一応この年(クラス)だと姉離れできてる?はずなのに・・・。
そういえばギルガメッシュの(いける)範囲の中に確か子ギル君も入っていたはずだが、はて、賢王も範囲に入っているのだろうか。謎だ。
「な、何故だ・・・。」
ドサリと読んでいた本を落としてギルガメッシュは呟いた。
落とした本の題名は『ギルガメシュ叙事詩』。
「
ギルガメッシュは時臣に持ってこさせたこの世界の叙事詩を読んで愕然とした。
確かに壁は造った。天の牡牛も退治した。不老不死も探しに行った。フンババは・・・たぶん退治した。
しかし、肝心なことが抜けていたり、その抜けた形で補完するかのように改変されていたりと原型を留めていない。
姉がいなくて、
何故だああああと内外ともに叫ぶギルガメッシュ。近所迷惑である。
Q.なぜ叙事詩の内容が違うのですか?
A.何者かによって殆ど異なる、異世界と言っても過言でない世界に召喚されたからです。
しかし、そんなこと今のギルガメッシュにはわからない。
ショックが大きすぎて観ている暇すらない。
そんな時、念話での通信が入る。
正確には自身にではなく
ーーー王よ侵入者です。ーーー
自身のマスター(仮)である
「・・・まあよい。あの
◇ ◆ ◇
主に認められ意気揚々と遠坂邸に侵入したアサシン。ザイードは狂喜乱舞しながらも細心の注意を払って敵対サーヴァントを探していく。
ーーーこんなに認められたのは初めてだっ。身体が軽い。今ならなんだって・・・。
思考の最中にふと見た・・・否、通り過ぎた一室。
何か輝いていなかっただろうか。
ーーーもしかしたら、キャスターらしく工房か礼装作りの最中なのかもしれない。
相性の悪いアサシンにとってその作業に集中している今が絶好のチャンスだ。
そう思ったアサシンは通り過ぎた部屋に戻ってその首を掻こうとした。
・・・したのだが。
部屋に満ちていた輝き。それは恐らくキャスターであろう男の背後に広がった杖やら錫杖やらの出てきている金の歪みだった。
「ほう、お前は欠けか、妙な在り方だ。が、詰まらんな。」
失せよ。その声と共にバチバチと背後に広がる杖の群れが一斉に光りだした。
そこに更にもう一つ波紋が浮かび上がる。
ーーー今度は何が来るっ。
一撃目の魔杖による魔術の一斉照射は何とかなるかもしれないという楽観と二撃目が既に準備されているという不安要素を前にアサシンは沈黙する。
が、杖の照射が来ることはなかった。
何故なら、キャスターが再び口を開いたからだ。
「ん?・・・なんだ。まだそんな力があったのか。おとなしく蔵で寝ていればいいものを。」
二撃目だと思っていた歪みからーーー生首が出てきた。
髪型こそ違うものの、目の前のキャスターにそっくりな男の首が・・・歪みから生えていた。
キャスターの言いぐさに生首はカッと閉じていた目を開き怒鳴る。
「きっさま、よくも「うるさい」ぶふっ」
男が怒鳴ろうとした瞬間。キャスターが思い切り生首を殴った。生首は沈黙した。
全く、煩わせおって。とパンパンと手に着いた汚れを払うかの様な動作をして、キャスターがアサシンの方を向く。
「さて、この際あまり乗り気でもない故適当にフリでもして見逃がしてやるのも一興かと思ったが・・・。」
ここで、アサシンはようやく悟る。
自分は、今まで故意に
そして何より、今ここで。自身の
「気が変わった。受け取れ。」言って先程ぶん殴って気絶させた生首を残し他の歪みを閉じる。
そのまま、生首をまるで大砲の様に、射出した。
砲弾が地面を抉るようにアサシンもまた圧し潰され消滅した。
勢いが強すぎたのかそのまま
まるで犬神家か何かの様なポージングの英雄王(仮)を放置して、ついでに拝借していた回線も返却してその場を後にした。
「さて、
手元には高濃度の魔力が籠った宝石が数個。
そう、なにを隠そう
「これで当面は擬似依代によって行動できるようになった。あとは・・・。」
悪い笑顔というより底冷えするような笑顔と言った方がいい笑顔をしているギルガメッシュの口が更に引き上がる。
彼の目線の先には、金色の紐。《天の帯》。
その天の帯が・・・ぐいぐいと何かに惹かれているかの様に反応している。
「・・・ほう。そうか、そうなのか。」
海外のアクション映画のワンシーンよろしく。ギルガメッシュは豪快に遠坂邸の窓を突き破り、外に出た。
「姉上・・・今会いに行きます。」
手の中の宝石が一つ割れ砕けた。
最初は時臣氏を魔力タンク扱いしようとしていた
これから時臣氏は大変です。
原作ギルの治療。(
原作ギルの御機嫌取り。
作戦の練り直し。
一番最初のは原作ギルが自力で何とかするにしても二番目と三番目が・・・ね。
ちなみに
サバ&マスにとってはちょっとしたチート行為である。