だいたい主人公が出て行ってしばらくたったころからくらいですかね。
たぶん・・・。
〇月□日
最近記憶が飛ぶようになった。
姉様がいつだったか父上のお話をしていたときに聞いた認知症という病。
その認知症に、僕は罹ってしまったのだろうか。
確か姉様はあのとき不治の病だとか言っていた気がする。
そのうち記憶障害だけでなく妄想とともに記憶改竄までするようになる恐ろしい病・・・。
どうしよう。退位すべきなんだろうか。
でも僕の後継はまだいないし・・・姉様帰ってこないかな。
そしたらきっとおしつ・・・安心なのに。
〇月◎日
イシュタル神がお茶をしにやってきた。
頻繁に訪ねてくるけれど神様って暇なのだろうか。
今日は茶飲み話に姉様とヤンチャしていた時(本人は姉様がヤンチャだったって言ってるけど実際はどっちもどっちなんじゃないかな)の話をしてくれた。
ある時イシュタル神の寝所に盗人が入り枕を取っていってしまったんだそうな。
なんで寄りにもよって枕なのかは謎だけれど。
で、これに切れたイシュタル神が盗人を追っかけていた・・・。
ここまではよかったが盗人はそこで大蛙に丸のみにされてしまったらしい。
お気に入りの枕だったので諦めきれないイシュタル神はそのままウルクで執務に勤しんでいた姉様を無理矢理引っ張り出してきて対応をお願い。
姉様は溜息吐きながら団子のような何かを蛙の口の中に放り込んで放置。
しばらくしてから胃袋ごと枕と盗人の骨(溶けかけの肉付き)が吐き出されたんだとか。
さすがに胃液付きの枕は嫌だったイシュタル神は結局新しい枕の材料探しに姉様と珍道中みたいなものを繰り広げたんだとか。
・・・苦労してたんですね。姉様。
×月△日
幼い我の書いている日記を見つけたのでかわりに書いてみることにした。
今日もイシュタルの奴が王務の邪魔をしにやってくる。
王務だけでも煩わしいが・・・その上で女神の愚痴の聞き役とは・・・。
姉上も幼い我もよくこれを続けられたものだ。面倒くさい。
適当に相槌を打っているとイシュタルがにやにやと笑っていた。
正直に気持ちが悪いぞというと失礼ね。あんたがあの子の身内じゃなければ今頃天船の餌食にしてたところよなどと言っていた。
いいのか?被っていた化け猫が剝がれているぞと言うとあら、失礼。今日はこの辺でと言って帰っていったが・・・。さて、あやついったい何をしに来たのだ?
×月◎日
キシュから使節団が送られてきた。
一緒に持ってこられた書状を見てあまりの内容に宝物の中の悍ましい呪いの宿った剣を手にしていた。流石に兵から止められた。
長老会の連中も様子見の姿勢を崩さない。
おのれ、いつか目にもの見せてやる。
・・・そういえば使節団の中の一人がひどくおびえた様子だったがなにがあったのやら。
×月★日
なかなか法案が通らない。青年会までは快諾してくれるが長老会ですべからく却下される。
苛立ちが募る我の元に言い寄ってくる女が増えた。更にストレスが追加、蓄積されていく。
いや、耐えるのだ我。姉上と約束したではないか。
あと、言い寄ってくる女ども。お前ら長老会と神々からの差し金だろう。
我に取り入って上手いこと操ろうとしていることはお見通しだ。
残念だったな。ふははははははっ。
・・・周囲にまともな人間がいないときはどうすればいいのでしょう。姉上。
□月◎日
姉上、姉上。姉上。
切実に姉上に会いたい。
もう我ヤダ。法案通らないし、出かけられないし、変なやつが言い寄ってくるし。
姉上・・・姉上っ。
姉上の捜索隊を編成。出立させようとしたがまたも長老会の連中に却下された。
おのれおのれおのれっ。我と姉上の逢瀬を邪魔立てする気かっ。このクソ老害どもめっ。
・・・気が付いたら人数が3分の1くらいに減っていたが我は何も知らん。
辺り一面が何だか赤い染料みたいなものが広がっていたがきっとどこぞから流れてきたのだろう。
我は知らんと言ったら知らん。
□月△日
今日もイシュタルが姉上の情報を持ってやって来る。
子どもが
おのれ・・・名も知らぬ子雑種め・・・我の姉上を独り占めしおって・・・。
そんな我の様子を見て終始楽しそうにニヤついていたイシュタルが我と姉上が会えるよう便宜を図ると名乗り出たがそんな器用な真似がこやつにできるとは思えん。
・・・まさか断って尚強行するとは思わなんだ。絶対になにか企んでいるな。
それにしても姉上の子供か・・・子がいること自体は百歩譲っていいとして。
もしその子供につきっきりで我に構ってくれないなんてことになったら我間違いなく泣く。
この□月◎日時点で主人公はエルキドゥに食育(というより礼儀作法)を教えていました。
で、前回のイシュタルの介入となるわけですが、このとき既にイシュタルは父アヌからの命を受けていましたが、それとは別に主人公を森の外に引っ張り出すのはどうすればいいのかと考えた末ギルガメッシュをうまいこと焚き付けつつ、あたかもそれが本人の意思であるかのように神、主人公陣営に思い込ませるように言い方をうまいこと変えていました。・・・という裏があるわけです。
まあ、この話の中にこそ書いていないもののこの作品のギルガメッシュ。興味のあることにはとことん、それこそヒャッハーっ。みたいな感じなので度々無断で旅に出かけたりとかして周りを困らせていたので、一概にイシュタルだけが悪いわけではないです。
そもそも火のないところに煙は立たない。