初音島物語   作:akasuke

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またもや間が空いてしまい申し訳ございません。
甘い物語を書こうと思い、いつも通りになってしまいました。

それでは、本編をどうぞ。


episode-38「恋人のはじめかた(後編)」

     

 

 

 

 

「彼方さん、もうそろそろかな……?」

 

朝倉 由夢は、胸の鼓動が速くなるのを感じながら彼方が来るのを待っていた。

 

サクラパーク入り口。

初音島にある唯一の遊園地であり、今日由夢と彼方が二人でデートに行く場所であった。

 

 

――凄く、胸がドキドキしてる。

 

由夢は自身の胸に手を当てる。

触れなくても分かっていたが、明らかに普段より鼓動が速い。

 

それは緊張だろうか、期待からか。

その、両方かもしれない。

 

昨日、彼方にデートしたいと伝えてから、大小はあれどずっと感じていたものだ。

でも、仕方ないのだと由夢は思う。

 

 

――だって、初デートだもんね。

 

好きな人に想いを伝えて。

結ばれて。

恋人としての、初めてのデートだ。

 

何もかも初めてだから、分からないことばかりだけど。

嬉しくないはずがないのだ。

 

 

「頑張りますね、沢井先輩、天枷さん」

 

ここには居ない、お世話になった二人に小さくつぶやく。

このデートを迎える為に色々と相談に乗ってもらったのである。

喫茶店で相談して、その後にデート雑誌を買って散々一緒に悩んでもらったのだ。

麻耶にも美夏にも、感謝してもし切れない。

 

そして、昨日にデートに誘うことが出来たのを電話で伝えたときのことが脳裏に過る。

 

 

 

 

『ふふ…おめでとう、朝倉さん』

 

『由夢っ、やったじゃないかっ!』

 

麻耶に電話した際、美夏も一緒に居たらしく、二人とも自分のことの様に喜んでくれた。

 

 

『でも、本当におめでとうと言うのは、由夢さんの願いが叶ってから、かしら?』

 

『は、はい……がんばります!』

 

『由夢ならチューできるさ!』

 

『こ、こら、そんなに直接的に言わないの』

 

『えー、でもなぁ――』

 

『だから――』

 

美夏の言葉に頭が沸騰しそうになる。

確かに、自身のしたいことは告げたが、改めて他の人に言われると凄く恥ずかしかったのだ。

 

その後に麻耶が美夏を窘めたり色々あったが、最後に電話越しで麻耶に由夢へ、とある言葉を告げた。

 

 

『朝倉さん、あのね――――』

 

 

 

 

「由夢さん、待たせてしまいましたか?」

 

昨日の麻耶と美夏とのやり取りを思い出していた所為で、少しボーッとしていたのだろう。

気付いた時には、私服姿の彼方が目の前に立っていた。

 

由夢は一拍おき、はっきりと認識すると慌てて彼方に返答する。

 

 

「か、彼方さんっ! あ、あの……いま来たところです!」

 

思ったより大きい声で返してしまい顔が熱くなるが分かった。

しかし、彼方が嬉しそうに笑う姿を見て目を丸くする。

 

 

「か、彼方さん?」

 

「あ、いえ……、何だかやり取りがデートっぽくて嬉しくて」

 

彼方の言葉を聞いて、先程のやり取りを思い出す。

 

 

 

『待たせてしまいましたか?』

 

『いま来たところです!』

 

 

「あははっ、確かにそうですね!」

 

確かに、意図せず恋人の待ち合わせのやり取りをしていたようだ。

しかも立場が男女で逆であった為、何だかおかしくて、二人で顔を見合わせて笑い合った。

 

予期せぬ自体であったが、由夢は緊張が取れた。

そして、麻耶の最後の言葉を思い出す。

 

 

『目標も大事だけど、まずはせっかくの初デートを思いっきり楽しみなさい』

 

――はいっ、ありがとうございます、沢井先輩!

