああっ特にお前がそこの男を煽って麻婆を食わせたところにラー油入りの水で追い打ちを掛ける様など・・・いや、すまない。」
途中までの意気揚々とした喋りは鳴りを潜め項垂れる綺礼にルルは微笑み掛ける。
「気休め程度かもしれませんが一応言っておきますね。」
お代わりを完食しようとしている白野を自身の膝に乗せつつルルが話を続ける。
「神の在り方はその時代時代で違いますが、例え人間を愛している神がいたとしてもそれは
ともかく、善であれ悪であれそれくらい目立たなければ奴らの目に留まりもしませんよ。」
君がいくら自身の生き方に思い悩もうが奴らにとって些末なことです。と、聖人の様な微笑みで呟いた。
「そ、れは・・・。」
言い淀む綺礼をそのままに席を立つと白野と共に背を向けた。
「間桐邸にこれを持っていきなさい。まず殺されることはないでしょうし。もしかしたら、君のお探しのものも見つかるかもしれませんよ?」
そう言ってシャラリとテーブルの上になにか、ネックレスの様な貴金属を置き、今度こそ立ち去った。
「よかったの?言っちゃって。」
白野が隣を歩くルルに尋ねる。
月の表側の戦いが情報収集からの決闘様式だっただけに誰かに情報を与えることに慎重になる。
それ故に今回のルルの行動に白野は疑問を抱いたのだ。
「ええ、これで
令呪の様な赤い痣が所々から覗く白野に見た目からして普通の人間を装っているように見えるルル。
見たものはおそらく、白野がマスターだと考えるだろう。
「真似事とは言え存外、まともに機能するものですね。」
戦争参加者は勿論。教会も思いもしないだろう。
まさかクラスを改竄することができる、なんて。
ルルはそばによってきた黒猫を撫でた。
月主従、麻婆と邂逅す。
白野は元ルーラー(偽)と言うわけで令呪を複数所持しています。しかし、あくまでも(偽)のため聖骸布作成などは選べませんでした。
閲覧ありがとうございます。