失敗作だけど白い特等みたいになれたらいいなー   作:九十九夜

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誤字報告ありがとうございました。
早速修正させていただきました。

今回はちゃんと倉庫街回。・・・たぶん。

主人公の世界のギルガメッシュはfate原作のギルと違ってまず剣。投擲はない。まず剣。
姉ちゃんとの血みどろの特訓経験もあるから多少ステータスにも変化が・・・あったりなかったり。


再会(偽)とかアリですか?なしで。

ーーーAaaaaaaaaaa『避けるな。疾く消え失せろ。』

 

言ってウルレシュテムは手に持った剣・・・ナルカミから無数の斬撃を英雄王に対して放つ。その剣閃を英雄王は回避しようとするが動きが追い付かず、致命傷こそ避けているものの無数の赤い線となって体に刻まれてゆく。

 

「ぐっ。おのれっ。狂犬如きがっ。」

 

忌々し気にウルレシュテムを見る英雄王ではあるがそこまでの余裕は今の彼にはない。

いや、慢心さえ捨てていればあるいはもう少し楽だったのかもしれないがそれは彼のプライドが許さない。

 

無数の黄金の砲門がウルレシュテムの背後に浮かび・・・宝具級の攻撃を射出する。

その数は優に二十を超えている。

対面する英雄王もにやりと口元を歪めた。

 

しかし、そんなものは次の瞬間消え去った。

 

射出された武器が突き刺さり爆風じみた風と砂埃が辺りを覆う。

 

アイリスフィールは思わず口を覆い、ウェイバーは高所にいるため被害は無いものの反射的に顔面を腕でガードする。

 

「!!っ」「ほう」「なっ」

 

サーヴァントは英雄王を除き三者三様ではあるものの僅かに驚きが見て取れた。

 

「な、なんだ。いったい何が・・・」

 

慌てふためくウェイバーに静かな声でイスカンダルが告げる。

 

「なんだ、坊主見えてなかったのか。」

 

まあ、儂も信じられんがなと言う声に「はあ?僕にも分かるように言えよ。」と不機嫌気味に返した。その返答に対して、尚も目線をウルレシュテムに固定したままイスカンダルは返事を返す。

 

「あの雨合羽。あやつは一切あの場から動いとらん。」

 

「?だからどうしたってんだ。あの場から動かなくたってサーヴァント対サーヴァントなんだ。弾くぐらい・・・。」

 

ウェイバーが話途中だというのにイスカンダルは問答無用でデコピンをかます。

 

「いったっ。何す「阿呆。あのバーサーカーの周りにある武器を見てみろ。ついでに数もな。」

 

イスカンダルの言葉に従いウェイバーは周囲の惨状を観察する。

バーサーカーの周囲には先程英雄王が投擲した宝具級の武器が突き刺さっている(・・・・・・・・)。落ちているものは一つも見当たらない(・・・・・・・・)

 

「あっ。」

 

「わかったか。坊主。あのバーサーカーは正しくあの場を動いていない。もちろん防ぎもしとらん。信じられんが攻撃が勝手に奴を避けた(・・・・・・・・・・・)のだ。」

 

それが例え必中の軌道にあった一撃であってもな。イスカンダルの言っている内容と真剣さをにじませた声音にごくりとウェイバーは唾液を嚥下した。

周囲が異様な静寂に包まれる中。渦中の人物であるバーサーカー・・・ウルレシュテムが歌声を発する。

 

 

ーーーAaaaaaaaaa『今度は、(ボク)の番ですね。』

 

ナルカミを形態変化させて電撃を放つ。

 

その、心なし怒っているらしき彼女の手には千切れたリボンが握られていた。

 

 

  ◇ ◆ ◇

 

 

町中で買い物をしていたバーサーカー陣営はある店の前で立ち止まる。

 

「どうしたの?桜ちゃん。」

 

突然立ち止まった少女に雁夜は不思議に思い声をかける。

少女・・・間桐桜が立ち止まって見ていたのは手芸屋のウィンドウだった。

 

「これ・・・。」

 

桜が指さしたのは白いリボン。飾り気の無い簡素なものだが生地は上質なものの様だ。

 

