長くなってしまい申し訳ありません。
おそらく(できれば)あと二、三話ほどで章を完結できればなと思っております。
よろしければ見ていってください。
「話があるんだ。ギル。」
ウルクに転移して早々にエルキドゥが申し出る。
「なんだ、次の逢瀬の日取りか?」
久々の姉との時間が取れたからかギルガメッシュは上機嫌に答える。
「・・・ここじゃなんだから少し場所を変えようか。」
言ってエルキドゥは歩き出す。
その顔はさっきまでのお茶会のときとはうって変わって真剣なものだ。
しばらく歩いて、着いたのはウルレシュテムの残していった地下室だった。
「さて、ここなら気兼ねなく話せるかな」
さすがの天災女神もここじゃ分からないだろうし。と呟く友に訝しげな眼差しを送りつつ、ギルガメッシュは次の言葉を待った。
「・・・本当は口止めされてたんだけど。母さんは・・・」
◇ ◆ ◇
きっと、今回ももうすぐで終わりが来るのだろう。
そんな諦観染みた事を思いつつ目の前の少女に笑顔を向ける。少女・・・姉は一瞬躊躇ったもののぎこちなくではあるが笑い返してくれた。とても綺麗な笑顔だった。
このときの
一つは
そしてもう一つは、姉が神に反旗を翻さないか、不利益な存在にならないか監視し、報告すること。
神やそれに従う事情を知る一部の神官は
特に常に行動を共にしようとしてくる神官たちは何かに取り憑かれたかのようで気味が悪かった。
使命は全うするつもりだか関わり合いになりたくなかった
彼女の元に通うのは楽しかった。
実際、彼女はよく
基本的な行儀やらは彼女から教わったものが殆どだ。
甘いだけでなく、叱られたことも多々ある。
彼女は正しく王であり姉であった。
憧れた。自分が後を継いだ時もこうで在りたいと。
幸せだった。この時間がずっと続けばいいと思った。
けれど
けれど、それだけ、幸福を感じる度。同じ時を過ごす度怖くなった。
あとどれほど姉が
あとどれくらい
まさか、ここまで成長できたことは過去一度もなかったため期待と不安が募った。
そんな不安を余所に姉も
特に姉は歳を重ねるにつれ美しくなってゆくのが目に見えて分かった。
自ずと前々から打診されていた縁談の量が更に多くなる。
比例するように姉が
現実に戻されたような心地だった。
やはり彼女も前やその前の
例えば執務の邪魔。
例えば寝所に潜り込んで外聞を悪くする。
しかし、いざ実行すると姉は注意することはあれど決して怒ることは無く、どこまでも
何故とは怖くて聞くことができなかった。
ある時寝所で夢を視た。
暗闇の中をよく見知った後姿が歩いている。
ついてゆく、追いつけない。どころか離れてゆく。
取り残される。
怖くて、辛くて。必死で行かないでほしいと姉を呼んだ。
そこでやっと気づいたかのように姉が振り返り、苦笑とともに手を伸ばしてくる。
目が覚めると隣に姉がいて。暖かくて、幸せで。
ここでようやく
◇ ◆ ◇
「・・・う・・・おう・・・王。」
ギルガメッシュは瞼を開ける。
少し眩しい光とともに見慣れた兵士の顔が見える。
どうやら眠っていたらしい。
「やあ、やっとお目覚めかい?」
いつの間にか傍らに立っていた友が苦笑する。
まあな、とこちらも苦笑を返した。
「・・・とはいっても正確には
あやつは今も微睡みの最中だと告げると微かに友が目を見開いた。
「へえ、君がこのタイミングで出てくるとは思わなかったよ。よく
「ふん、何。この身体は本来
にやりと凶悪な笑みを顔に張り付ける。
「さて、エルキドゥ。行くとするか。」
普段とは打って変わった、これからの愉しみに舌なめずりをするかのような獰猛な笑み。
しかし、そんな人の変わったような。否、実際変わった彼に動じることなく、友は返事を返す。
「はいはい・・・本当にいいのかい?」
本当は苦しい心境であろう彼は意識して気軽に聞こえるように質問した。
「姉思いの弟としては姉の願いはどんな形であれ叶えてやらねばな。・・・それに、
紅い目がギラギラと輝いた。
というわけで、今作のギルガメッシュの事情の一端を開示したわけですが。
ここで出てくるギルガメッシュ二人。
これは元々備わっていた自我とシステムとしての自我なんです。
で、互いを互いに予備だと思い込んでいるという。
一応メインは
観覧ありがとうございました。