 

麻耶の言葉に内心で返しながら、改めて彼方に顔を向け、笑顔で彼に言葉を発した。

 

 

「それじゃあ、今日はよろしくお願いします!」

 

はい、と。

彼方も由夢に釣られるように笑みを浮かべ、二人はサクラパークへ入るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

episode-38「恋人のはじめかた(後編)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お化け屋敷は、想像以上でしたね」

 

「あはは、わたしずっと叫んじゃっていたと思います」

 

――雰囲気って、何なのだろう。

 

彼方と先程のお化け屋敷についての感想を述べながら、由夢は心の中で考える。

 

コーヒーカップ、空中ブランコ、お化け屋敷。

 

由夢と彼方の二人は、遊園地での定番を乗っていった。

 

久しく遊園地来ていないから、どれも楽しい。

好きな人と一緒に行けるなら尚更だ。

彼方も嬉しそうな表情をよく見せてくれているから、由夢も安心した。

 

少しだけ落ち着いたからか、由夢は麻耶と美夏とのやり取りをふと思い出す。

 

 

 

『それで、結局、由夢がそいつとチューする為にはどうすれば良いんだ』

 

『……ねぇ、美夏。 せめて、キスって言って欲しいんだけど』

 

初音島のデートスポットの雑誌からサクラパークを選んだ後のこと。

やはり話題となったのは、由夢が言った目標のことだ。

 

デートの場所が決まったとして、実際にキスする為にはどうすれば良いのだろう、と。

由夢がつぶやいたのだ。

 

まず、チューしたいって言えば良いという美夏の意見は却下された。

由夢としては難易度が高すぎた為だ。

 

ただ、却下したものの思い付かず、由夢と美夏は自然と麻耶の方に向いた。

 

麻耶の内心では、こちらを見られても困ると凄く焦っていたが、必死に考えて口に出したのが――

 

 

『雰囲気……ですか?』

 

『えぇ。 ムード、と言った方が良いかしら』

 

麻耶は由夢に問いに答えた。

雰囲気作りがそもそも大事なのだと。

 

 

『麻耶、雰囲気ってのは大事なもんなのか?』

 

『大事だと、思うわ。 だって、いきなり普通のタイミングでキスしよって言いづらいし、出来ないでしょ?』

 

確かに、由夢は普通の会話と同じようにキスしたいと言える筈がないと同意した。

ただ、もちろん一番重要な疑問は残る。

 

美夏も同じ疑問を抱いたのか、口に出した。

 

 

『その雰囲気って、どうやって作るんだ?』

 

『え……、あー…………』

 

麻耶は美夏に聞かれ、あからさまに困った表情を浮かべた。

そんな雰囲気を作る相手も今まで居なかったのだから答えようがないのだ。

 

ただ、もうやけだと麻耶は自身が読んだ少女漫画やドラマを参考にして由夢に語った。

 

色々話した結果として、結論に至った。

 

観覧車は、キスする雰囲気を作れそう。

そして、壁ドンは現実では無理である。

 

この二点だけしか持っていけなかったのであった。

 

 

――沢井先輩、雰囲気って結局どう作れば良いんでしょうか。

 

由夢は心の内で不安に感じながらも、

観覧車は最後にして、それまでに手を繋ぐところから始めようと思うのであった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「そういえば、彼方さんは年上年下にかかわらず敬語ですよね?」

 

由夢はジェットコースターの待ち時間ということもあり、二人で並びながら、自身が気になっていたことを口にした。

 

いきなりの質問に驚きながらも彼方は頷き答える。

 

 

「えぇ、そうですね……やはり、年上に敬語を使われると気を遣いますか?」

 

「えっ? いえ、そんなことはないですよ」

 

心配そうに見る彼方に勘違いさせないように大きく首を横に振り否定する由夢。

単純に気になっただけです、と続けて口にした。

 

周りに常に敬語で話す人が彼方以外に居なかった為に思っただけである。

 

 

「なんか切っ掛けとか理由ってあるんですか?」

 

「いまは特に意識して敬語を使ったわけではないですが……」

 

途中で彼方の言葉が止まり、由夢が彼の顔を覗きこむと少し悩んだ様子を見せていた。

 

 

「あ、あの、別に無理に聞きたかったわけじゃないので――」

 

「えっと、そんなに言いづらい話ではないです」

 

何だか少し恥ずかしくて、と。

彼方は若干照れた表情を見せながら意を決したように言葉を続けた。

 