「ママの色。」

 

キレイとぽつりと呟いた。ほんの少しだけ口元に笑顔が見える。

 

ーこれが間桐の家に来て初めて桜の笑った瞬間だった。

 

そんな桜の様子を見たウルレシュテムはありがとうと歌声でお礼を言って微笑む。

一方で雁夜は・・・。

 

「うっ・・・買ってあげる。がっであげるよざぐらじゃんっ。」

 

号泣再び。町中だというのに涙だけでなく鼻水やらも垂れ流しながら泣いていた。

本人はなんて健気ないい子なんだっと感動に打ち震えているのだが傍から見れば立派な変質者である。

 

リボンは三人とも桜の選んだ色を購入し、それぞれ思い思いの場所に巻き付けた。

 

 

 

・・・のだが・・・。

 

倉庫街のセイバーとランサーの戦いに釣られてやってきていたところにイスカンダルの挑発が入る。

出ていくかどうか悩んでいたところにやってきた人影にウルレシュテムは目を見開いた。

 

思わず二歩三歩とふらふらと歩いていく。

 

ーーーAaaaaaaaa『ギルガメッシュ。』

 

雨合羽のフードを目深に被っているため周囲に知られることは無かったがウルレシュテムは・・・泣いていた。

歩みは徐々に早くなり、次第に駆け足に変わっていく。

周囲の声などもう彼女に聞こえていない。

駆け足から弟の元へと跳躍する。・・・と同時に刃を構え振った。

 

ーーーAaaaaaaa『ああ、会いたかったっ。』

 

突如現れたバーサーカーらしき雨合羽を着込んだ人物の登場に周囲が騒然とする中黄金の王に直進する。

 

「誰の許しを得て(オレ)を見ている。狂犬めが。」

 

背筋の凍るような声が黄金の王から発せられるが、当の狂犬と言われたウルレシュテムは気づかない。

 

ーーーAaaaaaaa『さあ、今度こそ存分に、誰に邪魔されることなく殺し合おう。ギル。』

 

「せめて、散り様で(オレ)を興じさせてみよ。雑種。」

 

方向を変更した黄金の歪みがウルレシュテムの方を向く。と武器を射出した。

全くかみ合わない会話の末に射出されたそれは一直線にウルレシュテムの方へ向かっていくと彼女の頭部のすぐ横を通って後方へと突き刺さった。

 

此処で初めてウルレシュテムは気づく。

目の前にいる存在は自身の弟に似て非なる存在なのだと。

 

ーーーAaaaaaaaaa『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)(ボク)相手にそんな気休め・・・?もしかして、ギルじゃ・・・無い?ならなんで王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を・・・?」

 

そんな彼女の足元に落下する何か。それは白い紐であった。

・・・正確には先日手芸屋で買ったおそろいのリボンである。

足元に落ちた破れたそれにウルレシュテムの思考が一時停止する。

 

 

周りを無視しての幾許かの沈黙の後、ブチリと何かの切れる音がした。

 

 

ーーーAaaaaaaaa『貴様・・・(ボク)の弟の偽物(パチモン)の分際で・・・よくも桜の選んでくれた・・・おそろいのリボンをっ・・・』

 

片手に持った愛刀・・・ではなく、素手を平手打ちの要領で思い切り英雄王の立っている街灯にぶつける。結果、街灯は見事にへし折れ、英雄王は落下した。

 

「痴れ者がったかだか狂犬の「---Aaaaaaaa『消えろ』」っ」

 

かくして、物語は冒頭へと繋がる。

 




訳のわからない理不尽な暴力がギルガメッシュを襲うっ。

ちなみにこの倉庫街戦で着用している雨合羽はウルレシュテム特製の隠蔽能力付き雨合羽です。ただ、少しでも術式の核になっている留め具に傷がつくと壊れる脆い代物です。

で、この時は一応偽のマスターとして雁夜さんが近場で待機していました。
桜ちゃんはお留守番です。
魔力関連は桜ちゃん。回線だけおじさんが借りています。
なんだかんだ言って一番危ないであろうおじさん。
・・・強く・・・生きてくれ。おじさん。

閲覧ありがとうございました。

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