ギルガメッシュ「いや、何故貴様がいる?」
エルキドゥ「ギ、ギル。・・・ぼ・・・僕・・・も、行く・・・よ。」
ギルガメッシュ「いやお前病人んんんんっ!?」
「はあーあ。ねえ、まだー?」
めんどくさそうにイシュタルが天舟に乗ったまま低空飛行を続けている。
「はあ、もう少しだから我慢しなよ。」
殻を纏ったエルキドゥがその質問に更にめんどくさそうに返した。
そんな会話が10回を超えたころ黙っていたギルガメッシュが口を開く。
「・・・時に友よ。聞いてもよいか。」
「んん?なんだい友よ。」
女神との繰り返される会話に辟易していたらしいエルキドゥは、やっとこの会話から脱却できると嬉々として聞き返した。
「・・・何故
現在イシュタル、エルキドゥ、ギルガメッシュの3人はウルレシュテムに真意を問うべくキシュまで向かっている最中だ。
・・・最中、なのだが・・・。
天舟に乗るイシュタル。これはまだいい。
絶対にギル一人でなんて行かせない、と霊薬を飲んで一時的に健康体に近くなり獣の殻を被ったエルキドゥ。・・・の背中に括りつけられたギルガメッシュ。これはどうか。
目が心なし荒んできているギルガメッシュにエルキドゥは表情はそのままにその巨大な口を開けて言った。
「だって、目立たずなるべく早くって言ったらこれかなって。あ、もしかしてひもの事?ごめんよ。落とさない自信なかったからさ。」
いや、そういう問題では・・・と抗議の声をあげようとしたギルガメッシュに「それに・・・」と更にエルキドゥが言葉を付け足す。
「何処かの天災女神みたいに上空に光る何かがあったから敵襲だと思って撃ち落とされる。なんて、いやでしょ?」
妙に説得力のある物言いに今度こそギルガメッシュは沈黙した。
病人とは思えない友の朗らかな笑いは瞬く間に風に搔き消えていく。
嗚呼、空が青いな・・・。
結局、ギルガメッシュは抗議どころか思考すらも現実逃避し何とかこの状況をやり過ごすことにした。
しばらく走るとキシュの門が見えてくる。
門の両側には二人の門番が就いており、以外にも荒れた様子は無い。
立派な門に屈強な兵士と、侵略されたとは到底思えない様子だった。
「あら、意外と綺麗じゃない。」
でも、まあ。と、門番がなんらかの動作をしようとしたとほぼ同時に、マアンナに力を収束させながらイシュタルが言った。
「今からただの
言い終わるとほぼ同時に矢を放つ。が・・・。
門の方へ飛んで行った矢は透明な波紋が現れるとすぐに吸収され姿を消す。
門の損傷はない。ここで終われば「攻撃を無効化する壁によって攻撃を帳消しにされた」と悔しがるだけで済んだ。
しかし、ここは敵地。敵に情け容赦は無用と言わんばかりの対応が待っていた。
突然先程イシュタルが攻撃したあたりが光り出す。
瞬間バチリという音とともにイシュタル目掛けて雷のように電撃が落ちた。
いーーーやーーーーっと悲鳴を上げながら攻撃をよけられなかったイシュタルに同行者2名は残念なものを見る目を、門番は無表情でその様を見ていた。
「・・・通行証か、身分を証明されるものはお持ちでしょうか。」
いまだ痺れて復活できずにいるイシュタルをそのままに残る二人に門番は問いかける。
「・・・それはどちらだ?この国の手形か?それとも
「・・・。」
ギルガメッシュの問いに門番は沈黙する。
答えあぐねているというより純粋に機能を停止させているかのようなその様子は少々気味が悪い。
まあ良いとギルガメッシュは自身の片腕に巻き付けていた天の帯を見せた。
「「失礼いたしました。ようこそおいで下さいました。ギルガメッシュ様。エルキドゥ様。お母さまがお待ちです。」」
セリフからお辞儀まできっちりと揃えた兵士が開けるよりも早く扉が開いた。
ともかく気絶したイシュタルをこのままにしていくのも後がめんどくさいとのことでエルキドゥの鎖で括ることになったのだが、二人が門の内側に入った時点で門が閉じ鎖が引っかかる。
「「あ。」」
・・・しばしの沈黙の後、彼らはイシュタルを置いていくことにした。
何だかイシュタルさんの扱いがひどくなってる気がする。
ごめんねイシュタルさん。
ちなみに門の方は幻覚とかの類ではないく本当に本物の門です。
外見が大丈夫ならばれないんじゃない。
という単純な考えの元外観はそのままです。
・・・全然効果ありませんでしたが。
では、皆様。閲覧ありがとうございました。