 

「その……憧れを真似たのですよね」

 

「憧れを真似た、ですか?」

 

そうです、と相槌をうちながら彼方は話し始めた。

 

彼方は自身の前世と呼べる、昔の自分の記憶がある。

昔のことを考えると、心が重くなる。

自身が何もせず、必要とされなかったことを否が応でも思い出すからだ。

 

しかし、昔の記憶があるからこそ、今度こそは違う自分でいたいと思った。

必要とされる自分に、誰かの為に行動できる自分に。

 

そして、変わるためにまず何をしようかと考えた。

 

 

「それが、憧れの人を真似ることなんですね?」

 

「はい。 ただ、その…憧れと言っても、空想上の人物なのですよね」

 

自身の言葉に目を丸くする由夢を見て、照れたように笑う彼方。

彼方としては、話すのを少し躊躇したのはこれが恥ずかしかったからなのだ。

 

 

「空想上の人物というのは、物語とかのキャラクターってことですか?」

 

「えぇ、その通りです」

 

彼方は自分がどんな人になりたいかと思ったとき、すぐには思い付かなかった。

きっと、昔は人付き合いも相手のことをちゃんと知ろうとしてなかったからであろうか。

だから、今度はドラマやアニメ、漫画、小説など物語のキャラクターでなりたい自分を考えた。

 

そのときに思い浮かんだのは、とある少女向けのアニメに登場していた、主人公の父親であった。

 

 

「どんなキャラクターだったんですか?」

 

「家族にも敬語を使う父親で、常に優しく笑っていて、家族や周りの人たちに慕われていました」

 

家族にも敬語と聞くと真面目で堅いイメージになるかもしれないが、そのキャラクターは常に優しい雰囲気を漂わせていた。

その感じが自分の中でなりたい像としてずっと頭の片隅に残り続けていた。

 

 

「だからこそ形から入るということで、敬語を同じように使い始めた、というわけなのですよね」 

 

何だか恥ずかしいですね、と顔へパタパタと手を仰ぎながら話す彼方に思わず笑ってしまう由夢。

 

 

「彼方さん、敬語使う理由がわかって嬉しかったです」

 

「そう言ってもらえるなら少しは救われます。 ただ、もし堅いと思ったら言ってくださいね?」

 

「堅いとは思ってないですよ。 それに……」

 

「それに?」

 

「いえ、何でもないです!」

 

由夢は言おうとした言葉を止めておいた。

彼方に話すのはちょっと恥ずかしかったからだ。

 

 

――それに、たまに敬語が抜けて話してくれると余計嬉しくなるので。

 

今まで2回だけ自分の前で敬語なしで話していたときがあった。

それは学園祭とクリパのときだ。

 

本人は意識していた訳ではないのだろう。

敬語が抜けて話していたとき、彼方の素を見れた気がした。

 

それは、自分にとっての宝物なのだ。

だからこそ、他の人には見せて欲しくないという小さな独占欲があった。

そして、自分で彼方の素を出させたいという気持ちもあった。

 

彼方には言わないでおこう、と由夢は再びその場面を見れることを心の中で期待しつつ思うのであった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

彼方の敬語を使う理由について聞いた後のこと。

あと数人でジェットコースターに乗れるまで近付いた最中、由夢はとある幼い女の子が目に入った。

 

 

「あれは――」

 

由夢の目に入ったのは、小学生に入るか入らないかの幼い女の子であった。

家族連れであれば特に気にはしなかったであろう。

 

しかし、由夢が見た女の子はひとりであった。

小さい足で歩きながら周りを何度も何度も見渡している。

ここからでは表情は見えないが、顔を手で拭く仕草をしていることから、泣いているのではないかと思った。

 

 

「あれは――」

 

「彼方さん、行きましょう!」

 

おそらく、彼方も同じように女の子の様子に気付いたのだろう。

由夢は彼方に声を掛け、すぐに向かおうとしたが、彼方から返事がなかった為に振り返る。

 

すると、目を見開いて由夢を見詰める彼方が其処にはいた。

 

 

「か、彼方さん……?」

 

「あ――いえ、いきましょう」

 

彼方は由夢の視線に気付き、一瞬声が詰まったが、すぐに平静に戻り由夢と一緒に女の子のもとへ向かうのであった。

 

 

 

――――――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

近付くと、やはり女の子は親御さんと離れて迷子になっていたようで、不安な様子で今にも泣きそうであった。

 

周りを見渡しても女の子の親御さんを見つけることが出来なかった為、聞いた女の子の名前で両親を探しながらも迷子センターへと向かった。

 

どうやら女の子の両親も探しながら迷子センターに来ていたらしく、思ったより早めに合流させることが出来たのであった。

 

 

「ゆきちゃん、お父さんとお母さんを見つけられて良かったですね」

 

ありがとう、とこちらに笑顔を手を振り続けてくれた女の子の様子を思い出し、笑みが溢れる由夢。

誰かに感謝されるのは嬉しかったのだ。

 

だからこそ、同じように喜びの表情を浮かべていると思っていた彼方を見て少し驚いた。

悩んでいる様子を見せていたからだ。

 

 

「彼方さん、どうしたんですか…?」

 

「え…あ……、いえ、少しだけボーッとしてしまっただけです」

 

何でもない、とこちらに笑顔で言葉を返す彼方であったが、由夢はその答えでは納得できなかった。

 

だから、由夢は彼方の手を握り、もう一度聞き返す、

 

 

「どうしたんですか? 聞かせてください」

 

「……そう、ですね。こんなとこで話すことじゃないかもしれませんが」

 

真っ直ぐに彼方の瞳を見つめながら問い掛ける由夢。

そんな彼女の様子に、少し驚いた表情をした後、観念したかのように自身の気持ちを述べ始める。

 

 

「さきほど、母親を探してるとき……思ったんです」

 

「何を…ですか?」

 

「凄いなって」

 

彼方の口から出た言葉の意味が把握し切れず目を丸くする由夢。

そんな彼女を見て苦笑いしながら、言葉を続けた。

 

 

「母親とはぐれて泣いたお子さんを見たとき、由夢さんは迷わず一緒に探そうって言いましたよね」

 

「……? そうですね」

 

「それに、三人で声を掛けながら探したとき、周りの方も協力して下さりました」

 

「え、えぇ、でしたね」

 

それがどうしたのだろうか、と。

言葉に出さずとも顔に出ている由夢に彼方は憧憬の想いを含んだ視線で見つめる。

 

 

「だから、です。 そんなの当たり前だって行動しているからこそ、私は凄いって思ったんです」

 

「彼方さんは……嫌、だったんですか?」

 

「そんなことないです。 でも、私は……意識しないと、すぐに行動に出れなかったんです」

 

彼方は、前世の様に必要とされない人生でありたくない。

そう思ったからこそ、自分で出来ることであれば助けてあげたい。してあげたいと思う。

 

意識して、それで彼方は行動している。

しかし、由夢の行動は彼の様に意識してではなく、無意識に、当たり前の様に行動していた。

 

意識と無意識では大きな隔たりがあるように、彼方は感じたのだ。

 

 

「きっと、何も打算や不安もなく助けられた由夢さんが…私は羨ましいのだと思います」

 

「彼方さん…」

 

寂しそうに笑う彼方に、由夢はひとつ胸に感じたものがあった。

 

 

 

「わたし、言ってなかったんですけど、料理がすごく下手なんです」

 

「え……?」

 

「兄さんには殺人料理だって言われるは、お姉ちゃんには遠慮されるわで…壊滅的だって言われます」

 

「あ、あの……由夢さん?」

 

「わたしが今までそれを言わなかったのは、彼方さんに料理下手だって思われたくなかったからです」

 

「だから、美味しい料理つくるんだって、頑張って料理を練習してました」

 

「――彼方さんは、幻滅しますか?」

 

「…いえ、そんなこと思うはず、ないじゃないですか」

 

自身の為に頑張ってくれた。

その気持ちが嬉しいことではあっても、幻滅することでは決してなかった。

 

 

「……彼方さんなら、そう言ってくれると思ってました」

 

少し安堵した表情を見せながらも、

由夢は彼方に笑いかける。

 

 

「でも、言わなかったのは、私自身がよく見られたいって打算があったからです」

 

美味しい、と彼方に言ってもらいたかった。

料理上手であると褒めて欲しかった。

自分が誇れる恋人だと、少しでも思ってもらいたかった。

 

 

「打算でも何でも、それが誰かの為になる行動なら、良いじゃないですか」

 

 

 

「――必要とされたいから。 そういう想いでも、助けようって思える彼方さんのことが好きです」

 

 

 

「……ゆめ、さん」

 

彼方が心配性なのだと由夢には分かった。

 

でも、そんな彼の一面を見て幻滅などしなかった。

むしろ、彼女である自分がそういう彼の不安を取り除いて上げられることが嬉しかったのだ。

 

 

――そっか……、そうだったんだ。

 

恋人の関係なんて、初めての経験であった。

今までと、どう変われば良いんだろう。

何をすれば良いのだろう。

 

色々悩んでしまったけれど。

だけど、こうやって互いに支えて、支えられて。

 

互いの本音を見せ合えたなら。

少しは恋人としてはじめられたのかな、と由夢は思った。

 

そして、そう考えると。

あまり悩まずに、自分の想いを口に出すことが出来た。

 

 

「彼方さん、ひとつワガママを聞いてください」

 

最後はあそこに行きたいです。

由夢が指をさす先には、サクラパークの中心にある観覧車があった。

 

 

「わたし、観覧車に乗ってしたいことがあるんです」

 

観覧車を見ていたが振り返り、由夢は照れた表情で彼方を見つめる。

 

 

「恋人として、したいことがあるんです」

 

恥ずかしそうで、だけど彼方への期待を含めた様子が見受けられた。

 

由夢は、彼方に言葉を告げる。

 

 

 

 

――叶えて、くれますか?

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、その後はどうしたのかしら?」

 

「――ふふ、聞きたいですか?」

 

「いえ……、もう分かったから結構よ」

 

もう十分であると言わんばかりに、麻耶は肩を竦めながら由夢に返事を行った。

 

由夢の、幸せそうな表情や仕草、雰囲気。

すべてが物語っていたのである。

 

素直におめでとう、と言ってあげたいのだが。

何だか負けた気分になるので止めた。

というか、既に敗北感を味わっていた麻耶であった。

 

そして、同じく由夢を見守っていた相棒へと振り返る。

そこには、何とも言えない表情の美夏がこちらを見ていたのだ。

 

 

「麻耶……、何故か苦い飲み物が欲しくなったんだが」

 

ロボットである美夏でさえ感じるものがあったらしい。

 

それを、喜ぶべきか、はたまた呆れるべきか。

麻耶には分からなかったが。

 

美夏の言葉に対して、

自身の気持ちを述べてこの場を締めくくった。

 

 

 

 

 

 

――わたしは最初からコーヒーを頼んでおいたわ、と。

 

 

 

 

 

 

 

これは、彼方と由夢の恋人のはじまり。

 

その出来事の一幕であった。

 

 




読んでいただき、ありがとうございました。

また、お久しぶりです。
前書きでも書きましたが暫く投稿できず失礼しました。

デート回は、いかがでしたしょうか。
あまり甘く描けませんでしたが、二人のイメージだとこういう流れになりました。

話の中で、主人公が憧れたキャラを真似て、と描きましたが実際の少女アニメを思い浮かべながら書きました。古過ぎて分からないでしょうが。。。


これにて小話は終わり、またメインの物語に移行します。
また読んで頂けたら幸いです。

あと、こちらは余談的な話です。
実は、少し進め方を悩んだりしています。
それは、とある銀髪の女の子キャラを登場させるかしないかです。

登場させない場合は、そのまま終盤に入ります。
ただ、登場させる場合は彼女をメインにした話が入ります。

上記両方の場合の話の構成は大まかに考えてはいます。
ただ、個人的に思い出深いキャラクターではあるので、話数的にも最終話まで延びます。
あと、主人公や今のキャラ、昔のキャラを含めて色々登場することになると思います。

ただでさえ、頻繁には投稿できていない状況のため、少し考えてから次話を投稿したいと考えています。

それでは、失礼いたします。

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